木内昇のレビュー一覧
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読み進めていくにしたがって敬虔な心持ちになり、自然の神秘につつまれていく感覚を覚え、生きとし生けるものの心が目に見えるようでした。そして、現実と幻想の世界を行き来する小説の構成に引き込まれました。登場する植物の描写も、これまた美しく、木内昇さんの力量に圧倒されました。
本草学(薬用とする植物などを研究する学問)を志す畔田十兵衛(学者名、翠山)が主人公。草木と語らうことができても、人付き合いを苦手とする青年です。本草学の師である小原桃洞やその孫、良直たちとの関わりの中で、十兵衛の心は少しずつ雪解けしていきます。
心でものを観ることができる桃洞先生と十兵衛の発する言葉は、人生の真理をついており、忘れず心に留めました。
人間は傲慢になることなく、自然を尊重して生きる姿勢を忘れてはいけないと、改めて思いました。多くの共感と共に、深い感動を得ることができました。私にとって☆5以上です。 -
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先日、燃えよ剣を読んで、なんとなぁ〜く新選組の時代背景や、人の名前が分かりました。
出来ればこの記憶があまり薄れていないうちに、もう一冊読んでみたいなぁと思っており、みんみんさんやひま師匠が最近よく読んでおられていた木内昇さんの作品を読んでみました。
木内昇さんは、「かたばみ」がとても読みやすく、良い本だったので。
女性作家さんということもあるのか?
想像通り大変読みやすかったです。
物語は、土方歳三、佐藤彦五郎、沖田総司、清河八郎、近藤勇、鵜殿鳩翁、山南敬助、山岡鉄太郎、芹沢鴨、斎藤一、井上源三郎、永倉新八、原田左之助、武田観柳斎、藤堂平助、伊藤甲子太郎、それぞれに焦点をあてながら、時代の移り変わりや、登場人物の関わりが描かれていきます。
燃えよ剣と違うのは、人と人との関係性がより詳しく、歴史的背景の方はかなり早足に描かれていた気がします。
さて、私が知りたかった永倉新八さん。
こちらの本では、登場回数多めでした♪
私と似たとこあるかなぁ?と意識しながら読んでみました。
◯身長6尺、およそ182センチ。
デカっ。私は169センチ。 デカいのが一緒♪
◯酒好き。私はビール好き♪一緒♪
◯機嫌に上がり下がりなく冷静
私も機嫌が悪いことが殆ど無し♪
いつもビールでご機嫌♪
◯池田屋たった1人で半分以上の志士を片付ける。強いっ!
私も小学生時代は一番強かった♪
中学以降は人と戦ったことなし(笑)
◯面倒なことを押し付けられがちなのに、肝心な時は外される
嫌って言わないから面倒な仕事は漏れなく私に来る(⌒-⌒; ) 一緒♪
かなり似た一面をお持ちの方でした(*´∇`*)
初期からの新選組メンバーは、やっぱりカッコいいんですよね!
その他大勢じゃなくて、いざって時のゾロやサンジみたいに、頼りになります!
燃えよ剣では山南敬助は土方歳三目線で語られていた為あまり好きではなかったのですが、この本では、もう少し人間味が感じられて少し好きになりました(*^^*)
燃えよ剣とはまた違う一面の新選組に触れられ、とても興味深く読ませて頂きました(*´꒳`*) -
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はい木内昇さん3作目は『櫛引道守』です
またしても幕末が舞台です
と、その前に…本作は第8回親鸞賞受賞作とのことです
Σ(゚Д゚)
なんや!親鸞賞て!そんなんあったんか!と気になってちょっと調べてみました
親鸞を記念した一般財団法人本願寺文化興隆財団主催の文学賞
日本人の精神文化(宗教、思想、倫理等)に根ざしたフィクション文学(詩歌、句、戯曲、小説)の最も優れた作品に与えられる
過去にはあの瀬戸内寂聴さんが選考委員を務めていたことも
って寂聴さん宗派違うけど良かったんか?!さすが親鸞聖人懐深いな
(親鸞は浄土真宗、寂聴さんは天台宗)
しかしそんな文学賞があったなんてぜんぜん知らんかった
世界は広いわw
じゃ幕末の話に戻ります
まぁ動乱の時代ですやね
そしてもうどうやらたまたま3作幕末が続いたわけでなく、木内昇さん幕末得意みたいなんよねやっぱり
でね本作もこうなんていうか幕末〜って感じの物語なのね(どんなやねん)
いわゆる幕末のあれやこれやとは直接関係のない舞台ではあるんだけど
話の中身がこう、ぐちゃぐちゃっとしてなんか色々不穏な感じもしつつそこから何か新しいもの見えて来そうな世界が広がりそうな、だけど伝統を大事にしたいというのもありっていう
色んなものが綯い交ぜになる感じね
考えるのは伝えたいことがあってそれを得意な幕末という世界観に当てはめていったのか、幕末っていう時代を想う中からこの物語が生まれのかっていうことなんよ
俗に言う「たまごが先か、コロンブスが先か」ってやつ(綯い交ぜなっとるがな!)
