【感想・ネタバレ】スプートニクの恋人のレビュー

あらすじ

「すみれがぼくにとってどれほど大事な、かけがえのない存在であったかということが、あらためて理解できた。すみれは彼女にしかできないやりかたで、ぼくをこの世につなぎ止めていたのだ」 「旅の連れ」という皮肉な名を持つ孤独な人工衛星のように、誰もが皆それぞれの軌道を描き続ける。 この広大な世界で、かわす言葉も結ぶ約束もなくすれ違い、別れ、そしてまたふとめぐりあうスプートニクの末裔たちの物語。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

久しぶりに読み直したら、刺さるフレーズや比喩表現がたくさん。
1Q84に繋がるような象徴的なモチーフ(月など)やあちら側・こちら側の概念、ねちっこい警備員、喪失感・孤独感(国境の南~にも似た感じ)などが感じられて胸熱!
ちょっとしたことであちら側に行ってしまうきっかけは転がってそう。。
面白かった!

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2025年11月24日

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村上春樹の中で、一番好きな小説。
ロマンチック。
読んでいる時、付き合いたての恋人と
誰もいない自然の中でくっついて過ごしているような不思議な安らぎに包まれた。
読み終わりたくないのに、読み進めてしまう。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私の名前も。すごく高い理想を重ねられている。
いわゆる名前負けしていると周りから言われたことがある。

だけども、そんな曲(槇原敬之)を聴きながら
まだ見ぬ私のことを思って母が名付けた
この事実が美しいと感じられたから序盤でこの本が愛しくなりました。

「あなたがどれくらい魅力的か、あなた自身にもそれはわからないんじゃないかしら」
自己肯定感が低い私にはお薬のように沁みた。

「大事なのは、他人の頭で考えられた大きなことより、自分の頭で考えた小さなことだ」
正しい、正しくないも大切だけど、自分で考えることが、その物事に関係なくても自分の中の栄養になってるんだな。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

本作にはこんな節がある。
東京のことを考えてみる。ぼくのアパートの部屋と、ぼくの勤めている学校と、こっそりと駅のごみ箱に捨ててきた台所の生ゴミのことを。

この生ゴミについては少し前のページでちらりと描かれており、それがここで拾われるかと驚嘆した。

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2025年09月24日

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村上春樹再読

初読はいつだったか。1999年に単行本が出版されていて、おそらくはすぐ読んでいるはずだから20代半ばか。ほかの村上作品についても書いたが、この本についても「またこのパターンかよ、もういいよこのタイプの、洗練されて、自分のスタイルがあって、群れなくて、ぐいぐいくる女の子がいて、みたいなのは」と感じた記憶がある。

村上春樹の気に入った作品はそれこそ10回単位で読み返す私だが、これは多分一度も再読しなかった。そのまま30年近くが過ぎ、そしてふとしたきっかけで再読した。

「わたしは子供の頃から、まわりとは関係なく自分の中に個人的な規律を作って、それを守っていくことを好んだ。自立心が強く、きまじめな性格だったの。
、、、

強くなることじたいは悪いことじゃないわね。もちろん。でも今にして思えば、わたしは自分が強いことに慣れすぎていて、弱い人々について理解しようとしなかった。幸運であることに慣れすぎていて、たまたま幸運じゃない人たちについて理解しようとしなかった。健康であることに慣れすぎていて、たまたま健康ではない人たちの痛みについて理解しようとしなかった。わたしは、いろんなことがうまくいかなくて困ったり、立ちすくんでいたりする人たちを見ると、それは本人の努力が足りないだけだと考えた。不平をよく口にする人たちを、基本的には怠けものだと考えた。当時のわたしの人生観は確固として実際的なものではあったけれど、温かい心の広がりを欠いていた」(p241-242)
うん、まあまさにそういうことだったのだろう。

そして歳を重ねると考えるようになる。
「どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。どうしてそんなに孤独になる必要があるのだ。これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ」(p272)、と。

スプートニク、人工衛星。米ソの熾烈な宇宙競争でソ連は最初の人工衛星打ち上げで先んじた。そこには決して地表に戻ることのない一匹の犬が実験として乗せられていた。
子供の頃読んだ「宇宙のひみつ」みたいな本での記憶では、たしか数日後に毒の入った餌だか注射だかを投与され、衛星の中で安楽死させられたというようなことだったと思う。その衛星の残骸がどうなっているのかはわからない。

