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Posted by ブクログ
作者の作品は、本作で多分キリ良く十冊目を読み終えたと思う。世間では公開された映画「ナラタージュ」が注目されている(監督とかテレビの番宣による印象)。彼女の代表作に数えられる恋愛小説だが、その大体においての作風というのは、登場人物が何を考えているのかイマイチ分からない。何かしら重いもの(過去だったり立場だったり)を抱えており、その衝突や関係性が物語に影響を及ぼしたりするのだが……。
ただ、本作に関しては、その普段の重さを取り払ってコミカルで今までの作品と比べると分かりやすい行動を取る愉快な人物が殆ど。珍しく主人公が男性で、一人称視点で繰り広げられる。そして何より恋愛小説とは一風異なった青春小説として自分は楽しく読むことが出来た。
個人的な好みも兼ねると、今まで読んできた島本作品で、本書の他にも「一千一秒の日々」「週末は彼女たちのもの」は明るく、湿った空気が少ないカラッと、読みやすく楽しく過ごす事が出来た。逆に言えばそういう部類に本作は分けられるため、人によってはいつもと作風が違うと感じると思う。
さて、肝心な内容に触れると、大学生の男女の双子、奔放な姉・華子に振り回され主人公の冬冶は巻き込まれ、そんな日常から関わりを持つ人が増え、一層騒がしくなっていく――。といった具合だろうか、説明だと面白さが伝わらないくらいにキャラクター小説とも言え、内容や盛り上げ方は漫画と似たテイストだと感じる事が何度かあった。特に気に入っている部分は、言葉の選び方、文章の流れが心地良く、時々サクッと鋭く刺さる。意外な場面でそういう例え、そういう独白を持ってくるか、と感じたり、冬冶が余計な一言を口にしそうになって飲み込む辺りはクドくないぐらいで丁度いい。
本文の中で主人公家族四人に対してクローバーと形容する場面があったが、読み終えて少し経ってから思ったのは、主要人物である主人公と姉、熊野氏、雪村さんの四人の姿もまたクローバー(幸福)に見えた。
Posted by ブクログ
ワガママで女子力前回の華子と、その暴君な姉に振り回されて、人生優柔不断ぎみな理系男子の双子の弟冬治。そんな二人と、めげない求婚者熊野と、挙動不審の才女雪村さんの四人で織りなすストーリー。
四人での楽しい日々と、決断のとき。
一千一秒の日々に続き、島本さんの青春ストーリーです。
登場人物の言葉には、みんなそれぞれの思いがあって、どの人の言葉にも心が動かされました。
冬治が雪村さんに対してかわいいと感じた場面がすごく印象に残っています。
「来たかったところに連れてきてもらって、冬治さんも一緒で、そんなの楽しいに決まってるじゃないですか」
こんなの笑顔で言われたら、たまんないよって男の人多いと思うけど、本当に好きな人だったら自然とこういう感情って湧き上がると思います。
計算じゃなくて心からの言葉。
登場人物全員がどこか面倒くさいけど、そこに人間らしさがにじみ出てて、読み終わった後も登場人物のその後が気になります。
最後の冬治の選択について熊野と同じで納得のいかない読者もいるかもしれないけど、冬治らしくていいのかなと。
すごく大人な人には物足りないのかもしれませんが、誰しもこういう時期ってあったと思うし、同世代の私にはすごくピッタリな作品でした。
大学生にはオススメですね。嫌いな人いないと思う。こういう作品。
Posted by ブクログ
島本さんの作品は「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」以来気になっています。
双子の姉弟・華子と冬治。
言いたいことをポンポン言えて女子力のある華子。一方、幼少から華に振り回され面倒見はいいのに自分に自信のない冬治。
そんな対照的な二人の暮らしに、華子に想いを寄せる男性や冬治の研究室の雪村さんが加わって日常が変わっていく。
冷たくあしらわれてもめげない華の求婚者。
端から眺めている分には、ドタバタしつつも何だかんだ家族ぐるみで仲良くて楽しそう。
恋と進路の間で悩む冬治、華子の恋。
展開にすごくワクワクするわけでもなく、特別甘くもドロドロもしない。悪人が出てくることもない。
でもいつの間にか物語に引き込まれてしまう。
現実にいそうな登場人物に感情の描写。
何とも優しく読み心地のいい恋愛青春小説でした。
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