佐藤究のレビュー一覧
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短編集です。
どの話も神ががって面白いです。
映画を何本もみたような満足感があり、小説でこの感覚を体験できることに感動しました。
作者の持っている魅力的なテイストが余すところなく詰め込まれています。
すべての要素が重厚で、緊迫感があります。
刺激的なテーマに目が行きますが、1番の魅力は物語の完成度です。物語の組み立てが見せ場に向けて緻密に誘導する形になっているので、満足度がすごく深いです。
テスカトリポカ、Ankなど長編に手を出すのを躊躇してる人はまずこれを読むといいと思います。
全て面白かったですが、ジェリーウォーカー、爆発物処理班の遭遇したスピン、スマイルヘッズが特に面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族が殺された瞬間から復讐の月日が始まる。
俺の神な罪を許す神ではない。地獄をも超越する戦いの神。
夜と風。我らは彼の奴隷。
煙を吐く鏡(テスカトリポカ)。
マフィアから逃げる主人公。エル・ボルボ。
容赦なく一般人も殺す。
写真で探すマフィア。
似たような格好のやつが多すぎる。
この格好で来るのが亡命の条件とSNSだ流した。
神に心臓と顔をささげる。
かつての仲間の心臓をえぐり出して、口の中に詰める。どうせ、あとでマフィアにみつかって、拷問されて自分の行き先をばらされることになるので、殺す。
液体窒素で腕を凍らせて、ハンマーで殴ってくだけさせる。
主人公と思えぬ容赦なさがすごい。
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Posted by ブクログ
帳が下りる。狂気に満ち、恐怖が溢れ出る。
一つ。これは狂気に翻弄される物語である。
二つ。これは狂気に魂を売り渡す物語である。
三つ。これは狂気に身を委ねられなかった物語である。
四つ。これは狂気が過去から襲いかかる物語である。
五つ。これは狂気に身を滅ぼされる物語である。
六つ。これは狂気に蓋をする物語である。
七つ。これは狂気に支配された物語である。
八つ。これは狂気の側にありながら、狂わなかった者の物語である。
帷が上がる。狂気は消え去り、残ったものは希望か絶望か。
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今回も非常に面白かったですはい。短編集であるからこそ、物語が駆け抜ける疾走感を味わえる。佐藤究の演出する恐怖に身が痺れる。
さて、今回のテーマは狂気だと仮定する。気が狂っている状態、心が常軌を逸している状況のことだが、これらは周囲から見ても分からないものである。「狂人の真似とて大路を走らば即ち狂人なり」という言葉があるが、これの逆である。狂人が常人の真似をして、出力するものも常人と同じものならば、周囲から見て常人なのである。しかし、狂人サイドからしたら同じではない。己の裡から溢れるものには嘘をつけない。
それぞれの短編の世界観が繋がっていないのが良い。アベンジャーズ的演出はニヤリとできる一方、何度も続けば味付けが固定される。恐怖と狂気は鮮度が命であり、ホラーとアベンジャーズは反りが合わないのである。 -
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2022年発刊の短編集
「爆発物処理班の遭遇したスピン」
爆発物を処理できなくても、楽しめる。
波動関数が理解できなくても、引き込まれる。
鹿児島に生まれた思考が、1935年のアメリカへと跳ぶ快感を読む。
理屈よりも 物語の推進力に身を委ねたい一編。
「ジェリーウォーカー」
冴えない映像クリエイターが辿り着いたキメラ創造という設定の奇抜さが魅力。
舞台は(読後の空気として)アメリカらしき近未来を感じさせ、SF性と現実的な承認欲求の絡み合いが印象的。
短編ながらラストの収め方はシャープで、余韻を残す締めで満足感がある。
「シヴィル・ライツ」
弱小反社の底辺組員の市民生活。
佐藤究が、反社とワニガメを絡ませると、こうなる。
「猿人マグラ」
福岡出身の夢野久作。
同じくタモリ。
同じく佐藤究。
『ドグラ・マグラ』は、まだ読めていない。
その巨大な作品を背後に置きながら、
こんなにもシュールな短編を描いてしまう。
「スマイルヘッズ」
シリアルキラーのアートのコレクター。
そういう人種は、世界中にいるのだろう。
タイトルのエッジの効き方がすごい。
シリアルキラーのアートコレクターの、シリアルキラー。
「ボイルド・オクトパス」
黄色人種への差別を暴力的に。
タコを媒介として。
オクトパスは 直訳のタコであるのか、侵略者と読むのか。佐藤究が書いたものとすると、読み解きたくなる。
「九三式」
太平洋戦争敗戦後の日本、東京。
ニューギニアから帰還した兵士。
金のために引き受けた、GHQからの仕事。
帝銀事件から入るくだりに、一気に引き込まれた。坂口安吾の『堕落論』が、ここで生きてくるのかと感嘆する。
松本清張にしても坂口安吾にしても、その時代を生きて書いている。
では、同時代を生きていない作者は、どうやってこの感性を獲得するのだろう。
「くぎ」
舞台は川崎。
なぜか、佐藤究の小説に登場する悪い奴らには、いつも哀愁がある。
解説者の言葉を借りれば、「社会的底辺の倫理観」。まさにそれだ。
この作品がラストに置かれていることで、
この作家をもっと読みたくなる。
佐藤究という人は、途方もない勉強家なのか。
それとも、一度取り込んだ知識や情報を天才的に消化してしまう人なのか。
幅広い参考文献は、決して衒学的に浮かび上がらず、すべてが独自の小説世界となっている。