そんなことを思い出しながら読んでいる間、暗黒の宇宙空間で誰とも交わらずに公転し続ける人工衛星のイメージが幾度か鮮烈に浮かび上がってきた。「さえぎるものもない宇宙の暗黒の中でふとめぐり会い、すれ違い、そして永遠に別れていく」(p273)、スプートニクの恋人たち。

物語後半の舞台になるギリシャは私も訪れたことがある。ギリシャ南部、アトス方面を語った村上春樹の別の紀行文も秀逸だった。この小説からも、旅先、とくに島で感じる潮風や宵闇の生暖かい空気が伝わってきた。

そうです、再読して感動したのです。ではごきげんよう。

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2025年09月12日

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ネタバレ

主人公ぼく、すみれ、ミュウの三人を中心に話が進んでいくが、中盤辺りから、ぼくはミュウからすみれが突然失踪したことを知らされる。それで二人が滞在したギリシャに向かい、すみれの行方を追う。

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2025年06月21日

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スプートニクと、ライカだったんだ……!
いつもの春樹よりどこか爽やかで、あっという間に通り過ぎてしまう、恋の物語。
それにしても、ミュウは、本当にミュウツーだったんだな…

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2025年05月13日

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久々の村上春樹作品。
すみれが恋に落ちた表現は最初の段落から圧倒的なパワーを持って魅了された。
山であっという間に終わる仕事をこなし、あとは小屋にこもって自由に小説を書くという具体的で理想的な人生とは対照的に、現実である大学の文芸科については“キュウリのへた”と一言で終わらせるすみれの言葉にセンスという一言では伝わりきらないほどのセンスを感じる。

その後も続くセンスある表現の中には「空間」を意識した言葉が出てくる。それは、登場人物同士の関係は宇宙のような広大な空間の中に存在していることを示唆している気がする。
暗闇の中のひとつの光、つまりスプートニクを探し、暗闇の中で精神的にずっと孤独に生きてきた登場人物たちは出会い、現実を目の当たりにしながらもやがて幸せを見つけることができたのだろうか。

この作品を手にとってから、実際の宇宙船スプートニク2号とライカという犬について知った。ライカは過熱と高ストレスによって数時間で亡くなったとのことだが、その衛星は回収されていない。ライカはすみれのように夢を乗せて打ち上げられたのだろうか。地球を離れ、ミュウのように俯瞰的に自分が存在していた場所を見た時、何を感じたのだろうか。

物語と実際に起きた宇宙犬の話もまた、異なる空間に存在するようで、交わっている。そんなことを考えながら読んでいると自分自身も匿名的な空間で漂っているような気になった。

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2025年04月03日

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恋愛小説で第三者からの目線で語られるという構成が斬新で面白かった

体と精神の分離をドッペルゲンガーや影分身のように物理的?視覚的に表現してしまうところがいかにも春樹って感じでとても良かった

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2025年11月10日

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終わり方があまりにも潔い。
すみれはどこへ行っていたのか、どうやって行ったのか、どう帰ってきたのか等々……謎の答えは何も語られないまま終わってしまい呆然。そこも含めて、「らしさ」があって好きな終わり方でもある。
私なら問いただすであろう状況に、ただすみれを迎えに行く主人公。この2人故の信頼感が感じられてとても好き。

登場人物は「すみれ」「ミュウ」「ぼく」の3人。今までの傾向的には、The.大人の女性が好きな私でも、本作ではすみれ派。初恋に必死な女の子が全面に出ていてとても可愛い。設定的には私と同じ22歳であるけども、全体を通してどことなく幼い?少女的?な印象があった。でも(元)ヘビースモーカーであるギャップ。

ストーリーに大きく関わる文言ではないけど、『ギリシャ文字で書かれた煙草やウゾーの派手な広告板が、飛行場から町までの沿道を非神話的に埋めつくし、そこが間違いなくギリシャであることを教えていた。』(p.133)が頭に残った。非神話的。ギリシャの町並みが、主人公の(私たちの)イメージより、意外と現実的な喧騒を持っていたんだと想像できる。個人的に好きな表現。

