木内昇のレビュー一覧

  • 漂砂のうたう

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    ネタバレ

    読み終わって、ストーリーを思い出し追ってみても
    起承転結、驚きの展開、心踊る出来事などはなく
    淡々と進んでいったような気がする
    それでも、この小説の世界に静かにずぶずぶと浸り
    なんとも言えない世界観に酔って読み終わる
    浮かれたところも、落ち込み過ぎるところもなく
    不思議な出来事も、すんなりと受け入れて
    小説という架空の世界を経験する醍醐味にひたった時間

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    2015年07月30日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    「新選組」という舞台装置で、弱きヒトの葛藤と苦悩をえがく人間ドラマを儚き筆致で堪能できました。
    この作家の個性とも言うべき味なんでしょうが、どこかしらのハカナサみたいなものがあると思えまして。この小説の場合特に、ひたすらに男ばかりのお話を、書いているのが女性と言う異化作用も理由なのかなあ、と。
    決して悪い意味ではなく、素敵な読書でした。

    「茗荷谷の猫」「櫛引道守」がどちらも大変に面白かったので、引き続いて木内昇さん三昧。
    木内さんには新選組を舞台に「新選組 幕末の青嵐」という小説もあります。
    「青嵐」の方が、新選組有名幹部のお話だそうです。この「地虫」の方は、同じ新選組でもより泡沫隊員を主人

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    2015年04月22日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    この作者の『幕末の青嵐』が表の話ならこっちはまさに裏の話といった感じ。

    近藤・土方・沖田など通常メインでもってこられる方々が脇役で、今回の主役は阿部十郎・篠原泰之進・尾形俊太郎の三人。
    新撰組小説だとだいたいそんなにページを割いてもらえない伊東甲子太郎一派がメインという感じ。

    とにかく人物の心理描写が凄くて時に読んでて辛くなる。
    特に阿部さんの気持ちはわかるところが多かったので辛かった。

    新撰組が好きな人にはぜひおすすめしたいですが、伊東甲子太郎が入隊~暗殺されるまでがメインのためある程度は新撰組について知ってないと理解しづらいとこもありそうなので、何冊か既に新撰組関連の本を読んでる方に

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    2014年06月14日
  • 漂砂のうたう

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    最初の100ページあたりは正直言って退屈だった。
    この作者の本は、別の短編集でもスロースターターだったなあ…
    途中から伝奇物の様相を呈するけれど、夢が覚めてみれば、明るい空の下であった…ような。
    途中、世相を映して、西南の役の様子が語られる。
    西郷の最後の言葉「もうここらでよか」
    明治の時代に乗りきれなかった人の象徴なのだろう。
    ここを乗り切ったからといって、決していい時代には進まないことを、後の世を生きる私たちは知っているけれど、主人公にはこの先、地に足をつけて生きて欲しいと願うのだ。

    巻末に紹介されていて初めてわかったけれど、表紙の絵は、小村雪岱でした。
    この絵ではないけれど、埼玉県立近

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    2016年05月22日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組のマイナーどころの回想記。
    例によって、語り部が複数人で代わっていく。
    幕末の激動の時代を、主役になれない人間たちの立場で経験するという、やはり一風変わった趣。
    どちらかというと、一般人としては共感できるところが多いかも。
    逡巡しながらも、何もなし得なくても、全力で生きた人生がそこにある。

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    2012年12月22日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組のメインでは無い人物3人からの視点。何のために存在しているのか。何も無いのか。それでも目の前を信じ働く姿が印象に残る。重く、ズシンとくる本だった。

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    2012年12月05日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    木内さんの「幕末の青嵐」とあわせて読みましたが、また違う視点から新撰組が描かれてて、一気に読んでしまいました!頭が良いのにどこかとぼけて憎めない尾形俊太郎とスパイ役の飄々としてる山崎の掛け合いが笑えた。ずっと救われない阿部を何かと気にかけてる斎藤一も良かった。大きな戦の前にも関わらず、永倉と原田が相撲を始め、それをニヤニヤしながら離れて見る斎藤、それを更に遠くから眺めてる土方、尾形、山崎の図がまさにそれぞれの個性や人間関係を表していて、微笑ましかったです。

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    2011年10月19日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組主要メンバーから外れた陰の隊士達にスポットをあてた話し。
    彼ら自身の生き様、また彼らから見た土方や近藤像や、伊東像などが描かれていて、非常に面白かった。

    読んでいておもしろおかしい訳でもないし、どちらかというと屈折してるわ、思い詰めてるわ・・・・こちらまで気鬱になりそうなところも多々なのに、読後感は存外に爽やか。

    飄々と大阪弁をまくしたてる山崎さんが素敵だったわ♪

    ほんで、初めて伊東甲子太郎の死に切ないものを感じた・・・

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    2011年09月21日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    尾形俊太郎、阿部十郎、篠原泰之進が主人公。激動の幕末にありながら「人に動かされる側」の彼らの目から見た、新選組と歴史の行方。

    主人公がマニアックなだけに色物系かと思いきや、なかなか骨太で正統派の小説でした。派閥の中心に属さない人の目線、っていうのが生きてたと思う。阿部の夢も希望も無いただただ卑屈な行動は読んでいるこっちまで滅入ってしまったけど、それも含めて生々しい人間というものを見せてもらった、という感じ。

    伊東甲子太郎の生き様が特に格好良く描かれているので、御陵衛士好きに、また逆に試衛館派にもお薦めしたい。

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    2011年09月18日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    地味な立場の人から見た新選組の裏側のあれこれ。
    キャラクターは基本的にできあがっていて、読みやすい。
    斎藤一はオダジョーで読んでしまうなあ。
    沖田は意外に顔が定まらないけど。
    新選組を全然知らなかったらちょっと、とっつきにくいでしょうけど。

    変わった角度からの眺めで、細部に興があります。
    一般人には激動の時代は辛い。
    何もない所から作り上げられる人もいる。
    土方はものすごく怖い。
    傍にいるのは大変そうだけど、一瞬の輝きを見ることも出来る…?

