木内昇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
田辺太一という人物を初めて知った。
日経新聞の連載になった作品だけに、読みごたえがあった。
「家人」としての忠義と、一人の若者としての思いや情熱。
幕府側の外国方の外交を描く。
為替ルート、内政不干渉、国内経済安定など、
現代の日本経済を彷彿させるようなストーリー感心した。
また、薩摩藩がパリ万国博覧会に
「日本薩摩琉球国太守政府」の名で出展し、
丸に十字の勲章まで作っていたとは知らなかった。
落語好きでべらんめいちょうの太一は
薩摩人を「芋!」と呼ぶ。
これまでのご維新物語にはない、江戸幕臣の痛快さがある。
明治3年(1870年)外務省から要請されるところで終わる。 -
Posted by ブクログ
第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞、第8回親鸞賞を受賞作 評価の高い本がやっと来たので、読みかけのものを置いて読んでみた。
まず作者が女性と言うのを知った。
作品は、女性の生き方が主なストーリーになっている。
中仙道、木曽の山中にある藪原宿の集落が舞台。名人といわれる櫛挽職人の父を持つお登瀬の、櫛作りにかけた一途な半生が感動的に描かれている。
女の人生のが、より不自由に決められ、それに縛られていた幕末の頃、世間並みの生き方を捨ててでも、尊敬する父親の背を見て、櫛引の技を極めるために生ていくお登瀬の成長物語になっている。
頼みの弟が早逝し、て家族の絆が破綻してくる。そんな中で、お -
Posted by ブクログ
ネタバレ木内昇 著「みちくさ道中」、2017.7発行、エッセイ集です。「弁当三十六景」と「行いと姿勢」、印象に強く残りました。
高校、大学はソフトボール部、四番で「叩きつけるバッティングがうまかった」そうです。編集者10年を経て作家に。木内昇「みちくさ道中」、初のエッセイ集(身辺雑記、自分を語ること)、2017.7文庫、2012.12刊行。まっすぐ働く、ひっそり暮らす、じわじわ読む、たんたんと書くの4部構成です。向田邦子さんのことが結構書かれています。意識されてるんだと思います。母校で高1、2年生を対象に講演をされたそうです。嬉しかったことでしょう! 年始(意気込み)より年末(一旦リセット)がお好 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた。
ようやく読めたが、思っていたのとは随分違っていた。
不思議な読後感だった。
重い、というのともちょっと違う。
江戸から明治、この大変革の時代、人々はどんな暮らしをし、何を感じ、考えていたのか。
幕末の歴史小説を読む度に、TVで歴史番組を見る度に、結構気になっていた。
そこに一つの答えを示してくれたと思う。
もちろん遊郭は、ごく普通の人とは少し違う。でも、だからこそ、そこに流れ着いているのは変革からはじき出された人だ。そこに渦巻く感情、漂う諦観が鋭い輪郭をもって立ち上ってきた。
面白いというのとは違うが、興味深い作品だった。
しかし、直木賞を取ったというのは、意外だ。 -
Posted by ブクログ
木内昇『櫛挽道守』集英社文庫。第8回親鸞賞 、第27回柴田錬三郎賞 、第9回中央公論文芸賞の三冠受賞作。
それほど素晴らしい小説とは思わなかったのは、エンターテイメントの要素が全く無い時代小説のためだろうか。時代に逆らいながらも自らの道を進む女性の姿を描いた小説に高田郁の『みをつくし料理帖』があるが、それに比べれば物足りなさを感じた。勿論、各種文学賞の受賞と面白さは決して比例するものではないということは承知しているのだが。
幕末の木曽山中を舞台に描かれる家族の物語。寡黙で愚直な櫛挽職人の父親、古い習慣の奴隷であり続ける母親、才能を開花させる前に急逝した弟、古い習慣から逃れることを夢見る妹… -
Posted by ブクログ
「新選組」という舞台装置で、弱きヒトの葛藤と苦悩をえがく人間ドラマを儚き筆致で堪能できました。
この作家の個性とも言うべき味なんでしょうが、どこかしらのハカナサみたいなものがあると思えまして。この小説の場合特に、ひたすらに男ばかりのお話を、書いているのが女性と言う異化作用も理由なのかなあ、と。
決して悪い意味ではなく、素敵な読書でした。
「茗荷谷の猫」「櫛引道守」がどちらも大変に面白かったので、引き続いて木内昇さん三昧。
木内さんには新選組を舞台に「新選組 幕末の青嵐」という小説もあります。
「青嵐」の方が、新選組有名幹部のお話だそうです。この「地虫」の方は、同じ新選組でもより泡沫隊員を主人 -
Posted by ブクログ
この作者の『幕末の青嵐』が表の話ならこっちはまさに裏の話といった感じ。
近藤・土方・沖田など通常メインでもってこられる方々が脇役で、今回の主役は阿部十郎・篠原泰之進・尾形俊太郎の三人。
新撰組小説だとだいたいそんなにページを割いてもらえない伊東甲子太郎一派がメインという感じ。
とにかく人物の心理描写が凄くて時に読んでて辛くなる。
特に阿部さんの気持ちはわかるところが多かったので辛かった。
新撰組が好きな人にはぜひおすすめしたいですが、伊東甲子太郎が入隊~暗殺されるまでがメインのためある程度は新撰組について知ってないと理解しづらいとこもありそうなので、何冊か既に新撰組関連の本を読んでる方に -
Posted by ブクログ
最初の100ページあたりは正直言って退屈だった。
この作者の本は、別の短編集でもスロースターターだったなあ…
途中から伝奇物の様相を呈するけれど、夢が覚めてみれば、明るい空の下であった…ような。
途中、世相を映して、西南の役の様子が語られる。
西郷の最後の言葉「もうここらでよか」
明治の時代に乗りきれなかった人の象徴なのだろう。
ここを乗り切ったからといって、決していい時代には進まないことを、後の世を生きる私たちは知っているけれど、主人公にはこの先、地に足をつけて生きて欲しいと願うのだ。
巻末に紹介されていて初めてわかったけれど、表紙の絵は、小村雪岱でした。
この絵ではないけれど、埼玉県立近