木内昇のレビュー一覧

  • 惣十郎浮世始末

    Posted by ブクログ

    社会や組織に息苦しさを感じるものとして、共感がもてた。
    黙っていても自分の仕事をみていてもらえると思うのは甘い、というのはドキッとした。自分の「功績」を仲間内に伝える手間を惜しむのは、単なるめんどくさがりやの怠慢かも…

    小説としては先が読めてしまうところもあるが、楽しめる。「モブ」がモブでしかないのは残念。

    0
    2024年09月05日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    櫛挽職人の家庭に生まれた登勢。自らも櫛挽きに興味を持ち、職人になることを願う。その思いの強さで女性が職人を目指すことに対する抑圧を跳ね退けて、最後には尊敬する父に櫛挽職人としての力量を認めてもらうまでの話。そこに弟の秘密を絡めて最後まで一気に読み進められる。時代小説が好きな人はたまらなく好きだと思う。登勢の周囲を寄せ付けない頑なさに職人らしさは感じるが、私はその頑なさが少し苦手感を感じて星は3つにした。

    0
    2024年02月08日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    いつの時も、時代はゆるやかに変化して、それがワクワクしたりする面白さがあったりもしますが、変わらずにいることの大切さや難しさもあって、自分が何を選ぶのか、選ぶべきなのか。
    登勢も実幸も、それぞれにあがいてあがいて、たどり着いたのが、板の間だったのかと、最後に感じました。

    直助のことも実幸のことも幕末の時代のことも、最初はあまり繋がらなくて、読んでいてモヤモヤしました。
    最後は父と娘の言葉に出来ない温かい気持ちが流れてきて、自分の父を思い出して懐かしくなりました。

    0
    2023年10月15日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    時は明治維新後、所は根津遊廓。登場するのは、客引きとなった元武士・定九郎、人気花魁・小野菊、噺家の弟子・ポン太。前半はダラダラ話が進む。後半は話が動くが、一体何が起こるのか?どう展開するのか?まるでミステリー。

    0
    2023年05月28日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    大政奉還、明治維新、そこから10年。根津遊郭の美仙楼(心淋し川のご近所でしょうか)の立番となり、客引きをする男は、元御家人、定九郎。出自を百姓と偽り、今の仕事に流れ着いた。日本の変化に取り残された男と、自由は名ばかりの遊郭の女達。
    明治維新の主役とはなれなかった人たちを取り上げて、自由という言葉だけが先走る空虚な日々。
    定九郎が、ずーっとふわふわしているので、物語もふわふわしてる。行きどころの無い、遊郭の女達の覚悟した雰囲気との対比で、その不甲斐なさが際立つ。武士がその立場を失った当時が偲ばれる。
    情景とか歴史感はとてもしっくりと読めるのだけれど、所々に挟む「学問のすすめ」や「自由民権運動」が、あまり物語にハマってこないなあと思う。
    花魁の失踪と圓朝の噺を重ね合わせて幻想的で良いんだけど、失踪の顛末は、あまりに想像通りでした。

    0
    2023年04月24日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

    Posted by ブクログ

    新選組の名もなき隊士たちの物語。攘夷も勤皇もよくわからない、弁才も剣の腕もない。
    まさに、平々凡々な我々を見るような。
    常に何かに追われ、焦燥、失望、挫折。
    激動期を駆け抜けていく、まさに地べたを這いずるように生き抜いた。

    0
    2021年09月28日
  • 火影に咲く

    Posted by ブクログ

    幕末京都に生きた男たちと彼らを慕った女たちの短編6編。

    漢詩人梁川星厳+妻、張紅蘭
    吉田稔麿+料亭若女将、てい
    沖田総司+同じ病を持つ老女、布来
    高杉晋作、井上聞多、品川弥二郎+芸妓、君尾
    坂本龍馬、同郷の岡本健三郎+下宿先の娘タカ
    中村半次郎+煙管屋の娘さと

    様々に葛藤し時代を生きる火=男たち
    その影=健気な女たち

    布来以外は実在の人物とのこと。
    実在であれ、創造上の人物であれ、やはり木内氏の過去の人物に生の声を吹き込むような物語は情熱や切なさに満ちている。

    0
    2021年09月04日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    大河ドラマ『青天を衝け』のパリ万博シーンで、見事薩摩藩に出し抜かれて悔しがっていた印象しかなかった外国奉行支配役・田辺太一を主人公に、幕末から明治を外交という目線で描く。

