あらすじ
【中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・親鸞賞受賞作!】幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは……。文学賞3冠の傑作!
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鈴木結生 小説が生まれるまで講演会行ってきました。引用がキーワードで登場人物を色で分けて筆もその色で書く 中学で本を読み終えたととか大学一年で卒論書き上げて小説を書き始める現在大学院でシェークスピアの研究するとか 楽しかった 恐るべし24歳
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途中から、止まらなくなった
それぞれの人生の道程と、掛け違いや和合が、多くの言葉の積み重ねで紡ぎ出されている。
途中からバラバラになった家族の拍子が、相容れないと思っていた夫の拍子とそろっていって収束する。
喜和が切ないなぁ
登勢が訪ねた時に世話を焼くところとか、やっぱり姉妹で母だよね…と
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はい木内昇さん3作目は『櫛引道守』です
またしても幕末が舞台です
と、その前に…本作は第8回親鸞賞受賞作とのことです
Σ(゚Д゚)
なんや!親鸞賞て!そんなんあったんか!と気になってちょっと調べてみました
親鸞を記念した一般財団法人本願寺文化興隆財団主催の文学賞
日本人の精神文化(宗教、思想、倫理等)に根ざしたフィクション文学(詩歌、句、戯曲、小説)の最も優れた作品に与えられる
過去にはあの瀬戸内寂聴さんが選考委員を務めていたことも
って寂聴さん宗派違うけど良かったんか?!さすが親鸞聖人懐深いな
(親鸞は浄土真宗、寂聴さんは天台宗)
しかしそんな文学賞があったなんてぜんぜん知らんかった
世界は広いわw
じゃ幕末の話に戻ります
まぁ動乱の時代ですやね
そしてもうどうやらたまたま3作幕末が続いたわけでなく、木内昇さん幕末得意みたいなんよねやっぱり
でね本作もこうなんていうか幕末〜って感じの物語なのね(どんなやねん)
いわゆる幕末のあれやこれやとは直接関係のない舞台ではあるんだけど
話の中身がこう、ぐちゃぐちゃっとしてなんか色々不穏な感じもしつつそこから何か新しいもの見えて来そうな世界が広がりそうな、だけど伝統を大事にしたいというのもありっていう
色んなものが綯い交ぜになる感じね
考えるのは伝えたいことがあってそれを得意な幕末という世界観に当てはめていったのか、幕末っていう時代を想う中からこの物語が生まれのかっていうことなんよ
俗に言う「たまごが先か、コロンブスが先か」ってやつ(綯い交ぜなっとるがな!)
わいは幕末が後からついてきたんではないかなって思うんよな
描きたかったのは幕末じゃなくて、たとえいつの時代であっても(もちろん現代でも)心に芯を持つってことてあれ?なんか前にも同じこと書いたぞ?
むむむ、もしかして木内昇さんの生涯のテーマを読み取ってしまったか?こりゃあどんどん読んで確かめなあきまへんで!
追記:あれ?前にどっかで親鸞賞調べた気もしてきたw
じゃなきゃこんなにすっと寂聴さんが違う宗派って出てこないよな〜
まっいっか(いいなら追記すな!)
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主人公が拍子を取りながら歩く所から始まり、最後も同じように拍子を取っている。櫛のことしか見えていなかった幼少期から、様々な経験を経て、櫛引として成長していく所が印象深かった。
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初めての木内昇さんの作品。なんと静謐な文章でしょう。読後、じんわりと世界観に浸ってしまいました。
物語は、幕末の木曽路薮原宿。木曽路では奈良井宿が有名ですが、奈良井宿の隣の「お六櫛」の生産で有名な宿です。主人公はそのお六櫛を代々作る家に生まれた少女の登瀬。登瀬の父は神業の技術を持つ、超寡黙な櫛引職人。でも、その技を引き継ぐのは男子のみ。木曽路の山中で、ずっと男子が継いできた技なのです。
が、登瀬は女でありながら、父の神業の技術を継ぎたいと精進を重ねていく話です。
当然、周囲の村人はもちろん、家族の母も妹からも理解を得ることは難しい。そんな中で、父ちゃんが寡黙な中で登瀬を守るんです。もう父ちゃんに惚れちゃいます。
信州は山に囲まれた土地ですから、変化よりも踏襲を重んじて、技を受け継がれ、次に受け継いで「お六櫛」を守ってきた。そんな中に、変化の波を投じるのが、登瀬の夫となる天才櫛引。そして、変化は外にも。幕末の時代に黒船が来て、混乱の時代に突入します。
木内さん、掛け合わせがうまいですよね。
最後に、変化を望む夫に心を開けなかった登瀬が、あることをきっかけに夫の心情を慮れるようになって小説は終わります。これが、また泣ける。
とてもいい小説でした。
次は「かたばみ」を読む予定です。
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第9回中央公論文芸賞
第27回柴田錬三郎賞
第8回親鸞賞
じんわりと胸が熱くなって泣きました。
