木内昇のレビュー一覧

  • 雪夢往来

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    良かった。たいへん興味深く読んだ。

    以前より北越雪譜は興味があり、手に取った事もあるものでしたが、著した人物については全く知りませんでした。
    この本で知ることが出来て良かった。

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    2025年12月30日
  • 奇のくに風土記

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    本草家畔田翠山、幼名十兵衛。小原桃洞を師に仰ぐ。本草学好きの紀州10代藩主徳川治宝にお目見えし、本薬園の手入れを任される。
    ある日岩橋のお山に行き、天狗に会う。その時持ち帰った定家葛を家に植えておいたところ、さわさわと葛を下って亡くなった父が降りてきて、まるで生きている時のように話をすることができた。それ以降、いろいろな不思議と出会うようになった。

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    2025年12月25日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    私の初めて読んだ時代小説!
    歴史小説であるが故に、登場人物たちの最後の結末はすでに決まっているものだったから覚悟しつつ読み進めていってたが、しんどいものはしんどい。一人一人の内面に焦点を向けて書かれているせいで、知らず知らずのうちにそれぞれに感情移入していくものだから、一人倒れ、二人倒れ……としていくのがまぁ本当に辛いししんみりと悲しい。が、それこそが魅力的であり、好きになるんだろうなぁと。判官贔屓といいたまえよ。
    悲劇性を書きたいのではなく、どこにでもいる、それこそ現代にいる様な悩みを抱えた若い人たちが、時代の勝者にはなれずとも、目指したものに進んでいく様がかきたかったのかなぁと勝手に思ったりした。
    斉藤さんの、初期の心情と終わり際の心情の変化だったりが、なんだお前、意外と新撰組好きじゃないか。人斬りしたーいとかいってたけど、好きじゃないかこの野郎とおもったり。

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    2025年12月18日
  • 奇のくに風土記

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    主人公は、和歌山の本草学者、畔田翠山。
    植物だけでなく、自然の姿そのものに惹かれ、研究する、博物学者といったほうがいいかもしれない。人付き合いが苦手であったと伝わる。そこで、人ではないものと通じる、という設定になっている。中島京子さんの『かたづの』はカモシカと言葉を交わす設定であったが、これも大好物な世界観だった。

    舞台は紀ノ國。赴くのは白山や高野山、師である小原桃洞や、京都の本草家山本亡洋は実在の人物だし、植物採集に赴く地も現実である。
    そこで交わす植物や、自然の象徴でもある天狗との交流が、翠山の研究理念に関わる、重要な部分を担っている。
    百姓娘、お妙との交流も切ない。
    ここに出てくる植物は全て当時の呼び名と漢字で表現されており、現在では見分けにくいものもある。挿絵は翠山の手によるもの。現在では園芸種も増えているため、一番素朴な姿を思い浮かべるといいと思う。

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    2025年11月17日
  • 奇のくに風土記

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    読み始めて、大好きな「家守奇譚」を思い出しました。ただひたむきに植物に向ける愛情に、不思議な現象もなんだか不自然ではなく、すーっと受け入れられて清浄な気持ちになりました。

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    2025年11月04日
  • 櫛挽道守

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    鈴木結生 小説が生まれるまで講演会行ってきました。引用がキーワードで登場人物を色で分けて筆もその色で書く 中学で本を読み終えたととか大学一年で卒論書き上げて小説を書き始める現在大学院でシェークスピアの研究するとか 楽しかった 恐るべし24歳

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    2025年10月25日
  • 奇のくに風土記

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    ネタバレ

    表紙からしてちょっと不思議風味
    人と交わるのが苦手で、草木と語らう方が好きな十兵衛が
    山で出会ったのは天狗だった。
    畔田翠山という実在の人物を基にした物語
    作中の画は実際彼の描いたもの
    こーゆー丁寧にしっかり見て描けるっていいよなーーっと思う
    亡くなった父が蔓をつたって降りてきて
    語らったりとか、ちょっと梨木さんの掛け軸から現る友人とか思い出した。
    こーゆーするりと現にそうじゃないものが入り込んでくるところめっっちゃ好きー
    結構自己評価低めな割に結局一度も自分を曲げてない感のある十兵衛、いいわー
    折々に、ちょっとずつ草木だけじゃなくていろんなものが見えてきてなんとゆーか心がレベルアップ?してく感じとかが
    じんわりくる。
    雨が地に染んで行くようなじわじわ沁みてゆくような
    読み心地
    これは、よい。
    やっぱ木内さんは好きだなー

