国内小説 - KADOKAWA - 角川文庫作品一覧
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4.0時の権力を握る左大臣家・北駒藤原家の娘の麗子は、亡き母の身分が低かったため虐げられて育った。 ある日、正妻の次女の乙姫の結婚が決まり、婚儀初夜の手伝いのため呼び出される。いつものように雑用を押し付けられる麗子だが、実は本当の目的は別で、この結婚に不満のあった乙姫が麗子を自身の身代わりに仕立て上げ、無理やり結婚させようとしていたのだ。 事情を察した麗子は言いなりにはなるまいと意を決するが――そこに現れたのは乙姫の結婚相手ではなく、まったくの別人だった。涼やかな面差しの男の正体は、没落貴族の跡取りである藤原季時。彼もまた、騙されて身代わりとしてやってきたのだ。奇しくも政略結婚の身代わりとして引き合わせられた二人は、それぞれの思惑で契りを結んだと画策するが、いつしかそこには本当の恋が芽生えていき――? そんな中、後宮内では政治の陰謀が渦巻きはじめ、麗子も駒として巻き込まれる。しかし麗子にはある秘密があった……。 人気作家・深山くのえが贈る運命の恋の物語。
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4.5「俺の嫁になれ」 見捨てられた落ちこぼれ術者は、傲岸不遜な若き当主に愛される。 契約結婚から始まる、大逆転劇。 遥か昔から、5つの柱石により外敵から護られてきた日本。 18歳の一瀬華(いちせ・はな)は、柱石を護る術者の分家に生まれたが、幼いころから優秀な双子の姉・葉月(はづき)と比べられ、虐げられ続けてきた。 ある日突然、強大な力に目覚めるも、華は静かな暮らしを望んで力を隠し、自らが作り出した式神たちと平和な高校生活を送っていた。 だが新たに本家の当主となった、傲岸不遜だが術者として強い力を持つ男・一ノ宮朔(いちのみや・さく)に見初められ、強引に結婚を迫られてしまう。 期限付きの契約嫁となった華は、様々な試練に見舞われながらも、朔の庇護下で本当の自分の姿を解放し始めて――? 「お前が幸せであるよう夫としてできるだけのことをする。だから俺のそばにいろ」 大ヒット『鬼の花嫁』のクレハが贈る、新たな和風恋愛ファンタジー!
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4.0
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4.2「死王が生まれた」大光帝国の後宮は大騒ぎになっていた。 謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で赤子の遺体が見つかったのだ。 皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明(えんめい)の目にとまったのは、 幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花(とうか)。 花のように愛らしい顔立ちでありながら、出世や野心とは無縁のぐうたら女官。 多くの女官を籠絡してきた延明にもなびきそうにない。 そんな桃花が唯一覚醒するのは、遺体を前にしたとき。彼女には、検屍術の心得があるのだ――。 後宮にうずまく数々の疑惑と謎を検屍術で解き明かす、中華後宮検屍ミステリ!
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3.3
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4.2高校1年生の坂平陸は、ある日突然クラスメイトの水村まなみと体が入れ替わってしまう。どうやら一緒にプールに落ちたことがきっかけのようだ。突然のことに驚き、戸惑いながらも入れ替わったことはお互いだけの秘密にしようと決めた2人。しかし意外やそつなく坂平陸として立ち振る舞うまなみに対し、陸はうまく水村まなみとして振る舞えず、落ち込む日々が続く。まなみの家族との距離感、今まで話したこともなかったまなみの友達との会話、部活の顧問からのセクハラ……15年間、男子として生きてきた自分が、他人の人生を背負い女性として生きること。いつか元に戻れる日を諦めきれないまま、それでも陸は高校を卒業し上京、そして結婚、出産と、水村まなみとしての人生を歩んでいくことになる――入れ替わった後の15年を圧倒的なリアリティで描く、第12回小説野性時代新人賞受賞作!!
