あらすじ
「家族に挫折したら、どうすればいいんですか?」
太平洋戦争の影響が色濃くなり始めた昭和十八年。故郷の岐阜から上京し、日本女子体育専門学校で槍投げ選手として活躍していた山岡悌子は、肩を壊したのをきっかけに引退し、国民学校の代用教員となった。西東京の小金井で教師生活を始めた悌子は、幼馴染みで早稲田大学野球部のエース神代清一と結婚するつもりでいたが、恋に破れ、下宿先の家族に見守られながら生徒と向き合っていく。一方、悌子の下宿先の家主の兄である権蔵はその日暮らしを送っていたが、やがて悌子とともに、戦争で亡くなった清一の息子・清太を育てることになった。よんどころない事情で家族となった、悌子、権蔵、清太の行く末は……。
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これは良い話♡それも押し付けがましさがない!
NHK朝ドラの原作に推したい!…そうでした、朝ドラは原作がないのよね、確か。
戦争が激しくなる気配の昭和18年〜物語は始まる。
悌子(ていこ)は槍投げの選手、オリンピックを夢見るがケガで断念する。その悌子と家族の物語。
戦争中の小学生たちとの関わり。
自分が教えていたことが覆る戦後。
悌子を支える家族との絆…それは実の親とは限らない。権蔵、いいね!
昭和33年まで清々しく、それは飽きることなく550ページに綴られていた! オススメ!
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悌子のいつも本当の教育はどうすれば良いのかと悩んでいる真っ直ぐさが好きだなぁ‼️
度々心に残る場面が出てきて泣いたり笑ったり良い時間を過ごせました
Posted by ブクログ
鈴木保奈美さん曰く「読む朝ドラ」
戦中戦後の日本。市井の人々を描く。
元槍投げ選手でガタイの良い母、悌子。
ちょっと頼りないけど
優しい父、権蔵。
真っ直ぐに育った清太。
この三人を取り巻く人々が、
また個性的で優しい。
親なら誰でも
悩みながら、正解のない子育てをしていく。育て方に100%の自信なんてないけど、
子を思う気持ちさえあれば、
きっと愛情として届くはず。
我が子にも届いていたら良いな。
かたばみ、変なタイトルだと思ったけど、
読後には
「最高のタイトルじゃん!」って思った。
登場人物のみんなが
相手を思い遣り、
前向きに生きている。
それを木内昇さんが
上手く描いてくれている。
最後の野球試合のシーンなんて、
土埃が見えた気がした!
短文の連続で臨場感が半端ない!
汗の匂い、マウンドの熱気、
ひとりひとりの表情、
心の動き、全てが目の前で起こっているかのように感じられた。
ちょうど読んでいる最中に
「あの本読みました?」に木内昇さんが登場したのには興奮したなあ。
読み始める前に
「もしや、のぼる、じゃなくて、のぼり?女性?」と気になり、ググる。
それを知らずにTV見たら、さぞかしびっくりしたことだろう。
ふー。知ってて良かった。
Posted by ブクログ
戦前戦後、苦い経験をたくさん重ねて、どんどん家族の絆が強くなっていく。清太の球威を増したボールをへっぴり腰でキャッチする権蔵がいい。たまらなくいい。権蔵と秘密特訓する悌子ももちろんいい。
権蔵が清太を子ども扱いせずに大人の言葉で話しかける。わからない言葉は辞書でひけと。言葉は自分を支えることがあるからと。どんどん子煩悩になっていく権蔵に感情移入しながら読んでいった。
悌子の先輩、吉川先生の「少国民である前に、すでにひとりの立派な人間です。」という考え。あの時勢で何人の教師がもっていたんだろう。終戦前は政府の、終戦後はGHQの言いなりになった教頭のような大人が多かったにちがいない。「黙って従っていた人も戦犯なのよ。」という加恵先生の一言は強烈だ。
悌子先生で一番好きな場面は、子どもたちと空を見上げながら、本当になりたい自分を語り合う場面。後で大目玉をくらうけど、そんなおおらかさが彼女の魅力。
時代が悲劇を生んだ。でも、その中でも、温かい人間関係が育まれ、人と人が結びついていく。もう一度読みたくなる長編小説だった。
ありがとうございます、木内昇さん。
Posted by ブクログ
ぜひともNHKの朝ドラにしてほしい。
キャストは誰がいいかなと考えるのだが、どうにも主人公・山岡悌子のイメージの女優さんを思いつかない。いや、松下由樹さんがピッタリだと思うのだが、少し年齢が合わないか。他にガタイのいい女優さん、いたっけ?
