配信予定・最新刊
作品一覧
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-日本近代建築の雄、妻木頼黄(よりなか)。幼時に幕臣の父を疫病で亡くし、維新後に天涯孤独となり、17歳で単身渡米。コーネル大学で学んだ異才は、帰国後にその力量を買われ、井上馨の「官庁集中計画」に参加。闇雲な欧化ではなく、西欧の技術を用いた江戸の再興を。そう心に誓う妻木は、大審院、日本勧業銀行、日本橋の装飾意匠他、数多くの国の礎となる建築に挑み、やがて、この国の未来を討議する場、国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくが……。彼と交わった人々の眼差しから多面的に描き出す、妻木頼黄という孤高の存在。その強く折れない矜持と信念が胸を熱くする渾身作!
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4.5「家族に挫折したら、どうすればいいんですか?」 太平洋戦争の影響が色濃くなり始めた昭和十八年。故郷の岐阜から上京し、日本女子体育専門学校で槍投げ選手として活躍していた山岡悌子は、肩を壊したのをきっかけに引退し、国民学校の代用教員となった。西東京の小金井で教師生活を始めた悌子は、幼馴染みで早稲田大学野球部のエース神代清一と結婚するつもりでいたが、恋に破れ、下宿先の家族に見守られながら生徒と向き合っていく。一方、悌子の下宿先の家主の兄である権蔵はその日暮らしを送っていたが、やがて悌子とともに、戦争で亡くなった清一の息子・清太を育てることになった。よんどころない事情で家族となった、悌子、権蔵、清太の行く末は……。
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4.7
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4.0「川というのは無慈悲なものよ。絶えず流れて一時たりとも同じ姿を見せぬのだから」(詩人・梁川星巌×妻・張紅蘭「紅蘭」)/「わしにもいつか、そねーな日が来よるかのう。日なたを歩ける日が」(長州藩士・吉田稔麿×小川亭の若女将・てい「薄ら陽」)/「死んだって、生きてるんだよ。なにひとつなくならない。あたしが、あの人を慕っていたことも、あの人があたしを何より大事にしてくれていたことも」(新選組・沖田総司×労咳病みの老女・布来「呑龍」)――。新選組の沖田総司や土方歳三、吉田松陰門下生の高杉晋作や吉田稔麿、西郷隆盛らとともに戊辰戦争へと突き進む中村半次郎……。幕末の京を駆け抜けた志士たちも喜び、哀しみ、そして誰かを愛し、愛された。激動の歴史の陰にひっそりと咲く“かけがえのない一瞬”を鮮やかに描き出す全6編を収録した短編集。
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4.7
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4.2この国の岐路を、異国にゆだねてはならぬ 開国から4年、攘夷の嵐が吹き荒れるなか、幕府に外交を司る新たな部局が設けられた。実力本位で任ぜられた奉行は破格の穎才ぞろい。そこに、鼻っ柱の強い江戸っ子の若者が出仕した。 先が見えねぇものほど、面白ぇことはねぇのだ―― 安政5年(1858年)幕府は外国局を新設した。しかし、朝廷が反対する日米修好通商条約を勅許を待たず締結したため、おさまりを知らぬ攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力という、かつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。切れ者が登庸された外国奉行も持てる力を発揮できず、薩長の不穏な動きにも翻弄されて…… お城に上がるや、前例のないお役目に東奔西走する田辺太一の成長を通して、日本の外交の曙を躍動感あふれる文章で、爽やかに描ききった傑作長編! 維新前夜、近代外交の礎を築いた幕臣たちの物語。勝海舟、水野忠徳、岩瀬忠震、小栗忠順から、渋沢栄一まで異能の幕臣たちが、海の向こうと対峙する。 2017年~18年の日経夕刊連載が、遂に単行本化!
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4.1
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ占いをテーマに大正時代を舞台にした女性特有の悩みや苦しみ、欲求を描いた7編。
女性心理の描写がうますぎて読みながら色んな感情が巡りました。たまにそれぞれのお話が繋がったりもしていてとても面白い。どのお話も重暗すぎる悩みのお話では無いところが個人的には良かったです。
・時追町のトい家
自立した女性が恋に悩み占いにハマる話。
占いにハマっていくさまがリアル。占ってもらった結果をまとめて統計しようとしてるところが桐子さんの人柄が出てて面白い。ただ、そんな男早く切ってしまえばいいのにと何度も思ってしまうくらい、桐子さんが惹かれて、縁を切れなくなった男性に一切魅力を感じなかった…
・山伏村の千里眼 -
Posted by ブクログ
第9回中央公論文芸賞
第27回柴田錬三郎賞
第8回親鸞賞
じんわりと胸が熱くなって泣きました。
木内昇さんの作品は『かたばみ』に続く2作目で、同じようにストーリーの派手さはなく、積み重ねてきた日々の尊さや人の思いなどがじっくり心に沁みてきて感動をさそうところに同じものを感じました。
心理描写が素晴らしく、家族それぞれの想いが丁寧に描かれています。特に村の暮らししか知らず、変わり映えのない毎日に鬱々とする登瀬や喜和の心情は苦しくなるくらいに伝わってきました。
そして登瀬が櫛職人としてのめり込んでいく様子や、理解して肯定してくれる父親の姿がとても素敵です。
いけ好かない印象の実幸もまた登瀬を肯定