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3.8心臓を鷲掴みにされ、魂ごと持っていかれる究極のクライムノベル! メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。
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-「愛しているよ。どんな犠牲を払っても、君だけは幸福にしてあげる」 幼い頃に母と死に別れた大学生の未砂(みさ)は、ずっと不幸続きの人生を送ってきた。 だが自分の不幸に打ちひしがれず、ひたむきに前を向いて生きてきた。 そんなある日、未砂はバイト帰りに夜の雨に打たれている、美しい男性を見かける。 思わず傘を差し伸べた未砂に、藤色の瞳を持つその青年――宝条亜樹(ほうじょう あき)は突然結婚を申し込んでくる。 亜樹は、この国の経済に大きな影響力を持つ宝条家の現当主で、未砂の不幸は、千年前にこの町・藤庭を作り治め、愛する女性に殺され祟り神となった〈藤の君〉によるものだと告げる。 彼の怨念によって、裏切った女性の血を引く未砂の一族の女は代々不幸な人生を送り、それは藤の君の末裔である宝条家の当主と結婚し、怨霊を鎮めることで一時的に解消されるという。 そして逆に、藤庭の町と宝条家は、藤の君を祀り、鎮めることで繁栄してきたと知る。 未砂は、冬至の日に行われる婚礼の儀式で、無事藤の君を鎮めるまで、という期間限定で亜樹と契約結婚することに。 だが亜樹は、未砂のことを以前から知っているようで、 「本当は神様のことなんてどうでも良い。君のことが好きだから、君を花嫁として迎えたかった」 と甘く囁いてくるが、どこか一線を引いた距離感のまま。 未砂は忘れてしまった2人の思い出を探り、彼の境遇を知る中で、きちんと向き合いたいと思い始めるが、亜樹は心にある決意を秘めていて……?
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-文芸編集者2年目の瀬名あさひは、憧れの作家・御崎禅の担当となる。映画好きで意気投合するものの、彼は実は吸血鬼であり、人外の存在が起こした事件について、警察に協力していることがわかる。捜査より新作原稿を書いてもらいたいあさひだが、警視庁から様々な事件が持ち込まれる中、御崎禅がかつては人間であったこと、そしてそこに秘められた悲しい過去を知っていく……。 「憧れの作家は人間じゃありませんでした」1巻~4巻をノンストップで楽しめる合本版! ※本作品は『憧れの作家は人間じゃありませんでした』シリーズ全4巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
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4.3亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
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4.0時は金鵄(きんし)国、第33代帝、天誠帝の御世。 都から遠く離れた隠岐野の郡の辺境の里にて、かぐやは祖父母である讃岐家の翁と媼に育てられていた。 かぐやは見た目は美しいが、幼い頃から人とは異なる力を持っており、本人も知らぬ間に夜な夜なふらりと邸を抜け出し、気付くとこの国にはびこる妖影(かげ)と呼ばれる魔物を斃していた。 その際にどこからともなく光る弓矢が現れ、髪も金色に輝くことから、気味悪がった翁と媼はかぐやを監禁し虐げながらも、彼女の美貌を見て求婚してくる貴族からの貢ぎ物で私腹を肥やしていた。 かぐやはたまに屋敷を訪ねてくる、兄と慕う錺(かざり)職人の零月に唯一心慰められていたが、ここからはどこにも行けないと諦め、心を殺して生きていた。 そんなある日、前帝の子であり、現帝からの信頼も厚い美丈夫、祇王隆勝が訪ねてくる。 隆勝は妖影を討伐する黒鳶隊の大将をしており、かぐやの異能の噂を聞いてやってきたが、翁と媼からの仕打ちを知り、仮初めの婚姻の形を取ることでかぐやを連れ出す。 かぐやは姫巫女として黒鳶隊に入れられ、中将の海祢や少将の凛といった仲間たちとも過ごす中で、次第に自分の意思を取り戻していくが、同時に厳しくも優しく自分を見守ってくれる隆勝に心惹かれていって……? 美しく、心震える異能×和風恋愛ファンタジー!
