木内昇のレビュー一覧
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作品紹介・あらすじ
「猪口才」な輩に見切りを付け、東京に戻って清と暮らした漱石「坊っちゃん」の馬鹿正直さを肯定し、織田作が描く主人公の地を這うような生き様に喝采を送る――。心に残る物語は、自分が生きる行程に必ず寄り添い続けてくれる。今も愛してやまない作品群から選び出した言葉を中心に、生の豊かさと奥深さを切実な感覚で紐解く。作家デビュー以前の幻の名エッセイ、待望の復刊。
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2003年に出版され、2025年にめでたく復刊された木内昇による文学エッセイ。夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風などいわゆる「文豪」とされる日本人作家の作品から、一つの単語を抽出しそれを軸に話が進められている。
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ネタバレ近ごろ、出版に関わるもの、作家の内面に迫る書物が多くなった気がする。
出版不況を何とかしようとする業界の思いとも取れるし、苦難の中に物語があると創作の食指も伸びるのだろう。
『PRIZE』(村山由佳著)も文学賞に憑りつかれる作家と編集者の心理を描いた力作だった。木内昇は、同様に自作を世に出したいと願う作者の思いを描くが、題材を江戸時代に取った。目の付けどころが実に、らしい。
時は、耕書堂を興し、江戸文化に洒落本、黄表紙の一大ブームを巻き起こした蔦谷重三郎の、その少し後のお話。まだ北斎、馬琴、山東京伝など、蔦重と時代の重なる登場人物が生きている時代に、本書の主人公鈴木牧之という『北越雪 -
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高杉晋作の「おもしろき こともなき世 を おもしろく」という辞世の句に「すみなすものは 心なりけり」と言う下の句を継いだと言われる望東尼の半生を描いた作品です。
前半の舞台は幕末期の福岡藩。藩としては佐幕でありながら、一部藩士は尊王攘夷に走り出す。54歳で夫を亡くした望東尼は、確たる思想があってと言うよりも、勤王の志士たちの一途さを愛して、彼らを支援するようになって行きます。
いわば維新前夜の片隅の物語です。なにせ維新の元勲と言われる人々はほとんど顔を出しません。高杉晋作を除けば、セリフがあるのは晋作の付き人的な伊藤博文だけ。桂小五郎や井上馨などは名前がチラリと出てくるくらいです。
そして後半 -
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野村望東尼のこともよく知らずに読んでいたが、たまらなくなって、途中調べながら読み進んだ。
夫なきあと、夫のしつらえてくれた庵で、尼僧となり、和歌を詠みながら老後を送るはずだったモト。
しかし時代の波がモトに被さってきた。勤王派、攘夷派が時代を動かそうとする真っ最中、モトは和歌の師である大隈言道に、夫の死を直に伝えたいと大阪行きを決心するが、徳川は腰入りする和泉姫を一眼見たいと京都にも立ち寄ろうとする。この寄り道が、モトの運命を変える。
モトをはじめ、嫁のタネ、京都で出会う村岡局、高杉の妾おうのや正妻の倫など、登場する女性たちの個性が光って素晴らしい。男性に付き従うように見えるものも、それぞれ -
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ネタバレ著者に小説はまだ読んだことがないのに、この随筆集を読めばそれらも読んでみなくてはという思いに至る。
既読なの太宰治の「人間失格」と漱石の「坊っちゃん」のみ。
ここに紹介されている作家たちの小説はどれも読みたくなった。
特に芥川龍之介の「歯車」は自死する前に書かれた心情が綴られていて小泉八雲やスティーヴン・キングより怖いといkた一読せねば。
それと竹内浩三、
戦死はあわれ、
兵隊の死ぬるや あわれ
遠い他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
は有名な詩、この詩を書いたのが竹内浩三。
闊達な青年で食べることが大好きで本がなによりも好き。
いつか小説を書きたい -
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日本人て、幕末の頃から本質的に変わってないんだなと思った。いまもまだ「攘夷」って言ってる人たちは結構たくさんいるし。
最近、欧米の歴史系ユーチューバーが日本の歴史を紹介している動画で、「日本には中国の科挙のような制度はなかった」と言っているのを見てハッとしたのだけれど、確かに、今作を読んでいても、幕末の混迷の中にあってさえ、武士階級の中からだろうが外からだろうがかかわりなく優れた人材をすくい取って、適材適所で役に立ってもらおうという考えは薄い。そして、日本ではいまだに、能力よりも血脈や派閥が一番重要なのは変わっていない気がするのだ。
坂本龍馬や薩長、新選組や幕府上層部、会津藩などが主となる、幕 -
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私は知らなかったのだけれど、主人公は実在の本草学者がモデルになっているようだ。
大河ドラマ「べらぼう」の少し後の時代(「べらぼう」で高橋英樹さんが演じた紀州藩主の次の代)の紀州が舞台になっていて、梨木果歩さんの「家守綺譚」が思い浮かぶような幻想的な雰囲気があって、とても良かった。
神道はアニミズム的といわれるけれど、植物の化身が現れたり、自然の物の中にも魂が宿っているような感覚が割とすんなり受け入れられるのは、神道にも馴染んだ日本人ならではなのだろうか。
以前に、熊野の山を舞台に、深山から深山へ移動し、良い木で炭を作りながら生きている炭焼きの人たちの物語を読んで、タイトルは残念ながらもう忘れ -
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紀州藩士の息子・十兵衛(後の本草学者・畔田翠山)は、幼いころから草花とは自在に語らうことができるのに、人と接するとうまく言葉を交わすことができずに育った。ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗と出会ってから、面妖な出来事が身の回りで次々と起こり。
タイトルでは“奇のくに”となっているが、本当の舞台は“奇のくに”=紀伊国である。フィールドワークを行ったことから、“もうひとりの熊楠”とも言われる。本編では、あまり人付き合いがうまくないというキャラクター設定が行われているが、メンターである小原桃洞や彼のパトロンである紀伊国和歌山藩・第10代藩主徳川治宝には、しっかり実力を認められている。更にフ -
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『ダ・ヴィンチ』2025年8月号のプラチナ本。
ということで、木内昇さんの作品を初読み。
紀州藩士の息子・十兵衛(後の畔田翠山(くろだ すいざん))は、人と接するとうまく言葉が出ず、人よりも草木と語らう日々。師・小原桃洞(おはら とうどう)の下で本草学を学びその才を伸ばしていた。ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗(てんぎゃん)と出会ってからというもの、身の周りで妖しいことが起こり始める…
江戸時代後期の紀伊国(和歌山県と三重県南西部)で活躍した、本草学者・畔田翠山が草木や友、恩師との温かな交わりをとおして成長する半生がファンタジーテイストで描かれている。
心に残ったフレーズ。
“みな -
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泉鏡花文学賞
泉鏡花文学賞授賞式にて、木内昇さんのスピーチを拝聴。
生木内昇さんはやはり素敵だった。
コロナ禍で、いろいろなことがあったにもかかわらず、今まで邪魔で、いっそコンクリートで埋めようかと思っていたほどの庭の雑草が逞しく育っているのを見て、救われたとのこと。それもあって、この作品を書かれたらしい。
また、表紙の絵は、亡くなられた友人のMAYA MAXXさんの作品とのこと。
実は、こういったファンタジー要素のあるものは得意ではないのだが、二日ほどで読み終えた。
ファンタジー要素があるからこそ、幻想的な作品に与えられる泉鏡花文学賞なのだが。
また、白山が出てくるのも、石川県とゆかり