木内昇のレビュー一覧

  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    主人公となる3人のうち2人が伊東甲子太郎寄りなのでそちらの話が多いが、阿部と浅野の友情が切なかった。『新選組幕末の青嵐』から一貫して著者はとくに土方と沖田が好きなんだろうなあと思わせるほど彼らが魅力的に書かれているがそこが作品の魅力にもなっている。あと本作は山崎がいい。

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    2025年11月19日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    新選組もので王道の土方歳三メインの話ではあるが章ごとに主人公が変わっていく。それでいてそれぞれの書き分けかたが上手く、同じ人物や事柄でも見る視点によって違って見えるという面白さがある。

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    2025年11月10日
  • 奇のくに風土記

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    紀州藩士の息子・十兵衛は、本草家・小原桃洞に習う。
    地道に研究を重ね、後に翠山と呼ばれるようになる。

    P118
    〈抱え切れんほど大きな希求が溢れる。
    その溢れたものが、こうして勝手に動き回るんや。
    当人のあずかり知らんところでな〉
    鬼籍に入った父の言葉。

    葛をするすると伝い、天から降りてきた父親と十兵衛の会話に癒される。
    人との関わりを苦手とした十兵衛が
    草木を通じ人として一回りも二回りも大きくなっていく。
    読んでいても安心と楽しさがある。

    このように、努力を惜しまず書き(描き)残す事で
    時代を超えて私たちの元へ届けられた。

    木内昇さんのおかげで、今回も魅力的な人物を知ることができた。

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    2025年11月03日
  • 浮世女房洒落日記

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    面白かった!「かたばみ」の作者。
    江戸の話で注釈がいっぱいで読みにくいのではと警戒したが、段々慣れて、長屋暮らしを楽しく読んだ。日記なので、落ち着かない気分でも、細切れに読めることも良かった。さえちゃん達は、どうなるかなぁ。

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    2025年10月23日
  • 浮世女房洒落日記

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    大正初年に建てられた古い洋館の屋根裏から出てきた文化文政〜天保年間に小間物屋の女将がつけていた日記の現代語訳という設定の本書。
    本当にそうではないかと思うくらい、当時の人々の暮らしぶりが生き生きと再現されている。

    長屋暮らしの費用や、大晦日の掛取りが元旦早朝まで掛かったことなど、初めて知ることも多い。

    NHK BSあたりでドラマ化されたら面白いのではなかろうか。

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    2025年10月14日
  • 雪夢往来

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    越後の庄屋が江戸に渡り、江戸の人々が江戸と上方以外のことを何にも知らないことに驚き、憤慨し、日々の生活を書きつけたものを刊行したいと奮闘する物語。江戸では戯作者として名高い山東京伝と曲亭馬琴の確執、加えて、絵師、版元なども登場する。人生の紆余曲折が描かれているのだが、一生懸命生きて、何かを残し、そして死んでいくのだなあということが今更ながらに思われる。良き伴侶を得たり、相性が合わなかったり、子どもを失ったり、病気になったり。それでも、一生懸命取り組むものがあることが幸せなんでしょう。

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    2025年10月11日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    新撰組の誕生から終焉までを、史実に寄り添いながら静かに熱く描いた物語。
    派手さはないのに胸を打つ筆致で、新撰組隊士たちの誇りと矜持がまっすぐに伝わってくる一冊でした。

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    2025年10月08日
  • 浮世女房洒落日記

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    この作家を全く知らなかったのだが、以前勤めていた会社の上司に木内昇は面白いと言われたことを思い出して、今回初めて手に取ってみた。
    江戸時代の町人の暮らしぶりが小間物屋のお葛の日記として、生き生きと描かれていて、楽しく読めた。
    機会があったら別の木内昇作品を読んでみようと思う。

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    2025年09月29日
  • 奇のくに風土記

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    紀の国のてんぎゃんといえば…。熊楠の育ったお国の豊かさを垣間見れた。泉鏡花や梨木香歩みのあるファンタジー要素もあり、一人の本草学者の成長譚でもあった。草花だけではなく、生きとし生けるものへの眼差しが愛おしい。時に仄暗さを湛えながらも、明るいもので繋がっていこうとする意志が大切なんだなぁ。と。面白く読めて、温かい気持ちになって、なんだか学びがある良書であった。

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    2025年09月27日
  • 万波を翔る

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    面白かった。幕末ものってもう出尽くした感もあったけど、なにがなにが、まだこんなにいじれる(変な表現だけど)モチーフがあるのかと、だから幕末ものってつい手が出ちゃうんだよね。他の方のレビュー見て、この主人公が実在したと知ってビックリ。大河ドラマで小栗忠順やるらしいけど、この主人公でもすごく面白くなるんじゃないかとおもった。大河ドラマの「獅子の時代」や「青天を衝け」をもう一度見たくなった。しかし薩摩ってすんごかったんだね笑、

