木内昇のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「新潮文庫の100冊」に入れて欲しいと思うくらい良かったです。たまに100冊を超えている年があるので、中の人がコッソリ追加してくれても良いのでは…などと思ってみたり。
内容は、“占い”にハマってしまった女性たちを描く全7話の短編集。とはいえ、以下にあらすじを書いておきますが、占いだけにあらず。人が何かにハマって行く過程の恐ろしさや、他人と比較して一喜一憂することの無益さがとてもよく描かれていて感心しました。
各短篇は一話完結ですが、別の話しに登場した人が再登場する話しもあります。以下が参考になれば幸いです。
1話.時追町の卜い家
家の修繕をきっかけに、翻訳家で独身の桐子が年下の伊助と半同 -
Posted by ブクログ
“きうち のぼる”という男性かと思ったら、“きうち のぼり”という女性だった。
出版社で雑誌編集に携わった後、自分でもインタビュー雑誌を主宰し、その後、ひょんなことから小説を書くことになり、2011年「漂砂のうたう」で直木賞受賞。その前後の年に雑誌や新聞に掲載されたエッセイを集めたのが本書。この作家の小説は読んだことないが、本のタイトルと装丁に惹かれて手に取った。
1967年生まれ。私と歳が近いから価値観が合うというか、お姉さんと慕いたくなるタイプ。
一番共感したのは「世の中の成分」というエッセイの中で、仕事で上司の雷が落ちた時、
「それは言われていない」「その指示は聞いていない」とい -
Posted by ブクログ
江戸を舞台にした奇譚集だが、何だか一話完結の短編で終わらせるのがもったいないような、物語の魅力をぎゅっと濃縮した7篇が収録されている。
例えばラストの「夜番」は、憑き物を見ることができるすっとぼけた感じの主人公の男と、一膳飯屋のお運びをする肝っ玉姐さんのキャラクターが印象的だ。掛け合い漫才のようなやり取りも楽しいし、どこか江戸っ子の人情を感じることができる展開もいい。この二人が様々な事件を解決していく形の連作短編にでもすれば、楽勝で一冊本ができそうなほど面白い設定なのに、惜しげもなく一本の短編でスパッと完結させているところが実に潔いと思った。
個人的には読後の切なさが際立つ「蛼橋」が一番好きだ -
Posted by ブクログ
攘夷の嵐が吹き荒れる中、欧米列強の開港圧力が高まる幕末に外交の礎を築いた幕臣たちの物語。
主人公田辺太一は、鼻っ柱の強い若者。長崎の海軍伝習所から江戸に戻り、新設された外国局で、いつも機嫌が悪く、皮肉屋の奉行・水野忠徳の下、横浜開港事務に関ることになる。水野や岩瀬忠震、小栗中順、渋沢栄一といった傑出した家人と交わり、持ち前の波乱を厭わない推進力や主張力を生かしながら太一は成長していく。
だが、腰が定まらない幕府、薩長のしたたかで、不穏な動きに翻弄され、受難の道を歩む。
長崎海軍伝習所で西欧の航海術や兵学をじかに学んだ太一は、日本を豊かにするためには、国を開いて異国の知恵や技術を取り入れるべきだ -
Posted by ブクログ
数ある新選組を題材に扱った時代小説の中でも、最もおすすめの一冊。
近藤勇が試衛館(天然理心流道場)の4代目師範の時代から、土方歳三が戦死したと言われる箱館五稜郭の防衛戦(戊辰戦争の最後の戦場)までを描いた小説。
■本書のここがおもしろい!
時代小説では通例、主人公たる史人にフォーカスし、主人公目線でストーリー展開されていきますが、本書はその主人公が章ごとに変わっていきます。
ある時は近藤勇の視点、またある時は斎藤一・藤堂平助等の隊士、そして時には敵方であった清河八郎等々、様々な史人の視点で物語は進んでいきます。
これがかなりおもしろい。
片側だけでなく、やる側/やられる側、双方の視点が書