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芥川賞候補となった話題作、そしてその後の物語――。
小説家の千紘は、編集者の柴田に翻弄され苦しんだ末、ある日、パーティ会場で彼の手にフォークを突き立てる。休養のため、祖父の残した鎌倉の古民家で、蔵書を裁断し「自炊」をする。四季それぞれに現れる男たちとの交流を通し、抱えた苦悩から開放され、変化していく女性を描く。
芥川賞候補作「夏の裁断」と、書き下ろし三篇を加えた文庫オリジナル。
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Posted by ブクログ
自ら傷つきに行く主人公に待って待って〜とは思ったけど、恋愛体質なので自分がその立場になったら同じことをしてそうだと思った。
「だめだとか、間違ってるってことはないよ。ただ、あなたはグレーなものに耐えられない人だったから。きっちり線を引いたり固定しないと不安でしょう。一秒後の未来だって、本当は保証なんてない。でも、あなたにそれを教えたら、生きていけないと思ったんだよ」
これが嘘なら、真実を口にするよりも嘘をつくほうがよほどこの人にとっては芯があることだと思わせる明確さで。
鎌倉の秋の夜に、駅のベンチに腰掛けて私を待っていた彼を見たとき、これだけで永遠に生きられる気がした。それが恋だった。好きでも愛してるでも足りない。だけど恋愛は一人きりではできない。
初めて心から、幸せになりたい、と思った。
もし、なんの約束も名前もないままに、会いたい、という気持ちだけで会い続けることができたら、それは愛とか恋とかと同じくらいに美しいことかもしれないですね。
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