木内昇のレビュー一覧

  • 櫛挽道守

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    主人公が拍子を取りながら歩く所から始まり、最後も同じように拍子を取っている。櫛のことしか見えていなかった幼少期から、様々な経験を経て、櫛引として成長していく所が印象深かった。

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    2025年04月13日
  • かたばみ

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    朝ドラにして欲しい、素晴らしい物語。
    戦中戦後を舞台とした、心温まる家族のお話。
    親とは何なのか、男とは何なのか、考えさせられます。
    随所に出てくるユーモラスな表現にもクスリとさせられます。
    是非読んでいただきたい一冊です。

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    2025年04月01日
  • 雪夢往来

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    主人公鈴木牧之と、彼と関わっていく周りの人々の思いを丹念に辿り、胸を打たれた。苦労して悩んでいても、一つのことに夢中になれるのは幸せだと思う。

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    2025年03月29日
  • 雪夢往来

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    木内昇さんの作品にはハズレがない。
    ある本読み人にいただいたお言葉です。
    むろん、今回もおっしゃる通りでした。
    巻末の参考文献のきらびやかなこと、
    とても足元に及びもつきませんが、
    断片的に、そのお名前だけは存じ上げている
    方達が、木内さんの深い洞察としなやかな想像力によって、その時代に現れ出でる。
    しかも、その主要なお一人が鈴木牧之さん、
    もうそれだけでも嬉しいことなのに、
    その牧之さんが暮らした時代の了見が見事に描き出される、
    そんな極上の一冊でありました。

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    2025年03月23日
  • よこまち余話

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    江戸から明治くらいの時期、洋装と和装が混じるくらいの時代、とある長屋での物語。
    あっちの世界とこっちの世界と、いろんな時代が入り乱れるなか、想いを残したひとたちと、それに触れる人々。あまりに余白が深い物語で幻想的で切なくて、久々に引きずっている。
    もう1回読もうかな…

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    2025年03月22日
  • 惣十郎浮世始末

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    分厚さにひるんだが、時間かかりながらも、楽しく読めた。

    人が人を励さんとして発する言葉が、とても優しい。こんなふうに言える人間でありたい。

    「誰もが大なり小なり枷を負いながら、どうにかこうにか生きながらえている」
    残り時間がどれほどあるかわからないけど、生きよう。

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    2025年03月13日
  • かたばみ

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    戦前、戦中、戦後を力強く生き抜いた女性教師と家族の物語。みなさんのレビューにあるように、朝ドラのような、胸が温かくなる物語だった。
    悌子の明るさにも元気づけられるけど、権蔵がとにかくカッコいい。こんなふうに息子と向き合う父親でありたい。

    #読書好きな人と繋がりたい

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    2025年03月11日
  • 惣十郎浮世始末

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    木内昇さん二冊目。「捕物」とのことで、軽めの読み物なのかと思いきや、答えがすぐには出せそうもない重い問題や今に通ずる不条理が盛りだくさんで、なかなか社会派な意欲作だった。リズムに慣れるまで、やや時間がかかってしまったが。
    一人一人の人物が深く描き出されており、それぞれを主役にした話が成り立ちそう。終わり方が完璧で、この一冊としてはしっかり完結しているのだが、ぜひまた登場人物たちに再会したいと思った。

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    2025年03月01日
  • 占(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ☆4.5
    時追町の卜い家(12月1日)
    >>伊助にとっての桐子が桐子にとっての占いだったのだろう。ともすると依存と化す危うい拠り所。
    キッパリ終わるでもなくまた繰り返してしまいそうなオチが生々しくて良い。また、占いとは何かの捉え方が私の辿り着いたところととても似ていて共感を覚えた。

    山伏村の千里眼(12月2日)
    >>占いに携わる者への教訓のような苦い話だった。
    嘘をついて適当にあしらった杣子にも、自分の心や杣子の言葉と向き合わず弱い心を庇うのみだった女にも、そして家庭内暴力に走った夫にとっても元々小狡い人格だったのが人間の屑にまで堕ちて、皆に罰が下ったような結末であっ

