佐藤究のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレはじめてこういうクライムノベルを読んだけど、これぞ小説の醍醐味みたいな話だった。
ずっと暴力!暴力!暴力!の話なのになんでこんなに惹きつけられるのかわからなかった。わからないのに面白い!星★5!パーフェクト!
アステカ?のこともバルミロが信じる神のこともぜんぶよくわからなくても、コシモの人生の行くつく先を見たくて読んでいた。
コシモが純粋で無垢で悪意や殺意がないからこそ自分の犯していることの罪を直視することすらできないことが、もうどうしようもなくてつらかった。環境が人を作るならコシモが平穏な家庭で生まれ育っていたらこうはならなかったのか わからない。コシモも、心臓を奪われた子どもも、生まれて -
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ネタバレ1ページも退屈なページが存在しない。
残虐な暴力シーンと犯罪の限りをつくす良心の呵責というものを全く持ち合わせない冷酷非情な彼らを軸に、ほんの微量の温かみがとても際立つ。
トリックによるどんでん返しなどは一切なく、ストレートな流れの中、全く飽きが来ることなく読み進めずにはいられない。
救いがないと感じる方もいるかもしれないが、私は十分に救いがある結末だと思う。
この作家さんのデビュー作を読んだ時、村上春樹さんの影響を受けていると丸わかりだったが、本作ではその影はほぼ感じないレベルまで昇華させつつ、2箇所程、おそらくオマージュとして残された部分を発見した。
あるいは
まずいコーヒー
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Posted by ブクログ
まだ途中だけど感動を忘れないうちに書いてしまおう。佐藤究先生の作品はどれもこの世のどこかで『事実』なのでは?と錯覚させられそうになるものばかりで。実際にどこかの世界線での本当に話なのかもしれないが。それくらいリアルとファンタジーを融合させるのが上手い。事実が練り込まれた嘘は騙されやすいとよく言うが、まさに、この短編集のどの作品も『事実』が軸に構成されており、佐藤究先生のとんでもない知的好奇心が伺われる。特に猿人マグラなんて私自身の生まれ育った土地が舞台であったため、情景も思い浮かんだし、なによりもリアルに感じられた。ただのSFなんかじゃない、実際にあったかもしれない嘘とリアルが巧妙にまぜこぜに
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そのとき思ったことを書いていこうと思う。
(読書中)どうしたらこんな物語を思いつくのだろう…。麻薬戦争、実際に今、この世界で起こっていることだ。ノーテンキに本(この作品だ)を読んで愉しんでいることすら申し訳なく思ってしまう…。どこが後ろめたいのだ。
「神」の話が度々語られるが、神など存在しないと思わずにはいられない出来事が多すぎる。
この世界は本当に地獄だ。
人間の強欲はとどまるところを知らない——
読む進めるにつれ、後ろめたいどころの話ではなくなった。バルミロたちがやっている違法(なんてもんじゃない)行為を肯定し、自分自身もその片棒を担いでいるような感覚に陥った。
こんな書物があっていいもの -
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約700ページの本だが、1週間で読み終わってしまった。設定が斬新であるが、どこかで起きているようなリアリティがあり、ストーリーも読んでて全く飽きない内容でした。宗教×裏社会を合わせた本作は、宗教とキャラクターの過去から緻密な伏線が張り巡らされており、最後の怒涛な展開は想像もできない程であった。この本のテーマは「家族」であり、児童虐待やネグレクトなどの現代社会に取り巻く問題も登場する。子供の臓器売買を生業とするグループは、非常に冷血な人間たちであり、感情移入が難しいと思えたが、その中の1人「コシモ」というキャラクターの成長が私に温かみを与えてくれた。宗教パートが少し退屈には思えたが、宗教を取り巻
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ネタバレ人間だけがなぜここまで高度な言語を習得できたのか?本書では「自己鏡像認識」という人間と類人猿(チンパンジー・ボノボ・ゴリラ)にしか持ち得ない能力が鍵であると主張します。そして、なぜ古人類は死に絶えているのか?という謎にも、大胆で斬新な発想を披露します。
数多のミステリーのように、人工的に神秘性のある謎を構築しなくても、人間という神秘を探究するだけでここまで面白くできるのだと示してくれました。未曾有の読後感というのは言い過ぎか。「平成のドグラ・マグラ」と称されるべきだったのはデビュー作『QJKJQ』ではなく、この作品だったのではないでしょうか。『ドグラ・マグラ』よりも論説は幾分かわかりやすくエン -
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予備知識ほぼゼロで読んだので、序盤の展開が怒涛で情緒が大変なことに。
