木内昇のレビュー一覧

  • よこまち余話

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    年末年始のお供にTぬオススメのこの本。穏やかに静かに浸れそうだと手にとったが大正解。何とも沁みる。
    最初のほうは中学に行きたいのに言い出せない浩三や、気づいているおかみさん、心優しい浩一などにじんわり。
    特に月に一度の和菓子や、朝、桶に張った氷を楽しみにしている浩一がとても良い。
    そのうち、少し不思議な感覚を覚えて、時間のつながりにはてとなり、なるほど過去と未來が入り交じっているのかと気づく。
    トメさんと齣さんの人生がせつなく、でもただ悲しいということでもない、とにかく、沁みる。
    何とも言えない余韻が残るお話。

    0
    2020年01月07日
  • 光炎の人 下

    Posted by ブクログ

    そうか。最終的な着地点は、何と張作霖爆殺事件なんだ。途中からそんな気がしてきて、浅田次郎の件の作品が物凄く好きな自分としては、そういう点でも、本作がだんだんと面白く読めるようになってきた。主人公のキャラは、結局最後まで好きになれないものだったけど、だからこそこんなクライマックスが成り立つってもの。触るものみな傷つけて、ありとあらゆる人間関係を拒否してきたもんな~、って感慨もひとしお。手放しで好き!って感じでもないんだけど、小難しい機械の話とかも頻繁に出てきながらも、それでも頁を繰る手が止まらなかったのは、物語に引きつけられたからに違いない。力作。

    0
    2019年12月16日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    木内昇の小説の主人公はいつも内側に熱い情熱を抱え純粋ゆえに不器用にもがき、そしてそのもがきの中で自分の使命を理解していく、という表舞台には決して登場しない市井の人々が多いと思います。そこが彼女の作品に惹かれる理由かも。日経新聞連載時から本作の主人公が江戸から明治への過渡期の外交という舞台で切歯扼腕している様子は感じていました。今回、したたかな欧米列強に対し、初心な江戸幕府が翻弄される細かい交渉を積み重ねて「太平の眠りを覚ます…」って歴史が生まれたことを単行本として一気に読んだことで理解しました。でも、この本、「歴史小説」というより「仕事小説」としての共感が高いです。偏屈な上司との付き合い方、自

    0
    2019年12月03日
  • 光炎の人 下

    Posted by ブクログ

    史実をもとにどこまでフィクションを盛り込むか、が作者の手腕が問われるところである。
    技術者が自分の夢をただ実現したいがために、実行したことが、戦争の中の事件に巻き込まれていく。
    冷静さを欠いた音三郎と冷静沈着に処断する利平の結末は、戦時中の狂気に誘われる人々を想像させる。

    0
    2019年10月24日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    開国から4年、江戸幕府は異国との外交を担う外国局(外務省の先駆け)を新設する。
    一筋縄ではいかない異国との折衝に加え、幕府への不信とともに高まる攘夷熱。
    腕に覚えはないけれど、短気で鼻っ柱の強い江戸っ子・田辺太一の成長を通して、幕末における日本の行く末を追う。

    日本に乗り込み次々に無理難題を押し付ける異国や、そんな異国へ勝手に戦を仕掛けたり幕府を通さずに直接取引しようとする諸藩に、ひたすら攘夷を要求する天朝。
    そんな幾度も押し寄せる荒波に翻弄されながらも知恵を絞って果敢に立ち向かう太一。
    幕末から明治へ激動の時代を懸命に翔け抜ける太一の姿は生き生きとして実に清々しい。

    歴史上の事件名は知っ

    0
    2019年09月16日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    新選組 隊士 一人一人を知る事が出来る構成。
    土方さんの、情の深さを読みながら感じると、泣けて来た。不器用故に生きづらさを抱えていたのだろうなと思いながら…。