    幕末ものなのに物騒な戦争シーンは殆ど出て来ない。しかしこれは紛れもなく外国との戦争の物語であり、しかも負け戦ばかりの物語でもあった。
    何しろ日本はそれまで二百年以上、外国とまともな交渉などしてこなかったのだ。逆にアメリカ、イギリス、フランスなどの大国は強大な武力と強かな交渉術で日本を食い物にしようとしている。
    なのに日本は公儀と天朝との足並みが揃わないだけでなく、攘夷派だの開国派だのの横槍に加え薩摩藩や長州藩が勝手に外国と争いを起こす。

    それでも外国方の面々は必死に戦っていた。
    洋銀引換の不平等を何とかしようと戦い、輸入税輸出税を何とか日本有利にしようと戦い、港を開かせようと押しきられそうになるのを何とか抗い…そして破れ去った。

    田辺太一は外国方の書物役や調役などのいわば下っぱ役人。だが物怖じせず上役の外国奉行にもガンガン意見する。何だか『青天を衝け』の渋沢栄一のようだ。
    中盤まではやる気ばかり逸っているようで微妙なキャラクターだったのだが、様々な人たちや様々な交渉の場に接していくうちに成長していく。

    『こののち、もしそなたが勤めを究めたければ、批難に刻(とき)を割かぬことじゃ。(中略)批難する暇があるならば、代案を考えることじゃ。よりよい先を見据えることじゃ』
    と外国方に勤める上での心構えを教えてくれた堀利煕外国奉行。

    『私が信ずるのは、確実に責任をとれる立場にある人物だけだ。(中略)責を負える人物から、こちらの思う条項を引き出してはじめて、外交と言えるのだ』
    と外交の基本を諭したアメリカのハリス。

    『おぬしは常に逸り過ぎじゃ。機を待つことも時には大事じゃぞ』
    と見守ってくれた兄・孫次郎。

    水野奉行のようにアクの強い上役もいたが、彼もまた太一を成長させてくれた。

    これだけ厳しい状況でまともな外交など難しかっただろうと同情はするが、幕府側も大切な人員を急に職から外したり間違っていると分かっていながら意固地に進めたり、太一同様ガッカリすることも多く、これでは外国だけでなく薩摩や長州などからつけ入れられても仕方ないかという部分が多かった。
    そんな中抗う太一が憎めないのは、そうした『しくじり』の歴史をきちんと記し、外交において『してはならぬこと』を示し勝海舟に託したところ。
    何故公儀が外交に失敗し、引いては公儀自体が消滅することになったのか、それをきちんと評価したところ。

    物語は外国方の『しくじり』だけに終始したが、こうした太一らの努力があったからこそその後の建て直しもあったのだろうし、太一の外国方としての復帰もあったのだろう。分厚いページ数の割に公儀のやられっぱなしの物語なので痛快さはないが、何故か読後感は清々しい。渋沢栄一もチラッと出て来る。

    0
    2021年08月22日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    500ページ越えで長かったんですが読みにくくもなく、半日かけて読みました!主人公の田辺太一さんのことは知らなかったんですが、元々幕末が好きなのもあって、時代背景とかもするすると頭に入って面白かった。
    やはり、歴史が変わる瞬間というのは、どの立場でもどこか切なくて、胸が締め付けられる気がします。田辺さんの江戸弁が軽快で好きだった。わたしは平凡な人間なので、平三さんの気持ちがわかりすぎました。笑

    0
    2020年03月01日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    わたしはひどく歴史オンチで、誰が誰でなにしたのかさっぱりわからないので、驚くべきことを発見。


    土方歳三と、坂本龍馬ってなんとなーく似たような印象でよくわからんけど、二人とも同じか似たような感じの人だろうなーと、思ってた。

    この本読んで、全然違うやん!って自分に突っ込みいれそうになった。笑笑
    あーそうだそうだ、函館の人だ!と思ったし、坂本龍馬は 

    なんじゃきー

    とかの人かーあーそうかーそうかーって多分、あんまりわかってないけど、なんとなくわかりかけてきてた。

    土方歳三よりの本だもんで、榎本武揚が出てきて!この人!わたし本郷新の銅像探してわかなと歩いてるときに、結構でくわした!この人の像!!!!と、興奮した。↑今頃。
    なんだろなーなんか偉そうな、きっと偉い人?なのかなーわからんなーウマとか乗ってーいけてるーぅーとか思ってたら、歳三と一緒に来た人だったんだねー

