木内昇のレビュー一覧
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『幕末純情伝』や『壬生義士伝』など様々な新撰組ものの傑作を読んでしまい、もう新撰組もので面白い小説には出会えないんじゃないかと思っていた。見事にその予想を裏切ってくれました。
“裏表録”というだけあって、阿部十郎、尾形俊太郎、篠原泰之進、伊藤甲子太郎、山崎蒸、三木三郎などメインの人物選びからして絶妙。とくに三木のキャラクターは秀逸。
伊藤たち御陵衛士を中心に書いているので初心者向けでないかもしれない。新撰組について多少知ってから読む方が楽しめる。
描かれているのは時代を切り開いた英雄ではなく、時代に翻弄された男たち。
とくに主人公のひとりである阿部十郎の生き方は「己の行く先に、なんら光を見 -
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泉鏡花文学賞
泉鏡花文学賞授賞式にて、木内昇さんのスピーチを拝聴。
生木内昇さんはやはり素敵だった。
コロナ禍で、いろいろなことがあったにもかかわらず、今まで邪魔で、いっそコンクリートで埋めようかと思っていたほどの庭の雑草が逞しく育っているのを見て、救われたとのこと。それもあって、この作品を書かれたらしい。
また、表紙の絵は、亡くなられた友人のMAYA MAXXさんの作品とのこと。
実は、こういったファンタジー要素のあるものは得意ではないのだが、二日ほどで読み終えた。
ファンタジー要素があるからこそ、幻想的な作品に与えられる泉鏡花文学賞なのだが。
また、白山が出てくるのも、石川県とゆかり -
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紀州藩士の息子・十兵衛は、本草家・小原桃洞に習う。
地道に研究を重ね、後に翠山と呼ばれるようになる。
P118
〈抱え切れんほど大きな希求が溢れる。
その溢れたものが、こうして勝手に動き回るんや。
当人のあずかり知らんところでな〉
鬼籍に入った父の言葉。
葛をするすると伝い、天から降りてきた父親と十兵衛の会話に癒される。
人との関わりを苦手とした十兵衛が
草木を通じ人として一回りも二回りも大きくなっていく。
読んでいても安心と楽しさがある。
このように、努力を惜しまず書き(描き)残す事で
時代を超えて私たちの元へ届けられた。
木内昇さんのおかげで、今回も魅力的な人物を知ることができた。 -
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本草学者・畔田翠山の幼少期(十兵衛)からの半生に付き添っているかのような読書体験だった。
植物にひたむきで学問に才能があるものの、人と話すことが苦手な十兵衛。ほかの塾生には色々言われ思われながらも、理解のある師・桃洞に助けられつついろんな人に関わりながら少しずつ成長してゆく。
その中で、薬になる植物のことはもちろん、果物やはたまた魚類(書中では水族と呼ぶ)などなど多岐な自然をテーマしていますのでそういうものに興味のある方にもいいかも。
また、天狗が出てきたり、意思を持ったような葛が天まで伸びたり、その蔓から亡き父が降りてきて語り合ったりと、霊的な出来事も起こります。ちらっと梨木香歩の『家 -
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ネタバレ木内さんの本ーっと思って手にとる
北国に住む商人が江戸の人たちのあまりの北国の知識のなさに地元の風俗、説話などをまとめた本を作ることを夢見る話
山東京伝、十辺舎一九、滝沢馬琴、など聞いたことのある戯作者が出てくる
え?え?というほどに話が進まない
進んだと思ったら頓挫
江戸と越後の距離が今感じるよりもっと遠いのだろう
どうなってますか、と手紙を出すと、その人はもう死にましたという答えが剣もほろろに帰ってくる
かわいそすぎるーーーー
なんとびっくりそれで40ねん
おいおい、である。
大変である。
そして馬琴がめっちゃやなやつなのである。
ちょい前に八犬伝の映画で役所さんの馬琴を観てたので
そのギ