木内昇のレビュー一覧
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ネタバレ越後の縮仲買商人・鈴木牧之が、当地の風俗や雪国の生活を活写した「北越雪譜」を世に出すまでの歳月を描いた長編歴史小説。
牧之を始め、戯作者の山東京伝、その弟・京山、滝沢馬琴、板元・耕書堂の二代目である蔦屋重三郎など実在した人物が登場し、それぞれが絡みあう人間ドラマを繰り広げる。
物語の発端は、牧之が、行商で訪れた江戸で、人々の越後についてのあまりの無知さに落胆したことにあった。
彼は故郷のことを知らしめたい思いに駆られ、越後の綺談と風俗を描いた本の出版を目指す。
やがて、彼の執筆は人気偽作者・山東京伝の目に留まり、出版へと動き始めるが、板元・二代目蔦重から五十両という多額の金銭要求に耐えら -
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ネタバレ本当に大好き!!
悌子と下宿先の家族、全員チャーミング。
権蔵は戦争中では取り柄のない情けない男で、悌子と初めて会った時も悌子のことを毛嫌いしていたのに、少しずつ変わっていって、すごく素敵なお父さんになるのです。
悌子と権蔵、恋愛結婚ではないけれど、信頼し支え合って、血のつながらない息子を慈しんで家族として幸せになるのを読んでいると、胸がいっぱいになります。
また、先の戦争がどんなに世の中をゆがめてしまったのか、市井の人々がお腹を空かせていたのか、空襲で命を喪った様子とか、腕のいい料理人が右腕をなくすとか、戦後態度がコロッと変わった人とか、反戦の強い意識を感じました。 -
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「かたばみ」木内昇
戦中から戦後の、小学校教師をしているガタイのいい女性が主人公のお話。
元々やり投げの選手で、その後小学校教師になり、戦中から戦後の教育方針の違いに悩んだり、幼なじみで親同士が決めた婚約者だと思っていた男性が他の同級生と結婚してしまったり、貧しい中での暮らしや、その中で色んな事件が起こり。
暖かい人間ドラマ。けれど戦争もあり、悲しみや不安の中で必死に生きていく力強さ。
強く、逞しく、哀しく、愛情深く、人間味溢れる人たち。
生きることの意味を教えてくれました。
この本に出会えてよかった。
何度も読み返したくなる本でした。 -
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作品紹介・あらすじ
心震わせる生きもの賛歌。
美(う)っついのう。
紀州藩士の息子・十兵衛(後の本草学者・畔田翠山(くろだすいざん))は、幼いころから草花とは自在に語らうことができるのに、人と接するとうまく言葉を交わすことができずに育った。ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗(てんぎゃん)と出会ってから、面妖な出来事が身の回りで次々と起こり……。若き本草学者の、生き物や家族、恩師との温かな交感と成長を描く、感動の時代幻想譚。
第53回泉鏡花文学賞受賞
*****
「梨木香歩の『家守綺譚』のような小説を教えて」とAIに尋ねたところ、「こんなのどうでしょう」と推薦されたのが本書。いまだに -
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越後塩沢の縮や質屋で生計をたてている鈴木儀三治は、父の跡をとって商業を生業としている。ある時江戸に滞在し、雪の話をしたが江戸者には何の話をしているか伝わらず、嘘をついているとさえ思われてしまう。越後のことを江戸の者に知ってほしいと越後の話を書き溜めた。
せっかく書いたものなので、出版までいかなくとも何かにして欲しいと人を介して山東京伝にお願いしたところ、手直しする形で出版できるかもという話になったが、出版元が見つからない。耕書堂も鶴屋さんも西村屋さんも二代目。板木代50両払うならという出版元を見つけたが、やはりそこまでの額は出せない。次に大阪の方での出版を試みるが、結局こちらもダメ。
山東京 -
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雪国越後魚沼の生活を記し、江戸時代後期に当時の大ベストセラーとなった『北越雪譜』
本作はその『北越雪譜』に関わった四人の「もの書き」たちの物語である
天賦の人、山東京伝
執念の人、曲亭馬琴
憧憬の人、山東京山
夢中の人、鈴木牧之
それぞれが「もの書き」としての譲れない矜持を持ち、それぞれが木内昇さんの分身だったんじゃないかな〜と思いました
それにしても曲亭馬琴の描かれようが非道いw
まぁ癖のある人だったのは間違いないようですが、なんていうか広げ様がえげつない
小説家ってやっぱすごいな〜
特に時代小説(歴史小説)は、なんとなくある人物像をどかんと覆してきたりして、しかもなんか納得させられた -
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ネタバレ本草学を志す十兵衛の成長と、その周りで起こる不思議な出来事が書かれた内容。
薬にするための植物を探して育成したり、あるいは薬にする話などを中心に、その植物に関連した化生の類と遭遇する話が書かれる。
他人との交流が下手な十兵衛が周囲の人々の影響を受けて段々と大人になっていく様や、風情ある野山の描写などが好み。
見たことないジャンルの組み合わせだなと思ったが、どちらも好みなので全然よかった。
個人的には、十兵衛一行がある山に植物採取をしに行った際、遭遇した山伏に山を荒らすのではと勘繰られたシーンで、空気を読まずに植物に関する熱い語りをした結果、ああこいつら本当に植物の事しか頭にないから荒らすわけ -
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ネタバレ現在、大河ドラマ『新選組!』にハマっている私が、組!が好きなら是非この本も、とSNSのフォロワーさんからおすすめされて読んだ小説。
タイトルにある「青嵐」とは、「初夏の青葉を揺すって吹き渡るやや強い風」のことだそう(コトバンク参照)
なるほど、登場人物それぞれ青さがある……!
