18歳離れた叔父と姪の、禁断だけれど穏やかで優しい恋愛小説。
いつでも厄介事から逃げられるように努力して手に職をつけたのに、結局は自分で立ち向かっていくよりも誰かに守られることを選んでしまうところや、自分は強い強いと言ってはいるものの、常に一番の味方でいてくれる人間を求めている主人公が、人間らしくてとても好きだった(表面上?の強さはあるけど、本当に内々の部分は島本さんの描く主人公!っていう感じがした)
島本理生さんの作品は、大体父親不在で母親の精神が安定していないものが多い。
小さい頃から両親の愛情をまともに貰えずに育った女の子が、自分を愛してくれる(受け入れてくれる)一人の歳上の男に恋や執着をして、溺れていくものがほとんどな気がする。
今回は片親ではなかったけれど、両親が自分の味方でいてくれずに、幼い頃から適切な愛を貰えていなかったという設定は他の作品と共通していたように思う。
家庭環境の悪さがかなり歳上の男の人への依存に繋がるのは自分と同じだから本当に共感ができるし、叔父さんに対する愛情と執着は、両親に対する失望と比例しているという一文も、自分の腑に落ちるものだった。
島本さんの表現はいつも好き。
ただ、叔父を好きになるというのはどうしても理解ができず…。白髪混じりの短髪という外的表現が、より一層その気持ちを加速させた。
理解ができない愛の対象を描くという観点で見ると、叔父という存在を当てはめてたのは絶妙に気持ち悪くてすごく良かった。
小3で初恋、ということは26~27の叔父さんに恋をしたってことか…。まあありえなくはない…?
"この人の肉体から愛から関心まで全てが欲しい、そばにいたいと願った"という表現は小3にしては考えが大人びていすぎて少し不自然かも?と思ったし、対象が叔父なのはやっぱり理解できないけど、18歳離れた大人に恋い焦がれる気持ちは理解ができるから、単純に気持ち悪い恋愛で済ませられない自分もいる。
そして島本さんは、一見いい人風に見せかけて絶妙に違和感がある人間を描くのがとても上手だな~と感動する。
永遠子を尊重しているような素振りを見せつつ、最終的には自分の事しか考えてないような発言や、永遠子の友達を下品だと括り、それを言葉にしてしまう夫の無神経さと稚拙さ。
永遠子は、生理的に不快ではなく、家事負担など男女差なく分担できて言葉で分かり会える男性に出会えたから結婚するならこの人だと思ったと言っているけど、自分の喜びや楽しみを共有できない相手とよく結婚したな?!って私は思ってしまった。
新しい服に対する感想が「似合うよ。永遠子ってそういう、どこへ着て行っても恥ずかしくないものを選ぶのが上手だから。」なのも、本当に嫌すぎる。それ、褒めてないでしょ。
絶妙に、…ん?と違和感を覚えるような言い回しと行動で、それがあまりにもリアルに描かれていたので、めちゃくちゃ夫のこと嫌いになってしまった。
だからこそ、永遠子が叔父とくっついたのが嬉しかったし、世間からどう思われようと幸せになってほしいと思ってしまった。
やっぱり恋愛は表面的な繋がりではなく、心の繋がりが大事だよね。
島本先生がこういう形のハッピーエンドを描いたことに驚きつつも、先生が終わらない美しさを描いたということは、島本先生の今の幸せが体現されているようなものなのかなと、勝手に嬉しくなる私。
先生のここ数年の作品で一番好きだったな。
いろんな形の幸せがあることを知れた小説。
この先もずっと大切にしたい。