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障がい者施設のベッドに“かたまり”として存在するきーちゃん。施設の職員で極端な浄化思想に染まっていくさとくん。二人の果てなき思惟が日本に横たわる悪意と狂気を鋭く射貫く。文学史を塗り替えた傑作!
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「月」
2023年10月13日公開 出演:宮沢りえ、磯村勇斗、長井恵里
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Posted by ブクログ
映画とは異なっていた。映画は、施設で働く職員側(またその家族)からの視点で描かれていたが、原作の小説は施設に住む方からの視点で描かれている。 重度の障害を抱える方が、どのようなことを実際に感じているか思っているかはわからないが、この小説で書かれてるような詩情的ではないにせよ、それに近いことを感じて...続きを読むるかもしれないなと思った。 特に痛みの記載については、行動障害を抱える方の抱える痛みに近いものがあるとしたらと思うと、何とも言えない気持ちが湧き上がってきた。 この本を読んで、障害を抱える方への支援について偉そうなことを思ってきたかもしれないと、反省させられた。 何か結論やヒントが分かるわけではないが、思考や考えが変わるような、一読すべき良書と思った。
ただただ圧倒されてしまう。しかし絶対に読まなければならない。現代に全ての日本人が読むべき最も重要な作品。
語り手のとりとめのない想念が延々繰り返され、現実と想像の区別も曖昧。くどいと感じることもあるが、読み手の倫理観や正義観を揺さぶるような鋭い言葉でドキッとさせられた。 終盤の犯行に及ぶ描写は息を呑む。
異様な読書体験。 現実と虚構が入り混じった情景描写、うたた寝から覚めかかったような不安定な視点、しっかりと伝わる湿度とにおい。 のみこまれて漂っているうちに、凄惨な事件へと物語はすすむ。 読後しばらくは言語化するのが難しく、頭を抱えた。 時間をおいて再読したい。
生きる、生かされている、生きている、生きたい、 生きていきたい⋯ 人間が生きるということはどういうことなのか。 すべての命は平等であるべき世界。その結果、起こった弊害は誰が責任をもつのか。 とても響く本。 読み終わってから、月というタイトル、表紙絵が重く感じられた。
重心とよばれる方々と関わる仕事をしています。 日常的に接する中で、彼、彼女らは確実に「人のこころ」を持っているし、むしろ、それがむきだしで、さまざまな忖度がないと思っています。彼らと好意をもって関わろうとしている人たちは、全員ではないにしろ、その忖度のなさに魅力を感じている人は多くいると思っています...続きを読む。 ただ、そういったある種、悲しいかな少数派の感覚をもった人の世界で生活していると、社会一般から、この世界がどう捉えられているかわからなくなり、それはそれで、平穏なことではないとも日々感じます。 辺見先生は、人間のおどろおどろしい局面に入り込み、この一冊に表現してくださっています。 本来であれば、私たちのように彼らに好意的感情をもって、生活している人たちにもぜひ読んでもらいたいです。
語り手が障害を持っている主人公きーちゃんであるというのが新しい。きーちゃんの考えが淡々と述べられ、最初は読みづらさがあったがきーちゃんが考えているコト、きーちゃんのさとくんへの想いがしっかり頭に入り込んで終盤にかけての展開は息を呑んだ。 多くの人に一度は読んで重度身体障害者、施設スタッフの現状を考え...続きを読むる作業をしてほしいと思った。 私は実際に重度身体障害者の方に会ったこともなければ介助をしたことがあるわけでもない。 テレビの中で施設の方が介助をしてるのを見たとしてもテレビで映せる綺麗な部分を一部分だけ。実際には想像もできないような神経が削られる出来事、場面がたくさんあるのだろう。 その事実が人格や考え方を変えてしまうこともあるとは思う。 しかしどの命にも優劣はなく天秤にはかけてはいけない。これは当たり前。 問題と思ったのはこの重度身体障害者の介助をしているスタッフの心のケアがしっかり出来ているのか。さとくんのように現実を目の当たりにして心が壊れる瞬間が生まれてはいけない。あの事件が起こった容疑者側の背景にも目を向けたい。 日常的に入居者への虐待が行われてしまっている施設もあると言われてる今、しっかりとその根本に目を向けなければならない。互いが対等であり人としてあり続けるためには尊重が必要。その尊重を作るにはまず施設スタッフの気持ちに寄り添った働き方を作らなければならないのだと感じた。
相模原障害施設やまゆり園で起こった障害者殺傷事件をモデルとした物語。 身動きも出来ない「きーちゃん」は思う事だけは出来る。 そのきーちゃんの別人格「あかぎあかえ」や犯人の「さとちゃん」の思いで構成されていく。 非常に読みにくいが、その読みにくい文章で障害者の思い、障害者に対する思いを表現しているのだ...続きを読むろう。 最後の数ページはさとちゃんが事件を起こしている時の思い。 「こころ」があるか無いかで殺すか殺さないか決めていく。実際の犯人は話せるか話せないかで決めていったらしい。 自分や家族が重い障害を抱えてない事に安堵する自分を見つめ直す作品でした。
この本は苦しい。 介護がなくては生きていけないヒトを、一処に集めて他人に任せる。大抵そういう施設は街なかにはない。 誤解を恐れずに言おう。 綺麗事をいう人は介護される人の尊厳をとか言うけど、介護士の尊厳には言及しない。
読むことに多大なパワーが必要だった。 そして理解しようという事が辛かった。 まず思ったのは、他作品を思わせるひらがなの多さ。ひらがなの多用で障がい者の状態を表現するのか。そしてその中で一般的に難しい漢字や言い回しなどで知性を感じさせられる。 著者はきーちゃんの心の中を想像する中でその様な手法でこ...続きを読むちらに、きーちゃんの様な状態でも表現できないだけなんだとこちらに伝える。 その様な人が被害に遭ったのではないかとこちらに問いかける。 そして世間の意識も『世界の隠された衝動』として表現する。 この作品は読み手にも刃を向けられた様な感じがした。それくらい切実に考えさせられる。 しかしその中で、政治的なメッセージが出てくるのがちょっと残念だった。 疲れる読書だった…
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月
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辺見庸
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