300ページと少しで、村上春樹作品の中ではライトに読めた。

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2025年10月24日

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冒頭の文章がとても印象的だった。すみれの失踪やミュウの心情など、どういう意図なのかよく分からない部分が多いが、こうした抽象的な世界観にすごく惹かれる。また僕がガールフレンドの子ども(にんじん)が万引きしてスーパーに呼び出されるくだりが面白かった。先生でもある僕が万引きに対して叱る訳でもなく、放任する訳でもない信頼関係みたいなものを感じ取れた。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

10年ぶりの再読
読後感は最高でした。

これ単体でも十分楽しめるのですが、村上氏のエッセイ「遠い太鼓」を読んでからだとより楽しめるかもしれません。

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2025年10月21日

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村上春樹の中でも作品と作品を橋渡しする、蝶番のような一作。
今作のヒロインは特に行動力に長けている分、読み手は主人公と近い視点で読めることだろう。秋の夜長に相応しい、澄んだ余韻が残る。


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2025年09月17日

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読み終わった後の寂寥感。
この惑星は人々の寂寥を滋養に回っている、という表現はすごく印象的だったなあ。
この本を読んだ時にまず思ったのは、大学生の頃に出会った友人のこと。突然連絡がとれなくなって、サークルのみんなでその友人の家まで行ったり。その後また一緒に遊ぶようになったけど、また音信不通になったり
村上春樹が作品に込めるテーマの一つに、人間は分かり合えない、というのがあると思うけど、まさにそれなんだなと思った。
一人一人孤独や寂しさを抱えながら、一枚の皮を被って対外的な姿を演じてる。
家族でさえもその中身を理解しきれていないと思う。
次回はもう少しポジティブなものを読みたい笑

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2025年09月13日

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ネタバレ

村上春樹の作品、くどくて全然すきじゃないなと思ってたけど美しい比喩が散りばめられてて素敵、いつの間にかクセになってた☘️
すみれの夢の話を読んでる時、本当に嫌な夢を見たときみたいな不思議な感覚になった。言葉ってすごい。。。!
最終的にすみれは帰ってきたんだね
どういう風に戻ってきたのか私も聞きたかっ
ミュウは抜け殻ではなくなったかな?

イタリア行ったばっかりだから出てきて嬉しかった☺︎

主人公は何故かジャルジャルの後藤イメージ

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2025年08月24日

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私の中にはきっとこれからもすみれがいて僕がいてミュウさんが存在してくれる気がする
ラストも個人的に好きで
読んで良かったと思える一冊

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2025年08月17日

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ネタバレ

・スプートニクとは?と気になって。村上春樹の作品を読んだことがなかったから読んでみた
・「どんなことでもそうだけど、結局いちばん役に立つのは、自分の体を動かし、自分のお金を払って覚えたことね。本から得たできあいの知識じゃなくて。」
・最後のすみれは本当に戻ってきた?僕の夢?
・記号と象徴

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2025年08月11日

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主人公が依存している女性とのやり取りを通じて何かが変化すると思いきや、特に何も変わらない話。話の内容で色々思うことはあるのだが、文章の不思議さも印象に残った。

話の流れはちゃんとあるのだが、磁石についてくる砂鉄みたいな感じで、一つの意味のある言葉にたくさんの別の言葉が付いてくる文章が印象的。慣れてしまうと、だんだん良くなってくる。

良く言えば想像の余地があり、悪く言えば隙間の多い話なので、あの時の〇×はこういう意味だったのか、すみれはいったいどこに行っていたのかなどと考えてしまうが、なんとなくその辺を何も考えずに、ただ文章の余韻に浸ってふわふわしていたい感じがした。

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2025年07月29日

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ネタバレ

クラシックの話題とおしゃれな会話がありとても都会的な雰囲気があるのだが、市営プールで泳いだり、バーではカナディアンクラブを飲んだりするシーンからは主人公は贅沢をしない日常的な雰囲気を感じます。このあたりの空気感が好きなんだよな。
そして物語は主人公をギリシャの小さな島に向わせ、そこでミュウが損なわれたことを知る。日本に帰ると教え子もまたミュウが損なわれたのと同じ「あちら側」に行ってしまったようになり、その母親との不倫関係も解消してしまう。
最終的にすみれは戻ってきたものの、なんだか失うことの方が多いじゃないかと寂しく思う。
また期間を置いて再読したいなと思わせる作品です。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

村上春樹が公言する唯一の恋愛小説がLGBTものだとはニクイね。

春樹お馴染みの"失踪する女性もの"。ただ文章は今まで一番洗練されている印象。

"ちょっとついて行けんわ〜"と思わせる部分も多いものの、ラストのラスト、5ページで一気に捲ったな、と言う印象。

極論、小説って最初と最後の10ページで語り尽くせるものなのかもしれない。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

That piece had such a stylish vibe — the way it captured the atmosphere of Greece and the beauty of the writing was just amazing.
Makes me wanna hop on a plane and take off on a whim like that someday too.

