佐藤究のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ物凄く陰鬱で凄惨な物語。暴力に次ぐ暴力。貴志祐介や綾辻行人を愛読する自分でもちょっと引くくらいのゴア描写。
ただまるっきり創作という訳ではなくアステカ文明下での史実に基づいた描写も多い。
そりゃ〇教呼ばわりもされるよなと。
結局バルミロも最後の最後まで祖母の言葉が呪いとなってまとわりついていた男だった。
宗教や信仰は本当に人を救うのか?と思ってしまった。生活や思想を縛られがんじがらめになりさながら呪いのよう。それこそ争いの火種にすらなるわけで。
作中でも登場したCボーンのコレクターなんてねじ曲がった信仰心を持つ歪みでしかないし。
信仰こそが人類の産物の中で最も厄介なものかもしれない。なん -
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帳が下りる。狂気に満ち、恐怖が溢れ出る。
一つ。これは狂気に翻弄される物語である。
二つ。これは狂気に魂を売り渡す物語である。
三つ。これは狂気に身を委ねられなかった物語である。
四つ。これは狂気が過去から襲いかかる物語である。
五つ。これは狂気に身を滅ぼされる物語である。
六つ。これは狂気に蓋をする物語である。
七つ。これは狂気に支配された物語である。
八つ。これは狂気の側にありながら、狂わなかった者の物語である。
帷が上がる。狂気は消え去り、残ったものは希望か絶望か。
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今回も非常に面白かったですはい。短編集であるからこそ、物語が駆け抜ける疾 -
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2022年発刊の短編集
「爆発物処理班の遭遇したスピン」
爆発物を処理できなくても、楽しめる。
波動関数が理解できなくても、引き込まれる。
鹿児島に生まれた思考が、1935年のアメリカへと跳ぶ快感を読む。
理屈よりも 物語の推進力に身を委ねたい一編。
「ジェリーウォーカー」
冴えない映像クリエイターが辿り着いたキメラ創造という設定の奇抜さが魅力。
舞台は(読後の空気として)アメリカらしき近未来を感じさせ、SF性と現実的な承認欲求の絡み合いが印象的。
短編ながらラストの収め方はシャープで、余韻を残す締めで満足感がある。
「シヴィル・ライツ」
弱小反社の底辺組員の市民生活。
佐藤究が、反社と -
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ネタバレはじめてこういうクライムノベルを読んだけど、これぞ小説の醍醐味みたいな話だった。
ずっと暴力!暴力!暴力!の話なのになんでこんなに惹きつけられるのかわからなかった。わからないのに面白い!星★5!パーフェクト!
アステカ?のこともバルミロが信じる神のこともぜんぶよくわからなくても、コシモの人生の行き着く先を見たくて読んでいた。
コシモが純粋で無垢で悪意や殺意がないからこそ自分の犯していることの罪を直視することすらできないことが、もうどうしようもなくてつらかった。環境が人を作るならコシモが平穏な家庭で生まれ育っていたらこうはならなかったのか わからない。コシモも、心臓を奪われた子どもも、生まれて -
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ネタバレ1ページも退屈なページが存在しない。
残虐な暴力シーンと犯罪の限りをつくす良心の呵責というものを全く持ち合わせない冷酷非情な彼らを軸に、ほんの微量の温かみがとても際立つ。
トリックによるどんでん返しなどは一切なく、ストレートな流れの中、全く飽きが来ることなく読み進めずにはいられない。
救いがないと感じる方もいるかもしれないが、私は十分に救いがある結末だと思う。
この作家さんのデビュー作を読んだ時、村上春樹さんの影響を受けていると丸わかりだったが、本作ではその影はほぼ感じないレベルまで昇華させつつ、2箇所程、おそらくオマージュとして残された部分を発見した。
あるいは
まずいコーヒー
