木内昇のレビュー一覧

  • 奇のくに風土記

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    作品紹介・あらすじ

    心震わせる生きもの賛歌。
    美(う)っついのう。
    紀州藩士の息子・十兵衛(後の本草学者・畔田翠山(くろだすいざん))は、幼いころから草花とは自在に語らうことができるのに、人と接するとうまく言葉を交わすことができずに育った。ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗(てんぎゃん)と出会ってから、面妖な出来事が身の回りで次々と起こり……。若き本草学者の、生き物や家族、恩師との温かな交感と成長を描く、感動の時代幻想譚。

    第53回泉鏡花文学賞受賞

    *****

    「梨木香歩の『家守綺譚』のような小説を教えて」とAIに尋ねたところ、「こんなのどうでしょう」と推薦されたのが本書。いまだに

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    2026年02月13日
  • 櫛挽道守

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    ネタバレ

    とても素敵な小説。伝統工芸のお六櫛を題材に、受け継がれていく技術を家族の物語として昇華させている。幕末の木曽というと、藤村の夜明け前をイメージするが、藪原という中山道のマイナーな拠点を舞台に、地味といえば地味だけど、跡取りを亡くした家族の中で姉と妹の確執、女性としてのハンディ、突然やってきた有能な夫との関係など丁寧に描かれる。亡くした弟の絵巻のエピソードが最後で種明かしされるインパクトも十分。優しく強い物語を読んだ。

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    2026年02月12日
  • 雪夢往来

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    越後塩沢の縮や質屋で生計をたてている鈴木儀三治は、父の跡をとって商業を生業としている。ある時江戸に滞在し、雪の話をしたが江戸者には何の話をしているか伝わらず、嘘をついているとさえ思われてしまう。越後のことを江戸の者に知ってほしいと越後の話を書き溜めた。

    せっかく書いたものなので、出版までいかなくとも何かにして欲しいと人を介して山東京伝にお願いしたところ、手直しする形で出版できるかもという話になったが、出版元が見つからない。耕書堂も鶴屋さんも西村屋さんも二代目。板木代50両払うならという出版元を見つけたが、やはりそこまでの額は出せない。次に大阪の方での出版を試みるが、結局こちらもダメ。
    山東京

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    2026年02月05日
  • 雪夢往来

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    雪国越後魚沼の生活を記し、江戸時代後期に当時の大ベストセラーとなった『北越雪譜』
    本作はその『北越雪譜』に関わった四人の「もの書き」たちの物語である

    天賦の人、山東京伝
    執念の人、曲亭馬琴
    憧憬の人、山東京山
    夢中の人、鈴木牧之

    それぞれが「もの書き」としての譲れない矜持を持ち、それぞれが木内昇さんの分身だったんじゃないかな〜と思いました

    それにしても曲亭馬琴の描かれようが非道いw
    まぁ癖のある人だったのは間違いないようですが、なんていうか広げ様がえげつない
    小説家ってやっぱすごいな〜
    特に時代小説(歴史小説)は、なんとなくある人物像をどかんと覆してきたりして、しかもなんか納得させられた

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    2026年02月05日
  • 奇のくに風土記

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    ネタバレ

    本草学を志す十兵衛の成長と、その周りで起こる不思議な出来事が書かれた内容。
    薬にするための植物を探して育成したり、あるいは薬にする話などを中心に、その植物に関連した化生の類と遭遇する話が書かれる。
    他人との交流が下手な十兵衛が周囲の人々の影響を受けて段々と大人になっていく様や、風情ある野山の描写などが好み。
    見たことないジャンルの組み合わせだなと思ったが、どちらも好みなので全然よかった。

    個人的には、十兵衛一行がある山に植物採取をしに行った際、遭遇した山伏に山を荒らすのではと勘繰られたシーンで、空気を読まずに植物に関する熱い語りをした結果、ああこいつら本当に植物の事しか頭にないから荒らすわけ

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    2026年01月29日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    ネタバレ

    現在、大河ドラマ『新選組!』にハマっている私が、組!が好きなら是非この本も、とSNSのフォロワーさんからおすすめされて読んだ小説。

    タイトルにある「青嵐」とは、「初夏の青葉を揺すって吹き渡るやや強い風」のことだそう(コトバンク参照)
    なるほど、登場人物それぞれ青さがある……!

