八月の母

八月の母

1,078円 (税込)

5pt

『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ています――早見和真

長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が確かに蠢いた。――池松壮亮(俳優)

私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。――長濱ねる(タレント)

自分の奥底に隠しておきたい暗い何かをわかってくれている、という書き手がこの世に一人でもいること。そのことに救われ、気持ちが軽くなる読者は少なくはない。――窪美澄(小説家)

容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。――石井裕也(映画監督)

ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。――北上次郎(書評家)(「カドブン」書評より抜粋)

八月は、血の匂いがする――。愛媛県伊予市に生まれた越智エリカは、この街から出ていきたいと強く願っていた。男は信用できない。友人や教師でさえも、エリカを前に我を失った。スナックを営む母に囚われ、蟻地獄の中でもがくエリカは、予期せず娘を授かるが……。あの夏、あの団地の一室で何が起きたのか。嫉妬と執着、まやかしの「母性」が生み出した忌まわしい事件。その果てに煌めく一筋の光を描いた「母娘」の物語。

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八月の母 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    解説によるとこのお話は市営住宅の一室で十七歳の少女が集団暴行で死亡した事件が題材になっています。


    物語は毒親に育てられた美智子から始まる。
    美智子は常にこの状況から逃げたいと思いながら、親のせいでこの街に住み続ける事になる。
    娘のエリカも同じ様な境遇で東京に逃げたいと思いながら、結局と母親と同じ

    0
    2025年12月01日

    Posted by ブクログ

    とてもよい本でした。
    大多数の人はこういった環境には、関わることもないし、知ることもない。でも実際はこんな環境で生活している人が、昔から変わらず今もいるのでしょうね。
    負のスパイラルから抜け出そうと考えていても、抜け出せない人がいる。
    自ら負のスパイラルを断ち切ることは、とても難しい。誰かの救いがな

    0
    2025年11月14日

    Posted by ブクログ

    子育てって本当に難しそう。自分のどんな行動が、発言が子供に影響するかわからない。だからこそ、子供には自分で選び取る強さを持ってほしいなって思う。この本はそんなことを教えれるいい小説だと思った。

    0
    2025年11月12日

    Posted by ブクログ

    これはやばい。
    一気読みしてしまった、普段より早い時間に仕事が始まるから早く寝なくてはいけないのに続きが気になって気になって仕方がなかった。
    母性、というものに呪われたとも言える4代に渡る女たちの人生。虐待や機能不全家族は連鎖するとはよく言われている。私も、自分の身を持ってそれを実感することがままあ

    0
    2025年11月07日

    Posted by ブクログ

    文句なしに面白かった。
    読んでいる中で、誰かと重ねられるやり取り、重ねられないやり取り。
    そしてそこから想像する結末は、私は想像を超えてて面白かったし、読んで良かったと思った

    0
    2025年10月13日

    Posted by ブクログ

    あの夏、
    あの団地で、
    あの子を殺したのは「なに」
    この帯分は本当に秀逸だと思う。
    母とは、娘とは、そんなことを考えさせられる作品。
    1章では視点や時系列がコロコロ変わりながらも読みやすいので、混乱はせずにサクサク読める。
    全体的に展開は読めるし、こういう小説が好きな人からするとよく見るストーリー

    0
    2025年10月05日

    Posted by ブクログ

    早見さんの作品を読むのは、アルプス席の母→店長がバカすぎて に続いて三作目なんですが、振り幅が凄くて圧倒されてます…

    これはかなり重い話だけど、読み始めたら止まらなくて、ラストは一気読みでした。
    『イノセント・デイズ』も積んでるので、近々読んでみます。

    0
    2025年09月28日

    Posted by ブクログ

    母性という狂気。
    女性は産まれながらにして自分の子どもを守り育てようとする本能的母性を備えているというが、決して誰にでもあるわけではない。
    娘として生きるか、母として生きるか。
    子を授かった時、その二択に迫られる。
    そのことに自覚させられる物語だった。

    狂気という毒はその血をめぐって、脈々と受け継

    0
    2025年09月18日

    Posted by ブクログ

    重い。
    母娘の話。
    アルプス席の母を書いた作家?
    すごい作家さんです。
    イノセントデイズの衝撃
    8月の母の波動。
    この2作で心はズタズタ。

    さて、エリカ、美智子 そんな悪母を描き感想もあるけど、やはり男が悪いよな。
    とくに、陽向の父である七森博司。
    結局、元カノへ戻った。
    またレオ、アイカとも父が

    0
    2025年09月06日

    Posted by ブクログ

    イノセント・デイズは衝撃的だった。
    ここから早見作品にハマった。
    実在の事件をモチーフに描かれた「八月の母」
    集団心理の恐ろしさを改めて痛感した。
    助ける事、逃げる事、出来ることがなかったのか。
    あまりにも悲しい結末に心が痛い。

    0
    2025年11月26日

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