木内昇のレビュー一覧

  • 雪夢往来

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     最近宮田珠己さんの本で、江戸後期に鈴木牧之なる人が書いた『秋山記行』という民俗誌的な本があるということを知った。娯楽として“面白そう”とまでは思わなかったため、読みたい本リストには入れずメモもしていなかったものの、なんとなく気になって覚えていたら、木内昇さんの新刊の主人公になっているではないか。運命!
     しかも、よくよく見ると今の大河ドラマ「べらぼう」に近い時代設定。初代蔦重は亡くなってしまっているが耕書堂は二代目が継いでおり、西村屋だの鱗形屋だの、ドラマで現在進行中のストーリーに登場する本屋さんの屋号も出てきて、常なら頭に入りづらそうな名前や人間関係もスッと馴染み、読むならまさに今!という

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    2025年02月27日
  • 雪夢往来

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    越後塩沢で縮の仲買と質屋を営む豪商を継いだ鈴木牧之。

    地元の豪雪の中の暮らしを江戸に伝えようと随筆を書き溜め、晩年に版行(板行)した「北越雪譜」の出版にまつわる紆余曲折と、それに関わった江戸の戯作者たちの人間関係を描く。

    牧之の依頼を受け、出版の仲介にとどまらず、企画、編集、校正(校合)を行おうとしたのは、当代きっての戯作者である山東京伝や曲亭馬琴たち。
    それぞれ乗り気ではあるものの、版元の抵抗に合ったり自らの執筆があったりで話が進まず、十年単位の月日が経つなか京伝や絵師の岡田王山などは道半ばでこの世を去る。

    最後に引受けたのは京伝の実弟山東京山。
    兄と同じ戯作者だが兄ほどの才能はなく、

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    2025年02月25日
  • 惣十郎浮世始末

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    主人公は、北町奉行所定廻同心服部惣十郎。彼の手下は小者の佐吉と岡っ引きの完治。
    今ひとつ頼りない佐吉に対し、完治はその慧眼と機転を見込んで惣十郎が岡っ引きに引き抜いたもとは名代の巾着切り。
    彼らを使い分けながら、惣十郎が放火殺人犯を追う。
    事件の裏に疱瘡治療を巡る不正な行為が見え隠れし、危険な治験を行う医師が浮かび上がる。惣十郎の亡くなった妻・郁の死因も関わり合うのではと、探索に拍車がかかる。
    他殺と判る死体の発見も相次ぎ、冤罪も絡み、次第にミステリー性を帯びてくる。
    この惣十郎、同役が罪人の数を挙げることに躍起となるのに対し、「犯罪の芽を先に見付けて摘み取ることに重きを置く」という信条の持ち

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    2025年02月19日
  • 雪夢往来

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    ネタバレ

    「夢というのは一度見てしまうと、そこから逃れられぬものなのかもしれぬ」
    とはいえ、刊行までに四十年も経とうとは。ここまでくると"夢"よりも執念が勝っているのでは。
    "越後の鈴木牧之"この名は今回初めて知った。
    山東京伝や滝沢馬琴などこの時代の名だたる作家たちを巻き込んでようやく日の目を見た大作『北越雪譜』。"鈴木牧之記念館"も建っているようで、今も彼の地の人たちに親しまれていると思うと他人事ながら嬉しい。

    ここ数日日本列島を騒然とさせている最強寒波も、現代の我々はテレビの映像で見ているから各地の状況も知っているけれど、江戸時代には当

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    2025年02月08日
  • 雪夢往来

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    男のロマンの執念たるや!
    新潟に越してきて、北越雪譜って?と思ってたらこういう話なんだと興味を持ちました。
    ともあれフォーカスが色々あってどんどん読み進みられた。文学史好きにも好まれるだろうなー!

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    2025年01月29日
  • かたばみ

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    オススメされてずっと読んでみたかったこの本
    BOOKOFFのセールで発見して目にした瞬間抱えていました笑

    朝ドラみたいだよ!