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    2025年09月14日
  • 奇のくに風土記

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    本草学者・畔田翠山の幼少期(十兵衛)からの半生に付き添っているかのような読書体験だった。

    植物にひたむきで学問に才能があるものの、人と話すことが苦手な十兵衛。ほかの塾生には色々言われ思われながらも、理解のある師・桃洞に助けられつついろんな人に関わりながら少しずつ成長してゆく。

    その中で、薬になる植物のことはもちろん、果物やはたまた魚類(書中では水族と呼ぶ)などなど多岐な自然をテーマしていますのでそういうものに興味のある方にもいいかも。

    また、天狗が出てきたり、意思を持ったような葛が天まで伸びたり、その蔓から亡き父が降りてきて語り合ったりと、霊的な出来事も起こります。ちらっと梨木香歩の『家守奇譚』を思い出した。

    好きこそものの上手なれを体現した翠山に心を打たれるところも良し、一貫して翠山の人柄が出ているような静かな物語が良きでした。

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    2025年09月06日
  • 奇のくに風土記

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    身も心も癒され浄化されたような、さわやかな読後感。「人の生くるは好奇を満たすため」「草木はいずれも大事な役目を担っておる」みんな、繋がって、この星で生きていること自覚しないと。

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    2025年08月05日
  • 雪夢往来

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    ネタバレ

    木内さんの本ーっと思って手にとる
    北国に住む商人が江戸の人たちのあまりの北国の知識のなさに地元の風俗、説話などをまとめた本を作ることを夢見る話
    山東京伝、十辺舎一九、滝沢馬琴、など聞いたことのある戯作者が出てくる
    え?え?というほどに話が進まない
    進んだと思ったら頓挫
    江戸と越後の距離が今感じるよりもっと遠いのだろう
    どうなってますか、と手紙を出すと、その人はもう死にましたという答えが剣もほろろに帰ってくる
    かわいそすぎるーーーー
    なんとびっくりそれで40ねん
    おいおい、である。
    大変である。
    そして馬琴がめっちゃやなやつなのである。
    ちょい前に八犬伝の映画で役所さんの馬琴を観てたので
    そのギャップを自分の中で埋めるのがちょっと大変だった
    越後の物書きと江戸の物書きとの心温まる交流になって
    いくかと思いきや、何度も何度も話が頓挫するので
    なんとゆーか、立場が違うもの達がわかりあうって難しいんだろうなーっと
    物書きたちのいろんな悩みとか葛藤とかそーゆーのてんこ盛り
    京伝の弟を想う気持ちが百合には一切通じてないのが悲しい
    まあ、同じ人を大事に思ったとして、あくまでそれは自分にとっての相手だからなーー
    子を生めなかった女の鬱屈が悪い方に向かっちゃったなーー
    まあ、わからんでもないけど、親戚の子を可愛がる方に行けば自分を幸せにできたのになあーー
    結局自分を不幸にするのは自分かもね
    私はできれば無理やりにでも自分を幸せにしたいけどなーー
    最後の最後、ようやく京山さんと書き者同士の心の交流が
    できて牧之さん、良かったね
    これはフィクションだけど鈴木牧之さんは記念館もあるほどの方で北越雪譜と言うのも本当に出版されたもののようなのでそこをもとに作られた物語なのだろう

    そこからこんないろんな人を描き出してくる木内さんは
    やっぱすごいよなーーー

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    2025年08月03日
  • 惣十郎浮世始末

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    時代小説は宮部みゆき作品ばかり読んでいたから、このキャラクターたちのべらんべぃ口調に慣れるまで、少し時間がかかった。内容は、母の老いに関してや正義の見方などの価値観について考えさせてくれて、良かった。他の方の感想にもあったが、片思いのキャラクターが多く、それらの心情に関しては切なく、やるせない気持ちになる。どう着地させるのか、続編が待ち遠しい。

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    2025年07月27日
  • 奇のくに風土記

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    木内昇さんの小説は疲れた身体と精神には薬効があるような。
    もちろんお会したことがないけれど、木内昇さんの人柄は私が保証します!といえるくらい笑
    どの小説も木内さんの人間への信頼感が満ち満ちている。
    これもまたしかり。
    安心して読めるので、心が弱った時にオススメします。