木内昇さんの作品は『かたばみ』に続く2作目で、同じようにストーリーの派手さはなく、積み重ねてきた日々の尊さや人の思いなどがじっくり心に沁みてきて感動をさそうところに同じものを感じました。
心理描写が素晴らしく、家族それぞれの想いが丁寧に描かれています。特に村の暮らししか知らず、変わり映えのない毎日に鬱々とする登瀬や喜和の心情は苦しくなるくらいに伝わってきました。
そして登瀬が櫛職人としてのめり込んでいく様子や、理解して肯定してくれる父親の姿がとても素敵です。
いけ好かない印象の実幸もまた登瀬を肯定する一人なんだろうな。
櫛を挽く拍子の心地よい音が聞こえてきそうです。
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木内昇(きうちのぼり)さんの『櫛挽道守(くしひきちもり)』です。『かたばみ』に次ぐ2冊目に選んだのが本書。大正解でした!
なるほど10年前の、中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・親鸞賞の3冠作品なんですね。『かたばみ』の原点を見る感覚になったのは私だけでしょうか?
時は幕末の動乱期。物語の舞台は木曽薮原宿。主人公の少女・登瀬の16歳から33歳までが、丁寧に描かれています。彼女の闘いは、翻弄される時代の荒波だけではなく、周囲の無理解もありました。
物語の肝は、登瀬の父が神業と称えられる櫛挽職人、この櫛挽に魅入られたのが登瀬です。
そうなんです。お父さん、いい味出してるんです。実に寡黙で愚直なんです。ザ・職人! そんで、味噌を舐めながら酒を呑むんです(そこ?)。
本当は、♪お酒はぬるめの燗、肴はあぶったイカでいい♪んです。でも『舟唄』ではなくて「木曾路はすべて山の中である。」(藤村かよ!)なんです。
櫛挽(くしひき)は櫛作り職人。そして道守(ちもり)は道を守る者。職人の技、心とは? 家族とは? 女の幸せとは? そこに通じる道とは? 直向きに歩いた道の先に見えたものは‥‥あぁ、お見事です! 書けません。読むしかありません!
父・母・登瀬・妹・弟‥、それぞれの願いが時代の空気感と共に甦り、胸に迫ります。そして、生身の人間が辿った家族の喜びと苦難の歴史が、著者の秀でた筆致で鮮やかに切り取られ、読み手に伝わります。静かで深い感動が広がる傑作でした。
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akikobbさんにおすすめいただき、木内昇さん初読み。
派手ではないが滋味溢れる作品で、読み終わった後よかった…と深い余韻を感じた。
結構辛い出来事も多く、全てがハッピーエンドなわけではないのに、それも人生、と静かに肯定する強さのある作品だと思った。
普段あまり読まない時代小説ではあるものの読みやすく、度々ぐっときながら一気読み。
父が縁談を断り、登瀬の「櫛を挽きたい」という思いが溢れ出す場面、ラストの父の「われやん夫婦の拍子はとてもええ」の言葉に特に心動かされた。寡黙な男に弱いのかもしれない。
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江戸時代に比べて、現代は女性の生き方が多様化し、良い時代になったのだと痛感しました。己の信念を突き通した登瀬を始め、それぞれの登場人物が様々なものを背負っていて、物語に深みを与えていました。己の運命を仕方ないと受け入れた母、己の技で運命に抗う夫、結局女というしがらみに囚われる妹、でもそれぞれの生き方に幸せがあるのかなと。
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お六櫛を挽く職人の娘とした生まれた登瀬が名人である父の技に惚れ込み、ひたすら櫛挽に打ち込んでいく姿を中心に、若くして死んだ跡取り息子だった弟が書いていた絵巻、その弟と親しくしていた出自の卑しい源次、自分に対抗意識を燃やして早くに嫁いでいったあまり幸せではない妹、櫛挽の才能を見せつけ婿にと一家に入ってきた実幸との心通わない生活などが語られる。不器用だし、考え方もやや硬直しているが、ひたむきな登瀬に心打たれる。
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幕末時代の小さな山村での話。当時の村々は家族のつながりが強く、男子は親の仕事と家を継ぎ、女子は嫁いで家を離れる。そんな繰り返しが当たり前だった。
何代にも渡って櫛づくりの技術を守り続けながら、生計を立てていた家で長女として生まれたトセ。彼女は女でありながら、家の中でひたすら櫛づくりに打ち込む父の姿にあこがれを持っていた。そして、父の技を受け継ぐはずだった弟の死がトセと一家の運命を大きく変えていく。
名もなき人々の日常や苦悩を描きながら、生前の弟の行動や訳アリな弟子入り志願者の登場など、ミステリー要素も盛り込まれる。さらに幕末の激しい社会のうねりがトセたちを翻弄する。
そんな変化がもたらされる一方、変わらないのは櫛づくりに励む職人の姿とリズミカルな作業の音。世の中がどうであろうと、良い櫛を作ることがトセたちの生きる道だ。
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「くしひきちもり」そうそう、これがあった!