    と言われて、読み進むにつれて
    まさに朝ドラだなぁ
    と、そう思いながら読んだこの本

    血の繋がらない人が、少しずつ家族になっていくこの物語

    戦争で思想や生活が変えられて、子どもたちが一番振り回されていたあの時代
    今の時代が何の問題もなく、不自由することもないとは全く思えないけれども

    戦後80年を迎えたこの年にこの本を読めたことは大事にしたいと思います

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    2025年01月20日
  • 雪夢往来

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    良いですね。
    越後塩沢の商人・鈴木牧之が越後の風俗・奇譚を集めた『北越雪譜』を江戸で出版するまでの40年を描いた作品です。
    多くの戯作者、版元が登場します。主人公の鈴木牧之に加え山東京伝とその弟の京山、滝沢馬琴、そして2代目蔦重や文溪堂・丁子屋平兵衛など。特に戯作者についてはその家庭や妻や子も描かれ登場人物の多さにいささか苦戦。また、上手く行きかけては挫折を繰り返す様子を描いた前半はやや冗長な感じもあります。
    ようやく出版の夢が叶おうとする前夜。『雪譜』の舞台を我が目に収めるべく越後を訪れた刪定者の山東京山と、中風に倒れ回復途上にある編選者の鈴木牧之の会話。刊行を思い立ってから永い苦難の歳月を

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    2025年01月14日
  • 剛心

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    以前読んだ、門井慶喜の「東京、はじまる」の感想に、「辰野に似ている妻木頼黄~」と書いたが、本書を読むと妻木と辰野は似ても似つかない二人だった。実際の所はどうだったのか?二人の作品を見る限りは本書の方が実際に近かった気がする。

    又、こちらも以前に読んだ植松三十里の「帝国ホテル建築物語」と比較して見ると、妻木とライトの描き方が似ていると感じた。それぞれの直接の描写は押さえ、その代わり周りの人々に語らせる事により、二人の人となりを浮かび上がらせる結果となる。建築家の小説はこちらの方が味わい深くなると思う。

    くまざわ書店阿倍野店にて購入。

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    2025年01月08日
  • かたばみ

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    戦時、戦後という大変な時代を生きた人たちが前向きに生きていく姿が美しい

    ひどい体験をしたからこそ、あたりまえをあたりまえと思わず、日々の小さなことにも感謝できる、幸せを感じられる

    夫婦のかたち、親子のかたち、家族のかたちもいろいろな時代

    権蔵がとてもいい

    人はどこまでいっても不完全で未熟。ただ一所懸命生きている正直な姿を子どもたちに見せる。

    自分の子どもが本当に好きなものを見つけて、夢中になってそれに打ち込んでいるのを見ることほど幸せなことはない。

    挫折は弔い事と捉えがちだが、もしかするとお前はそっちじゃないよという天からの差配かもしれない。挫折は正しい扉を開くための尊いきっかけ。

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    2024年11月16日
  • 惣十郎浮世始末

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    久しぶりに読んだ木内昇作品。
    相変わらず、読みやすくてわかりやすくてストーリーテリングが巧み。530ページを超える大作にもかかわらず、ほぼ一気読み。

    人情あふれるキャラクター達の魅力も相まって、とても楽しくすいすい読めたのだけれども、いかんせん、そこまでの語りがとても丁寧だっただけに、オチがやや消化不良。納得感に不満が残るかなあ。
    でもシリーズ化してもよさそうなくらい、各キャラクターに魅力があって、引き込まれたのは確か。
    木内作品はいつも裏切らない。

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    2024年10月27日
  • 占(新潮文庫)

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    連作短編形式の作品であるところが好みだったのと占いの持つ「不思議さ」のようなものを具体化してあるような作品で面白かった。千里眼の杣子さんと鷺行町の朝生屋の話が特に面白かった!