犯罪系作品を普段読まないので、最初は精神的に結構大変でしたが、3章、4章と進むうちに話の骨格が把握できて、神話要素がいい具合に混ざりこんできたので、ショッキングなシーンもかなり緩和されました。
クライマックスは期待通りの流れになったので、テンション超上がってしまいました。
中盤、出てくる人が片っ端から麻薬やっているのが何とも。特に矢鈴ちゃんの造形が大好きです。虚勢の張り方とともに併せ持つ、あの弱さにココロから共感する。利用される側の人間ってこうだよねぇ。
話もうまくまとまって、読後感もよく、終わってみれば楽しい内容でした。満 -
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ネタバレ所謂ノワール小説というのだろうか、裏社会の残忍な合理性に溢れていて、古代アステカの思想と世界観を交えて、世俗を超越した描写が印象的だった。もちろん、起こっていることは凄惨極まりなく、何度も読みたいと思える作品ではない…が、展開が恐ろしくても、描写が直接的で怖くても読み進められる文体が素晴らしかった。
登場人物の描写も良く、とにかく不運としか言えないルシアとコシモを除けば皆根っからのクズでカス。なのにその生き様には、私のような人間には無い誇りと諦観のようなものがあり、それがユーモラスに描かれていて「かっこいい」とすら思ってしまう哲学に溢れていた。
暴力と知略が入り交じっている裏社会、結局理不尽 -
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佐藤究の幽玄Fを読んだ
幽玄とは何かChatGPTで調べてみた
幽玄(ゆうげん)**とは、日本の美意識を代表する言葉で、
はっきりとは言葉や形に表せない、奥深く、静かで、余情のある美しさを指します。
簡単に言うと
•すべてを見せず
•すべてを語らず
•想像の余地を残す美
わびさ人の違いも調べてみた
① 幽玄(ゆうげん)
見えない奥行き・余情の美
•すべてを明かさず、想像に委ねる
•神秘的・深遠・静かな感動
•「その向こうに何かがある」と感じさせる
② わび(侘び)
不完全・不足の中に見いだす美
•簡素、質素、控えめ
•欠けているからこそ心に響く
•人の心の在り方に近い美
③ さび(寂び)
時 -
Posted by ブクログ
面白いすぎる。読む手が止まらなかった。
論理的に納得できるSFが大好きなのもあり
どストライクの作品だった。
主人公は霊長類研究者、
人類の進化の過程や、
その遺伝子を含む膨大な過去から
人間を人間たらしめる何かを探ろうとする。
作者の知識量に驚かされる。
人類の進化に全く詳しくない私は
全てを信じてしまう。
綻びのない完璧に作り込まれている論理。
その誠実さ、緻密さが恐ろしい。
一体どれ程の時間を費やしているのだろう。
何かを学び取るわけではない、
価値観が変わるなどでもない、
啓発もない。
ただ純粋におもしろく、
どこまでも引き込んでくれる。
論理の流れに運ばれていく快楽、
本当に素晴 -
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私は作者の表現する世界観のファンなので評価は高いですが、物語を追いかけて楽しむ要素はあまりないと思います。物語性を楽しむのであればテスカトリポカ、アンクなどを読んで欲しいです。
狂気や幻視まみれの脳みその中身を、作者の鋭い言葉の羅列で主人公と共有していく作品です。
詩的でナンセンスで洒落ててクール。
そういうものの、詰め合わせです。
無粋な言い方をすると大人のイカした厨二病です。
嫌いなわけがない!!
良質な映像作品のテーマになると思います。
カットアップされたみたいに場面がちらついている世界を見ていたかと思えば、気がつけば日常の昼。
その境目が次第に曖昧になり始め、世界観を支えるワード -
Posted by ブクログ
乾いた鉄みたいな作品だなと感じました。
最初は変身という帯に機龍警察のような特撮ライクな話かと思ってたら重厚なクライムサスペンスでした。
アメコミ的ヒーローとかダークファンタジーでは無いような気がします。キック・アスみたいなイメージなんでしょうか。それにしても骨太すぎる気がします。子供には読ませられません。
鋭い狂気が誇張されてエンタメになる前に塊で出されてきたような感覚です。
さぁ狂ってクールな主人公が登場です!はい!ここが見せ場!とかが無い。
淡々と内面の狂気と向き合い、超えては行けない線を散歩のように超えていくいい意味でエンタメ性のない暴力と狂気が味わえます。
映画のタクシードライバ -
Posted by ブクログ
テスカトリポカから作者を知り、本作を読んでいます。
京都暴動というクライムサスペンスの皮を被った、進化と自己鏡像認識がテーマのゴリゴリのSF作品です。
SFにサスペンス要素がひとつまみ入ってる感じでしょうか。QJKJQでもそうでしたけど、単純なサスペンス、グロテスクで終わらないのが作者の凄さですね。
話が動き始めるまでに時間がかかります。
テーマ自体が壮大なため、物語の中に前提知識を入れ、かつ、説明くさくならないようにするためにはどうしてもこのページ数がいるのでしょう。
物語は中盤から加速し始めて、疾走感のあるシーンも相まって、400ページくらいから一気に読み進められました。
少しとっつ