いいに決まっているので、とっておいたのです。と思って読んだのがもう2年前。
今さらですが~おすすめなので、ご紹介しましょう。
幕末の中山道、宿場町。
木曽山中で、一心に櫛を作る名人の父親を手伝う娘の登勢。
父の腕に憧れ、あとを継ぎたいと願いますが、娘には他所へ嫁ぐ縁談が来るだけ。
外の世界へ出るのが夢の妹、周りを気にする母親、才能ある優しい弟。
やがて訪れる、いくつかの別れ。
弟の友人は、幕末の空気を吸って、村を出ていきます。
父の腕を慕って弟子入りしてきた男とは、登勢は気が合わないが…?
神業と言われる父親の仕事ぶり、一生懸命ついて行こうとする娘はやがて弟子となっていく。
時代に取り残されたような暮らしでも、思わぬ揺れ動きがふいに起こる生々しさ。
地道な生活感と、真剣な緊迫感。
なんでこんなにいいんだろう?と感嘆します。
こちらの表現力が間に合わないけれど~
すべて目に浮かぶようで、味わい深い。読みごたえがありました。
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時代は幕末、女性の櫛挽職人である登瀬の物語。
時代物で櫛を題材にしている地味な内容かなと思って読み始めたけど、いい意味で期待を裏切られました!心に響く傑作。読み応えがあり、展開も面白く引き込まれ、色んな意味で深い物語でした。
江戸時代の木曽山中、中山道沿いの宿場町藪原に伝わる梳櫛「お六櫛」。父吾助は神業を持つ職人。その父を尊敬し、技を継承したいと願う登瀬。でも女は嫁いで子をなすことが当たり前とされていた時代に、女が職人になりたいと思ったところで道は険しい。登瀬の櫛作りにかけた一途な半生。そして家族の物語でもある。弟が急逝したことでバランスが崩れた一家の母や妹の思い。それでも登瀬には常に櫛に対する情熱が芯にあり、それが彼女を支え続けた気がする。無口で卓越した技を持つ父、弟の残した絵草紙、幼馴染の源次、弟子入りしてきた実幸、それぞれの思いが交錯して、最後にこう繋がるのかと胸が震えました。希望の持てる終わり方で読後感が非常に良いです。
幕末の激動の時代、登瀬は藪原から一歩も出ることもなく櫛と向き合い続けるけど、時代の流れは登瀬の人生にも影響を与えていきます。私としては日本史の勉強をしたからわかる部分も多くあった。歴史ものも面白いな。
そして登瀬は根っからの職人なんだなぁと思った。ここまでひとつのことに情熱を傾け、信念を曲げずに精進していける登瀬の生きざまに心揺さぶられました。道は険しくてもこんな風にのめりこめることに出会えた登瀬をうらやましく思ったりもしました。読んで良かったと思える物語でした。
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初めて読む作家さん
てっきり名前から男性だと思ってました。女性だと知って女心というか、まだこの時代、女性は子を産み家を守るのが当たり前の時代に頑なに自分の志を曲げない登瀬の心理描写が丁寧で、女性作家さんならではと感服。
他の作品も必ず読みます
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タイトル「櫛挽道守」と書いて「くしひきちもり」と読む本作。幕末を舞台に、櫛職人を父に持つ主人公登瀬が、限られた自由の中で懸命に自身の生き方を模索する姿を丁寧に描いた作品です。
時代としてはペリーが浦賀に来航したあたりからになるので、日本史の一大転換期ともいえる頃にあたるのですが、源次を除いて登場人物の多くは不穏さを増す社会情勢から一歩引いたところで日々の生活を営んでおり、よくある波乱万丈の展開があるわけではないです。なので筋だけ読むと正直地味な小説の部類に含まれてしまうのですが、逆にそういった喧騒からの適度な距離感が、登瀬の素朴で純粋な姿を引き立たせているように感じられました。
実は私、読んでいる間は非合理な登瀬の考え方よりも、合理的で実利を重んじる実幸の考え方のほうに共感していたのですが、終盤で実幸が藪原に来た真意を知るに至り、彼の根っこの想いは登瀬と同じ類のものであり、さらに言うと彼自身が合理主義に侵された現代の読者の思考を映しだす合わせ鏡のような存在だったと考えるに至りました。よくよく考えると一見非合理に思える事や異端なものに対して寛容でない姿勢は、現代でもあまり変わらないように思われ、深読みしすぎかもしれませんが、時代小説の外見をまとった現代社会批評であるようにも感じられたのでした。
なお、上記は本作の魅力のほんの一端にすぎません。主人公の父、母、妹、早世した弟、そして源次と、登場人物それぞれの思いが交錯する様は、幸せとは何か、家族とは何かを深く考えさせてくれます。その詳細はぜひ読んで確かめていただければと思います。
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なんでこの人のかく話はこんなに心揺さぶられるんだろう
