佐藤究のレビュー一覧
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冒頭のやや中二病っぽい女子高校生の独白から、どんどん真実に迫っていく様が圧巻。
父の謎かけパートも面白い。ラテン語の教養があればもう少し面白かったのか…?
自分はミステリジャンルの中でも結構自分の位置が揺らいでいく系のものが好きかも。主人公が錯乱している状態で、彼女の主観で物事に対峙できるのが楽しい。
彼女の父が話した、国家とは団体として暴力を発揮する軍事力と、民間の暴力を制御する警察力によって成る暴力装置である、みたいな視点が面白かった。確かに民間の暴力は法規制されている代わりに徴兵はされるのだし、暴力衝動を制御しつつ戦争においてはそれを発揮せよ、というのはダブルバインドに思える。
これは -
Posted by ブクログ
以前、古代メキシコ展に行きました。
古代メキシコの宗教や世俗などが展示されていて、生贄の儀式の様子なんかも書いてありました。
すごく惨いなあとその時は思っていたのですが、この小説を読んで、結局は現代社会もあまり変わりないのかもしれないな、と思いました。
「テスカトリポカ」はクライムサスペンスです。
麻薬や臓器売買、一生関わりたくない恐ろしい人たちしか出てきません。
とてもボリュームのある小説でスペイン語も多いのですが、勢いがあって不思議とずんずん読めます。ただ内容はかなり重厚感があってしんどい(というか怖い)ですね…
血の資本主義。弱いものを犠牲にする。
それは程度は違えど、資本主義社会に -
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佐藤究『QJKJQ』。江戸川乱歩賞受賞作。
直木賞『テスカトリポカ』、『Ank』の佐藤究。
市野亜李亜、女子高生でありながら、殺人鬼。しかも彼女だけでなく、父も母も兄も、家族全員が殺人鬼。
ある日、兄・浄武が殺害される、が、兄の死体は消えてしまう…そして、母・杞夕花も行方不明に…父・桐清の関与を疑う亜李亜だったが…
ただの殺人鬼一家の話かと思いきや…とんでもなく、奥が深かった…
段々と真実に近づいていくが…
現実と幻想。
甦る過去の記憶…
そうだったのか…
結局、アカデミーって、何だったんだろうか…
鳩ポンがねー…鳩ポンはあのままがよかったかな⁇やっぱり。
何かすっきりしないものが残 -
Posted by ブクログ
ネタバレアンク以来の、1年越しに佐藤究さんの作品を読んでみた。
この作品がデビュー作とのこと以外はほとんど何も知らない状態で読みました。
深夜3時でも新たに仕事が舞い込んでくるような、ブラックな職場で働いている主人公。
ひょんなことで同僚から裏カジノに誘われ、そこで行われている「ルーレット」に心を奪われる。
頭の中に数字が浮かび上がる能力がわかった時点では、これはギャンブルで勝負していく展開の話なのかな?!と思いきや、全然違いました。
まあひたすらに荒れ狂った世界が淡々と描かれていました。
主人公が”ギャンブル”を通じてどんどん破滅へと向かっていく姿が終わりまでひたすら続きます。
怒涛の展開!みたいな -
Posted by ブクログ
飛ぶことに取り憑かれた天才パイロットの数奇な人生を描く。それだけ言えば、大空を駆け巡る浪漫あふれる激熱ストーリーを想像するだろうが、本作はちょっと違う。確かに急上昇、急展開はあるものの、そこは佐藤究さん得意のアンダーグラウンドな世界に飲み込まれるようなパートも有り、らしさが感じられて良かった。
総評として、主人公の性格が掴みにくいのか、そもそも読み込みが浅いからか、作品が伝えたいことがなかなか汲み取れず、感想をうまくまとめることができないまま、書いては消してを繰り返している。
積読作品が、それなりに溜まってきたので、落ち着いたら頃にもう一度読み、改めることにする。 ★3.0 -
Posted by ブクログ
ネタバレいずれ文庫化する「テスカトリポカ」のために過去作をぼちぼち読んでいるが、これは2005年の群像新人文学賞の優秀作らしい。
純文学の章にしてはソリッド……当時の流行りだったのか。中原昌也とか。
しかしのちの「QJKJQ」「Ank: a mirroring ape」につながる衒学はたっぷり。
そして鏡のモチーフ。
思弁的作風も、デビュー当時から。
が、どうしても「ホムンクルス」(2003~2011)を思い出してしまい、ノイズに。
安易にいえばドストエフスキー「賭博者」だが、本作のハセガワという独特の人物は一歩抜けている。
が、そうはいってもさらに村上龍を連想したりして、既視感の糸にこんがらがって