木内昇のレビュー一覧

  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新撰組について書かれたものは多くあると思いますが、「地虫鳴く」は、阿部十郎の、実際の談話録のさわりを皮切りに、物語は始まります。阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人が語り手です。

    描かれている時期は、池田屋事件などで新撰組が有名になった後から始まっていて、鳥羽・伏見の戦いの前くらいまでなので、短い期間を、じっくり描いているという感じです。

    他のレビューを見て、「幕末の青嵐」を先に読みましたが、正解でした。この順だと、すごく自然にしっくりきます。「地虫鳴く」は、「幕末の青嵐」を読んでもなお、新撰組のことを知りたい人向けです。

    語り手3人の立場が全く異なる上、篠原視点では薩長側、尾形視点で

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    2015年04月26日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    新撰組の人物の視点を変えながら、物語を追っていく歴史・時代小説。

    ひとりひとりの心情が鮮やかに描かれ、登場人物に命が吹き込まれていくようだった。これが処女作なんてすごい!
    特に「覇者の風招きの項」山南の所、「油小路」永倉新八の所なんかは悲しかった。
    青嵐の如く若い隊士たちが駆け抜けていった爽やかさ・切なさを感じる。一番好きな新撰組小説かもしれない。
    普段は平行読みしてるけど、今回は1冊に集中して読んだ。新撰組小説はのめり込んで読むのが楽しい。

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    2015年02月05日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新選組の話では当たり前の様に近藤、土方、沖田は中心人物として描かれるものだと思っていたから、本作で主人公に対局する立場として描かれているのは新鮮だった。
    後半へいくに連れ追い詰められていく主人公の心理描写に引き込まれた。
    著者の別の新選組作品には物足りなさを感じたけれど、こちらは夢中になって読み切った。

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    2014年10月19日
  • 漂砂のうたう

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    さすが木内さんと思える作品です。明治初期の世の中の急変と、そのなkでどこか江戸の雰囲気を残しながらも変わって行く遊郭の雰囲気がしっかり伝わってきます。ですが、好きかと言われれば左程でもなく。
    『漂砂のうたう』と言うのは妙なタイトルだと思っていたのですが、読んでみれば納得。まさしく時代の激変の中で漂砂の如く漂う主人公達。特に
    主人公の定九郎の諦念(というより逃避かも知れません)が精緻に描かれます。その姿が何とももどかしく。一方で時代に流されずしっかり根ざした妓夫の龍造や花魁の小野菊。むしろこ

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    2016年06月19日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    とても人間的に描かれています。
    読んでいて、端から少しずつ焼かれていくような苦しさ、切なさを覚えるような

    苛立ちや葛藤を覚えながら読みました。
    読み終わって、この人たちは形はどうであれ、生き抜いたのだなあと言う当たり前のようなことが思い浮かんだ。

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    2013年11月18日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    ネタバレ

     主人公は、阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎。
     新撰組のいわば負の部分が、彼らをとおして描かれていると思います。
     近藤、土方、沖田、斎藤あたりはこの作品では脇役なんですけど、それぞれの濃さがいい具合に出ています。尾形さんが監察方なだけに、山崎さんの出番がかなり多いです。ピリリとした美味しいところをもっていきます、山崎さん面白い人です。

     土方さんがやっぱりカッコいいです。そして、いいひとなんです。これは尾形目線の土方さんという描かれ方で「いいひと」なんですけど。鬼の副長の「苦労」をね、尾形さんと一緒に垣間見る感じです(笑)。伊東さん離脱の後、伊東さんについた隊士が案外少なかったことを指し

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    2013年07月05日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    歴史ではあまり語られることはない三人を中心とした新選組。
    篠原泰之進が好きなので読み始めたのですが、そのうち阿部十郎のふるまいや感情に共感してしまい、わずかな後ろめたさのようなものを持ちながら読んでいました。
    同じ作者の「幕末の青嵐」と合わせて読むと新選組が立体的に捉えられ、まるで自分がその場にいて見たかのような生々しさが味わえると思います。