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    2025年02月26日
  • 惣十郎浮世始末

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    面白かった。

    人を過ちへ向かわせる理由や、心の揺らぎの原因は今の時代と変わらないもので、いつの時代も人は『他の評価』が気になり、自己評価との差分に振り回されてきたのだろうなあ。
    時代劇の書き口だが、問うていることは現代の小説といった感じで共感したし、新鮮な読み心地だった。

    シリーズ化しそう。
    お雅がんばれ。

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    2025年02月14日
  • 惣十郎浮世始末

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    「この感想をご覧の方々、この本をそこいらの時代小説といっしょにされちゃあ困っちまうぜ。そう思わねぇか、完治」と、同意を求める主人公惣十郎。
    「わっちも含めて個性豊かで人情味あふれる登場人物が読み手にとっちゃあ面白さこの上なしに仕上がってますぜ」完治もまたそれに従う。
    そんな二人を横目に佐吉は「さっき書肆を覗いたんですがね、売り切れ御免入荷待ちってなぁ札が貼られて驚いたぁ次第で」

    という感じで江戸の言葉で本作は綴られて、最後まで読み飽きさせない。
    北町奉行所定町廻同心の服部惣十郎が、取り巻きの完治と与助、佐吉と共に巻き起こる怪事件を次々と解決に導く、いわばミステリー要素も含んだ捕物帖なのである

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    2025年02月12日
  • かたばみ

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    深く感動した。物凄く良かった。
    スポーツに挫折した女性の物語のようで、先生と生徒の物語のようで、戦争という恐ろしいものに振り回される人たちの物語のようで、苦しい時代にも助け合い希望を見出す物語のようで、家族の物語のようで、でも私は権蔵さんの成長物語だと感じました。
    特に素晴らしいのは、随所に名言が出てくる点。もう本当に沢山良い言葉が出てきます。ハッとさせられますし、ときどき感動で目頭が熱くなります。
    特に子育て世代の方々は真っすぐに射抜かれるかと。
    人生との向き合い方というか、在り方のヒントを貰いました。
    良書。

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    2025年02月12日
  • 惣十郎浮世始末

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    ネタバレ

    お江戸人情捕物噺…鬼平犯科帳等あまたの傑作を生んだジャンルで、最早出尽くしていると毎度毎度思いつつ、このジャンルからまたしてもとんでもない傑作が生まれた。

    まずキャラクター設定が、とにかく絶妙に上手い。シリーズ物で何作も出てきたような個性の味付けを最初からきっちり纏わせるのは相当な力量だと思うのだが、主要登場人物だけでなく結構な端役にまで、その個性を間とさせているのだからすごい。

    と書くと、キャラの魅力で読ませる小説かのようだが、それだけではない、ストーリー構成も抜群に上手いのだ
    薬問屋の火事に始まる物語は、霊感商法詐欺事件などいくつかの事件を解決していく描写を追いかけていくうちに、当時で

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    2025年02月08日
  • 雪夢往来

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    刊行を夢みて執筆を続ける鈴木牧之。夢叶うまで40年。我慢強く、諦めない彼の執念に感心するも、やきもきが続く。江戸で活躍中の山東京伝や十辺舎一九らとの交流は微笑ましいが、粘着質な滝沢馬琴の偏屈極まりない人格に辟易。越後の『雪話』が一冊の本になるまでの過程を丁寧に描く著者の妙味に感服。

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    2025年01月29日
  • 雪夢往来

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    江戸時代、越後の鈴木牧之が地元の雪や生活の様子を書いて書物になるまでの長い長いお話。
    巻末の装画の記載を目にして鳥肌がたった。ずっと気がつかなかった。牧之さん、本当によかったね。