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    2025年10月24日
  • 浮世女房洒落日記

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    ネタバレ

    以前、文庫版で読んだけれど、単行本で再版になったのでまた読みたくなって。
    文化・文政、あるいは天保あたりの、ある一年間の主婦の日記である。
    江戸の行事や風物詩が細かに描かれ、江戸庶民の暮らしが偲ばれる。

    日記の書き手は、お葛(かつ)27歳。亭主・辰三(たつぞう)と、神田で小間物屋を営む。十歳の長男・辰吉(たつきち)、七歳の長女・お延(おのぶ)、住み込みの使用人・清(せい)さん(30歳?)との五人暮らし。
    ・よく登場するお恒(つね)さんは、大店の扇子屋のお内儀で、地主。差配は大家に任せている。
    ・大家さんはおおらかで頼りになるいい人だが、お内儀さんのお佳(よし)さんは、憎まれ口と眉間のシワがすごい。
    ・隣には、富弥太(とみやた)、お甲(こう)夫婦。一人娘のさえちゃんとはよく一緒に出かける(16歳)
    ・お兼さんは夫婦で髪結。
    ・独り者の六さん。ほとんど働かない。究極の持たない暮らし。よく生きてるなあ。気がつくとお葛の家に箸を持って上がり込み、一緒に飯をかっ込んでいる。おかげで晩飯のご飯が足りなくなる。
    ・独り者の源吉さん。六さんよりは働く。
    ・新しく越してきた重吉(じゅうきち)さん。真面目な植木屋。お夕さんと祝言を上げたばかり。ラブラブ夫婦。
    ・鳶(とび)で火消しの半蔵(はんぞう)さんは粋でいなせ。お内儀さんは地味で暗い女だったが、男の子を産んで変わった。

    お葛は、お気楽な亭主としょっちゅう口喧嘩をしたり、息子の成績に悩んだり、若い火消したちのイケメンぶりにポーッとしたりの、現代と変わらない主婦。先輩主婦のお恒さんやお甲さんからは、女の生き方を学ぶことしきり。
    一例として、お恒さんの「旦那をうまく操る法」。男は単純だから、なるべく単純な言葉で褒めてやる。一緒の土俵で張り合っちゃだめ。見えない糸で操るのだそう。自分はまだまだ修行が足りないと感心する一方で、お恒さん、こわ〜い、と思うお葛であった。

    実は、亭主のダメなところいいところひっくるめて、惚れているのだ。
    例えば、毎朝の飯炊きだけは亭主の仕事だが、火加減がすこぶる上手いと褒める。
    口先が調子良く、喧嘩っ早いが、嫌なことはすぐ忘れるさっぱりした性格。羨ましいとさえ思う。
    お葛は家族が何より大事。
    温かくて楽しい日記だった。

    ひとつ、すごくびっくりなことが書いてあった。
    「お医者は誰でもなれる仕事だから、学問が苦手な辰吉にはいいかもしれない。」
    現代ではものすごく頭が良くないとなれない職業の一つなのに・・・江戸時代ってそうだったの?

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    2025年10月01日
  • 奇のくに風土記

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    今の自分にとても響く ことばがたくさんあって 嬉しくて ありがたい時間でした。
    物語もとても楽しかった!

    「まことの望みというのは、どういうものか、己の奥底に潜んでなかなか顔を見せてくれんのや。うまいもんが食いたい、喉が渇いたから水を飲みたい、そういった刹那の望みはいくらでも鮮やかに浮かぶんやがな。そこが人の、厄介なところや」

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    2025年09月23日
  • 万波を翔る

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    太平洋戦争が始まった時ペルリによって武力的に開国を迫られた我が国の、これこそ最初にして最大の苛烈極まる返答であり復讐 維新以来我ら祖先の抱いた無念の思いを、一挙にして晴すべきときが来たと喜ぶ者もいた。実に執念深いと思うが、昭和初期の人々からすれば、幕末の出来事などまだ身近だった。

     さて、その不平等条約の数々は、どのようにして結ばれたのか。長らく続けていた鎖国を外圧により開かされ、急遽幕府は外交を司る新たな部局を設けた。しかし何分経験者が少なく、これまた鎖国の影響で、どの国とどの国の仲が悪いのか、など基本的な外国事情がさっぱりわからない。下手をすると貿易をしている薩摩の方が通じているくらいだ。前例のない仕事は誰でも尻込みしがちだが、名乗りを上げた元気な江戸っ子もいた。先が見えねぇものほど、面白ぇことはねぇのだと言い切った実在の外交官・田辺太一が本編の主人公だ。

