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日本近代建築の雄、妻木頼黄(よりなか)。幼くして幕臣の父を疫病で亡くし、維新後に天涯孤独の身となり、17歳で単身渡米。のちにコーネル大学で学んだ異才は、帰国後にその力量を買われ、井上馨の「官庁集中計画」に参加。以来、官吏として圧倒的な才能と情熱で走り続ける妻木の胸には常に、幼い日に目にした、美しい江戸の町並みへの愛情があふれていた。闇雲に欧化するのではなく、西欧の技術を用いた江戸の再興を。そう心に誓う妻木は、大審院、広島臨時仮議院、日本勧業銀行、日本橋の装飾意匠をはじめ、数多くの国の礎となる建築に挑み続ける。やがて、数々の批判や難局を乗り越え、この国の未来を討議する場、国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくが……。外務大臣・井上馨、大工の鎗田作造、助手を務めた建築家の武田五一、妻のミナをはじめ、彼と交わった人々の眼差しから多面的に描き出す、妻木頼黄という孤高の存在。その強く折れない矜持と信念が胸を熱くする渾身作、誕生!
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年08月09日
知り合いの幼馴染ということでこの作家さんのことを知り、幕末の青嵐に続いてこの本を拝読。歴史小説は好きなジャンルということもあり、楽しく読めた。実在の人物が出ると、読んでる時の妄想がフィクション以上に捗る感じがする。木内昇さんの上手さのおかげかもしれないけど。
歴史的建造物や高いビルを愛でるのは好きだ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月31日
良かった〜!建築に詳しい訳では無いけど明治時代の近代化遺産等は見るとテンションあがるので、読んでいて楽しかった♡
妻木頼黄(つまきよりなか)という名前は知らずに読み始めたが、明治時代のものすごいエネルギーが感じられた。
天涯孤独の身で17歳で単身渡米、建築を学ぶ為、日本に戻り、工部大学校に入るが、卒...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年04月03日
明治の建築家・妻木頼黄を描いた物語。
さすが、木内さん。と唸りたくなるような、読み応えのある秀作です。
維新後、江戸から東京になり、何でもかんでも“西欧化”する風潮の中で、江戸の街並みを愛し日本の風土を踏まえた街づくりにしたいという、妻木さんの心意気が本書の随所から伝わってくるようです。
建物は、...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月04日
建築を生業としていながら近代建築の興隆期については全く無知で、教科書の知識しかなかったが、これを読んで明治時代の建築にかける人々の熱い想いが感じられて非常に面白かった。
明治の近代建築の三巨匠として、辰野金吾、片山東熊、妻木頼黄が挙げられるが、この物語は妻木にスポットを当てている。妻木は在野の建築...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月14日
妻木頼黄
つまきよりなか
Center of Rigidity 剛心
17歳で単身貨物船に乗り込んで渡米した後にコーネル大学建築科を卒業し、日本橋の建築や国会議事堂の建築のベースに携わる、信念のある日本の建築家の物語。西洋かぶれで個人のエゴが強い建築家が増えるなか、最新の技術を常に学びつつ、日本人の...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月10日
明治建築界三大巨匠の一人とされる妻木頼黄。
米独で西洋建築を修めながら和風建築にもこだわりを持ち民間に出ず官での仕事に徹し、現場や職人を重視する姿勢は、同時代人ながら辰野金吾とは対照的にも見える。
題名の「剛心」は建築用語で建物の変形に対する抵抗の中心点のこと。
周囲に左右されず自らの生き方を貫...続きを読む
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