    0
    2019年08月18日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    色んな隊士の視点で書かれているが、とても読みやすいわ
    濃密。時代の変わり目。多くの人が死ぬ。
    なんとなく、良い印象がなかった人物が今回、意外と良い人だったのかもしれないと変化したり。
    解説にもあるが、見える部分だけ見ていてはいけないなと。
    それにしても土方は本当にかっこいいし、沖田はさっぱりしていて気持ちがいいし癒される。

    0
    2018年12月28日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    タイトル「櫛挽道守」と書いて「くしひきちもり」と読む本作。幕末を舞台に、櫛職人を父に持つ主人公登瀬が、限られた自由の中で懸命に自身の生き方を模索する姿を丁寧に描いた作品です。
    時代としてはペリーが浦賀に来航したあたりからになるので、日本史の一大転換期ともいえる頃にあたるのですが、源次を除いて登場人物の多くは不穏さを増す社会情勢から一歩引いたところで日々の生活を営んでおり、よくある波乱万丈の展開があるわけではないです。なので筋だけ読むと正直地味な小説の部類に含まれてしまうのですが、逆にそういった喧騒からの適度な距離感が、登瀬の素朴で純粋な姿を引き立たせているように感じられました。
    実は私、読んで

    0
    2018年04月30日
  • みちくさ道中

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    美しい日本語に感心したり、ぷぷっと噴き出したり。こんなに才能あるのに、まるで「櫛引道守」のヒロインのように物語を紡ぐことに謙虚にまっすぐに取り組んでおられる。地道にひたむきにがんばることの素晴らしさを学ぶ。

    0
    2018年03月23日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    志を持った男達の生きざま!すっかり虜になってしまった。

    新選組のメンバーが順番に語り手となり、他のメンバーのことや時勢について語る。
    同じ時勢のことも語り手が変わると違った印象になるのも面白い。
    メンバーそれぞれの個性もよく分かりクスッとなったりニヤリとしたり、切なくなって泣けてきたり悔しくて憤ったり、と様々な感情が次々にわき上がる。
    幕末の時代の波に翻弄された若者達。
    初めは全員が揃って志を高く持ち、先へ、これよりももっと先へ…と突き進めると信じていたはず。
    けれど思惑は人それぞれで、不器用な若者達の野心が手探りで交錯し絡まっていく。

    「なにも持っていないということは、実に強い。こうした

    0
    2018年03月04日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新撰組ファンとして読んでよかったと心から思う小説だった。
    ”よくあそこまでやったという崇敬と、さぞ大変な仕事だったろうという痛みと、きっとあれでよかったのだという願いと。”これは小説の最終章、佐藤彦五郎によって語られる言葉である。『幕末の青嵐』を読み終わったあと、私はまさにこの言葉のように複雑で一言では言い表せない感情に襲われた。
    それぞれの視点で描かれるこの小説では、近藤や土方を筆頭に新撰組に関わった人物達がとても色鮮やかに描かれている。視点の主によって人物への印象がことなり、それによって人物に深みを与えている。
    始めはどこか心の距離があった試衛館のメンバーの間に、強い情が生まれていくのがよ

    0
    2017年10月17日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「自由」なんて聞こえはいいが、これほど「不自由」なものはない。

    御一新から10年の根津遊廓。
    武士の身分を失い遊廓の客引きとなった定九郎は、ただただやるせない日々を送っていた。
    新政府の造り出した「自由」という厄介な柵に縛られながら…。

    時折挟まれる落語や都々逸が物語の儚さをどんどん煽っていく。
    捨てたはずの過去の柵の中でもがき逃げてばかりの定九郎。
    それに対比するかのような花魁・小野菊の凛とした佇まいと華やかな笑顔が素敵!
    時代の波に翻弄されても自分を見失わずに生きていきたい!