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    2024年10月05日
  • かたばみ

    H

    購入済み

    戦前から戦中・戦後と元槍投げ選手の小学校教員が、時代に翻弄されながら誠実に生きていこうとする話です。
    1945年以降、軍事と基本的に関りがなかった日本は幸せな時代であったと思います。きな臭い世の中となりつつある中で、二度と戦争をしてはいけないと考えさせられます。

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    2024年10月04日
  • 惣十郎浮世始末

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    天保の改革の頃、放火殺人事件の謎を解く同心の話。

    江戸の風俗、仕事、疫病、種痘などがかなり細かく描かれている。長いので読んでも読んでも終わらない感。

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    2024年08月29日
  • 惣十郎浮世始末

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    去年ハマったNHKのドラマ『大奥シーズン2』を思い出しながらの読書となった。
    疫病が蔓延する江戸後期を舞台にした物語。
    ドラマでも赤面疱瘡を撲滅しようと、男女逆転した江戸幕府が懸命にもがいていたっけ。
    人痘種痘はこの時代から試行錯誤されていたんだと思うと、先人たちの苦労には頭が下がる。

    木内さんのお江戸の捕物帳。思った通り義理人情にアツくカッコいい漢たちの物語でワクワクした。
    特に主人公・服部惣十郎を手助けする町医者・口鳥梨春、岡っ引・完治が良かった。
    あと惣十郎を密かに慕うお雅の美味しそうな手料理の数々には、読んでいてお腹が減ってきた。

    「正義とは聞こえのよい言葉ですが、さようなものは実

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    2024年08月03日
  • 占(新潮文庫)

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    『かたばみ』が良かったので、木内さん二作目。このお話も良かった。

     占い師に頼るようになった女性や、自分が占い師になった女性が出てきます。
    少し前の時代のお話だからというのもありますが、話し言葉や表現が丁寧で美しいです。読んでいると、こちらの心も綺麗になりそう。

    色々と思い悩みながらも、何かがふっとわかって、そこから自分の心に向き合えて、賢明な判断をして前に進みだす女性の姿が描かれています。そんな風にできたらなぁと憧れます。
    「北聖町の読心術」に出てくる、心を読む“都”という女性の占い方は特に印象に残りました。こんな方が実際になったらぜひ占ってもらいたい。

    心に残ったところ
    「屑待祠の喰

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    2024年04月09日
  • 漂砂のうたう

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    ネタバレ

    主人公があまり無気力に描かれているが、実は忍びだったり仇持ちだったり…と裏の顔を期待したが、特にそんな秘密もなく、本当に主人公?と思うほどだった。廓という狭い世界でひたすら静かに物語が進み、主人公はいつまでも世捨て人のままだが、中盤以降から小さな事件が起きて、気づけば物語に引き込まれていた。
    全体的に希望を持てない重い雰囲気なのは、江戸から明治という激動の時代に生きるのは、実際こんな感じだったのか…最後は明るい結末が見られて良い気分で読み終えられた。

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    2024年04月05日
  • 櫛挽道守

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    よこまち余話が面白かったので読んでみた。女性の人格がない頃に地味に頑張った女性の話。読んでいて悲しくて悔しくなる。主人公は本当によく頑張ったと思いました

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    2024年03月10日
  • よこまち余話

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    この前に読んでいた本(『失われたものたちの本』)とは全く違う世界。
    とまどいながら読み始めたが、この余白の多い物語にぐっと引き込まれる。
    語りすぎず、語らなさすぎず。
    想像しながら読む楽しさ。
    最後までおもしろく読んだ。

    読み進めるうちに、全く違うと思っていた『失われたものたちの本』と通ずるものを勝手に感じる。
    異世界はすぐ隣にある。その異世界は、現実と全く違う世界ということではなく、心の世界とでもいうような、人が持っている潜在的な思いや積み重なった経験が具現化する世界。それは、意識しているかしていないかに関わらず、だれもが抱えている世界。
    (巻末の対談でも出てくるけれど)この本では、此岸と

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    2024年03月09日
  • 占(新潮文庫)

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    連続短編集ともいえる、好きなジャンル。
    そして、占いに翻弄される人々の引き摺られていく姿がじわじわと描き出されるのが、自分とも重ね合う時があってぞくりとする。

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    2023年12月17日
  • 漂砂のうたう

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    最初は何の話かという感じだったが、最後の方の龍造との会話が美しすぎて泣ける。終始 感情の起伏を抑えた描写をしておいて、最後に落とす。あの数ページだけでも読む価値ある。

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    2023年12月12日