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    2013年02月18日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    新撰組の中でも、英雄的な有名どころの面々を眩しく見つめるしかないいわば凡人隊士の視点から、時代の激動を、、、というよりは心の葛藤を描いた作品。面白かった。作者は、優しい人なんだろなあと思う。
    ある程度新撰組について知っていた方がきっと読みやすい。同じ作者の「幕末の青嵐」がおすすめ。

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    2012年12月29日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    解説にもあったけれど、新撰組の中でも「裏」や「脇」を描いた作品。
    更に、誰かひとりの隊士に主役を絞らず何人もが入れ替わり立ち替わりそれぞれの視点から描くから
    その雑多な感じが却って集団らしさを演出していて、とてもいい。

    かと言って描かれている事自体は決して「いい」などと悠長に言えない物悲しさと慌ただしさに塗れているのだけれど、
    幕末ものを読むとき、薩長土より新撰組や会津を選んでしまう。
    時代の上での勝ち負けではない何か琴線に来るものがあるんだろう。

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    2012年07月10日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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     同著者の「新選組 幕末の青嵐」と表裏を成す一冊。
     こちらは裏。

     伊東甲子太郎を中心に据え、阿部十郎、篠原泰之進、三木三郎、尾形俊太郎といった、新選組の中の名の知られぬ隊士たちの視点から、物語が書かれています。
     大志に向けて盲目的なまでに邁進する伊東や上層部に対し、さしたる意志も力も持たない彼らの劣等感や、中心からやや距離を置いて当時のものごとを観た、どこか冷めた感じが今までになく珍しく、とても面白かったです。
     伊東と三木の兄弟関係や阿部と浅野薫の友情、尾形と山崎のやりとりなどが印象に残ります。
     そして、山崎がこってこての大阪弁で常に飄々と冗談飛ばします。すごくわたしの理想の山崎で

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    2012年02月06日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    今まで読んだ新撰組小説の中で一番好きです。
    伊東さんが好きなので興味を持ったというのもあるのですがとても良かった。
    彼を支える篠原さん、阿部さん、そして弟の三木三郎から見た伊東さんの姿がただただ儚くて切ない。
    そして木内さんの書かれる斎藤さんがかっこよくて大好きです!

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    2011年11月19日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    『幕末純情伝』や『壬生義士伝』など様々な新撰組ものの傑作を読んでしまい、もう新撰組もので面白い小説には出会えないんじゃないかと思っていた。見事にその予想を裏切ってくれました。

    “裏表録”というだけあって、阿部十郎、尾形俊太郎、篠原泰之進、伊藤甲子太郎、山崎蒸、三木三郎などメインの人物選びからして絶妙。とくに三木のキャラクターは秀逸。
    伊藤たち御陵衛士を中心に書いているので初心者向けでないかもしれない。新撰組について多少知ってから読む方が楽しめる。

    描かれているのは時代を切り開いた英雄ではなく、時代に翻弄された男たち。
    とくに主人公のひとりである阿部十郎の生き方は「己の行く先に、なんら光を見

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    2011年06月23日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    中学生の頃に司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」を読んで以来の新選組好きですが、本書は新選組初心者(?)の方にもおすすめの一冊かと思います。

    各章(?)ごとに主体を変えて、物語が進んでいくのですが、それぞれの視点での思惑や、人に対しての評価が異なるのが面白いです。
    読みやすく、不器用な彼らと、一つの時代を共に駆け抜けたような読後感です。