演技ができれば、オリンピック選手の北口榛花さんがいいかもな。
第二次世界大戦前後の混乱の中の話。
後から考えると、主人公・悌子は、意志の強いしっかり者のようでいて、大事な決めごとを決める時には流れに身を任せていることに気づく。この時代においては仕方ないというか、大方の人がそうせざるを得なかったのかもしれない。
それでも悌子は良い人に囲まれていて、いろいろな困難を悩みながらも乗り越えていく姿が温かく描かれている。
血のつながらない子供を育てるのも、周りのバックアップがあればこそ。
こんなに温かい人々ばかりなら、あんな悲惨な戦争を起こすことはないだろうにと思うけれど、日本が戦争することを選んでしまうことになるにはまた、そう単純ではない人間に潜む恐ろしい何かがあるのかもしれない。
悌子の養子・清太の育った環境は、子どもが育つのにとてもいいなあと思った。食堂を切り盛りする夫婦と子供、その夫婦の母親たち、総勢6名と共に暮らす悌子夫婦と清太。皆で一緒に囲む食事。子ども同士の交流はもちろん、いろいろな立場の大人がいて、さまざまな考え方を知ることができる。助けてもらうことも、叱られることも、慰められることも。
今の核家族では味わえない人間関係だけど、子どもたちにはあった方がよいのではないかな?
清太のお祖母ちゃんの言葉が心に残る。
「清太は、想像することを手放しちゃいけないよ。人の奥にあるものまで見る力を、大事にしてちょうだいね」
自己主張ばかりする人が多くなってきたこの頃。
相手を思いやることの大切さを思い出さないとね。
Posted by ブクログ
朝ドラを感じさせる小説だった。そして第二次世界大戦前後を生きる人々の話でもあるため、夏に読むのにぴったりな作品でもあった。クスッと笑え、泣けて、心がじんわりあたたまる。そんなとってもいい作品。色んな人におすすめしたくなった。
Posted by ブクログ
太平洋戦争の前から、戦後にかけての一つの家族の物語。分厚かったけど、スっと読めて面白かったです。
登場する人物それぞれが戦争に翻弄されながらも、あまり悲惨さを前面に出さずに、築かれてきた絆の深さと人間としての成長を感じられてホッコリしました。
Posted by ブクログ
面白かった〜!
「登場人物みんな良い人」みたいな小説好きじゃないけど、これはみんな良い人でみんな好き。特に権蔵と茂生が好き。
戦争の時代って、ほんとコロナ禍と一緒だなと思いながら読んだ。コロナの時に感じていたこと、抱いていた不信感。
共感出来る部分が沢山あった。
戦争から一体何を学んだのかな?同じことを繰り返しているんだな。
朝ドラになってほしいけど、NHK好きじゃないしな。
ちなみに悌子は浜口京子、権蔵は佐藤健で脳内キャスティングされた。
Posted by ブクログ
良い本だったなあとしみじみ振り返っている。人と人との縁、家族の形、主人公、悌子の誠実さや権蔵、清太の真っすぐさに感動しっぱなし。心が温かくなる読書時間になりました。
※何があっても夫の悪口は言わないのが信条。子どもが人生の途中でくじけそうになった時、どうせ自分はしょうもない人間の子だからと、あっさり崩れていく。
※期待はあらゆる苦悩のもと(シェイクスピアの言葉)
※苦労があっても少し離れたところから自分を観察してみると案外面白いことが見えてくる。
Posted by ブクログ
ちょうど朝ドラあんぱんも見ていて、脳内で描きやすかったです。
戦争がいかに人間を愚かにさせたか、その中でも悩みながらそれに流されない人もいた。
色んな人の生活と心が描かれてきて、とても勉強になるじんわりと心にくる本でした。
実写化のぞみます!(脳内では江口のりこさん、高良健吾さんでした笑)
Posted by ブクログ
戦争に翻弄されたある家族の物語。分厚さの割にグッと引き込まれて一気読み。出てくる人全員キャラが立ってて読後感もスッキリ。良質な朝ドラ一本観たみたいだったー。
Posted by ブクログ
分厚くて読むのに時間がかかってしまったが、とても面白かった。
市井の人たちが戦争などによってそれぞれ苦難を経験し、それを乗り越えようとたくましく生きていく姿がいきいきと描かれる。登場人物はそれぞれ苦悩を抱えていて、読者は誰かに感情移入してしまうのではないかなあ。自分の場合は権蔵。
Posted by ブクログ
朝ドラにして欲しい、素晴らしい物語。
戦中戦後を舞台とした、心温まる家族のお話。
親とは何なのか、男とは何なのか、考えさせられます。
随所に出てくるユーモラスな表現にもクスリとさせられます。
