木内昇のレビュー一覧

  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    『幕末純情伝』や『壬生義士伝』など様々な新撰組ものの傑作を読んでしまい、もう新撰組もので面白い小説には出会えないんじゃないかと思っていた。見事にその予想を裏切ってくれました。

    “裏表録”というだけあって、阿部十郎、尾形俊太郎、篠原泰之進、伊藤甲子太郎、山崎蒸、三木三郎などメインの人物選びからして絶妙。とくに三木のキャラクターは秀逸。
    伊藤たち御陵衛士を中心に書いているので初心者向けでないかもしれない。新撰組について多少知ってから読む方が楽しめる。

    描かれているのは時代を切り開いた英雄ではなく、時代に翻弄された男たち。
    とくに主人公のひとりである阿部十郎の生き方は「己の行く先に、なんら光を見

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    2011年06月23日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    中学生の頃に司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」を読んで以来の新選組好きですが、本書は新選組初心者(?)の方にもおすすめの一冊かと思います。

    各章(?)ごとに主体を変えて、物語が進んでいくのですが、それぞれの視点での思惑や、人に対しての評価が異なるのが面白いです。
    読みやすく、不器用な彼らと、一つの時代を共に駆け抜けたような読後感です。

    本書の中では、個人的に斎藤が良かったです。特に最後の方での土方との場面はグッときました。

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    2020年05月24日
  • 奇のくに風土記

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    紀伊国を治める徳川治宝公 自然に対する理解が深く使える者達は思う存分探究を深めていく
    人ととの関わりが苦手な十兵衛は一人山に入り天狗に出会い世界が少しずつ広がっていく 師である桃洞はいつでも十兵衛の良き理解者であり続ける
    挿絵は全て十兵衛改 翠山の画だった

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    2025年12月02日
  • 奇のくに風土記

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    泉鏡花文学賞

    泉鏡花文学賞授賞式にて、木内昇さんのスピーチを拝聴。
    生木内昇さんはやはり素敵だった。
    コロナ禍で、いろいろなことがあったにもかかわらず、今まで邪魔で、いっそコンクリートで埋めようかと思っていたほどの庭の雑草が逞しく育っているのを見て、救われたとのこと。それもあって、この作品を書かれたらしい。

    また、表紙の絵は、亡くなられた友人のMAYA MAXXさんの作品とのこと。

    実は、こういったファンタジー要素のあるものは得意ではないのだが、二日ほどで読み終えた。
    ファンタジー要素があるからこそ、幻想的な作品に与えられる泉鏡花文学賞なのだが。
    また、白山が出てくるのも、石川県とゆかり

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    2025年11月29日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

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    主人公となる3人のうち2人が伊東甲子太郎寄りなのでそちらの話が多いが、阿部と浅野の友情が切なかった。『新選組幕末の青嵐』から一貫して著者はとくに土方と沖田が好きなんだろうなあと思わせるほど彼らが魅力的に書かれているがそこが作品の魅力にもなっている。あと本作は山崎がいい。

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    2025年11月19日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    新選組もので王道の土方歳三メインの話ではあるが章ごとに主人公が変わっていく。それでいてそれぞれの書き分けかたが上手く、同じ人物や事柄でも見る視点によって違って見えるという面白さがある。

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    2025年11月10日
  • 奇のくに風土記

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    紀州藩士の息子・十兵衛は、本草家・小原桃洞に習う。
    地道に研究を重ね、後に翠山と呼ばれるようになる。

    P118
    〈抱え切れんほど大きな希求が溢れる。
    その溢れたものが、こうして勝手に動き回るんや。
    当人のあずかり知らんところでな〉
    鬼籍に入った父の言葉。

    葛をするすると伝い、天から降りてきた父親と十兵衛の会話に癒される。
    人との関わりを苦手とした十兵衛が
    草木を通じ人として一回りも二回りも大きくなっていく。
    読んでいても安心と楽しさがある。

    このように、努力を惜しまず書き(描き)残す事で
    時代を超えて私たちの元へ届けられた。

    木内昇さんのおかげで、今回も魅力的な人物を知ることができた。

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    2025年11月03日
  • 浮世女房洒落日記

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    面白かった!「かたばみ」の作者。
    江戸の話で注釈がいっぱいで読みにくいのではと警戒したが、段々慣れて、長屋暮らしを楽しく読んだ。日記なので、落ち着かない気分でも、細切れに読めることも良かった。さえちゃん達は、どうなるかなぁ。

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    2025年10月23日
  • 浮世女房洒落日記

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    大正初年に建てられた古い洋館の屋根裏から出てきた文化文政〜天保年間に小間物屋の女将がつけていた日記の現代語訳という設定の本書。
    本当にそうではないかと思うくらい、当時の人々の暮らしぶりが生き生きと再現されている。

    長屋暮らしの費用や、大晦日の掛取りが元旦早朝まで掛かったことなど、初めて知ることも多い。

    NHK BSあたりでドラマ化されたら面白いのではなかろうか。

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    2025年10月14日
  • 雪夢往来

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    越後の庄屋が江戸に渡り、江戸の人々が江戸と上方以外のことを何にも知らないことに驚き、憤慨し、日々の生活を書きつけたものを刊行したいと奮闘する物語。江戸では戯作者として名高い山東京伝と曲亭馬琴の確執、加えて、絵師、版元なども登場する。人生の紆余曲折が描かれているのだが、一生懸命生きて、何かを残し、そして死んでいくのだなあということが今更ながらに思われる。良き伴侶を得たり、相性が合わなかったり、子どもを失ったり、病気になったり。それでも、一生懸命取り組むものがあることが幸せなんでしょう。

