あらすじ
100mだけ誰よりも速ければ、どんな問題も解決する── ◇『チ。-地球の運動について-』の魚豊、“全力疾走”の連載デビュー作!! 「100m走」に魅せられた人間たちの、狂気と情熱の青春譚!!
自らの才能の劣化を感じ、陸上から遠ざかっていたトガシ。しかし高校で目の当たりにした理不尽を前に、再び走ることを決意する。”元全国1位”の仁神も陸上部に復帰し、迎えた部活動対抗リレー。アメフト部との戦いの行方は──!? そしてトガシは、インターハイで小宮との再会を果たす。しかし小宮はかつての面影を失い、あまりに”速くなりすぎ”ていた──。
感情タグBEST3
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名言が多い、刺さる。だけども
なぜ走るのかを求めた結果、走るのが好き、というのがやっぱり1番。
シンプルだけど、色々な考え、出来事ひっくるめてのものだから、すごくいい。
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映画観た後に台詞をちゃんと文字で見たくて購入。なるほど、ゆらいだ線画も原作から踏襲してたのか。
とがしの中にいるもう一人の自分が小宮くんと重なってるような、そんな存在も映画ではなかったような。アメフト部との対決は映画にはないけど、部員のみんなそれぞれに陸上部との向き合い方があって、胸熱でした。顧問の先生もね。浅草さんが映画よりも良いと思った。
高校時代、小宮もひどい仕打ちされてたんだね。
「浅く考えろ、世の中舐めろ、保身に走るな、勝っても攻めろ。」
財津の講演がかっこよすぎて笑う
海棠は最後にして強烈な名言残して、いちばんかっこいいとこ持ってくよな!海棠の言う現実逃避は、自分が現実には力を認められていないからこそ、そんな現実とは距離を置き自分だけは自分を認めて、自分を信じるのだ!という。めちゃくちゃかっこいい。
とがし、小宮、仁神、海棠そして財津、
何のために走るのか、それぞれの答えがある、そしてその答えはどんどん変化する
孤立しないため
現実逃避
記録のため
みんなのため
真剣(ガチ)になるため
意味とか価値とかあーだこーだあるけれど、つまりはただ走りたい想いが何よりも一番アツイ。
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映画とストーリーが若干違った。
自分の過去と照らし合わせ、
トガシと小宮の境遇は少し分かるものがあった。
何かに悩んでいる人、
挑戦しようとしている人、立ち止まっている人に、
勇気を与えてくれるような作品だと思う。
自分も、もう一度「真剣」になれるものを探したい。
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意味があるかないかは、他人が決めるものではない。
のめり込んだ人が、彷徨いながら、いつかパァっと出てくるものがあるんです。
哲学的でもあり、大変面白かった。
チ。もアニメで観て、良かったが、共通したものがある。
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ー何のために走るのかー
初めは「楽しいから」「センスがあるから」など単純なはずだった。
それで『生きていく』と決めたとき、いつしか「勝たなければ」「負けてはいけない」に変わってしまう。
人生も同じで、何か一つだけってよりも、他のものがあるから別にいいや程度で生きていくことが幸せなのかもしれないと考えてしまいました。
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100メートル走という、10秒くらいで終わってしまう競走をテーマに、人生について考えさせられるエッセンスを凝縮している。
何のために走るのか?言い換えれば何のために頑張るのか?
たとえ気を紛らわすためにやっていても、一心不乱にやっていれば、格好悪くても成長する。
何か一つ秀でたものがあれば、周囲の見る目は変わる。
明確な目標を持った人は成長が早い。しかし迷いが生じると泥沼にハマる危うさを持つ。
ネガティブなことを考えるとパフォーマンスが落ちる。ポジティブなことを考えると、どこからか力が湧き出てくる。
凡人は自分の地位が危うくなると、対抗する相手を嵌めようとする。スルーすればいい。だいたい失敗する。
変わりゆく世界の現実を直視し、それが自分の願っていない状況だとすれば、全力で現実逃避しようとすることが力になる。ただ、逃避するためには、現実を直視して知らなければならない。それは恐ろしいことでもある。
怒りや復讐もパワーにはなる。でも突き抜けたパワーにはならない。
自分が面倒みた相手が、自分の望む方向に行かないことがある。自分を追い抜いていくこともある。
人間は常に死の不安の中にいる。でも、その不安も、本気を出している人の幸福感を奪うことはできない。
小学生のときに感じていたことは、大人になっても正しいことがある。この世にはシンプルなルールがある。100メートルだけ速ければ、全部解決する。
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巻末のインタビュー必見!
