木内昇のレビュー一覧

  • 櫛挽道守

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    木内昇『櫛挽道守』集英社文庫。第8回親鸞賞 、第27回柴田錬三郎賞 、第9回中央公論文芸賞の三冠受賞作。

    それほど素晴らしい小説とは思わなかったのは、エンターテイメントの要素が全く無い時代小説のためだろうか。時代に逆らいながらも自らの道を進む女性の姿を描いた小説に高田郁の『みをつくし料理帖』があるが、それに比べれば物足りなさを感じた。勿論、各種文学賞の受賞と面白さは決して比例するものではないということは承知しているのだが。

    幕末の木曽山中を舞台に描かれる家族の物語。寡黙で愚直な櫛挽職人の父親、古い習慣の奴隷であり続ける母親、才能を開花させる前に急逝した弟、古い習慣から逃れることを夢見る妹…

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    2016年12月30日
  • 漂砂のうたう

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    元武士の身分を隠し、遊郭の門番を勤める定九郎、看板花魁の小野菊。得体の知れない不気味な落語家ポン太。
    木内ワールド。

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    2016年07月21日
  • 漂砂のうたう

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    ネタバレ

    読み終わって、ストーリーを思い出し追ってみても
    起承転結、驚きの展開、心踊る出来事などはなく
    淡々と進んでいったような気がする
    それでも、この小説の世界に静かにずぶずぶと浸り
    なんとも言えない世界観に酔って読み終わる
    浮かれたところも、落ち込み過ぎるところもなく
    不思議な出来事も、すんなりと受け入れて
    小説という架空の世界を経験する醍醐味にひたった時間

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    2015年07月30日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    「新選組」という舞台装置で、弱きヒトの葛藤と苦悩をえがく人間ドラマを儚き筆致で堪能できました。
    この作家の個性とも言うべき味なんでしょうが、どこかしらのハカナサみたいなものがあると思えまして。この小説の場合特に、ひたすらに男ばかりのお話を、書いているのが女性と言う異化作用も理由なのかなあ、と。
    決して悪い意味ではなく、素敵な読書でした。

    「茗荷谷の猫」「櫛引道守」がどちらも大変に面白かったので、引き続いて木内昇さん三昧。
    木内さんには新選組を舞台に「新選組 幕末の青嵐」という小説もあります。
    「青嵐」の方が、新選組有名幹部のお話だそうです。この「地虫」の方は、同じ新選組でもより泡沫隊員を主人

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    2015年04月22日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    この作者の『幕末の青嵐』が表の話ならこっちはまさに裏の話といった感じ。

    近藤・土方・沖田など通常メインでもってこられる方々が脇役で、今回の主役は阿部十郎・篠原泰之進・尾形俊太郎の三人。
    新撰組小説だとだいたいそんなにページを割いてもらえない伊東甲子太郎一派がメインという感じ。

    とにかく人物の心理描写が凄くて時に読んでて辛くなる。
    特に阿部さんの気持ちはわかるところが多かったので辛かった。

    新撰組が好きな人にはぜひおすすめしたいですが、伊東甲子太郎が入隊~暗殺されるまでがメインのためある程度は新撰組について知ってないと理解しづらいとこもありそうなので、何冊か既に新撰組関連の本を読んでる方に

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    2014年06月14日
  • 漂砂のうたう

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    最初の100ページあたりは正直言って退屈だった。
    この作者の本は、別の短編集でもスロースターターだったなあ…
    途中から伝奇物の様相を呈するけれど、夢が覚めてみれば、明るい空の下であった…ような。
    途中、世相を映して、西南の役の様子が語られる。
    西郷の最後の言葉「もうここらでよか」
    明治の時代に乗りきれなかった人の象徴なのだろう。
    ここを乗り切ったからといって、決していい時代には進まないことを、後の世を生きる私たちは知っているけれど、主人公にはこの先、地に足をつけて生きて欲しいと願うのだ。

    巻末に紹介されていて初めてわかったけれど、表紙の絵は、小村雪岱でした。
    この絵ではないけれど、埼玉県立近

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    2016年05月22日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組のマイナーどころの回想記。
    例によって、語り部が複数人で代わっていく。
    幕末の激動の時代を、主役になれない人間たちの立場で経験するという、やはり一風変わった趣。
    どちらかというと、一般人としては共感できるところが多いかも。
    逡巡しながらも、何もなし得なくても、全力で生きた人生がそこにある。

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    2012年12月22日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組のメインでは無い人物3人からの視点。何のために存在しているのか。何も無いのか。それでも目の前を信じ働く姿が印象に残る。重く、ズシンとくる本だった。

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    2012年12月05日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    木内さんの「幕末の青嵐」とあわせて読みましたが、また違う視点から新撰組が描かれてて、一気に読んでしまいました!頭が良いのにどこかとぼけて憎めない尾形俊太郎とスパイ役の飄々としてる山崎の掛け合いが笑えた。ずっと救われない阿部を何かと気にかけてる斎藤一も良かった。大きな戦の前にも関わらず、永倉と原田が相撲を始め、それをニヤニヤしながら離れて見る斎藤、それを更に遠くから眺めてる土方、尾形、山崎の図がまさにそれぞれの個性や人間関係を表していて、微笑ましかったです。

