木内昇のレビュー一覧

  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公があまり無気力に描かれているが、実は忍びだったり仇持ちだったり…と裏の顔を期待したが、特にそんな秘密もなく、本当に主人公?と思うほどだった。廓という狭い世界でひたすら静かに物語が進み、主人公はいつまでも世捨て人のままだが、中盤以降から小さな事件が起きて、気づけば物語に引き込まれていた。
    全体的に希望を持てない重い雰囲気なのは、江戸から明治という激動の時代に生きるのは、実際こんな感じだったのか…最後は明るい結末が見られて良い気分で読み終えられた。

    0
    2024年04月05日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    よこまち余話が面白かったので読んでみた。女性の人格がない頃に地味に頑張った女性の話。読んでいて悲しくて悔しくなる。主人公は本当によく頑張ったと思いました

    0
    2024年03月10日
  • よこまち余話

    Posted by ブクログ

    この前に読んでいた本(『失われたものたちの本』)とは全く違う世界。
    とまどいながら読み始めたが、この余白の多い物語にぐっと引き込まれる。
    語りすぎず、語らなさすぎず。
    想像しながら読む楽しさ。
    最後までおもしろく読んだ。

    読み進めるうちに、全く違うと思っていた『失われたものたちの本』と通ずるものを勝手に感じる。
    異世界はすぐ隣にある。その異世界は、現実と全く違う世界ということではなく、心の世界とでもいうような、人が持っている潜在的な思いや積み重なった経験が具現化する世界。それは、意識しているかしていないかに関わらず、だれもが抱えている世界。
    (巻末の対談でも出てくるけれど)この本では、此岸と

    0
    2024年03月09日
  • 占(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    連続短編集ともいえる、好きなジャンル。
    そして、占いに翻弄される人々の引き摺られていく姿がじわじわと描き出されるのが、自分とも重ね合う時があってぞくりとする。

    0
    2023年12月17日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    最初は何の話かという感じだったが、最後の方の龍造との会話が美しすぎて泣ける。終始 感情の起伏を抑えた描写をしておいて、最後に落とす。あの数ページだけでも読む価値ある。

    0
    2023年12月12日
  • 新選組 幕末の青嵐

    Posted by ブクログ

    幕末を描く作品は、『竜馬がゆく』に代表される倒幕派と、新選組や会津を題材にした佐幕派に別れる。しかし、どちらの派も日本国を思う気持ちは同じだったのではないか。土方歳三を主柱にしたこの物語は、新選組発足前の土方、近藤らの青春から、彼らの目線で幕末の動乱を、あたかも主要なチャプターをスキップするように語られていく。史実を踏まえつつ、小説として彼らの想いをいかんなく表現した作品だった。ただ、歴史小説をものするなら「四六時中」ではなく「二六時中」という表現にこだわってほしかったな。

    0
    2023年10月15日
  • よこまち余話

    Posted by ブクログ

    味わい深い。
    江戸を少し残したような時代の、うらぶれた長屋が舞台なのかな?
    SFのような、怪談のような、ファンタジーのような。
    淡々と日常の生活が活写されていくなかで、少しの不思議が混じっている感じ。
    まだ闇が大きくて深かった時代の雰囲気が、とても味わい深かった。
    テンポよく読める、先が気になるような内容ではなかった。日々少しずつゆっくり読むのが向いていると思う。

    0
    2023年08月12日
  • 占(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    人間の業の深さを突きつけられる1冊。
    執着する気持ちも占いにすがりたくなる気持ちもよくわかる。わかるだけにそんな自分をごく客観的に見えてゾッとする。何かに頼りたくなったら縋りつきたくなった時に読み返したい。きっと冷静になれるはず。

    0
    2023年07月14日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    御一新後に時世のお荷物となった「昔のお武家」の定九郎は、江戸の香りが残る遊郭の下働きに身を置く。 「これからは誰しも自由に生きりゃあいいんです」と言われても、世の中の変化に自分の変化が追いつかない。 部屋でゴロゴロするニートが「幕末に生まれてりゃなぁー」と言う飯尾さんのネタがありますが、 定九郎は「幕末に生まれてこなければなー」と思ったに違いない

    0
    2023年01月28日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    読売新聞に連載の作品が面白いので読んでみた。ポン太の正体がぼんやりだけどこれはこれで良かったかなとも思う

    0
    2022年12月19日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    奇しくも今日放映されるNHKスペシャルが「新・幕末史 グローバル・ヒストリー 「第1集 幕府vs列強 全面戦争の危機」」まさに田辺太一が虎狼の様な外国にキリキリまいにさせられていた時代。
    木内昇氏は今年の発見、他の物語も堪能させてもらおうと思った。