わいは幕末が後からついてきたんではないかなって思うんよな
描きたかったのは幕末じゃなくて、たとえいつの時代であっても(もちろん現代でも)心に芯を持つってことてあれ?なんか前にも同じこと書いたぞ?
むむむ、もしかして木内昇さんの生涯のテーマを読み取ってしまったか?こりゃあどんどん読んで確かめなあきまへんで!
追記:あれ?前にどっかで親鸞賞調べた気もしてきたw
じゃなきゃこんなにすっと寂聴さんが違う宗派って出てこないよな〜
まっいっか(いいなら追記すな!)
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ネタバレ☆4.5
時追町の卜い家(12月1日)
>>伊助にとっての桐子が桐子にとっての占いだったのだろう。ともすると依存と化す危うい拠り所。
キッパリ終わるでもなくまた繰り返してしまいそうなオチが生々しくて良い。また、占いとは何かの捉え方が私の辿り着いたところととても似ていて共感を覚えた。
山伏村の千里眼(12月2日)
>>占いに携わる者への教訓のような苦い話だった。
嘘をついて適当にあしらった杣子にも、自分の心や杣子の言葉と向き合わず弱い心を庇うのみだった女にも、そして家庭内暴力に走った夫にとっても元々小狡い人格だったのが人間の屑にまで堕ちて、皆に罰が下ったような結末であった。
同じ光景を見たとしても内耳の声をありのまま伝えて千里眼を辞めていれば、杣子の心は違っていただろう。
きっとこの先、特に男との色恋において杣子は一生この女の事を思い返してしまうのだ。
頓田町の聞奇館(12月3日)
>>前2つとは変わって色合いの明るい話。若い女ならではの一目惚れと空想をボロボロに砕きながらも、轍の言葉によって和作と轍それぞれの愛の持ちようが明かされていく様が心地良い。
自分が定まらないのに婚姻を結んでしまった、この言葉は多くの夫婦に刺さる文句なのではないかな。
聞奇の死者の声の聞き方が私にも覚えのあるもので、少々恐怖を覚えるほどに出会うべくして出会った小説だなとつくづく思う。
深山町の双六堂(12月4日)
>>知らぬは亭主ばかりなりの逆バージョン。長い事理解すら出来なかった「他人の家庭事情を把握したがる人間心理」を凪いだ家の綻びにとんと気付かぬ政子の視点からともに切り込んでいく形で知る事ができた。
政子の家庭は互いに興味も執着もないんだなぁと味気なく感じていたが、近所の女達の突撃後から一転して出るわ出るわの毒三昧。そうだ、興味も執着も無いって事は希望も期待もなく、それはつまり互いに諦めているという事なのだ。外の世界にはそれを向けている。平穏である事を盲目的に善と信じたばかりに、晒す事も暴く事も避けてきたが故の形ばかりの家族。適応しようとして壊れつつある子供。
胸糞悪くもあるが、人間の毒も虚しさも醜さも上品な文体で嬲るように描かれていて、ここまででダントツに面白かった。
宵待祠の喰い師(12月5日)
>>また毛色の違う話で胸のすく爽快さと思慮の深さが人間に与える影響の重さや複雑さが滲んでいてとても良い一編だった。
山伏村の千里眼で冒頭から出てきた綾子が主人公。聡明さや優しさ、そして誠実さのある人物だがそれ故に己が大事に思うものを粗雑に踏み荒らされる時、憤懣に振り回されて自分がどうしたいか、どうすべきかを考えることなどが曇ってしまう。
そこで出てくるのが喰い師。これまでの占い師(ではないと喰い師の青年は言っているが)の中でも最も現実離れしていたが、喰い師が齎した効能を経ての綾子の心理的な成長はとてもリアルでこの対比が面白かった。
大正あたりの時代設定、確かに綾子の聡明さや実直さ、有能さは生きにくいだろうと思いながら、綾子というキャラクターに出会えた事はとても喜ばしいことであった。最後のシーンでの安江の言葉は胸に刺さる。とても良い。
鷺行町の朝生屋(12月6日)
>>ほのぼの転生モノかと思ったらホラーだった。真っ当に怖い。
展開自体は意味怖ホラーなどネットに転がる小話をよく読む人ならすぐに予想がつくだろう。が、上品な文体とのどかさの中に唐突にぶっこまれる恐ろしさは新鮮だ。
恵子(綾子の友人で山伏村〜にも出ている)の人柄には好感を持っていたので、恐怖の末に授かった(おそらくは優太の生まれ変わりの)子を自らの意思で愛していくと思いたい。
しかし黒い背広の老人がどんな存在だったかは明かされないので、どちらとも言えないのが歯がゆいところだ。