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4.3【伊坂幸太郎史上最強のエンタメ小説<殺し屋シリーズ>、『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる待望作!】 <<鳴りやまぬ驚愕と感涙の声!>> ★2020年の年間文庫ランキング4冠達成! ★2018年 本屋大賞 ノミネート作! ★第6回静岡書店大賞(小説部門) 大賞受賞作! ★フタバベストセレクション2017(フタバ図書) 第1位! 最強の殺し屋は――恐妻家。 物騒な奴がまた現れた! 物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰! 「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。 一人息子の克巳もあきれるほどだ。 兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。 引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。 こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
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4.5魔獣という外敵から、聖剣と聖女によって護られているアイクラント王国。 聖女のみが、聖剣が持つ魔獣を鎮める加護の力を行使することができるが、その感情が糧として必要となり、救国の巡礼の間に聖女は感情を喪ってしまう。 その犠牲の代わりに、無事2年間の勤めを果たせば、王族かその縁者と結婚できる栄誉が定められていた。 しかし、今代の聖女リネッタ・セリエスが婚約者として指名したのは、王族でもなんでもない伯爵家の次男坊で、いわく付きと囁かれる黒騎士クウィル。 縁談から逃れたいという打算から不釣り合いな申し出を受けたクウィルだが、美しいが、人形のように感情が読めないリネッタとの距離感に四苦八苦する。 だが、この婚約はやがて互いの運命を大きく変え、建国に秘められた忌まわしき秘密をも明らかにしていくことになって――。 想う心が世界を変える、壮大で胸を打つ西洋風ファンタジー! 第9回カクヨムWEB小説コンテスト〈ライト文芸部門〉大賞受賞作!
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4.3「ユール・ラキス、お久しぶりね。これを機に私と二年くらい婚約しましょう」「分かった。その婚約を受けましょう」 派遣社員だった八瀬咲良は、ある日友人の真砂からお願いを受ける。「異世界に行って二年後に起きる惨劇を止めて欲しい」と。『妖精姫物語』の主人公ローズィアとして新たな人生をスタートさせた咲良を待ち受けるのは、”妖精契約”の失敗により世界が破滅する未来――。一度は失敗し、気づけば二年前に死に戻ったローズィアは、何度もループする悲劇の歴史を打破するため、もっとも信頼する人物に助けを求めた。 ユール・ラキス――ローズィアの幼馴染であり、身分を偽る隣国の王子とともに、咲良はもう一度人生をやり直す。願わくは、死んでしまう運命のこの人も救えるように。 大切な人を救うためには手段を選ばない成り代わり令嬢と、彼女に振り回される不遇な青年の知られざる駆け引きと戦いが幕を開ける。 大ヒット『Unnamed Memory』の古宮九時が贈る、圧倒的に面白いループファンタジー!
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4.2転校生の白石要は、少し不思議な青年だった。背は高いが、髪はボサボサでどこを見ているかよくわからない。優等生の澪は、クラスになじめない要に気を遣ってこわごわ話しかけ徐々に距離を縮めるものの、唐突に返ってきた要のリアクションは「今日、家に行っていい?」だった――。この転校生は何かがおかしい。身の危険を感じた澪は憧れの先輩、神原一太に助けを求めるが――。学校で、会社で、団地で、身の周りにいるちょっとおかしな人。みんなの調子を狂わせるような、人の心に悪意を吹き込むような。それはひょっとしたら「闇ハラ=闇ハラスメント」かもしれない。「あの一家」が来ると、みんながおかしくなり、人が死ぬ。だから、闇は「祓わなくては」ならない――。辻村深月が満を持して解き放つ、本格長編ホラーミステリ!
