木内昇のレビュー一覧

  • 惣十郎浮世始末

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    「この感想をご覧の方々、この本をそこいらの時代小説といっしょにされちゃあ困っちまうぜ。そう思わねぇか、完治」と、同意を求める主人公惣十郎。
    「わっちも含めて個性豊かで人情味あふれる登場人物が読み手にとっちゃあ面白さこの上なしに仕上がってますぜ」完治もまたそれに従う。
    そんな二人を横目に佐吉は「さっき書肆を覗いたんですがね、売り切れ御免入荷待ちってなぁ札が貼られて驚いたぁ次第で」

    という感じで江戸の言葉で本作は綴られて、最後まで読み飽きさせない。
    北町奉行所定町廻同心の服部惣十郎が、取り巻きの完治と与助、佐吉と共に巻き起こる怪事件を次々と解決に導く、いわばミステリー要素も含んだ捕物帖なのである

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    2025年02月12日
  • かたばみ

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    深く感動した。物凄く良かった。
    スポーツに挫折した女性の物語のようで、先生と生徒の物語のようで、戦争という恐ろしいものに振り回される人たちの物語のようで、苦しい時代にも助け合い希望を見出す物語のようで、家族の物語のようで、でも私は権蔵さんの成長物語だと感じました。
    特に素晴らしいのは、随所に名言が出てくる点。もう本当に沢山良い言葉が出てきます。ハッとさせられますし、ときどき感動で目頭が熱くなります。
    特に子育て世代の方々は真っすぐに射抜かれるかと。
    人生との向き合い方というか、在り方のヒントを貰いました。
    良書。

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    2025年02月12日
  • 惣十郎浮世始末

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    ネタバレ

    お江戸人情捕物噺…鬼平犯科帳等あまたの傑作を生んだジャンルで、最早出尽くしていると毎度毎度思いつつ、このジャンルからまたしてもとんでもない傑作が生まれた。

    まずキャラクター設定が、とにかく絶妙に上手い。シリーズ物で何作も出てきたような個性の味付けを最初からきっちり纏わせるのは相当な力量だと思うのだが、主要登場人物だけでなく結構な端役にまで、その個性を間とさせているのだからすごい。

    と書くと、キャラの魅力で読ませる小説かのようだが、それだけではない、ストーリー構成も抜群に上手いのだ
    薬問屋の火事に始まる物語は、霊感商法詐欺事件などいくつかの事件を解決していく描写を追いかけていくうちに、当時で

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    2025年02月08日
  • 雪夢往来

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    刊行を夢みて執筆を続ける鈴木牧之。夢叶うまで40年。我慢強く、諦めない彼の執念に感心するも、やきもきが続く。江戸で活躍中の山東京伝や十辺舎一九らとの交流は微笑ましいが、粘着質な滝沢馬琴の偏屈極まりない人格に辟易。越後の『雪話』が一冊の本になるまでの過程を丁寧に描く著者の妙味に感服。

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    2025年01月29日
  • 雪夢往来

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    江戸時代、越後の鈴木牧之が地元の雪や生活の様子を書いて書物になるまでの長い長いお話。
    巻末の装画の記載を目にして鳥肌がたった。ずっと気がつかなかった。牧之さん、本当によかったね。

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    2025年01月25日
  • 雪夢往来

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    おもしろかった。
    一気読みでした。
    木内昇さんの新刊なので
    迷いなく手にした一冊。

    刊行するまで40年を要した
    『北越雪譜』
    ー江戸の人々に雪国の風物や綺談を教えたいー
    鈴木牧之はその思いを胸に諦めず書き続けた。

    『北越雪譜』
    勉強不足でどのような物か知らなかった。
    それにしても、しつこく書き続け
    刊行に漕ぎつけた鈴木牧之には頭が下がる。

    天才肌の戯作者・山東京伝。
    反対に努力型の曲亭馬琴。
    その対比もおもしろく、当時の出版業界の様子を知ることもできる。
    木内さんのおかげでまた世界が広がった。

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    2025年01月26日
  • 櫛挽道守

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    初めての木内昇さんの作品。なんと静謐な文章でしょう。読後、じんわりと世界観に浸ってしまいました。

