木内昇のレビュー一覧
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去年の大河を見始め、ズブズブとのめり込んだ。
非現実なほどの人物考証が面白く、次jから次へとネットに流される情報を追い続け、些か反省・・NHKの手玉に乗った感ありありで。
元々好きな戯作本の世界、だからこそ、大河はとは全く距離を「大好きな木内さん」の情感の川を泳いだ。
10年ほど前 巻機から苗場、八海山、北信五岳、越後三山と歩いて越後の魅力にぞっこんとなった記憶もある。
天保の飢饉に向かうこの時期、蔦重は既に二代目。
塩澤紬仲買人の儀三次はふるさと越後を知ってほしいとの思いが募り書き始めた雪話で話が始まる。
江戸期の巨星、山東京伝、十返舎一九、そして馬琴という波に翻弄され続けた四〇年は「 -
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ネタバレ新刊紹介の評判がよくて購入したのが昨年7月。少し読んで擱いてしまった。話の流れについていけなかったのと、町医者・口鳥梨春がありえないぐらいの善人だったからだろう。興ざめしてしまいそのままにしたように思う。
今回、急に入院することになってしまい、いくつかの本を持ってきた。気になっていたこの本もその一つ。コロナ禍で大変だった世情を反映してか江戸末期の天然痘が主題として取り上げられているが、蘭学医と漢方医の攻防などが描かれていておもしろかった。また、今でいう認知症の症状をあらわす登場人物もあり時代小説もその時代の影響を大きくうける現代小説なんだなとあらためて思った。
木内昇の小説を読むのはたしか初め -
Posted by ブクログ
大政奉還、明治維新、そこから10年。根津遊郭の美仙楼(心淋し川のご近所でしょうか)の立番となり、客引きをする男は、元御家人、定九郎。出自を百姓と偽り、今の仕事に流れ着いた。日本の変化に取り残された男と、自由は名ばかりの遊郭の女達。
明治維新の主役とはなれなかった人たちを取り上げて、自由という言葉だけが先走る空虚な日々。
定九郎が、ずーっとふわふわしているので、物語もふわふわしてる。行きどころの無い、遊郭の女達の覚悟した雰囲気との対比で、その不甲斐なさが際立つ。武士がその立場を失った当時が偲ばれる。
情景とか歴史感はとてもしっくりと読めるのだけれど、所々に挟む「学問のすすめ」や「自由民権運動」が