この曖昧さと解消されない靄が残る後味も真にホラーな短編だったと言えるだろう。
北聖町の読心術(12月7日)
>>無関心な母親による機能不全家族で育ち、卑屈で自己肯定感の育たなかった佐代という女性の話。
違った形ではあるが、自分への無価値感、他人にとって取るに足らない存在で当然という想いは痛いほど心に刺さった。
タイトルが表す占い師の都も本物ではあったが、結果的に佐代の目を覚まさせたのが『山伏村の千里眼』の主人公・杣子である締めくくりも非常に良い。苦い終わりを迎えたその先で杣子は自分なりの正解を模索し続けているのだろう、あんな事の後でも、カフェで目にした佐代に『真実を伝える事』を選んだ事実が非常に喜ばしく清々しかった。
余談だが、交際相手の気持ちも考えずに『触れられたくないから』を突き通して碌な説明もしない武史郎にもそれなりに問題はあると思う。佐代の母親が彼を気持ち悪いと称したが、佐代に対して無関心=佐代の知人友人にも無関心であるが故に冷静に人となりを見て取れたのではなかろうか。
自分の愛し方や求め方だけを要求して佐代の痛みに耳を傾けない武史郎は、私の目にも酷く歪んだ男に映った。もちろん佐代の被害妄想の膨らみようが二人の最適解を逃した大きな一因ではあるが、武史郎にも大いに非はあった。
佐代とのことで武史郎にも学びがあると良いのだが。
どの話の主人公も、お話の先でまた苦難に遭い、惑い悩んでいくであろうことが、逆に読者側を勇気づけるように思う。
その傍らに、支えたり影響し合ったり出来る人達の中に、小さく占いというものが佇んでいる。そのようにあってほしいと私は思った。
全編通して見てもやはり出会うべくして出会った小説であった。 -
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「この感想をご覧の方々、この本をそこいらの時代小説といっしょにされちゃあ困っちまうぜ。そう思わねぇか、完治」と、同意を求める主人公惣十郎。
「わっちも含めて個性豊かで人情味あふれる登場人物が読み手にとっちゃあ面白さこの上なしに仕上がってますぜ」完治もまたそれに従う。
そんな二人を横目に佐吉は「さっき書肆を覗いたんですがね、売り切れ御免入荷待ちってなぁ札が貼られて驚いたぁ次第で」
という感じで江戸の言葉で本作は綴られて、最後まで読み飽きさせない。
北町奉行所定町廻同心の服部惣十郎が、取り巻きの完治と与助、佐吉と共に巻き起こる怪事件を次々と解決に導く、いわばミステリー要素も含んだ捕物帖なのである。
またそれだけでなく、要所要所に旬の素材を使った料理の美味そうなこと請け合いなし。
惣十郎も通う湯屋の重蔵に垢すりしてもらいたいなぁ。
てことで江戸の文化も学べますよ。
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ネタバレお江戸人情捕物噺…鬼平犯科帳等あまたの傑作を生んだジャンルで、最早出尽くしていると毎度毎度思いつつ、このジャンルからまたしてもとんでもない傑作が生まれた。
まずキャラクター設定が、とにかく絶妙に上手い。シリーズ物で何作も出てきたような個性の味付けを最初からきっちり纏わせるのは相当な力量だと思うのだが、主要登場人物だけでなく結構な端役にまで、その個性を間とさせているのだからすごい。
と書くと、キャラの魅力で読ませる小説かのようだが、それだけではない、ストーリー構成も抜群に上手いのだ
薬問屋の火事に始まる物語は、霊感商法詐欺事件などいくつかの事件を解決していく描写を追いかけていくうちに、当時では絶望的な大病「疱瘡(天然痘)」の治療法や予防法を巡るミステリーとなり、水野忠邦の改革で居心地が悪くなる江戸世相に相まって歴史社会小説と化していく、その化けようが実に巧く築きあげられていて、読み進んでいくときの高揚感というか中毒性がすごいのだ。
疫病、不景気に失政、あらぬ噂に踊らされ小さな失敗で世間に疎まれていく人々、介護問題、…コロナとSNSと無能政治に苦しんでいる今の俺たちにとって他人ごとではないという親近感もあるから余計にのめり込む。
550Pと分厚く、活字も小さめで物量的には読み応えがあるが、文章が上手くて波に乗れたら読みやすいし、考えさせられる言葉や挿話も盛りだくさん。
彼らの活躍をもっと読みたいし、片付いてない恋物語もあるし、是非と続編を読みたいぞ!