    永倉新八は自分は普通の人間、周りの人達のようになにかに秀でているわけではないと思い込み、序盤の土方歳三は定職に就けず家族から白い目で見られていて……
    アイデンティティの揺れや自己評価の低さに共感できる部分があると思った。
    そして、自己評価と他者から見た様子のギャップが面白いな……と感じた
    (例えば、沖田・斎藤は永倉新

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    2026年01月22日
  • かたばみ

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    戦争の傷跡を残した家族愛のストーリー。
    登場人物全員の人となり、立ち位置、バランスが素晴らしく、愛おしくなる。
    特に権蔵(父親)の考え方や物語を通しての成長に感涙した。

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    2026年01月20日
  • 万波を翔る

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    幕末に外交を担った幕臣田辺太一の焦燥感がビリビリと伝わる。曲者上司水野に鍛えられる太一。さあ、どうなる⁈

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    2026年01月22日
  • 転がるように 地を這うように ――私の杖となった文学の言葉たち

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    文学作品の中から
    ある一単語を抜き出し、
    それを軸に文学作品と木内さんとのかかわりを語る。

    いわゆる“文豪”といわれる方々の作品は
    なかなか読み方がわからなかったり、
    現代人には難しい本も多いので、
    そこに一定の角度をつけてくれるのはありがたい。

    この本はそこでとどまらず。
    最後に収録されているのは竹内浩三「筑波日記」
    大正10年に生を受けた彼の
    簡単な生い立ちと作品について語られた後、
    軍隊入隊後の筑波での訓練に明け暮れた日々を綴った
    日記が紹介される。

    作らない 飾らない 騙らない
    いろいろと修飾できなくもないけれど、
    どれも相応しいとは思えない。

    いま、そこにある、戦争というもの

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    2026年01月06日
  • かたばみ

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    槍投げ選手から代用教員となった悌子はラジオ作家の権蔵と結婚し、初恋相手の子、清太を夫婦で実の子として育てる。やがて清太は出生の秘密を知ってしまう…戦中戦後の混乱した時代を背景に親子とは血の繋がりとはをテーマにした物語。フラットな悌子とこれまた正直に弱音をはく権蔵の夫婦関係が清々しい。

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    2026年01月03日
  • 奇のくに風土記

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    ネタバレ

    「生きとるものは、そう容易く括れんのよ」
    実在の本草学者、畔田翠山(幼名十兵衛)を主人公にした、少し幻想譚も混じった歴史小説。

    主人公は人との交わりが下手、自分の感情を表情や言葉にするのが苦手で、嫌いな言葉だが今ならコミュ障と揶揄されるタイプの人物。だが、その観察力や洞察力や粘り強さなど、本草を学ぶ素質に溢れており、師匠の桃洞先生はしっかりとそれを認めていて、導いていく様子はとても良い。

    桃洞先生の孫、良直がまたいい味出してるんよねぇ、要らんことばっかり言うし、しゃべり方はケンカ腰が常で否定から会話を始め寄るし、どっちか言うたら彼の方がコミュ障っ気があると思うんだが…。それでも、コメディリ

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    2026年01月02日
  • 雪夢往来

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    良かった。たいへん興味深く読んだ。

    以前より北越雪譜は興味があり、手に取った事もあるものでしたが、著した人物については全く知りませんでした。
    この本で知ることが出来て良かった。

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    2025年12月30日
  • 奇のくに風土記

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    本草家畔田翠山、幼名十兵衛。小原桃洞を師に仰ぐ。本草学好きの紀州10代藩主徳川治宝にお目見えし、本薬園の手入れを任される。
    ある日岩橋のお山に行き、天狗に会う。その時持ち帰った定家葛を家に植えておいたところ、さわさわと葛を下って亡くなった父が降りてきて、まるで生きている時のように話をすることができた。それ以降、いろいろな不思議と出会うようになった。