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4.1東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。その夜、一人になった兼高は激しく嘔吐する。実は兼高は警視庁組対部に所属する潜入捜査官だったのだ。後継者問題をめぐり、東鞘会では血で血を洗う抗争が続いており、喜納殺害はその一環だった。兼高の最終任務は東鞘会会長である十朱の殺害。十朱は警視庁を揺るがす、ある“秘密”を握っていた。ボディガード役に抜擢された兼高は、身分が明かされた瞬間に死が迫る中、十朱への接近を図るが……。 電子書籍版限定、書き下ろし短編を収録! ※本書は2017年9月1日に配信を開始した単行本「地獄の犬たち【電子書籍限定!書き下ろし短編収録】」をレーベル変更した作品です。 (内容に変更はありませんのでご注意ください)
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4.3京都の下鴨神社近くにある親戚宅で暮らす春宮萌子(はるみや もえこ)は、平凡な高校1年生。 幼い頃は、不思議なものが視えたり、人の心の声が何でも聞こえてしまうことに苦しめられていたが、強い力を持つ美貌の幼馴染・賀茂理龍(かも りりょう)と出逢い、彼に救われた。 今は理解ある場所や友人にも恵まれ、大学生となった理龍を「生き神様」と崇め、彼を“推し活”する平和な日々を送っている。 そんな萌子の許には、ときどき「神様のいそうろう」という不思議な存在がやってくる。 彼らは、動物たちの体を借りて現世を視察しにきた神様や神使たちのことで、理龍と萌子は、彼らの困り事の解決や願いを叶える手助けをしている。 新たに萌子の許にやってきたのは、つがいのモルモットに入った神様。 けれど、2匹(2柱)は、自分たちが本当は何者で、何のために現世にやってきたのか記憶を失ってしまっていた。 さらに、「都七福神」を祀る7つの神社から、それぞれ七福神たちが消えてしまうという事件が起きて……!?
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4.0アサは文字書きの仕事にあこがれ大奥へやってきた優秀な新人女中。一方、同期のカメは仕事が不得意で先輩にいじめられてばかり。アサは彼女のお世話に追われるが、それでもカメといるときはからっぽな自分の中に何か豊かなものを感じることができるのだった。大奥では集団に染まるために、大切にしてきたものを捨てろという。自分の想いを殺すこと、それでも捨ててはいけないもの……。少女たちは悩み、そして――事件は起こる。様々な過去を背負い大奥にやってきた女中たち。大奥を舞台に繰り広げられる、彼女たちの情念がモノノ怪を生みだす――。そこに現れるのは、謎めいた薬売り。形、真、理が揃ったとき、薬売りの退魔の剣がモノノ怪を斬る!
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4.2『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ています――早見和真 長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が確かに蠢いた。――池松壮亮(俳優) 私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。――長濱ねる(タレント) 自分の奥底に隠しておきたい暗い何かをわかってくれている、という書き手がこの世に一人でもいること。そのことに救われ、気持ちが軽くなる読者は少なくはない。――窪美澄(小説家) 容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。――石井裕也(映画監督) ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。――北上次郎(書評家)(「カドブン」書評より抜粋) 八月は、血の匂いがする――。愛媛県伊予市に生まれた越智エリカは、この街から出ていきたいと強く願っていた。男は信用できない。友人や教師でさえも、エリカを前に我を失った。スナックを営む母に囚われ、蟻地獄の中でもがくエリカは、予期せず娘を授かるが……。あの夏、あの団地の一室で何が起きたのか。嫉妬と執着、まやかしの「母性」が生み出した忌まわしい事件。その果てに煌めく一筋の光を描いた「母娘」の物語。
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3.9始発出勤・深夜安行の激務をこなす小鳥遊静(たかなし・しず)は、美味しいごはんを食べることが大好き。 ただし生来の小食のせいで残してしまうことにコンプレックスがあり、外食や人前での食事が苦手。 ある日、隣室に住む大学院生・一之瀬開を助けたことから、お礼としてごはんに招かれる。 恐る恐るお呼ばれに応じた静を出迎えてくれたのは、水引模様や七宝つなぎの華やかな豆皿と、厚焼き玉子やよだれ鶏などいろとりどりの料理だった。 「好きなものを、好きなだけ食べてください」と言ってくれる開に、静はトラウマ克服のためのごはん会をお願いして……。 限界小食OL×大食い系お料理大学院生の、美味しいごはんと癒しの物語。
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4.3「日本冒険小説協会公認酒場」と銘打ったバー〈マーロウ〉のアルバイト坂本は、本好きが集まるこの店でカウンターに立つ日々を送っていた。北海道の田舎から出てきた坂本にとって、古本屋街を歩き、マーロウで文芸談義できる毎日は充実感をもたらした。一方で、酒に酔った店主・斉藤顕の横暴な言動と酔客の自分勝手な振る舞いには我慢ならない想いも抱えていた。そんなある日、ゴールデン街で放火未遂事件が起こる。親しくしている店の常連「ナベさん」は放火取り締まりのため見回りを始めるが、その矢先、何者かに殺されてしまう。坂本は犯人捜しに立ち上がるが――。ゴールデン街がもっともゴールデン街らしかった時代の、ひりひりする空気を切り取った珠玉の長編!