時代も価値観も今と全く異なるようで
でもどこか根底にあるような
一番揺れ動く、揺さぶられる時代を
なんでここまで鮮やかに描けるのか
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時は幕末、木曽路藪原宿で名産のお六櫛を作る一家。長男の死を契機に狂った家の「拍子」を取り戻すまでの長い道のりを描く小説。ということなのだがイマイチ主人公たる長女登瀬の気持ちが理解しにくい。というか家族みなわがまま過ぎのような。まあ最後はうまく収まるように書いているのだが、やや強引にも感じられる。
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よこまち余話が面白かったので読んでみた。女性の人格がない頃に地味に頑張った女性の話。読んでいて悲しくて悔しくなる。主人公は本当によく頑張ったと思いました
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同時期に執筆されたという「光炎の人」が物語・人物造形共に素晴らしかったので、時代も舞台も異なるけどある意味で仕事小説という共通の枠組みを持った本作に高い期待を持って読んだ。
予定調和でなく読者を引き回してくれるストーリーテリングの巧みさは相変わらず素晴らしい。作者の真骨頂は、時に憎たらしく、イライラさせられ、きらいになってしまいそうになる人物造形だろう。
時代の動きと主人公の生き方や仕事の変化みたいなものが「光炎の人」ほど強く感じられなかったところが少し残念だったが、傑作には変わりないだろう。4.0
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この時代(幕末の木曽街道)に
「一人の職人」として生きることを
貫いた一人の女性が描かれる
少し前に観た
16世紀のベネチアを舞台とする
実在した高級娼婦「ベロニカ」をモデルとした映画の
主人公に重ね合わせてしまった
もちろん
時代も、お国柄も、設定も
なにもかも違うのだけれど
一人の女性が一人の人間として
生きていくことを選んだがゆえに
その当時の社会通念と闘うことになり
その当時としては革新的な生き方に
なってしまうという共通点に
思えてしまった
もし映画で撮るなら
モノクロの映像で
今村昌平監督タッチが似合うのでしょう
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第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞、第8回親鸞賞を受賞作 評価の高い本がやっと来たので、読みかけのものを置いて読んでみた。
まず作者が女性と言うのを知った。
作品は、女性の生き方が主なストーリーになっている。
中仙道、木曽の山中にある藪原宿の集落が舞台。名人といわれる櫛挽職人の父を持つお登瀬の、櫛作りにかけた一途な半生が感動的に描かれている。
女の人生のが、より不自由に決められ、それに縛られていた幕末の頃、世間並みの生き方を捨ててでも、尊敬する父親の背を見て、櫛引の技を極めるために生ていくお登瀬の成長物語になっている。
頼みの弟が早逝し、て家族の絆が破綻してくる。そんな中で、お登瀬は年頃になって、世話人が持ってきた条件のいい結婚も断り、人々から阻害され始める。
無骨な父親に弟子入りを志願してきた若者とともに、家業を継いで、櫛挽きの技を受け継いでいく。
激動の時代を背景に、人の往来からわずかな文化が入り込んでくるような集落で、村の行事や風物を織りこみ、お登瀬の人生が、爽やかに力強く描かれている。
自分で作った物語を絵にしてひそかに売っていた弟。窮屈な暮らしから逃げ出したが、やはり逃げ切れなかった妹、名人の技を慕ってきた弟子、出自を嫌って動いていく時代に飲み込まれた弟の幼馴染。
登場人物も夫々面白くお登瀬に絡んでいく。
読みやすいが力のこもった作品だった。
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生涯をかけて櫛を挽く、そのひとたち。櫛挽の板ノ間に響く、静かで穏やかな拍子に耳を傾けてみたい。
父の背中を追って、女なのにと言われながら櫛挽職人を目指す登瀬。同じ場所に居続けながら、居場所としてのそこ、の概念が心境により変化する描き方がうまい。
幕末という激変する世の中で、信じるものを曲げずにかじりついてきた櫛挽への道。
一歩一歩が信じる道に通じたと気づけた時、大きく息をついた。言葉ではとても尽くせない。
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ただただ凄い。凛とした清々しい物語でした。
あらすじ(背表紙より)
幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは…。文学賞3冠の傑作がついに文庫化!
