木内昇のレビュー一覧
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同著者の「新選組 幕末の青嵐」と表裏を成す一冊。
こちらは裏。
伊東甲子太郎を中心に据え、阿部十郎、篠原泰之進、三木三郎、尾形俊太郎といった、新選組の中の名の知られぬ隊士たちの視点から、物語が書かれています。
大志に向けて盲目的なまでに邁進する伊東や上層部に対し、さしたる意志も力も持たない彼らの劣等感や、中心からやや距離を置いて当時のものごとを観た、どこか冷めた感じが今までになく珍しく、とても面白かったです。
伊東と三木の兄弟関係や阿部と浅野薫の友情、尾形と山崎のやりとりなどが印象に残ります。
そして、山崎がこってこての大阪弁で常に飄々と冗談飛ばします。すごくわたしの理想の山崎で -
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『幕末純情伝』や『壬生義士伝』など様々な新撰組ものの傑作を読んでしまい、もう新撰組もので面白い小説には出会えないんじゃないかと思っていた。見事にその予想を裏切ってくれました。
“裏表録”というだけあって、阿部十郎、尾形俊太郎、篠原泰之進、伊藤甲子太郎、山崎蒸、三木三郎などメインの人物選びからして絶妙。とくに三木のキャラクターは秀逸。
伊藤たち御陵衛士を中心に書いているので初心者向けでないかもしれない。新撰組について多少知ってから読む方が楽しめる。
描かれているのは時代を切り開いた英雄ではなく、時代に翻弄された男たち。
とくに主人公のひとりである阿部十郎の生き方は「己の行く先に、なんら光を見 -
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紀州藩士の息子・十兵衛(後の本草学者・畔田翠山)は、幼いころから草花とは自在に語らうことができるのに、人と接するとうまく言葉を交わすことができずに育った。ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗と出会ってから、面妖な出来事が身の回りで次々と起こり。
タイトルでは“奇のくに”となっているが、本当の舞台は“奇のくに”=紀伊国である。フィールドワークを行ったことから、“もうひとりの熊楠”とも言われる。本編では、あまり人付き合いがうまくないというキャラクター設定が行われているが、メンターである小原桃洞や彼のパトロンである紀伊国和歌山藩・第10代藩主徳川治宝には、しっかり実力を認められている。更にフ -
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『ダ・ヴィンチ』2025年8月号のプラチナ本。
ということで、木内昇さんの作品を初読み。
紀州藩士の息子・十兵衛(後の畔田翠山(くろだ すいざん))は、人と接するとうまく言葉が出ず、人よりも草木と語らう日々。師・小原桃洞(おはら とうどう)の下で本草学を学びその才を伸ばしていた。ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗(てんぎゃん)と出会ってからというもの、身の周りで妖しいことが起こり始める…
江戸時代後期の紀伊国(和歌山県と三重県南西部)で活躍した、本草学者・畔田翠山が草木や友、恩師との温かな交わりをとおして成長する半生がファンタジーテイストで描かれている。
心に残ったフレーズ。
“みな -
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泉鏡花文学賞
泉鏡花文学賞授賞式にて、木内昇さんのスピーチを拝聴。
生木内昇さんはやはり素敵だった。
コロナ禍で、いろいろなことがあったにもかかわらず、今まで邪魔で、いっそコンクリートで埋めようかと思っていたほどの庭の雑草が逞しく育っているのを見て、救われたとのこと。それもあって、この作品を書かれたらしい。
また、表紙の絵は、亡くなられた友人のMAYA MAXXさんの作品とのこと。
実は、こういったファンタジー要素のあるものは得意ではないのだが、二日ほどで読み終えた。
ファンタジー要素があるからこそ、幻想的な作品に与えられる泉鏡花文学賞なのだが。
また、白山が出てくるのも、石川県とゆかり -
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紀州藩士の息子・十兵衛は、本草家・小原桃洞に習う。
地道に研究を重ね、後に翠山と呼ばれるようになる。
P118
〈抱え切れんほど大きな希求が溢れる。
その溢れたものが、こうして勝手に動き回るんや。
当人のあずかり知らんところでな〉
鬼籍に入った父の言葉。
葛をするすると伝い、天から降りてきた父親と十兵衛の会話に癒される。
人との関わりを苦手とした十兵衛が
草木を通じ人として一回りも二回りも大きくなっていく。
読んでいても安心と楽しさがある。
このように、努力を惜しまず書き(描き)残す事で
時代を超えて私たちの元へ届けられた。
木内昇さんのおかげで、今回も魅力的な人物を知ることができた。