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Posted by ブクログ
江戸を舞台にした奇譚集だが、何だか一話完結の短編で終わらせるのがもったいないような、物語の魅力をぎゅっと濃縮した7篇が収録されている。
例えばラストの「夜番」は、憑き物を見ることができるすっとぼけた感じの主人公の男と、一膳飯屋のお運びをする肝っ玉姐さんのキャラクターが印象的だ。掛け合い漫才のようなやり取りも楽しいし、どこか江戸っ子の人情を感じることができる展開もいい。この二人が様々な事件を解決していく形の連作短編にでもすれば、楽勝で一冊本ができそうなほど面白い設定なのに、惜しげもなく一本の短編でスパッと完結させているところが実に潔いと思った。
個人的には読後の切なさが際立つ「蛼橋」が一番好きだけど、どの作品も高いレベルでハズレは無い。途中までは何となく市井の人々の人情を味わう趣向なのかなと読者に思わせておいて、「幼馴染み」のようなちょっとテイストの異なる一篇をスパイスのように効かせているあたりも上手いなあと。
本作と似たような奇譚集としては戦前を舞台にした『よこまち余話』があるけど、一篇一篇の密度の濃さとバラエティの豊かさから、個人的にはこちらのほうが好みかな。
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