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木内昇『櫛挽道守』集英社文庫。第8回親鸞賞 、第27回柴田錬三郎賞 、第9回中央公論文芸賞の三冠受賞作。
それほど素晴らしい小説とは思わなかったのは、エンターテイメントの要素が全く無い時代小説のためだろうか。時代に逆らいながらも自らの道を進む女性の姿を描いた小説に高田郁の『みをつくし料理帖』があるが、それに比べれば物足りなさを感じた。勿論、各種文学賞の受賞と面白さは決して比例するものではないということは承知しているのだが。
幕末の木曽山中を舞台に描かれる家族の物語。寡黙で愚直な櫛挽職人の父親、古い習慣の奴隷であり続ける母親、才能を開花させる前に急逝した弟、古い習慣から逃れることを夢見る妹…父親の背中を見詰めてきた主人公の登瀬はいつしか父親と同じ櫛挽職人の道を目指す。
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どうにも主人公に感情移入できずに最後まで行ってしまった。家族それぞれの気持ちや感情の行き違いがあって、それぞれに辛いんだけどちょっとイラっとするところも多くて、わたし的にはイマイチもう少し救いがあってもよかったような気がする。
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櫛挽職人の家庭に生まれた登勢。自らも櫛挽きに興味を持ち、職人になることを願う。その思いの強さで女性が職人を目指すことに対する抑圧を跳ね退けて、最後には尊敬する父に櫛挽職人としての力量を認めてもらうまでの話。そこに弟の秘密を絡めて最後まで一気に読み進められる。時代小説が好きな人はたまらなく好きだと思う。登勢の周囲を寄せ付けない頑なさに職人らしさは感じるが、私はその頑なさが少し苦手感を感じて星は3つにした。
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いつの時も、時代はゆるやかに変化して、それがワクワクしたりする面白さがあったりもしますが、変わらずにいることの大切さや難しさもあって、自分が何を選ぶのか、選ぶべきなのか。
登勢も実幸も、それぞれにあがいてあがいて、たどり着いたのが、板の間だったのかと、最後に感じました。
直助のことも実幸のことも幕末の時代のことも、最初はあまり繋がらなくて、読んでいてモヤモヤしました。
最後は父と娘の言葉に出来ない温かい気持ちが流れてきて、自分の父を思い出して懐かしくなりました。
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女の生きる道が、嫁して子をなし家を守ることあたりまえだった時代、女の道を外れて櫛挽きの業を極める登勢。黙して語らず、櫛挽く姿ですべてを教える父吾助。古い伝統を守ることにとどまらず、広い視野で次の世を見据え櫛挽きの道に新しい風を入れる実幸。誰もが生き生きと描かれている。
数々の障壁をものともせず、櫛挽きの道を邁進する登勢の強さには恐れ入るが、実幸に対する醜いまでの反発心を見るにつけ、そうまで頑迷にならなくてもと辟易。さらに、源次への心の揺れまでも心にストンとは降りてこず、ますます実幸ひいきになりながら読み進める。
主人公の登勢に肩入れできなかったことが、この作品を読む上での敗因だった。
それでも、反発し合った妹喜和との互いを思いやるシーンやラストの直助の絵草紙を朗読するあたりは心に染みて、ここまで読んできてよかった!と思った。
ただ、幕末のあたりの歴史的背景に全く不案内なので、その辺は読み飛ばしていたのが、もったいなかったかな~。。。