新選組裏表録 地虫鳴く

新選組裏表録 地虫鳴く

小説・文芸
825円 (税込)

4pt

走っても走ってもどこにもたどりつけないのか――。土方歳三や近藤勇、沖田総司ら光る才能を持つ新選組隊士がいる一方で、名も無き隊士たちがいる。独創的な思想もなく、弁舌の才も、剣の腕もない。時代の波に乗ることもできず、ただ流されていくだけの自分。陰と割り切って生きるべきなのか……。焦燥、挫折、失意、腹だたしさを抱えながら、光を求めて闇雲に走る男たちの心の葛藤、生きざまを描く。

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新選組裏表録 地虫鳴く のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    新撰組について書かれたものは多くあると思いますが、「地虫鳴く」は、阿部十郎の、実際の談話録のさわりを皮切りに、物語は始まります。阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人が語り手です。

    描かれている時期は、池田屋事件などで新撰組が有名になった後から始まっていて、鳥羽・伏見の戦いの前くらいまでなので、短い期間を、じっくり描いているという感じです。

    他のレビューを見て、「幕末の青嵐」を先に読みましたが、正解でした。この順だと、すごく自然にしっくりきます。「地虫鳴く」は、「幕末の青嵐」を読んでもなお、新撰組のことを知りたい人向けです。

    語り手3人の立場が全く異なる上、篠原視点では薩長側、尾形視点では幕府側、と、外部の人間も、たくさん登場するところもいいです。篠原、尾形は、どちらかといえば成熟した人格で、どちらも、自分なりの客観性を持っていて、静かな、確かな観察眼なので、安心して読んでいられます。

    対して、阿部は、未熟な人格。暗くて、激しく迷っています。しかしある種の純粋性もあり、共感できる部分もちゃんとあります。

    「幕末の青嵐」で、あまりいい印象のなかった伊東甲子太郎のいい面が見られたり、同じくちょっと単純すぎた近藤局長が、単純ながらも魅力的に描かれていたのも、よかったです。

    土方、斉藤は、いつも格好よく描かれてますね。沖田の病気のことは、いつも悲しい。語り手の一人、監察の尾形俊太郎と、同僚の山崎がとても好きになりました。もっと、この二人のこと書いてほしい!そして伊東の弟、三木三郎が怖っ!

    作者の木内さんの書き方、とっても好きなので、この方が、維新後、生き残った、永倉新八や斉藤一のその後を書いてくれないかなと、思えてきました。

    どの登場人物も、誇張を感じさせない、抑えた描かれ方で、とてもリアルなので、精一杯生きながらも、多くの隊士が若くして死んでしまうという歴史的事実が、本当に悲しくなってしまうんです。だから、生き残った隊士のその後に救いを求めてしまうんでしょうね。

    0
    2015年04月26日

    Posted by ブクログ

    新選組の話では当たり前の様に近藤、土方、沖田は中心人物として描かれるものだと思っていたから、本作で主人公に対局する立場として描かれているのは新鮮だった。
    後半へいくに連れ追い詰められていく主人公の心理描写に引き込まれた。
    著者の別の新選組作品には物足りなさを感じたけれど、こちらは夢中になって読み切った。

    0
    2014年10月19日

    Posted by ブクログ

    とても人間的に描かれています。
    読んでいて、端から少しずつ焼かれていくような苦しさ、切なさを覚えるような

    苛立ちや葛藤を覚えながら読みました。
    読み終わって、この人たちは形はどうであれ、生き抜いたのだなあと言う当たり前のようなことが思い浮かんだ。

    0
    2013年11月18日

    Posted by ブクログ

    歴史ではあまり語られることはない三人を中心とした新選組。
    篠原泰之進が好きなので読み始めたのですが、そのうち阿部十郎のふるまいや感情に共感してしまい、わずかな後ろめたさのようなものを持ちながら読んでいました。
    同じ作者の「幕末の青嵐」と合わせて読むと新選組が立体的に捉えられ、まるで自分がその場にいて見たかのような生々しさが味わえると思います。

    0
    2013年02月18日

    Posted by ブクログ

    新撰組の中でも、英雄的な有名どころの面々を眩しく見つめるしかないいわば凡人隊士の視点から、時代の激動を、、、というよりは心の葛藤を描いた作品。面白かった。作者は、優しい人なんだろなあと思う。
    ある程度新撰組について知っていた方がきっと読みやすい。同じ作者の「幕末の青嵐」がおすすめ。

    0
    2012年12月29日

    Posted by ブクログ

    解説にもあったけれど、新撰組の中でも「裏」や「脇」を描いた作品。
    更に、誰かひとりの隊士に主役を絞らず何人もが入れ替わり立ち替わりそれぞれの視点から描くから
    その雑多な感じが却って集団らしさを演出していて、とてもいい。

    かと言って描かれている事自体は決して「いい」などと悠長に言えない物悲しさと慌ただしさに塗れているのだけれど、
    幕末ものを読むとき、薩長土より新撰組や会津を選んでしまう。
    時代の上での勝ち負けではない何か琴線に来るものがあるんだろう。

    0
    2012年07月10日

    Posted by ブクログ

     同著者の「新選組 幕末の青嵐」と表裏を成す一冊。
     こちらは裏。

     伊東甲子太郎を中心に据え、阿部十郎、篠原泰之進、三木三郎、尾形俊太郎といった、新選組の中の名の知られぬ隊士たちの視点から、物語が書かれています。
     大志に向けて盲目的なまでに邁進する伊東や上層部に対し、さしたる意志も力も持たない彼らの劣等感や、中心からやや距離を置いて当時のものごとを観た、どこか冷めた感じが今までになく珍しく、とても面白かったです。
     伊東と三木の兄弟関係や阿部と浅野薫の友情、尾形と山崎のやりとりなどが印象に残ります。
     そして、山崎がこってこての大阪弁で常に飄々と冗談飛ばします。すごくわたしの理想の山崎でした。

     ボリューム、内外の描写、ちょっとした仕草まで、訴えかけるものがある文章は、新選組ファンならずともオススメです。
     ただ、伊東を中心に持ってきたなら、油小路の変ですっぱりと切った方が良かったかもしれません。
     最後の3人も好きなのですが、そこへ持って行くまでにちょっと糸が緩んだようになって、取って付けたような風に感じられました。

    0
    2012年02月06日

    Posted by ブクログ

    今まで読んだ新撰組小説の中で一番好きです。
    伊東さんが好きなので興味を持ったというのもあるのですがとても良かった。
    彼を支える篠原さん、阿部さん、そして弟の三木三郎から見た伊東さんの姿がただただ儚くて切ない。
    そして木内さんの書かれる斎藤さんがかっこよくて大好きです!

    0
    2011年11月19日

    Posted by ブクログ

    幕末の青嵐もそうだったけど、文章から一人一人の人間がくっきり見える、だから感情移入もできる。

    今作は新撰組のメインの人達ではなく、影で働いていた人たちにスポットが当てられてて、事件をドラマチックに書くわけではなく、その時そこにいた人間が書かれている。

    最後の最後に嬉しくなるようなエピソードとか、凄く良かった。

    0
    2026年04月11日

    Posted by ブクログ

    主人公となる3人のうち2人が伊東甲子太郎寄りなのでそちらの話が多いが、阿部と浅野の友情が切なかった。『新選組幕末の青嵐』から一貫して著者はとくに土方と沖田が好きなんだろうなあと思わせるほど彼らが魅力的に書かれているがそこが作品の魅力にもなっている。あと本作は山崎がいい。

    0
    2025年11月19日

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