佐藤究のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
乾いた鉄みたいな作品だなと感じました。
最初は変身という帯に機龍警察のような特撮ライクな話かと思ってたら重厚なクライムサスペンスでした。
アメコミ的ヒーローとかダークファンタジーでは無いような気がします。キック・アスみたいなイメージなんでしょうか。それにしても骨太すぎる気がします。子供には読ませられません。
鋭い狂気が誇張されてエンタメになる前に塊で出されてきたような感覚です。
さぁ狂ってクールな主人公が登場です!はい!ここが見せ場!とかが無い。
淡々と内面の狂気と向き合い、超えては行けない線を散歩のように超えていくいい意味でエンタメ性のない暴力と狂気が味わえます。
映画のタクシードライバ -
Posted by ブクログ
テスカトリポカから作者を知り、本作を読んでいます。
京都暴動というクライムサスペンスの皮を被った、進化と自己鏡像認識がテーマのゴリゴリのSF作品です。
SFにサスペンス要素がひとつまみ入ってる感じでしょうか。QJKJQでもそうでしたけど、単純なサスペンス、グロテスクで終わらないのが作者の凄さですね。
話が動き始めるまでに時間がかかります。
テーマ自体が壮大なため、物語の中に前提知識を入れ、かつ、説明くさくならないようにするためにはどうしてもこのページ数がいるのでしょう。
物語は中盤から加速し始めて、疾走感のあるシーンも相まって、400ページくらいから一気に読み進められました。
少しとっつ -
Posted by ブクログ
猟奇殺人鬼一家で育った主人公:市野亜李亜。亜李亜だけでなく家族全員が殺人を続ける中、兄が自室で殺害され、その死体も跡形もなく消え去り、次の日には母の姿をも無くす。不可解な点が幾つも存在する中、残された亜李亜と父に隠された秘密とは..
読み進めていく度に、亜李亜を覆っている秘密が持つ魅力に惹き込まれる。秘密そのものに魅力があるのは勿論だけど、明らかになった後に現れる「殺人」という事象に関する問いに関する記述がとにかく面白い。論理的に事を組み立て、人による殺人の本質を研究した結果が最後のようになるのが人間の面白いところだなと思う。
個人的には同作家による直木賞受賞作である「テスカトリポカ」よりも -
Posted by ブクログ
プロローグ
運行管理者より「スクランブル」がかかった
第5世代戦闘機F-35A通称ライトニングⅡは、一流の整備士の調整によっていつでも翔べる状態にある
8は颯爽とコックピットに乗り込むとキャノピーを閉じた
因みにコックピットの語源は文字通り“闘鶏場”だ
密閉された空間に束の間緊張感が走る
息を整えた8は、スロットルレバーを押してアフターバーナーを点火させた
雲一つない青緑(シアン)の空を一目するやいなや
強烈なGが8を襲うと同時にライトニングⅡは大空へと羽ばたいた
幽玄を纏った飛行機雲を一筋残したライトニングⅡは、数秒後には、青緑(シアン)の空に消えていた!
本章 おびさん -
Posted by ブクログ
読み終わってみて、すごく面白かった(?)。読んでよかった。
↓以下ネタバレです
善い行いが全くなく、悪い行いのみで物語が進んでいく。
コシモという主人公になりそうな予感の少年の登場は最初の方で、そのあとしばらくはもう一人の主人公になりそうな「バルミロ」を取り巻く展開になり、再びコシモが登場するまで、長かった。色々あった!そして決して強引さがなく、ようやくここまで辿り着いた!と思えるような手抜きのない丁寧な展開だった。
そこに至るまでには、残酷な描写がたくさん出てきて私自身、善悪の境界線が揺らぐ瞬間がいくつもあった。
自分を裏切った人、敵対する存在の人を殺すのは物語上仕方ないとし -
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白い!
三島由紀夫をモチーフに執筆されたという作品。
純文学のように内省的で、かつしっかり中身はエンタメしているところが唯一無二な作品だと思った。
主人公の易永透は『豊穣の海』に出てくる人物「安永透」のオマージュらしい。自分は『豊穣の海』未読で、三島作品とのつながりを満足に把握できていなかったと思うが、それでも佐藤究特有の危険な熱によって最後まで夢中で読まされた。
「護国」というワードを真に腹落ちせず、最終的には初期衝動のまま実に身勝手に死んでいった主人公には不思議な魅力がある。その頑固で一本気な姿勢をなんとなく三島由紀夫と重ねた。