不時着する流星たち

不時着する流星たち

704円 (税込)

3pt

盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。

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不時着する流星たち のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2021年06月28日

    ぞくぞく。不穏。そわそわ。ざらり。
    もしかしたらどこかにいるかもしれない不思議な人たちのお話。実在した人をモチーフに着想された短編集。発想力に脱帽です。再読。

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    Posted by ブクログ 2019年12月12日

    面白かったです。文庫で再読しました。
    何度読んでも、このモチーフでこの物語を描くのか…と驚いてしまいます。
    カタツムリのお話がパトリシア・ハイスミスだったり、肉詰めピーマンのや文鳥のお話は最後の方にモチーフが少し出てきたり。小川さんの視点、不思議で惹かれます。
    単行本の時には恐らく読み飛ばしていた、...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年03月17日

    実在した人からイメージして書いた短編集のようです。小川洋子さんの小説は静かで穏やかな雰囲気なので、寝る前が読書タイムの私にはぴったりです。今回も毎晩1篇ずつ(たまに2編)読みました。どの話も良かったです。1番好きなのは「若草クラブ」かな。

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    Posted by ブクログ 2021年12月04日

    実在する人物や事実から着想を得た短編集。
    その周りに、光の当たらない薄暗がりに、
    いたかもしれない人たちの密やかな話。

    穏やかな筆致で歪な世界を描き出し、
    切ない幸せと残酷な喪失に心を乱される、
    The 小川ワールドの真髄という感じだし、
    世界が1冊に10個もあるうえに、
    事実が絡んでるから、
    ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年06月14日

    10篇の短編集。
    人だったり、言葉だったり、植物だったり。
    ちょっとしたそういうトコロから着想を得て紡がれたようなお話たち。
    ここからそんなお話になるのか、とか、
    そこに着想を得ていたのか、とか。
    小川さんの凄さを改めて感じる作品たち。

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    Posted by ブクログ 2020年10月13日

    たしか、フジファブリックの山内総一郎くんがおすすめしていた本だったから読んでみた。
    素敵な歌詞を書く人が好きな言葉が気になって、いつも自分から選んで読むジャンルではなかったけど…
    読んでいて不思議な気持ちになる感じで、言葉遣いが繊細で綺麗という印象の本だった。

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    Posted by ブクログ 2020年07月06日

    不時着とは
    「不時着陸」の略。航空機が、故障や燃料欠乏等のため、初めに予定しなかった場所に降りること。

    生きていくということは結構やっかいなことなので、いちいちすべてを真面目にやっていたら、とてもじゃないけど頭がおかしくなってしまう。だからわたしたちは無意識のうちに、さして重要でない約束や、どうで...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年02月02日

    十篇から成る短編集で、物語の最後に、モチーフにされた人物や事柄が短く説明されていた。
    発想や着眼点の豊富さに驚く。
    小川さんの手にかかると、いくらでも物語が生まれそう。
    物語を紡ぎ出す名手だと思った。
    おとぎ話の要素もたくさん詰まっていて、結末に驚かされる。

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    Posted by ブクログ 2019年09月18日

    素敵で不思議な雰囲気の短編集。この人の文章は語られてる内容が何であれ本当にうっとりさせられる。正直に言うと何が伝えたかった事なのか?をちゃんと理解できてないケースも多くファンというのもおこがましい気がするが、あえて言うなら言葉で語られた言葉では説明しにくいイメージそのものが伝えたい事なのかな?とも思...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年04月29日

    モチーフになった人たちを詳しく知らないからか、そこまで入ってこず。とりあえず、その人たちのことからでしょうか。

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