是非読んでいただきたい一冊です。
Posted by ブクログ
戦前、戦中、戦後を力強く生き抜いた女性教師と家族の物語。みなさんのレビューにあるように、朝ドラのような、胸が温かくなる物語だった。
悌子の明るさにも元気づけられるけど、権蔵がとにかくカッコいい。こんなふうに息子と向き合う父親でありたい。
#読書好きな人と繋がりたい
Posted by ブクログ
深く感動した。物凄く良かった。
スポーツに挫折した女性の物語のようで、先生と生徒の物語のようで、戦争という恐ろしいものに振り回される人たちの物語のようで、苦しい時代にも助け合い希望を見出す物語のようで、家族の物語のようで、でも私は権蔵さんの成長物語だと感じました。
特に素晴らしいのは、随所に名言が出てくる点。もう本当に沢山良い言葉が出てきます。ハッとさせられますし、ときどき感動で目頭が熱くなります。
特に子育て世代の方々は真っすぐに射抜かれるかと。
人生との向き合い方というか、在り方のヒントを貰いました。
良書。
Posted by ブクログ
悌子先生、権蔵、茂生、ケイ婆さん。出てくる人たちがみんないい。
戦争を経ながらやりたい事を探して一生懸命生きていたんだな。
権蔵の不器用だけどまっすぐな優しさに癒され、悌子の怪力に笑えた日々でした。
清太は大丈夫。立派な大人になるのは間違いない。題を「かたばみ」にしたセンス。中津川家の益々の繁栄を願っております。
Posted by ブクログ
悌子の槍投げから始まる長い長い家族ドラマを読んでるようで、戦中戦後の厳しさや哀しみや犠牲に涙しながらも面白く有意義な読書時間だった。小国民として生きる子供たちが不憫でならない。それでも、悌子の明るさや逞しさやひたむきな心に救われたし、身体面も生活面も頼りない権蔵が清太を前にどんどん変わっていく姿、説く言葉が胸を打つこの家族の物語を読めてよかった。夢を持ち好きなことに打ち込めるって幸せなことなんだとつくづく思う。最初はわからなかったタイトルの意味を知るととても深い。心があったかくなる家族愛の物語に感涙。
Posted by ブクログ
上質なホームドラマを見終わったような満足感。
途中、何度も笑って、何度も泣いた。
登場人物がみんな好ましい。
誰だって思い通りの人間じゃないし、挫折を乗り越えてる。
そして、子どもはみんなで育てた方がいいな。羨ましいな。
自分的には六助さんが推しだな。ちょい役のようで、妙な存在感。かっこいい。
Posted by ブクログ
まるでテレビの連続ドラマを見ているようでした。
戦中から戦後にかけての時代、やりたい事も満足な生活もできない中でも育まれる家族
苦しい中でも生き抜く登場人物たちは、どれも人間臭く魅力的
題名でもある「かたばみ」の花言葉
『母の優しさ』『輝く心』
まさにタイトル通りの内容でした
Posted by ブクログ
見事に砕かれた幼なじみへの恋心。
そこから立ち直るだけでも大変なのに、
戦死した彼の息子を引き取り、我が子として育てる。
周りの人の助けや、夫の理解があり成立した家族。
何度も泣きそうになりましたが最後まで感動できた良い作品だとおもいます。
Posted by ブクログ
山岡悌子さんは、小学校の先生をしている。なりたくてなったわけではないが、とても良い先生だ。悌子さんの純粋で優しい人柄がとても良い。夫である権蔵さんは放送作家。のらりくらりと真面目なんだか投げやりなんだかよく分からない性格で、面白い。養子である清太は実の親である清一にそっくりで、野球が上手い。
戦後の個性的な家族のお話でした
Posted by ブクログ
いつもながら登場人物の設定や時代背景がちゃんと描かれていて安心して読めた。この登場人物、この話の流れで絶対悪い結末にならないという安心感もあった。長いししんどいシーンもあるけど、気持ちが疲れた時にやさしく寄り添うような読後感。
戦後が舞台だが、悌子と周りの人達が、自分らしく生きるために女性も働くことを是とし、「分担」という大仰な言葉なしに自然に家事育児を手分けしているのも良かった。
悌子や権蔵は序盤の際立った個性が、清太を引き取ってからだんだんなくなって、権蔵に至っては頼りないキャラだったのにいつのまにか声なき声を代弁するポジションに収まって(体力ないのにそんなに仕事できる??)ちょっと綺麗な流れすぎるかなという気も。
Posted by ブクログ
オススメされてずっと読んでみたかったこの本
BOOKOFFのセールで発見して目にした瞬間抱えていました笑
朝ドラみたいだよ!
