木内昇のレビュー一覧

  • 万波を翔る

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    大河ドラマ『青天を衝け』のパリ万博シーンで、見事薩摩藩に出し抜かれて悔しがっていた印象しかなかった外国奉行支配役・田辺太一を主人公に、幕末から明治を外交という目線で描く。

    幕末ものなのに物騒な戦争シーンは殆ど出て来ない。しかしこれは紛れもなく外国との戦争の物語であり、しかも負け戦ばかりの物語でもあった。
    何しろ日本はそれまで二百年以上、外国とまともな交渉などしてこなかったのだ。逆にアメリカ、イギリス、フランスなどの大国は強大な武力と強かな交渉術で日本を食い物にしようとしている。
    なのに日本は公儀と天朝との足並みが揃わないだけでなく、攘夷派だの開国派だのの横槍に加え薩摩藩や長州藩が勝手に外国と

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    2021年08月22日
  • 万波を翔る

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    500ページ越えで長かったんですが読みにくくもなく、半日かけて読みました!主人公の田辺太一さんのことは知らなかったんですが、元々幕末が好きなのもあって、時代背景とかもするすると頭に入って面白かった。
    やはり、歴史が変わる瞬間というのは、どの立場でもどこか切なくて、胸が締め付けられる気がします。田辺さんの江戸弁が軽快で好きだった。わたしは平凡な人間なので、平三さんの気持ちがわかりすぎました。笑

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    2020年03月01日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    わたしはひどく歴史オンチで、誰が誰でなにしたのかさっぱりわからないので、驚くべきことを発見。


    土方歳三と、坂本龍馬ってなんとなーく似たような印象でよくわからんけど、二人とも同じか似たような感じの人だろうなーと、思ってた。

    この本読んで、全然違うやん!って自分に突っ込みいれそうになった。笑笑
    あーそうだそうだ、函館の人だ!と思ったし、坂本龍馬は 

    なんじゃきー

    とかの人かーあーそうかーそうかーって多分、あんまりわかってないけど、なんとなくわかりかけてきてた。

    土方歳三よりの本だもんで、榎本武揚が出てきて!この人!わたし本郷新の銅像探してわかなと歩いてるときに、結構でくわした!この人の

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    2020年02月07日
  • 万波を翔る

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    ネタバレ

     著者作品3冊目。良く知る時代を、意外な人物の視点から描く新聞連載小説(2017年2月~2018年7月)。
     同時期、朝刊の「ワカタケル」は毎日読んでいたが、こちらは見落としていた(気づいた時には話はずいぶん進んでいた)。

     馴染みのある幕末が舞台。開国に踏み切り世が乱れていく渦中に、「外国方」という今でいう外交官・書記官に登用されるいち家人田辺太一の半生を通じ、幕末から明治に至る激動を外交という視点で幕府側から描いた、かつてない新鮮な内容の作品。

     新鮮・・・。いや、外交という点を除けば、幕臣の立場から見た幕末、明治維新は手塚治虫著『陽だまりの樹』が思い出される。正直、本書を読んでいても

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    2019年12月09日
  • 万波を翔る

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    思わぬことに出版直後の新刊が借りられ、続けざまに幕末を舞台にした歴史小説を読むことになりました。
    今度は木内昇さん、エンタメ寄りの佐藤さんよりはグッと重厚な感じです。
    揺らぐ幕藩制度という内憂を抱え、圧倒的な技術力を持つ諸外国と言う外患に立ち向かわざるを得なかった幕末の外交の姿という珍しい視点から描かれた歴史小説です。

    主人公は田辺太一という実在の徳川幕府の外交官僚です。攘夷を唱える諸藩の突き上げで揺れ動く幕府の政策、派閥的論理で次々に交代する外国奉行。そんな中で旗本の次男坊として生まれ、能力を買われて下位の見習いからスタートし、周りに振り回されながらもどこか一本筋が通った外交官僚・田辺太一

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    2019年09月20日
  • みちくさ道中

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    小説でも思ってたけど男っぽい人だなー
    読んでて安心する

    確かに。この人の小説は
    書いた人が存在することを忘れてしまう。

    もっと読みたいし、みんなに薦めたい

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    2019年09月08日
  • 漂砂のうたう

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    不思議な世界に入り込んでしまう小説でした。
    ポン太不気味だなーぁ
    と思ってたらなんとなんと。
    また読み返したい。

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    2019年02月23日
  • 櫛挽道守

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    ネタバレ

    女の生きる道が、嫁して子をなし家を守ることあたりまえだった時代、女の道を外れて櫛挽きの業を極める登勢。黙して語らず、櫛挽く姿ですべてを教える父吾助。古い伝統を守ることにとどまらず、広い視野で次の世を見据え櫛挽きの道に新しい風を入れる実幸。誰もが生き生きと描かれている。
    数々の障壁をものともせず、櫛挽きの道を邁進する登勢の強さには恐れ入るが、実幸に対する醜いまでの反発心を見るにつけ、そうまで頑迷にならなくてもと辟易。さらに、源次への心の揺れまでも心にストンとは降りてこず、ますます実幸ひいきになりながら読み進める。
    主人公の登勢に肩入れできなかったことが、この作品を読む上での敗因だった。
    それでも

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    2018年01月27日
  • 櫛挽道守

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    読むのに時間がかかってしまった。
    幕末頃の中山道にある村の話。
    この頃の女性は生きにくかったのだろうなと思う。
    すべては家のため。子育てに家事に家のために尽くすのが当たり前だった時代に櫛挽に魅せられ他者と違う道を選ぶ登勢は立派というか歯がゆいというか。
    最後はなんとなく家族の形も出来て良かった。