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    2011年10月19日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組主要メンバーから外れた陰の隊士達にスポットをあてた話し。
    彼ら自身の生き様、また彼らから見た土方や近藤像や、伊東像などが描かれていて、非常に面白かった。

    読んでいておもしろおかしい訳でもないし、どちらかというと屈折してるわ、思い詰めてるわ・・・・こちらまで気鬱になりそうなところも多々なのに、読後感は存外に爽やか。

    飄々と大阪弁をまくしたてる山崎さんが素敵だったわ♪

    ほんで、初めて伊東甲子太郎の死に切ないものを感じた・・・

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    2011年09月21日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    尾形俊太郎、阿部十郎、篠原泰之進が主人公。激動の幕末にありながら「人に動かされる側」の彼らの目から見た、新選組と歴史の行方。

    主人公がマニアックなだけに色物系かと思いきや、なかなか骨太で正統派の小説でした。派閥の中心に属さない人の目線、っていうのが生きてたと思う。阿部の夢も希望も無いただただ卑屈な行動は読んでいるこっちまで滅入ってしまったけど、それも含めて生々しい人間というものを見せてもらった、という感じ。

    伊東甲子太郎の生き様が特に格好良く描かれているので、御陵衛士好きに、また逆に試衛館派にもお薦めしたい。

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    2011年09月18日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    視点をくるくると変えつつ独白で綴る新撰組は初めて読んだ。斎藤一の造形がすこしありきたりな感じだが、資料も無く、やむをえまい。

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    2018年10月14日
  • きみがなきあと

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    幕末。望東尼という一人の尼がいた。がっつり歴史物だったので、歴史物苦手な自分は読み進めるのに苦戦した。

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    2026年05月18日
  • 惣十郎浮世始末

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    読み終わるまで長かった…。人情物の捕物帖な長編時代小説。わたしが求めるところの木内さんじゃなかったのだけれど、人の心の機微の描かれ方が木内さんなのかなと。マイルドに。途中間怠く感じたけど、丁度そのくらいで話が進む感じだったので読み切れてよかった。

    個人的には★3くらいなんだけども、読み終えて振り返れば登場人物と空気感が悪くなかったな〜思うので、続編は惣十郎もっと愚痴りが激しくなってもいいと思う。

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    2026年05月18日
  • 雪夢往来

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    江戸後期のベストセラー、越後の雪国を描いた「北越雪譜」と、その作者鈴木牧之、当時の戯作者山東京伝、京山、曲亭馬琴らに取材した歴史フィクション。想像していた話とはちょっと違ったのだが、現代の小説家にも通じる、「書く」ことの意義、魅力、狂気を描いて読ませる。

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    2026年04月22日
  • 奇のくに風土記

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    タイトルが”奇のくに”とあったのでなんとなく読んでみたらやっぱり和歌山が舞台の話。馴染みの名前も登場し楽しく読めた。子供の頃、自然にある植物や魚に興味を持って楽しんでいた人に読んでもらいたいなあ

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    2026年04月09日
  • かたばみ

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    過去に読んだ事があるような話しの内容だが、親子のあり方 それを取り巻く人間模様 微笑ましくてなによりであった。
    産みの親より育ての親
    遠い親戚より近くの他人
    親の愛情
    母の愛は、海より深く 父の愛は、山より高し
    当たり前のようで当たり前ではない

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    2026年04月08日
  • 漂砂のうたう

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    終始ひっそりした雰囲気の本だった。ポン太が薄気味悪く読みながら主人公と一緒に毎回出現に驚いた。装画に心当たりがあるなーと思ったら小村雪岱なんですね。雰囲気が中身と合ってる。

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    2026年03月27日
  • 漂砂のうたう

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    根津遊郭を舞台に、維新後の没落士族の底を這うように生きる姿を描いた一冊。
    悲哀なのか堕落なのか、それとも諦観なのか、のんとも言えない暗く靄のかかったような空気感が、妙に惹きつけてくる。

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    2026年02月17日
  • 万波を翔る

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    『交易がはじまるというのは、この国の景色が変わるということなのだ』
    幕末のこの時代に、英語も話せない太一が、外国局勤めとなり、外交を行なっていく。
    そして関わる人々がする助言が考えさせられます。

    『批難する暇があるならば、代案を考えることじゃ』
    堀が、文句を言う太一に言った言葉

    「他に認められたい、褒められたいと思うことは馬力にはなるが、そこを目指してはならぬ」
    「誰に認められずとも、己の信ずることをやり遂げた者こそが、最後は功成り名遂げるのだ」
    「みなまで言わぬとわからんような者は、結局、みなまで言ったところでわからんのじゃ」
    水野が太一に厳しく言うことも納得。

    「無理かもしれぬと思う

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    2026年01月30日