    物語は、幕末の木曽路薮原宿。木曽路では奈良井宿が有名ですが、奈良井宿の隣の「お六櫛」の生産で有名な宿です。主人公はそのお六櫛を代々作る家に生まれた少女の登瀬。登瀬の父は神業の技術を持つ、超寡黙な櫛引職人。でも、その技を引き継ぐのは男子のみ。木曽路の山中で、ずっと男子が継いできた技なのです。
    が、登瀬は女でありながら、父の神業の技術を継ぎたいと精進を重ねていく話です。
    当然、周囲の村人はもちろん、家族の母も妹からも理解を得ることは難しい。そんな中で、父ちゃんが寡黙な中で登瀬を守るんです。もう父ちゃ

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    2025年01月16日
  • かたばみ

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    悌子先生、権蔵、茂生、ケイ婆さん。出てくる人たちがみんないい。
    戦争を経ながらやりたい事を探して一生懸命生きていたんだな。
    権蔵の不器用だけどまっすぐな優しさに癒され、悌子の怪力に笑えた日々でした。

    清太は大丈夫。立派な大人になるのは間違いない。題を「かたばみ」にしたセンス。中津川家の益々の繁栄を願っております。

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    2025年01月12日
  • 雪夢往来

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    物語は蔦屋重三郎の死後、山東京伝や曲亭馬琴などの戯作者が活躍している江戸後期時期。京伝は押しも押されぬ人気作家であり、馬琴は『南総里見八犬伝』の執筆を始めようかという時期。

    当時の新潟といえば、江戸からしてみれば未知の国。豪雪地帯での暮らしなど想像もつかない。さらに鈴木牧之が物語ではない、現(うつつ)であると語っている奇譚。送られてくる物語に惹かれた京伝は、出版を試みるが、実績のない書き手であるので、伝手のある出版社は何色を示すばかり。京伝の死後は、馬琴が引き受けたかに見えたが・・・。

    内容についてはここで書けないが、いやもう、読んでいて儀三治(鈴木牧之)の胸の内を図ると、如何ともし難い心

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    2025年01月12日
  • 占(新潮文庫)

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    ネタバレ

    占いをテーマに大正時代を舞台にした女性特有の悩みや苦しみ、欲求を描いた7編。

    女性心理の描写がうますぎて読みながら色んな感情が巡りました。たまにそれぞれのお話が繋がったりもしていてとても面白い。どのお話も重暗すぎる悩みのお話では無いところが個人的には良かったです。

    ・時追町のトい家
    自立した女性が恋に悩み占いにハマる話。
    占いにハマっていくさまがリアル。占ってもらった結果をまとめて統計しようとしてるところが桐子さんの人柄が出てて面白い。ただ、そんな男早く切ってしまえばいいのにと何度も思ってしまうくらい、桐子さんが惹かれて、縁を切れなくなった男性に一切魅力を感じなかった…

    ・山伏村の千里眼

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    2024年12月24日
  • 櫛挽道守

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    第9回中央公論文芸賞
    第27回柴田錬三郎賞
    第8回親鸞賞

    じんわりと胸が熱くなって泣きました。
    木内昇さんの作品は『かたばみ』に続く2作目で、同じようにストーリーの派手さはなく、積み重ねてきた日々の尊さや人の思いなどがじっくり心に沁みてきて感動をさそうところに同じものを感じました。
    心理描写が素晴らしく、家族それぞれの想いが丁寧に描かれています。特に村の暮らししか知らず、変わり映えのない毎日に鬱々とする登瀬や喜和の心情は苦しくなるくらいに伝わってきました。
    そして登瀬が櫛職人としてのめり込んでいく様子や、理解して肯定してくれる父親の姿がとても素敵です。
    いけ好かない印象の実幸もまた登瀬を肯定

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    2024年12月20日
  • 惣十郎浮世始末

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     これはもうしみじみと旨いと言える。瑕瑾といえば、惣十郎を、もうちょい女ごころが分かるようにしてやってくれれば。
     話の落ち着く先は、決して無理はなく。ミステリーのランキングなんかには入れては欲しくないくらいの、心の移ろい。

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    2024年11月06日
  • 惣十郎浮世始末

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    これも新聞小説だと知って驚いた。
    新聞小説「かたばみ」が書籍として発行されたばかりなのに、次の新聞小説を執筆していたとは。
    一体どれだけの引き出しとパワーをもっているのか。恐るべし木内昇。

