佐藤究のレビュー一覧

  • トライロバレット

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    乾いた鉄みたいな作品だなと感じました。
    最初は変身という帯に機龍警察のような特撮ライクな話かと思ってたら重厚なクライムサスペンスでした。
    アメコミ的ヒーローとかダークファンタジーでは無いような気がします。キック・アスみたいなイメージなんでしょうか。それにしても骨太すぎる気がします。子供には読ませられません。

    鋭い狂気が誇張されてエンタメになる前に塊で出されてきたような感覚です。
    さぁ狂ってクールな主人公が登場です!はい!ここが見せ場!とかが無い。

    淡々と内面の狂気と向き合い、超えては行けない線を散歩のように超えていくいい意味でエンタメ性のない暴力と狂気が味わえます。
    映画のタクシードライバーやフォーリング・ダウンと精神は一緒な気がしますので、好きな方は読んでみて欲しいです。
    洋画好きにおすすめできます。

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    2026年01月02日
  • Ank : a mirroring ape

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    テスカトリポカから作者を知り、本作を読んでいます。

    京都暴動というクライムサスペンスの皮を被った、進化と自己鏡像認識がテーマのゴリゴリのSF作品です。
    SFにサスペンス要素がひとつまみ入ってる感じでしょうか。QJKJQでもそうでしたけど、単純なサスペンス、グロテスクで終わらないのが作者の凄さですね。

    話が動き始めるまでに時間がかかります。
    テーマ自体が壮大なため、物語の中に前提知識を入れ、かつ、説明くさくならないようにするためにはどうしてもこのページ数がいるのでしょう。
    物語は中盤から加速し始めて、疾走感のあるシーンも相まって、400ページくらいから一気に読み進められました。

    少しとっつきにくいテーマではありますが、物語は綺麗に畳んでいますし、ハードボイルドな空気感とアクション描写に痺れますね。
    いい映画を一本見終えたような素晴らしい読後感です。

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    2026年01月01日
  • トライロバレット

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    佐藤先生ワールドを感じれる作品でした。
    最初はどんな事件かと思い読んでいましたが、
    最終的にはなるほどという展開になっていきました。
    いじめのシーンは学生の
    低俗な理不尽さがしっかりと描写されてました。
    手軽に佐藤先生を感じたいならおすすめの作品です。

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    2026年01月01日
  • QJKJQ

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    猟奇殺人鬼一家で育った主人公:市野亜李亜。亜李亜だけでなく家族全員が殺人を続ける中、兄が自室で殺害され、その死体も跡形もなく消え去り、次の日には母の姿をも無くす。不可解な点が幾つも存在する中、残された亜李亜と父に隠された秘密とは..

    読み進めていく度に、亜李亜を覆っている秘密が持つ魅力に惹き込まれる。秘密そのものに魅力があるのは勿論だけど、明らかになった後に現れる「殺人」という事象に関する問いに関する記述がとにかく面白い。論理的に事を組み立て、人による殺人の本質を研究した結果が最後のようになるのが人間の面白いところだなと思う。
    個人的には同作家による直木賞受賞作である「テスカトリポカ」よりも心に残った。

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    2026年01月01日
  • Ank : a mirroring ape

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    最高やん、この小説。
    読む手が止まりませんでした。ずっと読んでました。

    猩々たちと人類の垣根とはなんだろうか。その問い自体はカモフラージュで、人類がなぜホモサピエンスしか存在しないのか、という問いこそが、京都暴動の根幹を為していると思ってしまった。

    チンパンジーとボノボは似ているが、互いに存在している。類人猿は姿形こそ違えど、似たようなコミュニケーションを取る。

    人間はなぜ、一種しかいないのだろうか。

    そして、なぜ、類人猿の進化は止まったと、我々人類は錯覚しているのだろうか。

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    2025年12月11日
  • 幽玄F

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    側からみたら転落人生かもしれないけど、空を飛ぶことを追い求め、追い求められた人生で幸せなのかなと思った。
    あとどんな人間が周りにいるかって大事。
    展開が読めなくてすごくおもしろいし、蛇のところとか、修行僧のところとか理解しきれず2回目も読みたくなる本。

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    2025年11月16日
  • Ank : a mirroring ape

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    京都にある霊長類研究所から一匹のチンパンジーが脱走したことからはじまる「京都暴動」の無慈悲な顛末。猿とチンパンジーの違いなど、理系な要素が物語の核になっています。探究心が台風みたいに暴走している小説だと思いました。