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    2025年01月25日
  • 雪夢往来

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    おもしろかった。
    一気読みでした。
    木内昇さんの新刊なので
    迷いなく手にした一冊。

    刊行するまで40年を要した
    『北越雪譜』
    ー江戸の人々に雪国の風物や綺談を教えたいー
    鈴木牧之はその思いを胸に諦めず書き続けた。

    『北越雪譜』
    勉強不足でどのような物か知らなかった。
    それにしても、しつこく書き続け
    刊行に漕ぎつけた鈴木牧之には頭が下がる。

    天才肌の戯作者・山東京伝。
    反対に努力型の曲亭馬琴。
    その対比もおもしろく、当時の出版業界の様子を知ることもできる。
    木内さんのおかげでまた世界が広がった。

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    2025年01月26日
  • 櫛挽道守

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    初めての木内昇さんの作品。なんと静謐な文章でしょう。読後、じんわりと世界観に浸ってしまいました。

    物語は、幕末の木曽路薮原宿。木曽路では奈良井宿が有名ですが、奈良井宿の隣の「お六櫛」の生産で有名な宿です。主人公はそのお六櫛を代々作る家に生まれた少女の登瀬。登瀬の父は神業の技術を持つ、超寡黙な櫛引職人。でも、その技を引き継ぐのは男子のみ。木曽路の山中で、ずっと男子が継いできた技なのです。
    が、登瀬は女でありながら、父の神業の技術を継ぎたいと精進を重ねていく話です。
    当然、周囲の村人はもちろん、家族の母も妹からも理解を得ることは難しい。そんな中で、父ちゃんが寡黙な中で登瀬を守るんです。もう父ちゃ

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    2025年01月16日
  • かたばみ

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    悌子先生、権蔵、茂生、ケイ婆さん。出てくる人たちがみんないい。
    戦争を経ながらやりたい事を探して一生懸命生きていたんだな。
    権蔵の不器用だけどまっすぐな優しさに癒され、悌子の怪力に笑えた日々でした。

    清太は大丈夫。立派な大人になるのは間違いない。題を「かたばみ」にしたセンス。中津川家の益々の繁栄を願っております。

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    2025年01月12日
  • 雪夢往来

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    物語は蔦屋重三郎の死後、山東京伝や曲亭馬琴などの戯作者が活躍している江戸後期時期。京伝は押しも押されぬ人気作家であり、馬琴は『南総里見八犬伝』の執筆を始めようかという時期。

    当時の新潟といえば、江戸からしてみれば未知の国。豪雪地帯での暮らしなど想像もつかない。さらに鈴木牧之が物語ではない、現(うつつ)であると語っている奇譚。送られてくる物語に惹かれた京伝は、出版を試みるが、実績のない書き手であるので、伝手のある出版社は何色を示すばかり。京伝の死後は、馬琴が引き受けたかに見えたが・・・。

    内容についてはここで書けないが、いやもう、読んでいて儀三治(鈴木牧之)の胸の内を図ると、如何ともし難い心

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    2025年01月12日
  • 占(新潮文庫)

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    ネタバレ

    占いをテーマに大正時代を舞台にした女性特有の悩みや苦しみ、欲求を描いた7編。

    女性心理の描写がうますぎて読みながら色んな感情が巡りました。たまにそれぞれのお話が繋がったりもしていてとても面白い。どのお話も重暗すぎる悩みのお話では無いところが個人的には良かったです。

    ・時追町のトい家
    自立した女性が恋に悩み占いにハマる話。
    占いにハマっていくさまがリアル。占ってもらった結果をまとめて統計しようとしてるところが桐子さんの人柄が出てて面白い。ただ、そんな男早く切ってしまえばいいのにと何度も思ってしまうくらい、桐子さんが惹かれて、縁を切れなくなった男性に一切魅力を感じなかった…

    ・山伏村の千里眼

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    2024年12月24日