    苦手な時代小説ではあるが、木内昇ならきっと面白いに違いないと思った。
    予想通り。
    続きが気になって、ほんの少しの隙間時間にも没頭した。

    これはテレビドラマになるに違いない。NHKですよね、きっと笑

    ところどころに披露される人間観、なるほどね、と納得することばかり。木内昇だから、鋭くイヤミがない。そして右往左往する人を肯定する懐の大きさ。それが上から目線でないところがまたいい。
    江戸が舞台でも、現代社会

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    2024年10月02日
  • 万波を翔る

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    読み応えあり。
    鎖国と開国、怒涛の時代だったんだろうと思う。
    歴史物でもあるので、今の日本の礎になっているんだなと当時の人達の尽力に想いを馳せながら読みました。
    主人公が己の芯を貫き仕事にあたる姿勢は尊敬する。

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    2024年09月29日
  • 火影に咲く

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    火影に咲く、灯火そのものではなくて、その影で咲くというニュアンスのタイトルの通り、幕末に登場する偉人の影にいた人達の話し。

    最後の中村半次郎の話しなんかは胸が詰まって詰まって。生きたいように生きられれない、不器用さや辛さが痛いくらいに描かれていた。

    名作です。

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    2024年09月26日
  • 惣十郎浮世始末

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    良い本を読んだ。
    木内さんの捕物帳どんな物語かとワクワクして読んだ。
    期待は裏切られることなく、すいすいと読めて夢中になってしまった。
    最初の火事からつるつると繋がり、そこに繋がるのかーと圧巻。
    登場人物もそれぞれ味がありら読み応えあり。
    続編出て欲しいなぁ。

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    2024年09月25日
  • 惣十郎浮世始末

    購入済み

    最近の小説では秀逸です。

    登場人物の描写が素晴しいです。惣十郎の飄々とした態度の中で、先を読む力は素敵です。 岡っ引きの完治は、鬼平犯科帳の密偵ようで、素晴しい働きです。 お雅と惣十郎の母・お多津のやりとりはほのぼのします。 お雅が魅力的です。 映像になったら、誰がやるのか関心があります。 
    ストーリーは、意外な展開の繰り返しで、とても良かったです。最近の時代小説では秀逸です。 新聞連載小説とは思えない出来映えです。 価格に偽りはありませんでした。

    #カッコいい #ほのぼの

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    2024年09月01日
  • 万波を翔る

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    この人の小説はいつも深く深く、刺さる

    己の仕事の向き合い方
    向き合ってきた、見てきたことを、しかと次の世に繋ぐこと

    外国の技術ややり方を、すべてそのまま良きこととして受け入れてしまわぬこと

    外交の曙。手探りで築いてきた礎。
    いまの政府は、政治は、民のことをどれだけ本気で考えているのか

    一種盲目的であろうとも、保身ではなく本気で、その役目を考え、向き合っていた人がいた時代の、なんたる輝き。

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    2024年08月16日
  • 占(新潮文庫)

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    翻訳家の桐子は大工の伊助と深い仲。だが、彼は生き別れた妹が命よりも大事だという。
    ならば、私の存在はいったい何なのか。桐子は憤り、偶然行き着いた卜い屋で彼の本心を訪ねる(『時追町の卜い屋』)。


    占いと女性をテーマに書かれた短編集です。
    ある女性は恋しい相手の心を知るため手当たり次第に占い屋を訪ね歩き、ある女性は些細なきっかけから占い師として様々な人の相談を受けることになる。
    ある短編に出ていた登場人物が、別の短編にも出ていたりしていて、それぞれ独立した話ではありますが、連作短編集のような雰囲気もあります。

    自分や他人の気持ちに思い悩み、苦しみ、占いに縋る女性たち。時に間違い回り道をしても

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    2024年08月07日
  • 櫛挽道守

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     木内昇(きうちのぼり)さんの『櫛挽道守(くしひきちもり)』です。『かたばみ』に次ぐ2冊目に選んだのが本書。大正解でした!
     なるほど10年前の、中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・親鸞賞の3冠作品なんですね。『かたばみ』の原点を見る感覚になったのは私だけでしょうか?

     時は幕末の動乱期。物語の舞台は木曽薮原宿。主人公の少女・登瀬の16歳から33歳までが、丁寧に描かれています。彼女の闘いは、翻弄される時代の荒波だけではなく、周囲の無理解もありました。

     物語の肝は、登瀬の父が神業と称えられる櫛挽職人、この櫛挽に魅入られたのが登瀬です。
     そうなんです。お父さん、いい味出してるんです。実に寡黙で愚

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    2024年07月03日