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    2025年10月24日
  • 幽玄F

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    戦闘機の知識は全くないのに、とても引き込まれた。美しい空と、戦闘機に魅入られた男の一生が、華々しく、哀しく、美しく描写されていた。

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    2025年10月24日
  • 幽玄F

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    傑作
    戦闘機に魅入られて自衛隊に入隊した主人公透。透は自衛隊に入隊し、あれほど夢見た戦闘機を操縦することになるが、音速飛行における原因不明の窒息に悩まされる。
    自衛隊を辞職し、観光用フライトのパイロットに転職した透。なぜ戦闘機に心を奪われたのかと改めて自問する。透は重力や地上のしがらみの束縛を断ち切り、血の補色である空を切り裂く力が欲しかった。領土の奪い合い(戦争)が水平的であれば、それを脱してはじめて垂直的。それが少年期に夢見た自由な飛翔。あの窒息は地上(水平)のしがらみにまみれた「護国の空」の息苦しさからくるものであった。フライトがただの仕事と割り切れるほどに、自分を見失っていた透は、バングラデシュで様々な人物に出会ったことで、とある転機が訪れる。結末は…まさにこれ以外ない!!!

    純文学寄りのアクション系エンターテイメント作品として逸品。三島由紀夫が好きな人や戦闘機に詳しい人は更に楽しめると思われる。私は知らなくても楽しめた。

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    2025年10月15日
  • 幽玄F

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    プロローグ

    運行管理者より「スクランブル」がかかった

    第5世代戦闘機F-35A通称ライトニングⅡは、一流の整備士の調整によっていつでも翔べる状態にある

    8は颯爽とコックピットに乗り込むとキャノピーを閉じた
    因みにコックピットの語源は文字通り“闘鶏場”だ

    密閉された空間に束の間緊張感が走る

    息を整えた8は、スロットルレバーを押してアフターバーナーを点火させた
    雲一つない青緑(シアン)の空を一目するやいなや
    強烈なGが8を襲うと同時にライトニングⅡは大空へと羽ばたいた
    幽玄を纏った飛行機雲を一筋残したライトニングⅡは、数秒後には、青緑(シアン)の空に消えていた!




    本章  おびさんご推奨
    『幽玄F』宝物の★Super8
    『Ank:』に続いてのSuper8君登場!!!
    因みに、この、今回の評価は超個人的な評価だ!

    これは、なんというか全てにおいて好きだ
    まず装丁
    青空を模した青緑(シアン)カラーに
    間延びした幽玄Fの文字が!
    飛行機雲に擬えてなのか、その色は真っ白だ
    プロパガンダ風極上のアート作品
    そして、カバーを取ると本体には真っ赤に描かれたバイパー(マムシ)が!
    凄い仕掛けだ
    本作の内容とも完全一致だ
    生涯最高の装丁!!!

    主人公、透の戦闘機に傾倒した執拗なまでの愚直さと無意識な天才、そしてラストの選択に胸が痛む

    保存版として単行本のサイン本を探そう!
    そう思った!!!


    エピローグ

    8が操縦するライトニングのⅡは、亜音速から遷音速、そして超音速へと到達した

    音速を超えると衝撃波が生まれ、周囲の空をソニックブームが揺るがした!
    機体の限界値と人間が耐えうる最大G
    9Gへ突入し
    視界が狭まりブラックアウトまであともう半歩
    意識が遠のく間際、そっとある一節が耳朶を打った

    “ふるまひをやさしく。 幽玄に心をとめよ。”
    本文からの一節だ

    戦闘機に乗るために生き、
    そして、散るために生きた

    果たして、彼の一生とあの選択は正しかったのか!?
    今後の人生において再読を重ね検証したい
    そう思った!!!!

    そしてそれこそが、我が“幽玄の宝物”!!!
    そうも思った!