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まだ途中だけど感動を忘れないうちに書いてしまおう。佐藤究先生の作品はどれもこの世のどこかで『事実』なのでは?と錯覚させられそうになるものばかりで。実際にどこかの世界線での本当に話なのかもしれないが。それくらいリアルとファンタジーを融合させるのが上手い。事実が練り込まれた嘘は騙されやすいとよく言うが、まさに、この短編集のどの作品も『事実』が軸に構成されており、佐藤究先生のとんでもない知的好奇心が伺われる。特に猿人マグラなんて私自身の生まれ育った土地が舞台であったため、情景も思い浮かんだし、なによりもリアルに感じられた。ただのSFなんかじゃない、実際にあったかもしれない嘘とリアルが巧妙にまぜこぜに
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そのとき思ったことを書いていこうと思う。
(読書中)どうしたらこんな物語を思いつくのだろう…。麻薬戦争、実際に今、この世界で起こっていることだ。ノーテンキに本(この作品だ)を読んで愉しんでいることすら申し訳なく思ってしまう…。どこが後ろめたいのだ。
「神」の話が度々語られるが、神など存在しないと思わずにはいられない出来事が多すぎる。
この世界は本当に地獄だ。
人間の強欲はとどまるところを知らない——
読む進めるにつれ、後ろめたいどころの話ではなくなった。バルミロたちがやっている違法(なんてもんじゃない)行為を肯定し、自分自身もその片棒を担いでいるような感覚に陥った。
こんな書物があっていいもの -
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約700ページの本だが、1週間で読み終わってしまった。設定が斬新であるが、どこかで起きているようなリアリティがあり、ストーリーも読んでて全く飽きない内容でした。宗教×裏社会を合わせた本作は、宗教とキャラクターの過去から緻密な伏線が張り巡らされており、最後の怒涛な展開は想像もできない程であった。この本のテーマは「家族」であり、児童虐待やネグレクトなどの現代社会に取り巻く問題も登場する。子供の臓器売買を生業とするグループは、非常に冷血な人間たちであり、感情移入が難しいと思えたが、その中の1人「コシモ」というキャラクターの成長が私に温かみを与えてくれた。宗教パートが少し退屈には思えたが、宗教を取り巻
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Posted by ブクログ
ネタバレ人間だけがなぜここまで高度な言語を習得できたのか?本書では「自己鏡像認識」という人間と類人猿(チンパンジー・ボノボ・ゴリラ)にしか持ち得ない能力が鍵であると主張します。そして、なぜ古人類は死に絶えているのか?という謎にも、大胆で斬新な発想を披露します。
数多のミステリーのように、人工的に神秘性のある謎を構築しなくても、人間という神秘を探究するだけでここまで面白くできるのだと示してくれました。未曾有の読後感というのは言い過ぎか。「平成のドグラ・マグラ」と称されるべきだったのはデビュー作『QJKJQ』ではなく、この作品だったのではないでしょうか。『ドグラ・マグラ』よりも論説は幾分かわかりやすくエン -
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予備知識ほぼゼロで読んだので、序盤の展開が怒涛で情緒が大変なことに。
犯罪系作品を普段読まないので、最初は精神的に結構大変でしたが、3章、4章と進むうちに話の骨格が把握できて、神話要素がいい具合に混ざりこんできたので、ショッキングなシーンもかなり緩和されました。
クライマックスは期待通りの流れになったので、テンション超上がってしまいました。
中盤、出てくる人が片っ端から麻薬やっているのが何とも。特に矢鈴ちゃんの造形が大好きです。虚勢の張り方とともに併せ持つ、あの弱さにココロから共感する。利用される側の人間ってこうだよねぇ。
話もうまくまとまって、読後感もよく、終わってみれば楽しい内容でした。満 -
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ネタバレ所謂ノワール小説というのだろうか、裏社会の残忍な合理性に溢れていて、古代アステカの思想と世界観を交えて、世俗を超越した描写が印象的だった。もちろん、起こっていることは凄惨極まりなく、何度も読みたいと思える作品ではない…が、展開が恐ろしくても、描写が直接的で怖くても読み進められる文体が素晴らしかった。
登場人物の描写も良く、とにかく不運としか言えないルシアとコシモを除けば皆根っからのクズでカス。なのにその生き様には、私のような人間には無い誇りと諦観のようなものがあり、それがユーモラスに描かれていて「かっこいい」とすら思ってしまう哲学に溢れていた。
暴力と知略が入り交じっている裏社会、結局理不尽