    へー

    本郷新は知ってたけど、榎本武揚知らなかったよ。
    ↑彫刻家

    ホント、わたし、歴史弱いなぁ。なんだかなー何なんだかなーもう少しわかったら多少は面白いのかなー

    土方歳三と坂本龍馬の違いわかっただけでとてもためになったわ。うん。

    0
    2020年02月07日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     著者作品3冊目。良く知る時代を、意外な人物の視点から描く新聞連載小説(2017年2月~2018年7月)。
     同時期、朝刊の「ワカタケル」は毎日読んでいたが、こちらは見落としていた(気づいた時には話はずいぶん進んでいた)。

     馴染みのある幕末が舞台。開国に踏み切り世が乱れていく渦中に、「外国方」という今でいう外交官・書記官に登用されるいち家人田辺太一の半生を通じ、幕末から明治に至る激動を外交という視点で幕府側から描いた、かつてない新鮮な内容の作品。

     新鮮・・・。いや、外交という点を除けば、幕臣の立場から見た幕末、明治維新は手塚治虫著『陽だまりの樹』が思い出される。正直、本書を読んでいても、多くの場面で手塚の描く登場人物がそのまま脳裏に浮かんでいた。
     田辺太一こそ出てこなかったが、桜田門外の変のシーンや、老中阿部のぬらりとした顔、亜国駐日大使ハリス等々。本書ではキーパーソンの一人である、外国奉行の一人水野忠徳は、『陽だまり~』のほうでは下田玉泉寺でのハリスとの交渉で大汗を拭きながら言を左右にハリス一行の江戸入りを拒んでいた役人だったのだろうか。岩瀬忠震、小栗忠順も登場していたのかもしれない。改めて『陽だまりの樹』も読み返してみたくなった。

     さて、その『陽だまり~』では、いっさい登場しなかった田辺太一が主人公。この人物に光を当てたところが著者の目の付けどころの妙(と言うか、『陽だまり~』で手塚が、伊武谷万次郎という一介の御家人を主役に据えたのと同じ視点だ)。
     攘夷論渦巻く国内の世相と、欧米列強の開港・交易圧力という内憂外患の板挟みで、軸の定まらないご公儀の勤め人たる太一が、上記の水野や岩瀬、小栗と言った上司に鍛えられ、勝海舟、渋沢栄一らの知己を得て明治まで駆け抜ける成長譚。

     著者の真骨頂と言うか、存在感ある人物造形が光る。主人公田辺太一は、軸のブレない一本気な性格。それだけなら面白みに欠けるが、「緊張が極に達するとつい噺家らしい口調になってしまう」という味付けをする。会話にリズムが生まれ、上司相手に噺家然と語り掛けるものだからハラハラもするが、愛嬌も添えていて面白い。女好きで放蕩癖という点も描かれるが、これはどうやら実在の人物もそうだったようだ。
     同僚の福地、家族である兄孫次郎、その嫁ツヤ、嫁の己巳子ら周辺の登場人物も太一と存分に絡んできて幕末の生活感を見事に描き出している。

     そして、もう一人、エッヂを利かせた人物造形は、なんと言っても太一の生涯の上役となる水野忠徳であろう。吝嗇家で頑固、自分の筋を通しすぎて左遷もされ、外遊の機会も棒に振り、部下である太一に類が及ぶことも一度や二度ではない。序盤は徹底的に厭な上司として描かれる。太一による洋銀兌換の二朱銀の提案も、さも自分の発案かのように部下の手柄を掠め取っていくのだった。
     この上司が、生涯を通じ太一を導いていく立場になっていくとは想像だにできなかったが、こりゃ作者に一本とられたと思わされる点。思い返せば、『光炎の人』でも、主人公の音三郎と対峙する科学オタクの金海という男が、ヤな奴として描かれるのだが、実は彼の考え方に正義があったという描き方をしていた。作者のお得意の手法か。