     怖さを知らぬ大胆さで既存のやり方への批判もずばずば言ってのける太一。著者がキャラクターを作ったのではないかと思われたが、本人写真を見ると何だかやんちゃそうで、本当にこんな台詞を言ったかもしれない。

     そもそも天皇の許しを得ずに修好条約を結んでしまった所から歪みは始まっていたのだが「歪みを外国には見せず、政体を保ちつつ、不平等を正すように」というウルトラC級の難題を押し付けられてしまう外国局。勝海舟、水野忠徳、岩瀬忠震、小栗忠順、渋沢栄一、福地桜痴など、幕末のスターが勢ぞろいするが、彼等の力を持ってしても不平等は是正されず、前述の「太平洋戦争でリベンジ」などという国民感情が残ってしまう。

     「批判ばっかりしてないで対案を出せ」など、現代社会においても生かせる太一向けの助言が散りばめられているのは、掲載が日本経済新聞だった所以か。

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    2025年09月15日
  • 奇のくに風土記

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    実際の畔田翠山の人生が天狗などの不思議と交わり本草の面白さと共に珠玉の作品となっている.挿画の確かさは言うに及ばず表紙の絵も素晴らしい.
    とても好きです。

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    2025年09月10日
  • 惣十郎浮世始末

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    面白かったーー!!!

    木内昇さんの作品を読んだのはこれで3作目。今の所、どれも面白い。読後感も良い!
    そして読んだ3作品ともドラマ化してほしい。
    いつもながら、登場人物が魅力的。
    シリーズ化してほしいなぁ。

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    2025年08月21日
  • 球道恋々(新潮文庫)

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    野球の創成期、「野蛮」だの「時間のムダで有害」だのといわれていた時代のお話。主人公は正選手ではなく、現役時代に正選手になれなかったコーチです。

    なにかとモヤモヤ悩んでる主人公、一筋縄ではいかない登場人物たち、家族や職場の人々、派手な展開はないのに読めば読むほどみんな輝いて見えるのです。行間に一人ひとりの人生がにじんでくるかんじ。他の作家ではなかなか味わえない気がします。

    人はどの時代も悩んで成長して挫折して精一杯生きてるんだなとしみじみ思わせてくれる木内作品が大好きです。

    奇しくも「高校野球の弊害」がネットで叫ばれる2025年夏。様々な価値観を飲み込んで、素晴らしいスポーツであり続けてほしいなと思わずにいられません。

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    2025年08月19日
  • 奇のくに風土記

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    紀伊国(きのくに)の本草学者・畔田翠山(くろだ すいざん)を初めて知った。
    「研究する人」の集中力には、本当に尊敬しかない。

    翠山の幼名は十兵衛。
    人と話すことが苦手で、小さな頃から野山を駆け巡り、草や木を愛でてきた。
    小原桃洞(おはら とうどう)は紀州の藩医。藩の本草局(ほんぞうきょく)に籍を置き、自宅の離れでも塾を開いて本草学を教えている。十兵衛も塾生の一人となり、生涯の師と仰いだ。

    元服の前の年、岩橋(いわせ)の里山にこっそり入って天狗に遭って以来、十兵衛の周りでは不思議なことばかり起きるようになる。
    いや、それはいつでもどこにでも、大昔から普通に存在しているものなのだけれど、十兵衛の目が「見える」ようになっただけなのかもしれない。
    真剣に心を研ぎ澄ませたなら、凡人でも植物や、虫とも会話できるのだろうか?会話してみたい。

    ぷっくりと豊かに膨らんだ紀伊半島の山中には、確かに神々しく不思議なものが宿っている気がする。
    あやかしも人も、植物も動物も、同じ地にあっては仲良く同居せざるをえない。
    翠山はやがて、桃洞の孫の小原良直(よしなお)と交流を深め、この、利発で小生意気な年下のおかげで人間的にも成長していく。
    人とは違ったことわりの中に生きるあやかしたちも、時に疑問を投げかけてきたり、啓示を与えたり、手を貸してくれたりする。

    南方熊楠。牧野富太郎。そして畔田翠山。
    花や草たちは、認められ、名付けられ、分類される。そして薬草として採取され、人々を救う。
    ありがたいのう。

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    2025年08月16日
  • 奇のくに風土記

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    遠野物語、
    忘れられた日本人、
    北国雪譜、
    牧野富太郎さんの植物図譜、
    世阿弥さんのお能の作品、
    そんなこんなを
    手元に引き寄せて
    一編の物語に昇華すると
    このようになるのでしょうね
    まことに 絶品です。