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3.8十年近く専業主婦だった八重樫靖羽は40路を前にして、尊敬する年上のキャリア女性から公益財団法人で働かないかと誘われ、新たな環境に思い切って飛び込むことに。しかし慣れない仕事で失敗の連続。これまで自分を中心に回っていた家庭や、その周囲にも思いがけないトラブルが巻き起こる。だが、小学校6年生の次女が「チョコレート」を自由研究のテーマにしたことから、チョコの歴史や製造工程を知って仕事や人間関係のアイデアを得たり、美味しいチョコを一緒に食べて励まされたりして、前に進もうと奮闘していく。海外のさまざまな子育て事情にも興味を持ち、合理的でフラットな考え方をもつ靖羽の目を通じて、仕事をすることで女性が抱える悩みを描きつつ、多様な価値観を描く勇気をもらえる物語。
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4.5平安時代、貧乏貴族の娘である明乃(あけの)は、ある日突然、父から「鬼になってくれ」と頼まれる。 鬼とは、宮中で高貴な人々の食事を前もって毒見するお役目である〈鬼食い〉のこと。 父の懇願と、美味しいものが食べられるという誘惑につられ承諾した明乃は、女房として内裏に出仕することに。 そして明乃には、幼い頃にお日さまの実――橘の実をくれた光の君こと晴久(はるひさ)親王に再会し、お礼を伝えたいという密かな願いがあった。 だがいざやってきた宮中では不穏な事件が続発しており、文武に秀で、怜悧だが厳格な黒ずくめの青年・黒弾正こと源蘇芳(みなもとのすおう)が内裏の「鬼」の正体を追っていた。 明乃は、貧しいがゆえに逆に研ぎ澄まされた味覚と食の知識を活かし、彼と共に事件の真相を解き明かしていくことに……!? 第10回 角川文庫キャラクター小説大賞 〈優秀賞〉&〈読者賞〉W受賞作!
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3.9もうひとつの戦後の世界。1996年、日本は南北に分断されていた。世界の半分を覆う共産国家群「ユニオン」は「エゾ」を支配下に置き、島の中央にとほうもなく高い、純白の塔を建造しつつあった。その頃、青森県の津軽半島に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は異国の大地にそびえる塔にあこがれ、飛行機で国境の津軽海峡を越え、塔まで飛んで行く計画を立てていた。しかし、浩紀が口を滑らせたせいで、クラスメイトの沢渡佐由理にばれてしまう。さいわいサユリはその飛行機、ヴェラシーラに強い関心を持ち、計画の共犯者になってくれる。浩紀たちと佐由理は、「ヴェラシーラが完成したらサユリを塔まで連れていく」と約束を交わす。ヴェラシーラが完成に近づくにつれ三人の仲も深まるが、サユリはある日、突然、浩紀たちの前から姿を消してしまう――。その約束も果たせぬまま……
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3.2いつものように殺人現場に出くわしてしまった名探偵。華麗な活躍で事件が解決したはずだったそのとき、思わぬ《伏兵》が推理を始め……?(「立体的な薮」)/異世界転生し、チート能力で無双する。誰もが夢見るシチュエーションに恵まれた「俺」だったが、最大の敵は、言葉の《イメージ》だった!(「文化が違う」)/「小説」とは何か、「書く」とは何か。創作の限界に挑む、これぞ禁断の小説爆誕!(「無小説」)/時は新法が成立し、検閲が合法化された曰本。表現の自由が脅かされる中、小説家の渦良は、《あらゆる》手を尽くして作品を書き続けるが――。(「日本最後の小説」) 本格ミステリの著者が挑んだ新境地、メタ・フィクション! あなたが知る小説の概念を覆す、驚きの5編を収録! ※電子書籍版巻末には、電子特典「夫の日記帳」を収録