    「自由」とは楽なようで、実はほんと難しい。

    0
    2017年08月17日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    十代から新撰組に興味を持っていました。きっかけは栗塚旭さんの「燃えよ剣」。司馬遼太郎さんの原作を読みました。続けざまに「新撰組血風録」「新撰組始末記」を読みました。テレビドラマの「新撰組始末記」大河ドラマの「新撰組」などなど。
    最近は少し飽きたなあと感じていたのですが、この作品は面白いです。切り口が斬新です。登場人物たちの主観でストーリーが展開して行きます。筆者が登場人物像を、しっかり持っており筆を進めています。当然、後半に進めば悲しくはなってくるんですが登場人物が、実際にその様に感じていたのではないかと思わせます。

    0
    2017年08月09日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    定久郎は元武士、維新後家族捨て出奔。そして名を変え廓に身を潜めた。女は根津廓に売られてきた。どんなに美しくとも籠の鳥。小野菊花魁という名で生きている。彼女の情人、噺家ポン太。彼もまた名を捨て生きている。名を捨てた3人、カタチは違えど自由を求め行動をする。定久郎は翻弄されすぎて途中自由に負けそうになるが、小野菊とポン太がしかけた謎が明かされ全てに納得できた時、彼も彼なりの自由に出会えたのではないか。話に漂う面妖さは砂のよう。はらはらこぼれ心の片隅に塚を築いていく。塚が大きくなったその時、訪れるか私の自由よ。

    0
    2017年05月24日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    斎藤さん、渋い。かっこいい。情にほだされる斎藤さんかっこいい。
    山崎さんと尾形さんの監察コンビがいい味わい。

    0
    2017年04月24日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    なんでこの人のかく話はこんなに心揺さぶられるんだろう

    時代も価値観も今と全く異なるようで
    でもどこか根底にあるような
    一番揺れ動く、揺さぶられる時代を
    なんでここまで鮮やかに描けるのか

    0
    2017年03月11日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    ここ最近、読む本にハズレがなく充実した読書ライフを過ごしてます。

    面白かった。
    それほどページ数が多くもないのに、ボリュームがありました。
    いろいろな謎がラストで解決し、すっきりした読後感です。
    遊女達の暮らしも、暗い描き方ではありませんでした。

    題名の意味と、内容との関係が最後までよく分かりませんでした…。

    0
    2015年07月19日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

    Posted by ブクログ

    新撰組について書かれたものは多くあると思いますが、「地虫鳴く」は、阿部十郎の、実際の談話録のさわりを皮切りに、物語は始まります。阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人が語り手です。

    描かれている時期は、池田屋事件などで新撰組が有名になった後から始まっていて、鳥羽・伏見の戦いの前くらいまでなので、短い期間を、じっくり描いているという感じです。

    他のレビューを見て、「幕末の青嵐」を先に読みましたが、正解でした。この順だと、すごく自然にしっくりきます。「地虫鳴く」は、「幕末の青嵐」を読んでもなお、新撰組のことを知りたい人向けです。

    語り手3人の立場が全く異なる上、篠原視点では薩長側、尾形視点で

    0
    2015年04月26日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    新撰組の人物の視点を変えながら、物語を追っていく歴史・時代小説。

    ひとりひとりの心情が鮮やかに描かれ、登場人物に命が吹き込まれていくようだった。これが処女作なんてすごい!
    特に「覇者の風招きの項」山南の所、「油小路」永倉新八の所なんかは悲しかった。
    青嵐の如く若い隊士たちが駆け抜けていった爽やかさ・切なさを感じる。一番好きな新撰組小説かもしれない。
    普段は平行読みしてるけど、今回は1冊に集中して読んだ。新撰組小説はのめり込んで読むのが楽しい。

    0
    2015年02月05日
  • 新選組裏表録 地虫鳴く

    Posted by ブクログ

    新選組の話では当たり前の様に近藤、土方、沖田は中心人物として描かれるものだと思っていたから、本作で主人公に対局する立場として描かれているのは新鮮だった。
    後半へいくに連れ追い詰められていく主人公の心理描写に引き込まれた。
    著者の別の新選組作品には物足りなさを感じたけれど、こちらは夢中になって読み切った。

    0
    2014年10月19日