万波を翔る

万波を翔る

2,200円 (税込)

11pt

この国の岐路を、異国にゆだねてはならぬ

開国から4年、攘夷の嵐が吹き荒れるなか、幕府に外交を司る新たな部局が設けられた。実力本位で任ぜられた奉行は破格の穎才ぞろい。そこに、鼻っ柱の強い江戸っ子の若者が出仕した。
先が見えねぇものほど、面白ぇことはねぇのだ――

安政5年(1858年)幕府は外国局を新設した。しかし、朝廷が反対する日米修好通商条約を勅許を待たず締結したため、おさまりを知らぬ攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力という、かつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。切れ者が登庸された外国奉行も持てる力を発揮できず、薩長の不穏な動きにも翻弄されて……
お城に上がるや、前例のないお役目に東奔西走する田辺太一の成長を通して、日本の外交の曙を躍動感あふれる文章で、爽やかに描ききった傑作長編!

維新前夜、近代外交の礎を築いた幕臣たちの物語。勝海舟、水野忠徳、岩瀬忠震、小栗忠順から、渋沢栄一まで異能の幕臣たちが、海の向こうと対峙する。

2017年~18年の日経夕刊連載が、遂に単行本化!

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万波を翔る のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    太平洋戦争が始まった時ペルリによって武力的に開国を迫られた我が国の、これこそ最初にして最大の苛烈極まる返答であり復讐 維新以来我ら祖先の抱いた無念の思いを、一挙にして晴すべきときが来たと喜ぶ者もいた。実に執念深いと思うが、昭和初期の人々からすれば、幕末の出来事などまだ身近だった。

     さて、その不平

    0
    2025年09月15日

    Posted by ブクログ

    読み応えあり。
    鎖国と開国、怒涛の時代だったんだろうと思う。
    歴史物でもあるので、今の日本の礎になっているんだなと当時の人達の尽力に想いを馳せながら読みました。
    主人公が己の芯を貫き仕事にあたる姿勢は尊敬する。

    0
    2024年09月29日

    Posted by ブクログ

    この人の小説はいつも深く深く、刺さる

    己の仕事の向き合い方
    向き合ってきた、見てきたことを、しかと次の世に繋ぐこと

    外国の技術ややり方を、すべてそのまま良きこととして受け入れてしまわぬこと

    外交の曙。手探りで築いてきた礎。
    いまの政府は、政治は、民のことをどれだけ本気で考えているのか

    一種盲

    0
    2024年08月16日

    Posted by ブクログ

    攘夷の嵐が吹き荒れる中、欧米列強の開港圧力が高まる幕末に外交の礎を築いた幕臣たちの物語。
    主人公田辺太一は、鼻っ柱の強い若者。長崎の海軍伝習所から江戸に戻り、新設された外国局で、いつも機嫌が悪く、皮肉屋の奉行・水野忠徳の下、横浜開港事務に関ることになる。水野や岩瀬忠震、小栗中順、渋沢栄一といった傑出

    0
    2022年11月09日

    Posted by ブクログ

    幕末期、外交と経済の側からみた政をひとりの若者の一代記をもって記してある。

    安政の大獄~戊辰戦争に至るまでの歴史を改めて読み直した。教科書などでは分からなかった幕臣たちの悩みやら、生の声も聞こえてくる。
    主人公の田辺太一も大きな波に揺さぶられたその一人。幕末という未だ且つて武士達が経験した事の無い

    0
    2022年02月26日

    Posted by ブクログ

    歴史は人の営みが重なり合って築かれるもの。物理法則のように因果律がしかと定まっている訳ではない。もちろん、負けに不思議の負け無し、などと言うように定石めいたものはあるのだろう。天の時、地の利をよくよく図り戦えば勝つ確率は高くなるのかも知れない。しかし一方で、勝ちに不思議の勝ちあり、とも言う。孫子の説

    0
    2020年02月10日

    Posted by ブクログ

    木内昇の小説の主人公はいつも内側に熱い情熱を抱え純粋ゆえに不器用にもがき、そしてそのもがきの中で自分の使命を理解していく、という表舞台には決して登場しない市井の人々が多いと思います。そこが彼女の作品に惹かれる理由かも。日経新聞連載時から本作の主人公が江戸から明治への過渡期の外交という舞台で切歯扼腕し

    0
    2019年12月03日

    Posted by ブクログ

    面白かった。幕末ものってもう出尽くした感もあったけど、なにがなにが、まだこんなにいじれる(変な表現だけど)モチーフがあるのかと、だから幕末ものってつい手が出ちゃうんだよね。他の方のレビュー見て、この主人公が実在したと知ってビックリ。大河ドラマで小栗忠順やるらしいけど、この主人公でもすごく面白くなるん

    0
    2025年09月14日

    Posted by ブクログ

    みんみん激ハマり中の木内昇さんを初読

    いやー、しかしあれよ
    4月頭は仕事が忙しくてね
    もうクタクタだったのよ
    そんな中、本を読んでも中々進まず
    日に50ページくらい読んでは、もう無理〜とバタンしてたんだがね

    脳が誤解するわけ
    だいたい読むのに時間がかかる時ってさ、正直あんまり面白くないと思ってる

    0
    2025年04月05日

    Posted by ブクログ

    幕末、外国方として勤めた田辺太一のお話。はじめ、本のボリュームに大河ものかと思ったけど、後で調べてみたらほんの10数年間のお話で…この後のお話も読んでみたいなぁ。そもそも幕末ものにはあまり興味がなかったワタクシですが、『龍馬伝』やら『晴天を衝け』を見たり『グッドバイ』を読んだりしていたせいか、分かり

    0
    2022年05月21日

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