    作品紹介・あらすじ
    「この国の岐路を、異国に委ねちゃあならねぇ」負けん気の強い江戸っ子・田辺太一が外国相手に大暴れ! 日本の外交の曙を描く長編。

    0
    2022年10月16日
  • 化物蝋燭

    Posted by ブクログ

    江戸の不思議なお話の短編集。
    「幼馴染み」という一編がとにかく怖かった。
    脳内では山岸涼子さんの絵で再生。サイコホラー。
    不思議で怖い話と、不思議でほのぼのする話、どちらも良いバランスで飽きずに楽しめた。

    0
    2022年09月14日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    幕末、外国方として勤めた田辺太一のお話。はじめ、本のボリュームに大河ものかと思ったけど、後で調べてみたらほんの10数年間のお話で…この後のお話も読んでみたいなぁ。そもそも幕末ものにはあまり興味がなかったワタクシですが、『龍馬伝』やら『晴天を衝け』を見たり『グッドバイ』を読んだりしていたせいか、分かりやすかったです。太一のキャラクターも面白かったし、ダメダメな閣老の対応も今もいろんな組織であるんだろうなぁ(^^;

    0
    2022年05月21日
  • よこまち余話

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    しっとりと上質な、ちょっとファンタジーありの時代物小説。舞台は大正~昭和初期くらいか。

    ・時代物ならではの心に染みる良い台詞がたくさん。
    ・浩一が好きだな
    ・和菓子屋の主人と婿の話や質屋の親子の話などはなくてもメインストーリーは成立するけど、それがあることによる豊かさよ
    ・最後、「はじまるんだな」と理解した浩三だけど、きっとだんだんと齣江さんやトメさんのこと忘れちゃうような気がする(そうは書いてないけど)。ああ切ない。でも人と人の交わりって実はこんなからくりだったりするのかもしれない。

    0
    2021年09月23日
  • 火影に咲く

    Posted by ブクログ

    「私を取るの?仕事を取るの?」
    幕末の志士の周りにいた女性たちを描いた作品。志士たちも一人の人間だったんだなぁと思う。女を取るか、国事に奔走することを取るか。

    0
    2021年09月05日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    幕末の本は結構読んでるつもりでしたが、幕府の幕末外交は初めて。岩瀬忠震、堀利煕、水野忠徳、そして主人公の田辺太一。あまり存じ上げませんでしたが、このような立派な役人もいたという、幕末幕臣の立場での作品も、大変興味深かったです。こういう人たちの置かれた立場は厳しい。当時の幕府幹部、欧米列強もやり方がヒドい。「変われない」ということが最後まで尾を引いたのでしょうか。でも、この人たちのような、幕府側でも苦労した人が維新後も活躍しなければ明治維新後の展開もなかったのでしょう。

    0
    2021年08月05日
  • 漂砂のうたう

    Posted by ブクログ

    「選択の自由」、時代と共に流される「職」は、この明治初期と現代でも変わらない。 現代ではITが普及し今までの職がITによって置き換えられ、職が無くなる。それは今後も継続するのは間違いない。「転職の自由」、どこでどの様に見極め、自分の「天職」と言われるものを手にするかがこれからの時代だ。考えることより「行動」を是非ともお勧めしたい、それも35歳以下であれば。職種、職業(会社そのもの)が失くなる前に自分が思う「天職」を見つけ出すのはそのタイミングだ。

    0
    2021年07月25日
  • 櫛挽道守

    Posted by ブクログ

    すごくよかった。最後まで自分の生き方を貫いた登瀬が素晴らしい。直助が全てお見通しで絵巻を書いていたのも素晴らしくよかった。

    0
    2021年03月01日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    幕末の幕府の側で外交がこれほど真剣に考えられていたことに驚きました.勝てば官軍の伝で,薩摩,長州の傑物達に目を惹かれますが,いやいやご公儀も捨てたものではないというより,むしろ優れているような気にもなったこの物語.条約締結の話し合いなど,手に汗握る場面も多く,主人公太一の成長も楽しみで,一気に読みました.

    0
    2020年10月17日
  • 万波を翔る

    Posted by ブクログ

    幕末の外国方の役人、田辺太一の活躍を描く。
    この時代はさまざまな小説になっているが、幕府方の内幕に焦点を当てたものは多くはないだろう。
    まるで眠っているかのように感じていた幕府の中でこのような、葛藤があったかもしれないと思うとちょっと胸が熱くなるような思いがする。
    なかなか取り上げられることのない、幕府の外交の一端を担った田辺という人物に目をつけた著者の目に感服する思いである。

    0
    2020年10月08日