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3.8だって、近道じゃありませんか。戦後まもない日本で、ブラジルまで直通の穴を掘る前代未聞の新事業が発案された。極秘事業の「広報係」となった鈴木一夫は、計画の前史を調べ、現在まで続く工事の進捗を記録していく。地球の裏の広報係との交流や、事業存続の危機を経て、ついに「穴」が開通したとの報告を受けるが……。奇想天外な発想力で多くの本読みたちを唸らせた、唯一無二のサラリーマン小説。第55回文藝賞受賞作。 この小説は、突拍子もないのに生真面目で、奇妙なのに誠実で、愛おしいけれど残酷な、私にとって忘れ難い物語でした。 村田沙耶香氏 作り込まれたリアリティーと荒唐無稽なファンタジーの狭間を行き来する異空間的小説。 ニシダ氏(ラランド)
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4.4読書を愛する神崎瀬那(かんざき せな)は高校3年生。青年実業家として活躍中の少々過保護な兄と二人暮らし中で、富裕層の子女も通う進学校である一条院学園に通っている。 幼馴染で生徒会長の翔や、服飾ブランドメーカーのご令嬢兼モデルの親友・美玲など、学校の有名人に囲まれている影響か、瀬那も“神秘的な読書女子”として密かに注目を集めているのだが、ひとまずは平和な学園生活を送っていた。 そんな瀬那の通う学校にはひときわ有名な人物がいた。国の経済にも影響を与えるような大企業グループ、一条院の総帥の孫である一条院枢(いちじょういん かなめ)。 人並外れて優れた容姿を持ち、王者のごとき雰囲気をまとう彼とは全く接点がなかったものの、ふと気付くとたびたび視線がぶつかることがある気がしていた。 だが3年生で初めて同じクラスになり、瀬那は枢となぜか急接近することに。 でも同時に、彼をめぐる厄介なトラブルにも巻き込まれることにもなって――!? 『鬼の花嫁』『結界師の一輪華』のクレハが贈る、ときめきと少し不思議な学園青春ラブストーリー!
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3.5今すぐここから逃げ出したい。でも、どこへ? 大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。 息子のお受験、最上階に住む医者一族との関係etc. タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ――。 同じタワマンに暮らすからこそ、低層階と高層階、子供の成績、学歴、年収など、他人と比較して羨むことを止められない。 世間体に翻弄されるさやかは幸せを見つけることができるのか? 文庫書き下ろし短編のほか、単行本時の特別短編も収録! ・単行本カバー裏特別短編「高杉隆の初恋」 ・単行本電子特別短編「目黒奈々子の後悔」 ・書き下ろし短編「伊地知琉晴の進路」
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-“読む楽しさ”がぎゅっと詰まったカラフルな11の物語。奇想と探究の物語作家、デビュー10周年記念作品集。植物で覆われたその家には、使う言葉の異なる4人の子どもたちがいる。言葉が通じず、わかりあえず、でも同じ家で生きざるを得ない彼らに、ある事件が起きて――(「緑の子どもたち」)。大地に突如として小さな穴が開き、そこから無数の土塊が天へ昇ってゆく“土塊昇天現象”。その現象をめぐる哲学者・物理学者・天文学者たちの戦いの記録と到達(「空へ昇る」)など。ミステリ、児童文学、幻想ホラー、掌編小説……書き下ろし『この本を盗む者は』スピンオフ短編を含む、珠玉の全11編。
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4.1父のコネで都会の信用金庫の人事部に勤める深文は、安定した仕事の中で同性の先輩ともうまく付き合い、恋人との関係も良好で満足していた。居心地いい生活、それはずっと続くと思っていたのに。ある日、1人の女性新人社員が配属されたことで、深文を取り巻くバランスがゆっくり崩されていく。そして起きた、ある小さな出来事を気掛けに深文を取り巻く世界はすっかり瓦解してしまうが……。 すべてがダメになったと思ったら、何もかも捨てて南の島へ飛んでパイナップル工場で働けばいい。決して実現しない、実現させようとも思わない妄想が自分を救ってくれることもある。中毒性があり! 山本文緒の筆致が冴えわたる、誰もが共感できる日常の物語。
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