私は全作品が好きだが、乙女の皆様に無理に薦めはいたしませんd( ̄  ̄)
暴力描写は多くはないものの、確かに存在しますもの。
8編の短編集。連作ではない。
その中で、三島由紀夫の「サド公爵夫人」と「わが友ヒットラー」のように呼応する作品を潜ませる。
導入から思いもよらぬ展開へ。
どの短編も、読み応えがある一冊でした。
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Posted by ブクログ
まだ途中だけど感動を忘れないうちに書いてしまおう。佐藤究先生の作品はどれもこの世のどこかで『事実』なのでは?と錯覚させられそうになるものばかりで。実際にどこかの世界線での本当に話なのかもしれないが。それくらいリアルとファンタジーを融合させるのが上手い。事実が練り込まれた嘘は騙されやすいとよく言うが、まさに、この短編集のどの作品も『事実』が軸に構成されており、佐藤究先生のとんでもない知的好奇心が伺われる。特に猿人マグラなんて私自身の生まれ育った土地が舞台であったため、情景も思い浮かんだし、なによりもリアルに感じられた。ただのSFなんかじゃない、実際にあったかもしれない嘘とリアルが巧妙にまぜこぜにされた作品集。ちょっとだけグロ描写あり、薄気味悪い〜軽いホラー好きな方にはおすすめ。
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ネタバレ人間だけがなぜここまで高度な言語を習得できたのか?本書では「自己鏡像認識」という人間と類人猿(チンパンジー・ボノボ・ゴリラ)にしか持ち得ない能力が鍵であると主張します。そして、なぜ古人類は死に絶えているのか?という謎にも、大胆で斬新な発想を披露します。
数多のミステリーのように、人工的に神秘性のある謎を構築しなくても、人間という神秘を探究するだけでここまで面白くできるのだと示してくれました。未曾有の読後感というのは言い過ぎか。「平成のドグラ・マグラ」と称されるべきだったのはデビュー作『QJKJQ』ではなく、この作品だったのではないでしょうか。『ドグラ・マグラ』よりも論説は幾分かわかりやすくエンタメ性も高いです。テーマとストーリーの連動具合では同著者『幽玄F』の方が良かったが、発想力や斬新性で遥かに上回る -
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佐藤究の幽玄Fを読んだ
幽玄とは何かChatGPTで調べてみた
幽玄(ゆうげん)**とは、日本の美意識を代表する言葉で、
はっきりとは言葉や形に表せない、奥深く、静かで、余情のある美しさを指します。
簡単に言うと
•すべてを見せず
•すべてを語らず
•想像の余地を残す美
わびさ人の違いも調べてみた
① 幽玄(ゆうげん)
見えない奥行き・余情の美
•すべてを明かさず、想像に委ねる
•神秘的・深遠・静かな感動
•「その向こうに何かがある」と感じさせる
② わび(侘び)
不完全・不足の中に見いだす美
•簡素、質素、控えめ
•欠けているからこそ心に響く
•人の心の在り方に近い美
③ さび(寂び)
時間の経過が生む美
•古さ、色あせ、静かな寂しさ
•時の流れによる深み
•物そのものに宿る
主人公は子供の頃はどこまでも飛行機を追いかけて走ってしまう少年。
戦闘機に乗りたくて、空自にはいる。
戦闘機は男の子なら誰でも憧れだと思う。
主人公が友達と三沢航空祭まで観に行くが、私も去年サイクリングを兼ねて百里基地航空祭に行ってきた。
ブルーインパルスの飛行は見事だった。
戦闘機と言うとミッションインポッシブルが思い浮かぶが、新谷薫のエリア88やファントム無頼も思い出される。
長男が子供の頃尊敬する人に新谷薫と書いたのは、一寸苦笑いしてしまった。
本書は、戦闘機と三島由紀夫との関係と仏教を上手く組み合わせて物語が出来ており面白かった。 -
Posted by ブクログ
私は作者の表現する世界観のファンなので評価は高いですが、物語を追いかけて楽しむ要素はあまりないと思います。物語性を楽しむのであればテスカトリポカ、アンクなどを読んで欲しいです。
狂気や幻視まみれの脳みその中身を、作者の鋭い言葉の羅列で主人公と共有していく作品です。
詩的でナンセンスで洒落ててクール。
そういうものの、詰め合わせです。
無粋な言い方をすると大人のイカした厨二病です。
嫌いなわけがない!!
良質な映像作品のテーマになると思います。
カットアップされたみたいに場面がちらついている世界を見ていたかと思えば、気がつけば日常の昼。
その境目が次第に曖昧になり始め、世界観を支えるワードセンスとキャラクターも相まって、私も一緒に放浪するような感覚が味わえました。 -
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乾いた鉄みたいな作品だなと感じました。
最初は変身という帯に機龍警察のような特撮ライクな話かと思ってたら重厚なクライムサスペンスでした。
アメコミ的ヒーローとかダークファンタジーでは無いような気がします。キック・アスみたいなイメージなんでしょうか。それにしても骨太すぎる気がします。子供には読ませられません。
鋭い狂気が誇張されてエンタメになる前に塊で出されてきたような感覚です。
さぁ狂ってクールな主人公が登場です!はい!ここが見せ場!とかが無い。
淡々と内面の狂気と向き合い、超えては行けない線を散歩のように超えていくいい意味でエンタメ性のない暴力と狂気が味わえます。
映画のタクシードライバーやフォーリング・ダウンと精神は一緒な気がしますので、好きな方は読んでみて欲しいです。
洋画好きにおすすめできます。