ある時代の、人類が住むこの地球と宇宙の在り方に関する説に関する時代背景や実際の史実を基にした、いわゆる歴史ものの作品。
こういった史実に基づく作品は基本的に、既に記載のある描写以外は全て作者の想像に依るところが大きいために、本当にそんな詳細なストーリーが存在していたのか、本当はもっと劇的なものだったかもしれないという点でも好きなジャンルの一つです。しかし、いわゆる歴史モノの中でもこの作品のモデルは「地動説」を中心に描かれている。
これを読む前に簡単にでも天動説と地動説について調べてから読んでみるとより面白く感じるかもしれません。
今となっては「常識」とされる天体(各惑星)だけでなく地球は動いている、という説は当時の世の中でどれほどの反発を受けるものなのか、この説に辿り着く上でぶつかる「天動説」の矛盾。これらに思いを巡らせたことが無い人は多いと思うし、自分もその一人である。天動説も改めて説明されるとコペルニクスが想像もつかない程の、科学技術と呼べるものがほとんど無い時期に提唱されたとは思えないほどに「良く出来た」ものであったからこそ、これに付随して発展していく宗教的な教えが、当時の現世の人々の困窮した生活と嚙み合ってしまったが故に地動説が世に広がるにはこの作品中の描写以上の苦労や被害があったのだと推測できる。
「チ。」の1巻こそが本作品中で最も鮮烈に「面白い!」と感じさせてくれる話が描かれているが、この2巻では「地動説」の凄さを理解できる、学びに楽しみを見出している(もっというなら知識欲に魅了されている)者と、勉学というものには触れてこず、当時の現世に最も多いであろう宗教観を信じ切ってきその日暮らしの者が出会う巻。
実際の歴史では「地動説」はたった一人のいわゆる天才がまとめ上げた学説であった可能性は否定できないが、その規模、必要となる観察結果や先に述べた時代背景等々を鑑みると、その学説の素晴らしさを読み解き、共感し、異端とされてもそれを継続する程に感動した者たちが連綿と受け継いできたものだったのだと思わせられる。
本当にこのような劇的な背景があったように思わせてくれる。科学の進歩はその発見の「面白さ」「美しさ」に魅了される人間が人類の中に絶対に現れてきてしまう法則のようなもの、「チ。は作品中では地。を示すが、知。によって」に突き動かされてきた人々が確かにいたのだとしみじみと感動させられる作品だと思う。
当時の宗教観と天動説の組み合わせから、この世は地獄、もしくは最底辺の世界といったように考えられていた。そのことから当時の日常に絶望しているものもいたかもしれない、それが「死んだ後」という不確定要素しかないものに希望を見出して日々を乗り越えていたのかと考えると、それは確かに極めて苦しい「地獄」のようなものに思える。しかし、その考え方が浸透世界において「天動説」から「地動説」への移り変わりにはこの世はそんな最底辺の苦しいだけの世界なんかでは決してないと思わせてくれる、「説を信じること」に妄信する者にとっては絶望を与えられたかもしれないが、多くの人にとっては一方的に刷り込まれた地獄という呪いから解き放たれるような発見だったんじゃないだろうか。
どうしても描写が受け付けない人もいたり、反応が分かれやすい作品化と思うので、この2巻までたどり着けた人は一気に8巻まで読めてしまうのでは、読まないとスッキリできないのではないだろうか?