● あまりにもすんなりとすべてを説明する理由なり論理なりには必ず落とし穴がある。それがぼくの経験則だ。誰かが言ったように、一冊の本で説明されることなら、説明されないほうがましだ。つまり僕が言いたいのは、あまり急いで結論に飛びつかないほうがいいということだよ

● わたしにはそのときに理解できたの。わたしたちは素敵な旅の連れであったけれど、結局はそれぞれの軌道を描く孤独な金属の塊に過ぎなかったんだって。遠くから見ると、それは流星のように美しく見える。でも実際のわたしたちは、ひとりずつそこに閉じこめられたまま、どこに行くこともできない囚人のようなものに過ぎない。

●人にはそれぞれ、あるとくべつな年代にしか手にすることのできないとくべつなものごとがある。それはささやかな炎のようなものだ。注意深く幸運な人はそれを大事に保ち、大きく育て松明としてかざして生きていくことができる。でもひとたび失われてしまえば、その炎はもう永遠に取り戻せない。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

村上春樹で1番爽やかで純粋な恋愛ストーリーだから好き。
村上春樹の主人公は基本孤独だからすごい励まされるんだよなぁ〜こんな人もいるよなぁ、自分これでいいんだよなぁーって。
主人公だけじゃない、すみれもミュウもガールフレンドも。

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2025年06月17日

Posted by ブクログ

あちら側とこちら側。
何か大切なものが損なわれたとき、もうそれは今までの自分ではなくなる。
そして何度も「寂寥」という単語がでてくるように表す僕の孤独。
『これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのに我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために?この惑星は人々の寂寥を滋養として回転しつづけているのか。(p.272)』
個人的にだけどラストはとても好きな終わり方だった。

2025.6.2再読。

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2025年06月02日

Posted by ブクログ

『ねじまき鳥クロニクル』と『海辺のカフカ』の超大作に挟まれた小さな長編です。ストーリーがコンパクトなだけに、すみれという女性の恋を通して、あちら側とこちら側を行き来する様子がわかりやすく描かれます。

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2025年10月13日

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夜明け前に「記号と象徴の違いとは何か」なんて電話で叩き起こされても許せるくらいすみれのこと大好きな主人公かわいい〜と思った。村上春樹作品にしては読みやすいし登場人物がみんなチャーミングで、好きな感じ。

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2025年11月05日

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『街とその不確かな壁』と似通った部分がいくつかあった。たぶん、この共通点は筆者が書かずにはいられない、彼の根底にあるなにかなんだろうな。

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2025年10月27日

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あなたってときどきものすごく優しくなれるのね。クリスマスと夏休みと生まれたての仔犬がいっしょになったみたいに。


初めての村上春樹


ミステリー小説とは違って
言葉や文章を楽しむものなのかな
(違ったらごめんなさい)

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストは夢か現実か。何となく「僕」の夢であると思ってる。
比喩表現がとても多く、もっと適切なタイミングに読んでいれば、芳醇な作品であると認識できたと思う。
この作品もまた、喪失の果てに再生があるのかもしれない。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

あんまり覚えてないけど
観覧車の中で取り残されて一晩過ごすシーンがあるお話だったという記憶、、
読みにくくはなかったと思うけどすごく引き込まれる感じでもなかった。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

無機質な孤独という言葉が残る

市立プールに行って軽く泳ぎ冷房の効いた喫茶店で1時間ばかり本を読んで帰ってシャツにアイロンをかけるという文章がすごくいい。
でも大切な人から手紙が来てアイスティーを飲む余裕はない。

理解というものはつねに誤解の総体に過ぎない

いつも主婦と不倫するのはなんで?深い意味を持たないから?

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2025年08月17日

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