    人の善意を信じていいのだなと思う。
    小説を読んでいる間中、清々しい山の空気を吸っているような気持ちになれる。

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    2025年07月11日
  • 惣十郎浮世始末

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    疫病、介護、など医療問題をからめた捕物帳。
    作者の作品に通底する、仕事とは何か、世間と自分、家族との関係など濃い内容。
    登場人物の造形も様々で魅力的。手下の佐吉と完治のコントラストもよかった。
    お雅も魅力的で恋の行方もはらはらした。
    が、惣十郎、あんなに淡々として自分を律するのに人妻の冬羽に懸想するかな?自分の妻を蔑ろにするほどに?冬羽の魅力がそこまで感じられず、その辺りの心情があまり飲み込めなかった。

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    2025年06月29日
  • 惣十郎浮世始末

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    江戸を舞台にした捕物帖。
    薬問屋の殺人事件を起点に、他の事件も絡めつつ
    話が進んでいく。
    文章も読みやすく面白かった。

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    2025年06月23日
  • 惣十郎浮世始末

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    ネタバレ

    HKさんのおすすめ。

    下手人をあげることよりも、手柄を立てる事よりも、
    自分がひっかかった何かを追い続ける同心惣十郎。
    薬問屋での火事で死んだ二人のうち、
    番頭は火事の前に殺されており、主人は別人の疑いがあり、
    挙動のおかしい手代に目をつける。

    怖がりで人を疑うことを知らない小者と、
    元巾着切りで人を見る目のある岡っ引きの二人を使って、
    ひとつづつ謎を解いていく。

    惣十郎の妻が病死したことは、
    あくまでも主人公のサイドストーリーであり、
    本筋の薬問屋の殺しや種痘に関わってくるとは思っていなかったので、
    もっと面白いと思ってもよいはずなのだがどうもすっきりしない。

    それは登場人物の輪郭線がちょっとぼんやりしているせいかとも思ったが、
    老いが進んでいく惣十郎の母、
    惣十郎にひそかに思いを寄せている出戻りの下女、
    家族をみな流行り病で亡くした蘭方医、
    惣十郎の義理の父親、そして惣十郎自身と
    登場人物が誰も幸せになっていないからだと思う。

    能天気なハッピーエンドを望んでいるわけではないが、
    誰かは幸せになってほしかった。
    浮世とはそういうものだと言われてしまえばそれまでなのだが。

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    2025年06月16日
  • 惣十郎浮世始末

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    ▼木内昇さんが「捕物帳」を書いたらしい、ということで店頭で衝動買い。木内さんらしい捕物帳。地味と言えば地味。でも大いに楽しみました。

    ▼相当に江戸時代の警察組織については木内さんなりに調べはったんだろうなあ、という内容で、原則的には、お仕事リアリズムに基づいて書かれています。主人公の惣十郎さんは、内勤の書類仕事も多いし、いつでもなんでも浪人に変装して単身現場に乗り込むような長谷川平蔵現象は起こさないし、そもそも毎度毎度白刃を振り回して生死の境をくぐるような生活ではありません。捜査実際のほとんどは、部下のいわゆる「目明し」、十手持ちがきちんと上意下達で行います。(「密偵」ではありません)

    ▼エンタメ読み物としては、そういうリアリズムを愉しんでね、という一方で、以下の持ち味かと。

    ・惣十郎さんが、安楽椅子探偵的に「想像」と「人間観察」に長けた名探偵である。

    ・なんだけど「字が下手」。これは今で言うと「パソコンがからきしである」くらいのハンデで、書類仕事が下手なので出世からは遠い。

    ・惣十郎さんは、男やもめである。一度結婚したが子をなす前に奥さんが若死した。そのことを引きずりながら生きている。惣十郎に恋慕する女性がいる。

    ▼全体に連作短編のようでいて、はじめに起こった事件がずっと解決しきらぬまま尾を引いて、最終回で真犯人が分かる。世界観としては池波正太郎的な、「善人と悪人は紙一重、人間みんな業がある」みたいな感触です。

    ▼何より池波正太郎さんと違うのは、女性の描き方ですね。池波さんの女性観は今で言うと耐え難いまでに女性嫌悪、女性蔑視そのものなんですが(笑)、そこは木内さんは全く違います。このあたりが、設定が時代劇で女性の活躍幅は広くないので、言えば「何が起こっているか」はほぼ変わらないのだけど、筆致が変わればこうも味わいが変わるかな、という印象でした。

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    2025年06月01日
  • 櫛挽道守

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    時は幕末、木曽路藪原宿で名産のお六櫛を作る一家。長男の死を契機に狂った家の「拍子」を取り戻すまでの長い道のりを描く小説。ということなのだがイマイチ主人公たる長女登瀬の気持ちが理解しにくい。というか家族みなわがまま過ぎのような。まあ最後はうまく収まるように書いているのだが、やや強引にも感じられる。

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    2025年05月27日