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    2025年12月25日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    私の初めて読んだ時代小説!
    歴史小説であるが故に、登場人物たちの最後の結末はすでに決まっているものだったから覚悟しつつ読み進めていってたが、しんどいものはしんどい。一人一人の内面に焦点を向けて書かれているせいで、知らず知らずのうちにそれぞれに感情移入していくものだから、一人倒れ、二人倒れ……としていくのがまぁ本当に辛いししんみりと悲しい。が、それこそが魅力的であり、好きになるんだろうなぁと。判官贔屓といいたまえよ。
    悲劇性を書きたいのではなく、どこにでもいる、それこそ現代にいる様な悩みを抱えた若い人たちが、時代の勝者にはなれずとも、目指したものに進んでいく様がかきたかったのかなぁと勝手に思った

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    2025年12月18日
  • かたばみ

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    「あの本、読みました?」という番組の中で、鈴木保奈美さんが「朝ドラみたい!」と仰っていたが、言い得て妙。まさにそんな感じの小説だった。

    元やり投げの選手で「男女」とも言われるほど体格のよい悌子。一方、身体が弱く細く、そのため戦争に行くこともなく、後ろ指を指されながらブラブラしている権蔵。

    この二人を中心に物語は交互に進んでいく。

    舞台は東京、武蔵野。時代は昭和初期から戦後まで。時にクスリと笑えて、時に涙ぐみ、読み終わった時には「ああ~この続きが知りたい・・」と思ってしまった。556ページの大作だが、あっという間に読み終えた。気づけば半徹夜。

    分かりやすいヒール役は教頭先生とモブの子供た

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    2025年12月12日
  • かたばみ

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    これは良い話♡それも押し付けがましさがない!
    NHK朝ドラの原作に推したい!…そうでした、朝ドラは原作がないのよね、確か。

    戦争が激しくなる気配の昭和18年〜物語は始まる。
    悌子(ていこ)は槍投げの選手、オリンピックを夢見るがケガで断念する。その悌子と家族の物語。

    戦争中の小学生たちとの関わり。
    自分が教えていたことが覆る戦後。
    悌子を支える家族との絆…それは実の親とは限らない。権蔵、いいね! 

    昭和33年まで清々しく、それは飽きることなく550ページに綴られていた! オススメ!

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    2025年11月27日
  • かたばみ

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    悌子のいつも本当の教育はどうすれば良いのかと悩んでいる真っ直ぐさが好きだなぁ‼️
    度々心に残る場面が出てきて泣いたり笑ったり良い時間を過ごせました

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    2025年11月23日
  • かたばみ

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    鈴木保奈美さん曰く「読む朝ドラ」
    戦中戦後の日本。市井の人々を描く。

    元槍投げ選手でガタイの良い母、悌子。
    ちょっと頼りないけど
    優しい父、権蔵。
    真っ直ぐに育った清太。

    この三人を取り巻く人々が、
    また個性的で優しい。

    親なら誰でも
    悩みながら、正解のない子育てをしていく。育て方に100%の自信なんてないけど、
    子を思う気持ちさえあれば、
    きっと愛情として届くはず。

    我が子にも届いていたら良いな。
    かたばみ、変なタイトルだと思ったけど、
    読後には
    「最高のタイトルじゃん!」って思った。

    登場人物のみんなが
    相手を思い遣り、
    前向きに生きている。
    それを木内昇さんが
    上手く描いてくれ

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    2025年11月22日
  • 奇のくに風土記

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    主人公は、和歌山の本草学者、畔田翠山。
    植物だけでなく、自然の姿そのものに惹かれ、研究する、博物学者といったほうがいいかもしれない。人付き合いが苦手であったと伝わる。そこで、人ではないものと通じる、という設定になっている。中島京子さんの『かたづの』はカモシカと言葉を交わす設定であったが、これも大好物な世界観だった。

    舞台は紀ノ國。赴くのは白山や高野山、師である小原桃洞や、京都の本草家山本亡洋は実在の人物だし、植物採集に赴く地も現実である。
    そこで交わす植物や、自然の象徴でもある天狗との交流が、翠山の研究理念に関わる、重要な部分を担っている。
    百姓娘、お妙との交流も切ない。
    ここに出てくる植物

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    2025年11月17日
  • 奇のくに風土記

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    読み始めて、大好きな「家守奇譚」を思い出しました。ただひたむきに植物に向ける愛情に、不思議な現象もなんだか不自然ではなく、すーっと受け入れられて清浄な気持ちになりました。

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    2025年11月04日