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    2025年10月11日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    新撰組の誕生から終焉までを、史実に寄り添いながら静かに熱く描いた物語。
    派手さはないのに胸を打つ筆致で、新撰組隊士たちの誇りと矜持がまっすぐに伝わってくる一冊でした。

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    2025年10月08日
  • 浮世女房洒落日記

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    この作家を全く知らなかったのだが、以前勤めていた会社の上司に木内昇は面白いと言われたことを思い出して、今回初めて手に取ってみた。
    江戸時代の町人の暮らしぶりが小間物屋のお葛の日記として、生き生きと描かれていて、楽しく読めた。
    機会があったら別の木内昇作品を読んでみようと思う。

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    2025年09月29日
  • 奇のくに風土記

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    紀の国のてんぎゃんといえば…。熊楠の育ったお国の豊かさを垣間見れた。泉鏡花や梨木香歩みのあるファンタジー要素もあり、一人の本草学者の成長譚でもあった。草花だけではなく、生きとし生けるものへの眼差しが愛おしい。時に仄暗さを湛えながらも、明るいもので繋がっていこうとする意志が大切なんだなぁ。と。面白く読めて、温かい気持ちになって、なんだか学びがある良書であった。

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    2025年09月27日
  • 万波を翔る

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    面白かった。幕末ものってもう出尽くした感もあったけど、なにがなにが、まだこんなにいじれる(変な表現だけど)モチーフがあるのかと、だから幕末ものってつい手が出ちゃうんだよね。他の方のレビュー見て、この主人公が実在したと知ってビックリ。大河ドラマで小栗忠順やるらしいけど、この主人公でもすごく面白くなるんじゃないかとおもった。大河ドラマの「獅子の時代」や「青天を衝け」をもう一度見たくなった。しかし薩摩ってすんごかったんだね笑、

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    2025年09月14日
  • 奇のくに風土記

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    本草学者・畔田翠山の幼少期(十兵衛)からの半生に付き添っているかのような読書体験だった。

    植物にひたむきで学問に才能があるものの、人と話すことが苦手な十兵衛。ほかの塾生には色々言われ思われながらも、理解のある師・桃洞に助けられつついろんな人に関わりながら少しずつ成長してゆく。

    その中で、薬になる植物のことはもちろん、果物やはたまた魚類(書中では水族と呼ぶ)などなど多岐な自然をテーマしていますのでそういうものに興味のある方にもいいかも。

    また、天狗が出てきたり、意思を持ったような葛が天まで伸びたり、その蔓から亡き父が降りてきて語り合ったりと、霊的な出来事も起こります。ちらっと梨木香歩の『家

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    2025年09月06日
  • かたばみ

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    まるでテレビの連続ドラマを見ているようでした。

    戦中から戦後にかけての時代、やりたい事も満足な生活もできない中でも育まれる家族
    苦しい中でも生き抜く登場人物たちは、どれも人間臭く魅力的

    題名でもある「かたばみ」の花言葉
    『母の優しさ』『輝く心』
    まさにタイトル通りの内容でした

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    2025年08月21日
  • 奇のくに風土記

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    身も心も癒され浄化されたような、さわやかな読後感。「人の生くるは好奇を満たすため」「草木はいずれも大事な役目を担っておる」みんな、繋がって、この星で生きていること自覚しないと。

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    2025年08月05日
  • 雪夢往来

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    ネタバレ

    木内さんの本ーっと思って手にとる
    北国に住む商人が江戸の人たちのあまりの北国の知識のなさに地元の風俗、説話などをまとめた本を作ることを夢見る話
    山東京伝、十辺舎一九、滝沢馬琴、など聞いたことのある戯作者が出てくる
    え?え?というほどに話が進まない
    進んだと思ったら頓挫
    江戸と越後の距離が今感じるよりもっと遠いのだろう
    どうなってますか、と手紙を出すと、その人はもう死にましたという答えが剣もほろろに帰ってくる
    かわいそすぎるーーーー
    なんとびっくりそれで40ねん
    おいおい、である。
    大変である。
    そして馬琴がめっちゃやなやつなのである。
    ちょい前に八犬伝の映画で役所さんの馬琴を観てたので
    そのギ

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    2025年08月03日
  • 惣十郎浮世始末

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    時代小説は宮部みゆき作品ばかり読んでいたから、このキャラクターたちのべらんべぃ口調に慣れるまで、少し時間がかかった。内容は、母の老いに関してや正義の見方などの価値観について考えさせてくれて、良かった。他の方の感想にもあったが、片思いのキャラクターが多く、それらの心情に関しては切なく、やるせない気持ちになる。どう着地させるのか、続編が待ち遠しい。

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    2025年07月27日
  • 奇のくに風土記

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    木内昇さんの小説は疲れた身体と精神には薬効があるような。
    もちろんお会したことがないけれど、木内昇さんの人柄は私が保証します!といえるくらい笑
    どの小説も木内さんの人間への信頼感が満ち満ちている。
    これもまたしかり。
    安心して読めるので、心が弱った時にオススメします。

    人の善意を信じていいのだなと思う。
    小説を読んでいる間中、清々しい山の空気を吸っているような気持ちになれる。

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    2025年07月11日