    本書の中では、個人的に斎藤が良かったです。特に最後の方での土方との場面はグッときました。

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    2020年05月24日
  • きみがなきあと

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    高杉晋作の「おもしろき こともなき世 を おもしろく」という辞世の句に「すみなすものは 心なりけり」と言う下の句を継いだと言われる望東尼の半生を描いた作品です。
    前半の舞台は幕末期の福岡藩。藩としては佐幕でありながら、一部藩士は尊王攘夷に走り出す。54歳で夫を亡くした望東尼は、確たる思想があってと言うよりも、勤王の志士たちの一途さを愛して、彼らを支援するようになって行きます。
    いわば維新前夜の片隅の物語です。なにせ維新の元勲と言われる人々はほとんど顔を出しません。高杉晋作を除けば、セリフがあるのは晋作の付き人的な伊藤博文だけ。桂小五郎や井上馨などは名前がチラリと出てくるくらいです。
    そして後半

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    2026年06月03日
  • よこまち余話

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    長屋で暮らす人々の日常に、時折現れる不可思議な出来事や人物。そこに計り知れないなにかが漂っている。
    物語が進むとゆっくりとそれらの正体や理由に気づいてゆく。誰かが誰かを想うこと、または悔やみが、最後まで優しく優しく綴られていく。
    ラストがとても良かった。

    それがいかなる場所へ向かおうとも、はじまりというのは、これほど強くて美しいんだな

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    2026年05月25日
  • きみがなきあと

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    野村望東尼のこともよく知らずに読んでいたが、たまらなくなって、途中調べながら読み進んだ。
    夫なきあと、夫のしつらえてくれた庵で、尼僧となり、和歌を詠みながら老後を送るはずだったモト。
    しかし時代の波がモトに被さってきた。勤王派、攘夷派が時代を動かそうとする真っ最中、モトは和歌の師である大隈言道に、夫の死を直に伝えたいと大阪行きを決心するが、徳川は腰入りする和泉姫を一眼見たいと京都にも立ち寄ろうとする。この寄り道が、モトの運命を変える。

    モトをはじめ、嫁のタネ、京都で出会う村岡局、高杉の妾おうのや正妻の倫など、登場する女性たちの個性が光って素晴らしい。男性に付き従うように見えるものも、それぞれ

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    2026年05月16日
  • 転がるように 地を這うように ――私の杖となった文学の言葉たち

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    ネタバレ

    著者に小説はまだ読んだことがないのに、この随筆集を読めばそれらも読んでみなくてはという思いに至る。
    既読なの太宰治の「人間失格」と漱石の「坊っちゃん」のみ。
    ここに紹介されている作家たちの小説はどれも読みたくなった。
    特に芥川龍之介の「歯車」は自死する前に書かれた心情が綴られていて小泉八雲やスティーヴン・キングより怖いといkた一読せねば。
    それと竹内浩三、
    戦死はあわれ、
    兵隊の死ぬるや あわれ 
    遠い他国で ひょんと死ぬるや
    だまって だれもいないところで
    ひょんと死ぬるや

    は有名な詩、この詩を書いたのが竹内浩三。
    闊達な青年で食べることが大好きで本がなによりも好き。
    いつか小説を書きたい

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    2026年04月23日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    幕末の青嵐もそうだったけど、文章から一人一人の人間がくっきり見える、だから感情移入もできる。

    今作は新撰組のメインの人達ではなく、影で働いていた人たちにスポットが当てられてて、事件をドラマチックに書くわけではなく、その時そこにいた人間が書かれている。

    最後の最後に嬉しくなるようなエピソードとか、凄く良かった。

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    2026年04月11日
  • かたばみ

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    今の時代なら当たり前のことだか、平等に仕事と家事をするスタイルを戦後に出来ていた悌子と権蔵の夫婦の姿を素晴らしく感じることが出来た。養子になった清太も、出自を知ってそれを乗り越えていく姿に目頭が熱くなった。長編作品だが読みやすい文章で苦もなく読むことが出来た。家族の絆を描いた素晴らしい作品で、たくさんの人に読んでもらいたい。

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    2026年04月04日
  • かたばみ

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    久しぶりに読み応えのある作品と出会った。
    真面目で一生懸命な悌子。
    時代に翻弄されながらも、熱く仕事に取り組み、家族を思い、生きた半生。

    権蔵がとてもいい味を出している。智栄も。

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    2026年03月27日