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「すみれがぼくにとってどれほど大事な、かけがえのない存在であったかということが、あらためて理解できた。すみれは彼女にしかできないやりかたで、ぼくをこの世につなぎ止めていたのだ」 「旅の連れ」という皮肉な名を持つ孤独な人工衛星のように、誰もが皆それぞれの軌道を描き続ける。 この広大な世界で、かわす言葉も結ぶ約束もなくすれ違い、別れ、そしてまたふとめぐりあうスプートニクの末裔たちの物語。
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Posted by ブクログ
久しぶりに読みました。 大学生の頃に読んで以来だったけど、所々覚えているもんだなと思った。でも感じ方が違って新鮮さを感じました。 以前より解像度高く読めました。
冒頭の吸い込まれるような文章に圧倒される。いちばん気持ちいい風が吹く。恋も愛も夏も出会いも別れもいまここにある。すみれもミュウもにんじんもぼくもきっと温かい場所にいる。なんて美しいんだろう。なんてきれいなんだろう。
これもまた純度100%の恋愛小説。心がぎゅっとなる。ミュウがタイトルになっているけれど、主人公こそが「スプートニク」じゃないか。地球を中心に、行き場のない想いは永遠の巡回を続ける。 いつも通り振る舞ってみせながら、すみれを失い、やがて水を失った草木のようにしなびていく主人公にえも言われぬ感情を抱く。...続きを読む自分自身の中に飼っている純な部分を取り出されて見せつけられるような、そんな感覚。宇宙空間に突如投げ出されたかような無防備さ。失って実感する「愛」が、一番真に感じられるのは不条理でしかない。けれど、そんな不器用な愛の形が私は好きで、そんな小説を描く小説家のことも大好きなのです。 P.s. 村上春樹を誇張したかのような文章で、良い(間違いなく本人の作品なのだけど)。
わたしは、主人公のような男友達が欲しかった、性的に交わることはできないという事実は、残酷なのかもしれないけれど、すみれとKくらい心の通った相手というのがほしい。 血を流さなくてはいけない。
表題のスプートニクは、旧ソ連が打ち上げた人工衛星の名前ですが、「旅の連れ」という意味だそうです。ロシア人がなぜ「ひとりぼっちでぐるぐる回る人工衛星」にそんな名前をつけたのか?という作中の疑問に、もっともだなあと感じてしまう。愛と性欲、同性愛の入り混じる複雑な三角関係と、消えてしまったすみれの謎、ギリ...続きを読むシャの小さな島の情景描写の繊細さに否応にも惹き込まれてしまう。複雑な読後感の一冊だった。
『スプートニクの恋人』は、記憶にある限り、私にとって初めての村上春樹作品だった。中2の頃に手に取ったと思う。 その時の第一印象は「性描写が強くてむり」。全くいいと思えなかった。 その後は一度春樹作品からは離れ、次に手に取ったのは高2の頃の「1Q84」。この小説は私の心を強く打ち、そのあとは時期によっ...続きを読むてくっついたり離れたりの波はありつつ、自分の人生にとって春樹作品は確実に欠かすことのできない1ピースであり続けている。 だから今回、『スプートニクの恋人』は15年ぶりくらいに読み返したことになる。 きっかけは失恋しそうになっているから笑。恋愛小説が読みたかった。 読み始めてあれ…?あんまり性描写激しくない。他の春樹作品と比べると全然。 当時の私は何がそんなにしっくり来なかったんだろう。そんな風にふしぎに思いながら読み進めた。 そして途中で、たしかに他の春樹作品ほど没入できていないかも、とふと気づいた。 その理由を自分の中に注意深く探ってみると、多分分かった、この小説(特に前半)はすみれとミュウという2人の女性が主人公なわけだけど、この2人が私にとってしっくり来ない。 要は、共感もできず魅力的にも感じなければ、なぜそういうエキセントリックな体で存在しているのかも分からず、「架空の人物」感がすごい。 それが語り手の「僕」を介して語られている。 「僕」は彼女たちの存在に疑問を持っていないらしいが(惚れてもいるので)、読者からしたら「僕」も介されているのでより彼女たちが掴めない。 頭がおかしいことは全く構わないのだが、なぜ頭がおかしいのか分からないと読者は置いてけぼりになる。 …と思っていたのだけど、「僕」が前面に出てくるあたりからどんどん引き込まれていき、ギリシャについた頃からはいつもの春樹作品のように没入して楽しめた。 ギリシャの島の風景をありありと思い浮かべながら読めたし(一昨年の夏の旅行で、ギリシャの島々を目前に結局トルコ国境から出なかったから、憧れもひとしお)、「あちら側とこちら側」という慣れ親しんだ春樹モチーフにはもちろんしっくり来た。 特にすみれを失った主人公の心情描写が本当に素晴らしく、何度も読み返してしまった。 雄大なアクロポリスですさまじい寂寥に襲われる場面。