あらすじ
「すみれがぼくにとってどれほど大事な、かけがえのない存在であったかということが、あらためて理解できた。すみれは彼女にしかできないやりかたで、ぼくをこの世につなぎ止めていたのだ」 「旅の連れ」という皮肉な名を持つ孤独な人工衛星のように、誰もが皆それぞれの軌道を描き続ける。 この広大な世界で、かわす言葉も結ぶ約束もなくすれ違い、別れ、そしてまたふとめぐりあうスプートニクの末裔たちの物語。
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Posted by ブクログ
はああ〜何度読んでも好きすぎる。なんて寂しくて耽美でロマンチックで優しい気持ちなれる作品なんでしょう。
2つの軌道が重なり巡り合い、また離れる。次出会った時すみれがすみれであるという、KがKであるという根拠はない。それはミュウにしてもガールフレンドにしてもそうで。
またいつか出会うでしょうね、燃え尽きない限り。仮に出会えなくてもその記憶と共に生きていける。
素敵なフレーズが散りばめられてて宇宙みたい。
Posted by ブクログ
感想を書くためにあらすじを見てやっと思い出したのだが、読んだ当初はかなりインパクトがあり今も自分の血肉になっている作品。なんだか観覧車に乗って自分の部屋を覗く場面をすごく覚えている。
Posted by ブクログ
キーパーソンの消失、海外に飛ぶ、啓示を得るみたいな流れは著者の他作品でもあるけど、この作品は中でも展開が早く、最後はすみれが戻ってくるところが良い。こちら側とあちら側の話も、生と死みたいな重いテーマよりは、今作のような性欲の有無みたいな方が自分の中では自然と馴染んだ。全体的にファンタジー要素を少し入れた現実路線の話で、「ノルウェイの森」が好きな自分には合っていた。達成されないすみれの想いやミュウの過去、僕のすみれへの慕情など絶対にくっつくことがない三者の心象描写も上手くて、恋愛小説としても新しく感じた。
Posted by ブクログ
読んでいるときは何の話なのか分からなかったけど、書いて考えてみた。
他人と分かり合えないこと。
それを乗り越えること。
色々な人と関わる中で、分かり合えないことが出てくる。私たちは分かり合えないということを知ることで、他人と本当に生きていくことができる。
ミュウは、強い人間で、一人でうまくやれる力がある。他人を必要とする経験が少なく、人との深い関わりに欠けたのかもしれない。
だからこそ、14年前の体験から、半分自分が持っていかれたまま、今も過ごしている。
すみれは、世間でいう欠陥があるのかもしれない。でも、だからこそ、僕と心で深く繋がっていたし、ミュウに激しく恋におちた。
ミュウヘの激しい恋心は、叶うことがなかった。それによって、一度はすみれの心は分断する。でも、すみれは、僕との関わりを通して、人といることの大切さを知っていたのだと思う。
だからこそ、他人と分かり合えないことを乗り越えて、こちら側の世界に戻ってこれた。
自分も、大切なことは一人で考えてきたし、一人でやっていくしかないのだと、子供の頃から思っている。この本を読んで、自分の中にあったそういう考え方を思い出した。
今でもそう持っているけど、分かり合えないから諦めるのではなくて、分かり合えないという前提で人と関わるという視点が大切なのかもしれない、と思ったりした。
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「ぼくは子供の頃からずっと一人で生きてきたようなものだった。家には両親とお姉さんがいたけど、誰のことも好きになれなかった。家族の誰とも気持ちが通じ合わなかったんだ。だからよく自分のことをもらい子じゃないかって想像したものだった。」
「学校でも親しい友だちは何人かいたけれど、心を開いて話をできる相手にはめぐり会えなかった。毎日顔を合わせれば適当に話をして、いっしょにサッカーをやっていただけだ。何か困ったことがあっても、誰かに相談なんかしなかった。そういうのが当たり前だと思っていたんだ。人間というものは、結局のところ一人で生きていくしかないものなんだって。
しかし大学生のときに、ぼくはその友だちと出会って、それからは少し違う考え方をするようになった。長い間一人でものを考えていると、結局のところ一人ぶんの考え方しかできなくなるんだということが、ぼくにもわかってきた。ひとりぼっちというのは、ときとして、ものすごくさびしいことなんだって思うようになった」
···
「それはきっと、あなたが誰かになにかを期待したりしないからなのね」と彼女は言った。
その目は深く、澄んでいた。最初に彼女に出会った夕暮れの闇のように。
「わたしはそうじゃない。でもわたしはあなたのことが好きよ、とても」
Posted by ブクログ
パッとしないんだけれど、悪くない。
私の中ではKは最後、実際にはすみれと話していないんだと思う。
それでも、すみれは完全に消えてしまったわけではない。
あちら側へ煙のように去ってしまったすみれと、こちら側に残された僕はもう会えないのかもしれない。でもそれでいい。お互いの中には確かに存在し続けている。その繋がりだけで十分なのだと思った。
【わたしはそのへんにうようよしている世間知らずのトンマな女の子たちの一人で、自意識だけが強くて、かなうわけのない夢を追いかけていただけなんだって。】
すみれはとてもかわいい
Posted by ブクログ
ギリシャの描写がよく描かれており海外に行った気分になれた
精神世界の話を書いていた
ある日突然人は変わってしまう
だけどすみれを信じて待つ主人公がすてきだなとおもった。
不思議な気持ちになる本だった。
Posted by ブクログ
こちら側とあちら側の世界。消滅。
この小説を読んで感じたテーマである。
主人公の僕はすみれという女性にいわば恋愛感情を抱いていた。しかしすみれはそうではない。
そんなすみれがたまたま親戚の結婚式会場でミュウと出会う。
すみれとミュウはギリシャの島に滞在していたところ、すみれは姿を消してしまう。
ある日の夜をきっかけに。
すみれはミュウを肉体的に求めていた。しかしミュウはそれを受け入れ難かった。
すみれは‘煙のように’消滅してしまったのだ。
それがスプートニクの恋人というタイトルにも繋がっているのだろう。
この小説を読んで、すみれは不完全であまりにも未熟な人間だが、うちなる部分にはとても成熟した人間性を感じる。
「考えてみれば、自分が知っている(と思っている)ことも、それをひとまず「知らないこと」として、文章のかたちにしてみるーそれがものを書くわたしにとっての最初のルールだった。…わたしたちがもうたっぷりと知っていると思っている物事の裏には、わたしたちが知らないことが同じくらいたくさん潜んでいるのだ。
理解というものは、つねに誤解の総体に過ぎない。…」
「知っていること」と「知らないこと」が混沌としている世界。
あちら側とこちら側の世界。
私はミュウが観覧車からみた自室の自分の姿を重ねて考えてみた。
実際それは偶像に過ぎないのかもしれないが、いわば自分を客観視することと似ているのかもしれない。
そしてその偶像は自分へ襲いかかる。
自分が選択しなかった世界線でのもう1人の自分、ではなく、同じ世界線に(ミュウの言葉を借りるのであれば鏡で隔てられた自分)存在するという考え方はとても興味深かった。