     だからだろうか、読み終えて、付箋を付けた箇所を抜き出してみて気づくが、水野が太一を諭す箇所が一番多く出てくる。曰く、

    「前例を覆せばすなわち己が認められると考え違いをしておるゆえ、手に負えんのじゃ」

    これは外国奉行のトップを交替させられる折に後任者に対して太一に愚痴った言葉だが的を射ている。他にも水野が太一に語る人生訓は枚挙に遑ない。

    「誰にも認められずとも、己の信じることをやり遂げた者こそが、最後は功成り名を遂げるのだ」
    「仕事というのは忠心、忠義ばかりで行うものではない。上役だの公儀だののために尽くす、という考えももはや古い。(中略) なにより己のためだと考えたほうがよい」
    「そなたは公儀の家人よ。しかしだからといって、無私かつ忠誠であらねばならぬという法はない。いかに家人とて、駒のごとく使われてはならぬのじゃ」

     思うに、これは幕末の幕府閣僚を題材に、勤め人の心得を説いたビジネス書か?! 終身雇用、年功序列が崩壊し、企業と雇用者との新たな契約形態が模索される今の時代に投げかけられた処世の指南書のようでもある。
     変わり者水野をして、現代社会の逃げ腰とも言える部下の指導・教育姿勢にもチクリと物申す著者。

    「叱るには覚悟と労力が要る。つまり相手の面倒を見るという肝(はら)よ。対して褒めるのは、心なくとも甘言さえ吐いておけば済む」

     なにかあればパワハラだと騒がれる昨今。後輩、部下の面倒を見ると肝をくくって接することのなんと希薄になったことよ。自分の子どもに対してもそうだもの。こうした視点で描いたのは作者の手腕でもあり、掲載媒体(日本経済新聞)の性格、あるいは時代の求めか。編集者とも、そんな作品トーンの打ち合わせがあったのかもしれないとと思わさせる。

     こうして愛すべきヤな上司に鍛えられ成長していく組織人太一。本書で描いた時代の先に、岩倉遣欧使節として再渡欧、人生の花をいっそう咲かせる時代もあるが、そこまで描かない作者の割り切りは、これまで読んだ作品同様見事だ。事実を列挙する歴史小説ではないのだな、これは。そう思うと、尚更、本書の言わんとすることは何だったのかと、視線の角度が上向き加減からちょっと下がってきたりもするのだった。

     幕府の一家人の視点から描く、ちっちゃな話だなと、読み始めは思う(いや、読み終わってもか)。司馬遼太郎が高度経済成長期に『竜馬がゆく』で描く幕末とは、視点の違いだけでなく、トーンも明らかに異なる。
     竜馬に感化されて、ありもしないが未知だということを幸いに己の可能性を信じ大いなる大志を抱けた当時と比べ、今の時代にこの小説を読んで十代二十代の若者たちは何を思うのだろうか。
     己の分をわきまえて、与えられた場所で任務を全うすることの大切さだろうか? 親方日の丸で所属した組織に期待するな、組織を利用して己を高めよという教えか? 

     自分もちっちぇ勤め人渡世の終盤を迎えつつある身ながら、変に期待させない昨今のこの手の小説のトーンに時代を感じる今日この頃。寂・・・。

    0
    2019年12月09日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    思わぬことに出版直後の新刊が借りられ、続けざまに幕末を舞台にした歴史小説を読むことになりました。
    今度は木内昇さん、エンタメ寄りの佐藤さんよりはグッと重厚な感じです。
    揺らぐ幕藩制度という内憂を抱え、圧倒的な技術力を持つ諸外国と言う外患に立ち向かわざるを得なかった幕末の外交の姿という珍しい視点から描かれた歴史小説です。

    主人公は田辺太一という実在の徳川幕府の外交官僚です。攘夷を唱える諸藩の突き上げで揺れ動く幕府の政策、派閥的論理で次々に交代する外国奉行。そんな中で旗本の次男坊として生まれ、能力を買われて下位の見習いからスタートし、周りに振り回されながらもどこか一本筋が通った外交官僚・田辺太一の成長を描いて行きます。

    いきなり田辺の奔放ぶりに笑ってしまいます。田辺の良き理解者である兄と、遠慮容赦のない兄嫁とのやり取りも面白い。でも読み進めるうちにべらんべえで破天荒な田辺の中にある真面目で一本気な姿が見えてきます。田辺を取り巻く狷介で皮肉屋なくせに実は面倒見の良い上司の水野、要領の良い同僚の福地(桜痴)、渋沢栄一、小栗忠順、勝海舟。次月に錚々たるメンバーが登場します。これも面白い。
    ただね、常に誰かの下で働く田辺が主人公の物語のため、厚み(550ページ)の割にやや小ぶりにまとまってしまった気もします。