永倉新八は自分は普通の人間、周りの人達のようになにかに秀でているわけではないと思い込み、序盤の土方歳三は定職に就けず家族から白い目で見られていて……
アイデンティティの揺れや自己評価の低さに共感できる部分があると思った。
そして、自己評価と他者から見た様子のギャップが面白いな……と感じた
(例えば、沖田・斎藤は永倉新 -
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文学作品の中から
ある一単語を抜き出し、
それを軸に文学作品と木内さんとのかかわりを語る。
いわゆる“文豪”といわれる方々の作品は
なかなか読み方がわからなかったり、
現代人には難しい本も多いので、
そこに一定の角度をつけてくれるのはありがたい。
この本はそこでとどまらず。
最後に収録されているのは竹内浩三「筑波日記」
大正10年に生を受けた彼の
簡単な生い立ちと作品について語られた後、
軍隊入隊後の筑波での訓練に明け暮れた日々を綴った
日記が紹介される。
作らない 飾らない 騙らない
いろいろと修飾できなくもないけれど、
どれも相応しいとは思えない。
いま、そこにある、戦争というもの -
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ネタバレ「生きとるものは、そう容易く括れんのよ」
実在の本草学者、畔田翠山(幼名十兵衛)を主人公にした、少し幻想譚も混じった歴史小説。
主人公は人との交わりが下手、自分の感情を表情や言葉にするのが苦手で、嫌いな言葉だが今ならコミュ障と揶揄されるタイプの人物。だが、その観察力や洞察力や粘り強さなど、本草を学ぶ素質に溢れており、師匠の桃洞先生はしっかりとそれを認めていて、導いていく様子はとても良い。
桃洞先生の孫、良直がまたいい味出してるんよねぇ、要らんことばっかり言うし、しゃべり方はケンカ腰が常で否定から会話を始め寄るし、どっちか言うたら彼の方がコミュ障っ気があると思うんだが…。それでも、コメディリ -
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私の初めて読んだ時代小説!
歴史小説であるが故に、登場人物たちの最後の結末はすでに決まっているものだったから覚悟しつつ読み進めていってたが、しんどいものはしんどい。一人一人の内面に焦点を向けて書かれているせいで、知らず知らずのうちにそれぞれに感情移入していくものだから、一人倒れ、二人倒れ……としていくのがまぁ本当に辛いししんみりと悲しい。が、それこそが魅力的であり、好きになるんだろうなぁと。判官贔屓といいたまえよ。
悲劇性を書きたいのではなく、どこにでもいる、それこそ現代にいる様な悩みを抱えた若い人たちが、時代の勝者にはなれずとも、目指したものに進んでいく様がかきたかったのかなぁと勝手に思った -
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「あの本、読みました?」という番組の中で、鈴木保奈美さんが「朝ドラみたい!」と仰っていたが、言い得て妙。まさにそんな感じの小説だった。
元やり投げの選手で「男女」とも言われるほど体格のよい悌子。一方、身体が弱く細く、そのため戦争に行くこともなく、後ろ指を指されながらブラブラしている権蔵。
この二人を中心に物語は交互に進んでいく。
舞台は東京、武蔵野。時代は昭和初期から戦後まで。時にクスリと笑えて、時に涙ぐみ、読み終わった時には「ああ~この続きが知りたい・・」と思ってしまった。556ページの大作だが、あっという間に読み終えた。気づけば半徹夜。
分かりやすいヒール役は教頭先生とモブの子供た