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    2016年12月06日
  • 漂砂のうたう

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    これを読む少し前に「江戸開城」を読んだので、その時代背景を読み解くにはちょうど良かった。
    二百何十年続いた大平の世が終わり、刀を捨てたお侍さん達の混乱は想像を絶する。内容とは少しかけ離れそういう事に思いを馳せてしまった。

    今後日本人が経験する事は無いであろう最大級の革命、クーデター、大事件の爪跡の残る東京、根津遊郭の風景が頭に浮かぶ。それはとても暗くどんよりしていて下町の活気、風情などとはほど遠いゴーストタウンのようなものだったのではないだろうか。妓も、客も、廓で働く人たちも、なんだか誰もが腹の底から笑うような事もなく蜉蝣

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    2016年09月27日
  • 漂砂のうたう

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    武士の家系に産まれたがら、現在は遊廓の客引きをしてる定九郎。遊廓が時代の流れに漂い、将来の希望も見出せないやる気のない彼と、周りの人たちもまた、それぞれの人生を背負っている。

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    2016年04月29日
  • 漂砂のうたう

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    ネタバレ

    ………霧が晴れるまでが、長い!!
    小野菊のくだりは何となく察しがついてたから、そこに至るまでの定九郎のもやもやグズグズが長いこと、長いこと!
    最後に収束するにしては、それまでの鬱屈とした流れが……これでもか、これでもか、で、正直自分の中では綺麗に瓦解しなかった。はっきりしないことも多かったし。しんどかったー。

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    2016年02月27日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    ネタバレ

    2016/2/3
    いやーがんばった。私。
    なぜこのジャンルに手を出したのか。
    歴史モノはダメなんだ。苦手なんだ。
    9割方読んだところでやっと入り込めた。
    「幕末 簡単に」とか検索した。努力した。
    史実は知らないけどこの時代の若者の群像劇としては普通に楽しめた。
    昔の人はすごいな。二十歳そこそこでこんなことやっちゃうんだ。
    病床の沖田に接する土方がせつない。
    他にも色々、土方はせつない。
    人気あるのもわかる。
    でも私は斉藤一を贔屓にしよう。
    新撰組も幕末も良く知らないけどとりあえず。

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    2016年02月03日
  • 漂砂のうたう

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    明治維新後、根津の遊郭で働く元武家という身分を隠して働く定九郎。
    時代に取り残され仕事に身を入れずただ流される日々を過ごすなかで定九郎は何を見出すのか・・・

    前半は読み進まないが後半は一気によめる。

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    2015年11月23日
  • 漂砂のうたう

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    籠の鳥とは、身体のことか、心のことか。

    明治維新の頃の根津遊廓が舞台。時代はわかるけど、根津の遊廓のことは全然知らなくて、もっといえば廓のことは雰囲気しか知らなかったので、最初はちょっと難しかった。でも、読みとおせた。主人公の定九郎は、かっこいいというより心の弱さを見ているみたいで見たくない、かっこよくない。ここから逃げたい、でも逃げられない、逃げられなくても心は自由とは、そんなテーマ。

    泥の中に身を置きながら、美しい小野菊。小野菊の強さ、美しさは、どんな悪意に晒されていても揺るがない。出られないのは、龍造も同じで、彼もまた揺るがない人。神出鬼没のマイペース、噺家の弟子のポン太。最初はこの

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    2015年09月14日
  • 漂砂のうたう

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    中盤までは主人公に肩入れできず、読み進めるのが辛かった。新時代を受け入れる事も出来ず、かと言って逆行して新政府と戦う勇気もなく、今いる場所で努力することもせず、常に自分の居場所はここじゃないと逃げることを考えている主人公。でも結局今まで生きていた自分の証みたいなのは癖となって消そうと思っても消えないんだね。それが分かった時の感じは哀しいような…何とも言えない。
    文章はきれいで好きなんだけど、キャラクターが好きになれなくて残念でした。

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    2015年06月07日
  • 漂砂のうたう

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    木内昇さんの作品では、最初に読んだ『茗荷谷の猫』が結構良かったので買ってみた。重苦しい展開で、途中読むのがつらくなることがあったが、次にどうなるかが気になって、どうにか最後まで読み通せた。

    いろいろとクセのある登場人物が多く、けっして心安らぐストーリーとは言い難かった。しかし、最後まで読んでみると、この作品を通して作者が伝えたかったことがよくわかったし、さまざまな登場人物の役割もそのためにあったのだと納得できた。

    物語終盤の大団円が、それまでの読みづらさを打ち消して、爽やかな気持ちに持って行ってくれたのが救いだった。

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    2015年03月19日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    文庫の厚みにひるみつつ、電車内で少しずつ読んでようやく読破。
    新選組の話ですが、御陵衛士や幹部ではない人物が中心。伊東や土方も出てきますが、その下からの視点で、人や時代に翻弄される中での考えや生き方が新選組大筋の流れとはまた違います。「幕末の青嵐」など、新選組側の本を先に読んであると、どれが正しいとかではないのだと考えてしまいます。
    監察方の尾形、新選組でも御陵衛士にいても何かが無く、何かを求めている阿部に気を惹かれました。山崎もいい味を出していています。

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    2015年03月07日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新撰組にあっていわば脇役的な立場の浪士に主眼を置いて描いた歴史小説。作中の人々の熱い思いが錯綜し、幕末史好きにはたまらない趣向だろうが、多すぎる登場人物についていくのがやっとだった。

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    2015年01月11日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新撰組の隊士たちからの目線の物語
    かなりこの時代の小説を読みまくって
    だんだん幕末がこんな顛末に転がって
    いったのが理解できているが、同時に
    特定の人間がにくくなる
    こんな、ちいさな組織の人間模様ぐらいが
    罪なくていいかも

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    2013年05月12日