なんだかとても圧倒された。 「すみれの存在が失われてしまうと、ぼくの中にいろんなものが見あたらなくなっていることが判明した。まるで潮が引いたあとの海岸から、いくつかの事物が消えてなくなっているみたいに」 「人にはそれぞれ、あるとくべつな年代にしか手にすることのできないとくべつなものごとがある。それはささやかな炎のようなものだ。注意深く幸運な人はそれを大事に保ち、大きく育て、松明としてかざして生きていくことができる」 「ぼくはもう二度と、これまでの自分には戻れないだろう。明日になればぼくは別の人間になっているだろう。しかしまわりの誰も、ぼくが前とは違う人間になって日本に戻ってきたことには気づかないはずだ。外から見れば何ひとつ変わってはいないのだから。それにもかかわらず、ぼくの中では何かが焼き尽くされ、消滅してしまっている。どこかで血が流されている」 大切な人を失うとはどういうことなのか、その喪失感がこれでもかというほど克明に記されている。 いま私もまさに大切な人が自分から離れていこうとしていて、読んでいて胸が引き裂かれそうになった。 私は、この松明を抱きしめて生きていくしかないのだ。きちんと抱きしめとおせるだろうか。炎を絶やさず、自分の中であの温もりを記憶し大切に持ち続けられるだろうか。 いろんなものが見当たらなくなった人生を、これからどうして生きていけばいいのか。 「どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。 どうしてそんなに孤独になる必要があるのだ。これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために?この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけている」 まさに20億光年の孤独…!!!!! 名文すぎて涙が出る。 地球にはこんなに人がいるのに、なぜよりによって大好きな人と分かり合えなくて、わざわざ孤独にならないといけないんでしょうね。 寂しくて孤独な時って宇宙のこと考えたくなるのどうしてでしょうね。 春樹作品って、いつも小説のどこかが、その時々の自分の状況や心情と響き合う。だから読んでいて胸が震える。だから人生に寄り添ってくれていると感じる。 今回もまさにそうだった。 …というわけで、この小説は読み始めた直後は違和感からスタートしたものの、「僕」の出現によりいつもの通り大変しっくりくるものになった。 このことについて考えてみると、たまに耳にする、「村上春樹は女性を描くのがうまくない」みたいなフェミニズム的批判に思い至る。 私は春樹作品が大好きであまりそういう風に思ったことがなかったけど、この小説では「女の主人公が前面に出てくる時にはついていけないけど男の主人公が出てきた途端しっくりくる」という経験をし、初めて「あ、これなのかな」と思った。 つまり、春樹くんが描く女性は女性的には「ハテナ?」な女性が多く、(秀逸な女性描写ができないからといって男性作者が責められるいわれはないのではとも思うけど、)それは見方によれば「男性にとって都合のいい架空の女性を拵えてるだけだ」という批判につながりうるのであろうということ。今回実際に抱いた違和感により、確かにそういう側面はあるかもしれないと理解はできた。 まあでもそうであっても、春樹作品がいつでも自分の今の心と呼応して何かを感じさせてくれることは揺るぎない事実であり、今回もとても読んで良かった。 いつもありがとうございます。
ある瞬間を境に全く別の自分になる。表面的には何も変わらない、誰も気づかない、けれど明確に今までの自分は存在しない。そういうことが多々あります。 残された側の人間が希望を持てるような物語の締め方が好きでした。
人工衛星のように周りを回るだけで、本当には重なれない関係性が切ない 沁みる 人と人の関係における「近いのに届かない」感じがすごく伝わってくる どんなに理解したいと願っても、どうしても埋まらない距離がもどかしい 現時点村上春樹の中で1番好き
一目惚れしたミュウとともに訪れたギリシャの小島でミュウの過去を聞いたのちに失踪するすみれ。すみれを愛していながらも先に進むことができないぼく。時に体を重ねる教え子の母。4人の男女が巡り合い、すれ違い、そして永遠に別れていく。スプートニクのように。
小説家を目指す、性欲のない、すみれ。そのすみれが好きになった40代のキャリアウーマン、ミュウ。そしてすみれと親友関係にあり、彼女に恋心を抱く、ぼく。 相変わらず、何がおもしろいのか言語化できないんだけど、おもしろい。 というか、好き。 文章から漂う芳しさに浸っていたくなる。 中国の門の話をすみれ...続きを読むの手記とからめてちゃんと理解できたら、さらに楽しめたのかもなぁ。
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