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    2011年06月13日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    視点をくるくると変えつつ独白で綴る新撰組は初めて読んだ。斎藤一の造形がすこしありきたりな感じだが、資料も無く、やむをえまい。

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    2018年10月14日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    自分の中で評価が難しい作品となった。

    この小説は一冊の中で読み手が43回も変わる。そのため、一つの話が短いためちょっとした時間でも読める。
    また、歴史小説だと読んでいて難しく感じることもあるが、この小説は読みにくいと感じたことが全くなかった。
    こういった理由でとても読みやすく、新撰組の歴史も時系列的に理解しやすくてよかった。

    しかし、読み手が変わりすぎて感情移入しにくかったところが、個人的にはマイナスだった。

    様々な視点から語られるので、新撰組を深く知りたいと思う人にはオススメだ。

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    2025年10月26日
  • 奇のくに風土記

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    ダヴィンチ・プラチナ本から。”蟲師”とか梨木香歩とかが思い浮かんだ。突然の滝川一益登場とか、ちょっと面食らってしまい、いまひとつ焦点がぼやけてしまう印象あり。終始、夢うつつを往来する感のある作品だから、その一環と言われたらそれまでだけど、個人的にはちょっと。

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    2025年10月15日
  • 雪夢往来

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    曲亭馬琴の破綻者ぶりがすごかった。モラ、毒親、DV、才能はあるが性格が悪すぎてもはやサイコパス。そればかりに気を取られて、肝心の鈴木牧之の地道な生き様が入ってこなかった。笑
    ものを生み出す人たちの才能への憧憬、屈折、書くことの純粋な楽しさなどが立ち上ってくる後半はよかったが、
    前半の、頓挫からの頓挫は読んでいるこちらがヤキモキしてなかなかページが進まなかった。
    馬琴以外の人物が皆地味だったのもあり、才能のある兄としての山東京伝をもう少し見たかった。(すぐに逝ってしまったのは儀三治の無念に呪い殺されたのかと思った。笑)

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    2025年10月14日
  • 奇のくに風土記

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    紀伊の山々で草木を愛でるコミュ症な少年の成長譚。
    天狗や時折、テイカカズラの蔦を伝って彼岸から此岸に降りてくる父上に見守られて本草学を志すファンタジーな展開に不思議を感じます。
    また、白山や大峰山系に登る記述もありワクワクしました。白山へは美濃禅定道から登られたように感じますが私も何度も登っていてクロユリも見たことあるし、大峰山系も歩いたことあるしオオヤマレンゲも見たことあるので嬉しくなりました。人知れずひっそりと咲いている花たちはそこに自生しているからこそ美しく尊いものなんですよね。

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    2025年10月06日
  • 惣十郎浮世始末

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    惣十郎の妻の「夫と父の役に立つ事であれば」と願い種痘の治療実験台に自ら名乗り出た行為、そのものが事件を起こす。「人を思う」人間味溢れる行動など、方や疱瘡に対する医術を何とかしたいと願った事が裏目に、事件に繋がる複雑且つ物語の巧みさに感動する。現代は政治の世界でも人の為というより「自己主義」が旺盛で「目先の利潤に眼が眩む」行動になってしまうのは寂しい限りだ。「人間関係の道徳」が薄らいでいる事だろうか。

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    2025年09月02日
  • かたばみ

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    太平洋戦争直前、故郷の岐阜から上京し、日本女子体育専門学校でやり投げ選手として活躍していた山岡悌子(ていこ)は、肩を壊したのをきっかけに引退し、国民学校の代用教員となった。

    戦中、戦後はしんどい描写もあったけれど、真っ直ぐに懸命に生きた悌子と権蔵(ごんぞう)の、家族の物語でした。悌子の下宿先の中津川家の人たちがすごく良い人たちばかりでほっこり。涙あり笑いありで、朝ドラとかになりそうなお話でしたね。

    ところで木内昇さん、「のぼる」さんで男性かと思っていたら、「のぼり」さんで女性だったんですね、知りませんでした〜すみません。

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    2025年07月30日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    ★3の中。

    みんな大好き新選組。その群像劇。

    それぞれ癖の強いキャラクターが魅力的で読まされた。
    新選組の話の流れはおぼろげに頭に入っているので、本の厚さのわりにはするすると読める。

    司馬遼太郎さんの「新選組血風録」も読んでみたくなった。

    「燃えよ剣」はどうかな~。
    今作も群像劇形式とはいいながら、土方歳三が家業の薬売りをしていたときから始まり、戊辰戦争後の佐藤彦五郎の元に土方歳三の写真が届くまでが描かれており、実質主人公は土方歳三であるともいえる。
    京極夏彦さんの「ヒトごろし」も土方歳三の生涯を描いた物語だったし、もう土方歳三はいいかな(笑)






    そうそう。
    関係ないけど久し

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    2025年07月28日
  • 奇のくに風土記

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    現実の話と不思議な話が、上手く絡み合って物語を組み上げています。
    先日、他の書籍で植物のコミュニケーションの話を読んだところなので、余計に植物に気持ちが動かされました。

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    2025年06月27日
  • 奇のくに風土記

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    「かたばみ」の著者。学問好きだった徳川治宝(紀伊藩10代藩主)の時代に活躍した植物学者の畔田翠山の話。江戸時代にこういった研究をしていた人が居たとは。

    時代小説で読みにくく、天狗が出てきたりもしたが、人生訓が色々あり良かった。

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    2025年06月30日