最近激ハマりしている佐藤究さんの江戸川乱歩賞受賞作品。
「テスカトリポカ」「Ank」を読んで知性と狂気の入り交じった世界観に引き込まれている。
今作品もやはり知性と狂気の飛び抜けた物語で、新しい未知の知識が自分に入り込んで来るかのような感覚を覚える。
それは深層心理のだいぶ奥深い所を刺激させられる
...続きを読む物で、異物感、狂気を含んだある意味では触れない方がいいもののような激情とも感じられる。
一言で表すと「不気味」
それを圧倒的な文章力で描ききっている。
天才だと感じている。
人間という生物を怖いくらいに知っている方だと感じる。生物学(人間学)的にも理学的にも精神学的にもあらゆる方面から人間を炙り出してくる。
知ってたのに知らなかった事に、見ていたのに見なかった事に、この作品を読んで恐ろしくなった。
知らなければよかったかも、知った上で考えなくてもよかったのかも。
知れば知る程、考えれば考える程、ドツボにハマる。そしてまた読み進めるの繰り返し。一つ一つ感情が沸き起こるが考えては静まっていく。
作者の言葉を借りるならばそれこそが自分にとって絶後の畏怖(ダムナティオ•メモリアエ)。
考えては静まり落ち着きまた次に進む。
読後総合的に考えてみれば気味が悪い後味、不気味さが多面的に黒々と光を吸収する黒曜石のような作品だった。
読者の自分からすれば作者こそ恐怖。天才という畏敬。知性と狂気を同時に持ち合わせ同時に展開している。
そこに惹かれる自分。自分も知性と狂気を望んでいるのに違いない。
そんな気持ちのまま、書店にて作者の「幽玄F」に手を伸ばしている、なんだか恐ろしい。