                         完

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    2025年10月16日
  • テスカトリポカ

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    9/21~25
    単行本化の時に購入したが、本題に入るまでが長く何がしたいのかよく分からなかった上、単行本だったので読みづらくて挫折した本。文庫本を購入し、読み切った今では前半部分があってこその本題だった気がする。というよりも、後半に差し掛かってやっと全体が連続していることに気づいた感じ?
    かなり面白かった!
    文量や情報量が重いけど、アステカ神話とか麻薬カルテルとかバイオレンスなものが好きならすぐ読み切れると思う。

    人物の背景描写が多いのが良い
    本幹にほぼ関わらないようなぽっと出のモブにすら1~2ページをかけて出自を書くので、物語の枝葉がしっかりしている印象。設定厨(?)におすすめ

    登場人物は狂ったやつが多くて、刃牙に出てきそうなパワー系も数人いる。

    ラストはあっさりしてるかも

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    2026年09月22日
  • 公式トリビュートブック 『チ。 -地球の運動について-』 第Q集

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    よすぎ!!!!!!!!!!
    チ。から広がってしらない界隈の人の話がきけるのまじ心に栄養。朝井リョウの小説泣くて

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    2025年09月13日
  • Ank : a mirroring ape

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    壮大なスケール、知性と暴力が入り混じった傑作。
    コロナ、AIの世界より前にこの作品を書ける作者の想像力は脱帽。
    テスカトリポカに繋がると言うのも納得

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    2025年09月11日
  • Ank : a mirroring ape

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    膨大なページ数と圧倒的な情報量。そして説得力。安定の佐藤究。もう一つの猿の惑星。

    容赦無いバイオレンス描写の解像度にゾッとさせられ、鏡像を鏡像と認識する当たり前な事象から解き明かされていく、ヒトとチンパンジーの謎と繋がりに膝を打つ。

    難易度は高めであるが為に、全ては理解出来ないが確かに面白いし、達成感と学びがある。秀作。

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    2025年08月23日
  • Ank : a mirroring ape

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    初読み作家さん
    どこまでが科学的事実でどこがフィクション部分なのかが分からないくらい、その圧倒的な専門知識量にビビりました˙ᴥ˙

    他の作品も読みたいと思いました

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    2025年08月19日
  • 幽玄F

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    ネタバレ

    面白い!
    三島由紀夫をモチーフに執筆されたという作品。
    純文学のように内省的で、かつしっかり中身はエンタメしているところが唯一無二な作品だと思った。

    主人公の易永透は『豊穣の海』に出てくる人物「安永透」のオマージュらしい。自分は『豊穣の海』未読で、三島作品とのつながりを満足に把握できていなかったと思うが、それでも佐藤究特有の危険な熱によって最後まで夢中で読まされた。
    「護国」というワードを真に腹落ちせず、最終的には初期衝動のまま実に身勝手に死んでいった主人公には不思議な魅力がある。その頑固で一本気な姿勢をなんとなく三島由紀夫と重ねた。

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    2025年07月29日
  • QJKJQ

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    ネタバレ

    佐藤究作品の中でも特にミステリ要素が強い話。いわゆる信頼できない語り手の作品で主人公は記憶障害と認知障害を抱えていると思われる。ありがちな叙述トリックかと思いきや後半怒涛の勢いで展開する『殺人学』に圧倒される。どれだけ突飛な世界観や物語でも説得力のある文章の強さが好き。

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    2025年06月14日
  • 幽玄F

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    圧巻の⭐︎5。最初は一体何を読まされてるのかわからないまま読み進めていくうちに、その不穏な湿気を感じる世界にどっぷりはまってしまう。話の展開は終わってみればまるでファンタジーなんだけど、終盤まで突飛なことは全然起ころうとしないし、主人公は無愛想で会話もおもしろくないし、途中で飽きてもおかしくないはずなのに、どんどん読むのが止まらなくなる不思議な読書体験をさせてもらった。感謝。

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    2025年06月13日
  • トライロバレット

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    テスカトリポカの時にも思いましたが、この圧倒的な取材力とリアリティー、描写や展開もそうですが文体ももちろんオマージュしてるものへの筆致が凄まじい。それがオリジナルで、この人にしか描けない世界だった。これからも風呂敷広げまくって、マジ?全部やるの?と思わせて、本当に全部やる気持ちよさを楽しみにしています。

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    2025年04月11日
  • 幽玄F

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    戦闘機、または音速、それとも"ナニカ"に取り憑かれてしまった天才パイロット。
    トップガンマーヴェリックとは真逆を攻める波瀾万丈にも程がある狂気的な物語の着地に考察が捗る。
    圧倒的な情報量とディテール、あらゆる価値観にカルチャーが混沌していく世界観は安定の佐藤究スタイルで読み応えは抜群。

    突き抜ける美学、格好良き!


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    2025年02月06日