    0
    2019年09月20日
  • みちくさ道中

    Posted by ブクログ

    小説でも思ってたけど男っぽい人だなー
    読んでて安心する

    確かに。この人の小説は
    書いた人が存在することを忘れてしまう。

    もっと読みたいし、みんなに薦めたい

    0
    2019年09月08日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    不思議な世界に入り込んでしまう小説でした。
    ポン太不気味だなーぁ
    と思ってたらなんとなんと。
    また読み返したい。

    0
    2019年02月23日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    明治維新時の表舞台で活躍した志士の話とは異なり、世相が攘夷と叫ばれていた中で、裏方として異国行使と対峙して困難な交渉や折衝役を務めた外国局の苦労話を知ることができた。外国奉行が言った「勤める上で大事なのは、己の内に心棒を持つこと」が伝わる話だった。

    0
    2026年01月17日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女の生きる道が、嫁して子をなし家を守ることあたりまえだった時代、女の道を外れて櫛挽きの業を極める登勢。黙して語らず、櫛挽く姿ですべてを教える父吾助。古い伝統を守ることにとどまらず、広い視野で次の世を見据え櫛挽きの道に新しい風を入れる実幸。誰もが生き生きと描かれている。
    数々の障壁をものともせず、櫛挽きの道を邁進する登勢の強さには恐れ入るが、実幸に対する醜いまでの反発心を見るにつけ、そうまで頑迷にならなくてもと辟易。さらに、源次への心の揺れまでも心にストンとは降りてこず、ますます実幸ひいきになりながら読み進める。
    主人公の登勢に肩入れできなかったことが、この作品を読む上での敗因だった。
    それでも、反発し合った妹喜和との互いを思いやるシーンやラストの直助の絵草紙を朗読するあたりは心に染みて、ここまで読んできてよかった!と思った。
    ただ、幕末のあたりの歴史的背景に全く不案内なので、その辺は読み飛ばしていたのが、もったいなかったかな~。。。

    0
    2018年01月27日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    これを読む少し前に「江戸開城」を読んだので、その時代背景を読み解くにはちょうど良かった。
    二百何十年続いた大平の世が終わり、刀を捨てたお侍さん達の混乱は想像を絶する。内容とは少しかけ離れそういう事に思いを馳せてしまった。

    今後日本人が経験する事は無いであろう最大級の革命、クーデター、大事件の爪跡の残る東京、根津遊郭の風景が頭に浮かぶ。それはとても暗くどんよりしていて下町の活気、風情などとはほど遠いゴーストタウンのようなものだったのではないだろうか。妓も、客も、廓で働く人たちも、なんだか誰もが腹の底から笑うような事もなく蜉蝣のように生きている様が浮かんでしまい、読むのが辛かった。
    最底辺の仕事に就き住む家もお金も家族も無い定九郎であるが、きっとあのままずーっと暗い地下道を歩くような人生なのだろうなぁと思い、暗くなった。 今オカスな事だらけの 世の中だけど、時流れて、良い時代になったなぁ。なんて思ったりもした。

    0
    2016年09月27日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    武士の家系に産まれたがら、現在は遊廓の客引きをしてる定九郎。遊廓が時代の流れに漂い、将来の希望も見出せないやる気のない彼と、周りの人たちもまた、それぞれの人生を背負っている。

    0
    2016年04月29日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ………霧が晴れるまでが、長い!!
    小野菊のくだりは何となく察しがついてたから、そこに至るまでの定九郎のもやもやグズグズが長いこと、長いこと!
    最後に収束するにしては、それまでの鬱屈とした流れが……これでもか、これでもか、で、正直自分の中では綺麗に瓦解しなかった。はっきりしないことも多かったし。しんどかったー。

    0
    2016年02月27日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2016/2/3
    いやーがんばった。私。
    なぜこのジャンルに手を出したのか。
    歴史モノはダメなんだ。苦手なんだ。
    9割方読んだところでやっと入り込めた。
    「幕末 簡単に」とか検索した。努力した。
    史実は知らないけどこの時代の若者の群像劇としては普通に楽しめた。
    昔の人はすごいな。二十歳そこそこでこんなことやっちゃうんだ。
    病床の沖田に接する土方がせつない。
    他にも色々、土方はせつない。
    人気あるのもわかる。
    でも私は斉藤一を贔屓にしよう。
    新撰組も幕末も良く知らないけどとりあえず。

    0
    2016年02月03日