【感想・ネタバレ】スプートニクの恋人のレビュー

あらすじ

「すみれがぼくにとってどれほど大事な、かけがえのない存在であったかということが、あらためて理解できた。すみれは彼女にしかできないやりかたで、ぼくをこの世につなぎ止めていたのだ」 「旅の連れ」という皮肉な名を持つ孤独な人工衛星のように、誰もが皆それぞれの軌道を描き続ける。 この広大な世界で、かわす言葉も結ぶ約束もなくすれ違い、別れ、そしてまたふとめぐりあうスプートニクの末裔たちの物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

私の名前も。すごく高い理想を重ねられている。
いわゆる名前負けしていると周りから言われたことがある。

だけども、そんな曲(槇原敬之)を聴きながら
まだ見ぬ私のことを思って母が名付けた
この事実が美しいと感じられたから序盤でこの本が愛しくなりました。

「あなたがどれくらい魅力的か、あなた自身にもそれはわからないんじゃないかしら」
自己肯定感が低い私にはお薬のように沁みた。

「大事なのは、他人の頭で考えられた大きなことより、自分の頭で考えた小さなことだ」
正しい、正しくないも大切だけど、自分で考えることが、その物事に関係なくても自分の中の栄養になってるんだな。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しかった。
たくさんのことを語っているようで、実はなにも語っていないようで、でもやっぱり大切なことを語っている小説だと感じた。
物語としてなのか文章としてなのかはわからないけれど、心に残って離れないシーンがいくつもある。

305 本当のことを言えば、ぼくがそのときに考えていたのは、いろんな人ではなく、すみれのことだけだった。そこに存在した彼らではなく、我々でもなく、不在するすみれのことだけだった。

313 ぼくらはこうきてそれぞれに今も生き続けているのだと思った。どれだけ深く致命的に失われていても、どれほど大事なものをこの手から簒奪されていても、あるいは外側の一枚の皮膚だけを残してまったくちがった人間に変わり果ててしまっていても、ぼくらはこのように黙々と生を送っていくことができるのだ。手をのばして定められた量の時間をたぐり寄せ、そのままうしろに送っていくことができる。日常的な反復作業としてー場合によってはとても手際よく。そう考えるとぼくはひどくうつろな気持ちになった。

314 すべてのものごとはおそらく、どこか遠くの場所で前もってひそかに失われているのかもしれないとぼくは思った。すくなくともかさなり合うひとつの姿として、それらは失われるべき静かな場所を持っているのだ。ぼくらは生きながら、細い糸をたぐりよせるようにそれらの合致をひとつひとつ発見していくだけのことなのだ。ぼくは目を閉じて、そこにあった美しいものの姿をひとつでも多く思い出そうとした。それをぼくの手の中にとどめようとした。たとえそれが束の間の命しかたもてないものであったとしても。

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2025年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人と別れても、きっとその人は同じように社会を構成する歯車として、匿名的な何かとして、少なくとも社会の一員として機能し続ける。
「ぼく」はそうじゃないみたいだった。最後まで名前はわからなかった彼には、ずっと精神の核にすみれがいたし、冒頭のすみれの恋のようなドラマチックな展開で彼はすみれを失った状態から回復する(失った状態から回復する、という意味の言葉はあるかな?奪回とかだろうか?でも違うな、すみれはすみれ自身で彼にたどり着いたんだ)。
孤独は苦手だ。この本を読みおえて、顔を上げて、世界を見渡して、デジタルデバイスで人との繋がりを確認したとしても、彼とすみれに匹敵するような関係の人はいないし、そんなことはとうの昔から─と言いたかったけれど、わたしは最近このことに気づいたのだった。孤独でない状態の、幸せの味、オキシトシンの味を知っているから、余計に寂寥がわたしを襲う(ちなみに寂寥という言葉はこの本で初めて知った)。
でもきっと、わたしに足りないものなんて存在しないと信じたいけれど、わたしと人々との関係を維持したり向上させたりする努力が足りないのかもしれない。わたしは億劫になっている。人間関係の失敗が怖いのだ。原因は分からない。
ここまで来るともう感想じゃない。わたしが嫌いな人間ランキングTOP5を発表するとすれば、楽曲「ヴィラン」のコメント欄にいるポエマーとか、そういうのに近い存在だから、今のわたしは片足を突っ込んでいることになる。
この本をきっかけに、わたしを見つめて、わたしと対話して、時には夢も見ていいから、わたしの恐怖心の正体を突き止められたらいいと思う。

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2025年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱり読んでいると気持ち良いな。ちょっと面白い主人公とすみれの関係が良かったな~。夜中に電話をかけてきたり小説を持ち込むすみれに穏やかな雰囲気の僕。村上春樹はちょっとクセになる。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・こちら側の世界とあちら側の世界が物語の鍵となっている。
・最後、すみれは「何かの喉を切って」こちら側の世界に戻ってきたのだろうか。
・『海辺のカフカ』も、同じような2軸の世界の話であったし、本作も村上春樹の世界観を感じられる物語だった。

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2026年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストは夢か現実か。何となく「僕」の夢であると思ってる。
比喩表現がとても多く、もっと適切なタイミングに読んでいれば、芳醇な作品であると認識できたと思う。
この作品もまた、喪失の果てに再生があるのかもしれない。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すみれが経験した恋のように、竜巻のようにビューっと吹き抜けていくような勢いのある小説でした!異性である「ぼく」に対してのすみれは、夜中にいきなり電話をかけては取りとめのないことを語る恋愛とは無縁の関係性を築いているのに、同性の「ミュウ」に対しては性的な意味を含んだ「好き」という感情を抱いている様が、文学的に美しく描かれていました!ミュウに対して報われない恋をしてしまったすみれが「消えて」また戻って来る時は、彼女が自分の衝動的な恋に折り合いをつけられた時なのかなと思いました。

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2025年12月21日

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