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    2025年08月07日
  • 雪夢往来

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    北越雪譜 を書いた越後の鈴木牧之の物語。
    多くの江戸時代の書き手、絵師、版元が出てくる。
    今話題の蔦重も。
    特別な職業の人々に焦点を当てつつ、時代の暮らしぶりや生き様をありありと見せてくれる。それぞれまじめで質素で正直で。
    木内氏の作品は実在の人物を描くことが多いが、今の日本を作ってきた人々への敬意が伝わってこちらの胸を打つ。

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    2025年08月03日
  • 奇のくに風土記

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    ネタバレ

    幾度も象徴的に出てくる言葉「美っついのう」。
    まだ訪れたことのない土地(紀州)なのに、幻想的な美しい光景が目の前に現れてくる。
    木内さんの文章の端々から、声を出さない草木たちの語り合う声が聴こえてくるようだった。

    「この世に在ることは、もうそれだけで意味のあることなんや。大きな役目を負うておることなんや」
    「草木には越えぬほうがよい境があるように思います。生育に合う合わんゆうだけでなしに、まわりの草木と話し合うて、そこにおろうと決めた種も、中にはあるんやと思うのです」

    草木も花も魚も獣も鳥も、姿や暮らしぶりは異なっても互いに関わり合って生きているのだ、と改めて思う。
    同じ土地に生きる人間は、それらの生き物と均衡を保てているだろうか。人間が踏み込みすぎていないだろうか。
    江戸の世に出来ていたことが令和の今、崩れかけているように思えてならない。翠山が見たらどう思うだろうか。天狗は怒り狂うだろう。

    大好きな梨木香歩さんの『家守綺譚』の世界観と、やっぱり大好きだった朝ドラ『らんまん』を思い出させてくれた。牧野富太郎先生も翠山のように各地の草木や花々に出逢う旅を重ねていたんだろうな。

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    2025年08月02日
  • 雪夢往来

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    ネタバレ

    江戸時代の後期、越後国の生活風俗を描いた「北越雪譜」という本が鈴木牧之(儀三治)という作家によって書かれ刊行されているという史実に基づき、刊行までの紆余曲折を描いた小説。

    鈴木牧之という作家や北越雪譜という本は全く知らなかったが、刊行に至るまでの紆余曲折には山東京伝や曲亭馬琴、京伝の弟京山、十返舎一九や二代目の蔦屋など、そうそうたるメンバー(タイムリーなことに大河ドラマの直後あたり)が関わっていて、谷津矢車の「蔦屋」をこないだ読んだことも重なり、意外な縁を感じて読むことができた。

    京伝が刊行を約束してから40年…雪国の人は粘り強いと聞くが、それにしてもよく辛抱したものだ。丁寧に根気よく気持ちを込めて研鑽を重ねた文章の魔力ともいうべきか。

    それにしても馬琴のクソっぷりは腹立ち臨界点を超えて、呆れ笑いの境地に達する。今もいるよなぁ、こういう人格が破綻した天才。

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    2025年08月02日
  • 奇のくに風土記

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    ネタバレ

    なんとまあ!清々しく静謐で気持ちのよい本だった。自然のマイナスイオンで浄化された気持ち。江戸時代の和歌山で植物を研究する学者のお話。梨木香歩さんの『家守綺譚』と少し似た味わいもあり、こういう世界が好きな私の心にしっくり馴染んだ。

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    2025年07月21日
  • 新選組 幕末の青嵐

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    最高でした!ハズレのない木内昇さんの作品の中でも優勝です!
    幕末は殆ど覚えてなくて苦手意識がありましたが、読んでいてわかりにくい箇所は全くなく、おもしろくておもしろくて、とてもたのしめました。
    本書は登場人物はやたら多いうえに、なんと章ごとに43回も語り手が代わります。
    だけどそれぞれが短いので読みやすく、語り手が自身の内面や、新撰組メンバーの印象を説明してくれるので人物像がよく理解できるし、時系列に沿って起こった事柄も簡潔に書かれていてほんとうにわかりやすい。
    離れていても、共に戦わなくてもつながっている仲間同士の絆や、会津藩への恩義、武士としての生き様などにグッときてボロボロ泣きました。
    終わり方もよかったです。
    これを機にまた幕末ものに挑戦してみたいです。

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    2025年06月30日