と言われて、読み進むにつれて
まさに朝ドラだなぁ
と、そう思いながら読んだこの本
血の繋がらない人が、少しずつ家族になっていくこの物語
戦争で思想や生活が変えられて、子どもたちが一番振り回されていたあの時代
今の時代が何の問題もなく、不自由することもないとは全く思えないけれども
戦後80年を迎えたこの年にこの本を読めたことは大事にしたいと思います
Posted by ブクログ
ちょっと色々あってイマイチな気分での年明けだった。
まあ読書でもするかと元旦に読み始めた。
厚いだけで大して期待していなかったが、グイグイ引き込まれる。
笑えたり泣けたり憤ったり、落ち込んでいた気持ちが上向きになれる物語。
幸せな読書だったと言える一冊。
今年の読書スタートがこの本で良かった。
作品紹介・あらすじ
「家族に挫折したら、どうすればいいんですか?」
太平洋戦争直前、故郷の岐阜から上京し、日本女子体育専門学校で槍投げ選手として活躍していた山岡悌子は、肩を壊したのをきっかけに引退し、国民学校の代用教員となった。西東京の小金井で教師生活を始めた悌子は、幼馴染みで早稲田大学野球部のエース神代清一と結婚するつもりでいたが、恋に破れ、下宿先の家族に見守られながら生徒と向き合っていく。やがて、女性の生き方もままならない戦後の混乱と高度成長期の中、よんどころない事情で家族を持った悌子の行く末は……。
新聞連載時から大反響! 感動という言葉では足りない、2023年を代表する傑作の誕生
「気がつくと頭の中で物語が映像化されている。登場人物たちと共に生活を営んでいるように思えてくる。見事な描写力である。「血縁が家族を作るのではない。人間は善なのだ」……作者のそんなつぶやきが聞こえてきそうな、心温まる傑作」 ――作家・小池真理子
Posted by ブクログ
悌子と権蔵、不思議な縁で繋がり、家族となり、親、兄弟、息子、とにかく家族が家族として固まって行く感じがとても良かった。
結婚は恋愛結婚という固定観念があったけど、案外戦中戦後の見合い結婚とかでも幸せになった人もいただろうし、縁ってあると思う。
男女の愛情だけでなく、人が人を尊敬したり、大切だと思う気持ちはいろいろ。
親子も血のつながりはもちろん一つの大事なつながりだけど、本当の親でも子を愛せない場合もあれば、血は関係なく、固い絆で結ばれている親子もいる。
また戦争の理不尽さも改めて考えるよい本だった。
Posted by ブクログ
戦時、戦後という大変な時代を生きた人たちが前向きに生きていく姿が美しい
ひどい体験をしたからこそ、あたりまえをあたりまえと思わず、日々の小さなことにも感謝できる、幸せを感じられる
夫婦のかたち、親子のかたち、家族のかたちもいろいろな時代
権蔵がとてもいい
人はどこまでいっても不完全で未熟。ただ一所懸命生きている正直な姿を子どもたちに見せる。
自分の子どもが本当に好きなものを見つけて、夢中になってそれに打ち込んでいるのを見ることほど幸せなことはない。
挫折は弔い事と捉えがちだが、もしかするとお前はそっちじゃないよという天からの差配かもしれない。挫折は正しい扉を開くための尊いきっかけ。
戦前から戦中・戦後と元槍投げ選手の小学校教員が、時代に翻弄されながら誠実に生きていこうとする話です。
1945年以降、軍事と基本的に関りがなかった日本は幸せな時代であったと思います。きな臭い世の中となりつつある中で、二度と戦争をしてはいけないと考えさせられます。