「チ。」を先に読んでいたからか、こんなに若い作家さんだとは思いもよらなかった。
思考の深度に圧倒された。
天才、とおもったけど苦悩もされて、丁寧に感情を掬い取って、勢いに乗せて描いていると思う。
これからも楽しみ。
Posted by ブクログ
とにかく引き込まれる心理描写が魅力的。
真剣な話をしている場面でもどこかユーモアがあり、しかし説得力のある内容になっている。
チ。が好きな人であればきっと気にいる作品だと思うので、是非読んで欲しい。
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2022/3/30第1刷
2025/10/16第14刷
2025/9公開で映画化。
表現者クライテリオンのYouTube動画で、
文芸評論家の浜崎氏が、絶賛しており、この本を知る。
概念と体験の現実
現実を理解できて現実を超える真剣さとそこへの気持ち
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ひゃくえむ。
2025.10.18
ひゃくえむ。
魚豊さんの『チ。地球の運動について』が大好きだし、短距離ではないけれど元陸上部だったのでみるしかない!と思い決断。
正直言って、生きる意味がわからない私にとって走る意味もよくわかっていない。私が現役の時は一度始めてしまったからキリのいいところまでやり切りたいという意地で陸上をやっていた。もちろん記録が出て、いわゆる調子がいい時に走るのはとても楽しかった。しかし怪我や貧血、タイムが伸び悩むことによって、だんだん頑張って辛いことをして何か報われるのだろうかと何度も考えるようになった。
だけど映画からは命をかけるほどの熱狂、つまり”ガチになること”がどれだけ人を動かすのかに意味を感じた。彼らにとって100mに命をかけることで得られる感動、苦悩などは他のどこにでもない、素晴らしいものなのだろう。財津さんの『細胞の集まりくらいの人生、くれてやれ』という言葉は、せっかくなら死ぬ気でやって、生きてたことに悔いがないようにすべきだという意味だろうか。何かに全力を注ぐ人には刺さる言葉だろう。
特に印象的だったのは海棠さんの『現実逃避は俺自身へ期待だ。俺が俺を認めてない姿勢だ。』という言葉。長年自分と戦い続ける姿がかっこよかった。
最後の躍動感あふれるシーンによる終わり方は陸上が相手との勝ち負けで終わるものではなく、自分との戦いであることを暗示しているのかなと。
最近見つけた素敵な言葉
狂気を俯瞰するのが哲学で
俯瞰してもなお狂い続けるのが芸能だ。
これはアスリートも含まれるはず。
Posted by ブクログ
『僕らは一体、何の為に走ってるんだ?』
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中学まで大会で負け知らずのトガシは
自身の才能の劣化を日々感じ、敗北という恐怖から逃げるため 高校では陸上部には入らないと決めていた。
しかし、ある出来事から理不尽で不遇な立場に置かれた陸上部を目の当たりにし、陸上部に復帰することを決意する。
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「この脚は逃げるためじゃなく戦うためについていて、孤立なんてクソどうでもいいと思ってたら俺はどうすると思う?」
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わたくし、読み始める前は
白熱の100m走!!
ライバルとの熱い戦い!!
そんな場面ばかりが描かれている漫画だろうと思っていました。
でも実際 レースの場面ってそんなに描かれていないんですね。
下巻では
高校で再び陸上に向き合うことになったトガシが、インターハイで小宮と再会し 決勝で戦うことになります。
ここがクライマックスかと思いきや
当たり前ですが 彼らの人生はそこで終わるわけではないんですよね。
企業の契約選手となったトガシは、栄光も挫折も味わって 「自分はなぜ走るのか」「何の為に走っているのか」の壁にぶつかるし、
「記録」だけに執着して走り続けてきた小宮も、
「何の為に記録を求めてきたのか」がわからなくなるし、
またライバルたちも それぞれの想いを抱いて
100mに人生を懸けていて-
「走ること」に対する心の内がめちゃくちゃ描かれている!
読み終えて思ったこと。
トガシと小宮の二十年を描いた話は
まさに「人生」の話だと!
「何のために走るのか」は
「何の為に生きているのか」だな〜と。
そして、一瞬の栄光に全てを捧げる男たちはみな
熱いぞ!!!と!!!
【希望 失望 栄光 挫折 疲労 満足 焦燥 達成 喜怒哀楽
あの距離に全部つめ込んで
極上の10秒を味わえ】
.•♬
劇場版の主題歌は
Official髭男dismの「らしさ」ですが
これがね
ひゅくえむ。全40話をぎゅぎゅっとまるっと詰め込んだストレート果汁100%ジュースのような歌詞でね
もうなんかすごいです!!
Posted by ブクログ
まず最初に言いたい!
巻末の『佳作』が、ただただ面白い笑
おまけと思わずに読んで欲しいです。
さて、『ひゃくえむ。』についての感想。
「何のために走るのか?」
「なぜ走るのか?」
聞き方が違うだけの同じ問いだと思ってたけど、
この作品を読んでたら、
質が違う問いのように思えてきました。
「なぜ走るのか?」のほうが、
より個人的で利己的でわがまま…
要するに、『熱い』
あらゆる熱中に対する
「なぜそれをするの?」の問いには、
さしたる答えなんてないのかも。
「分からない。でも好きだから。」
「なぜ好きなの?」の問いにも、
答えはないのかも。
それを好きになることが、
生まれた時から必然だったような。
いつのまにか引き寄せられて、
出会うべくして出会って、
一緒にいるのが心地よい…みたいな。
この物語の登場人物。
レースの最中にことごとく折れそうになるのに、
そこから一歩踏み出していく。
ほんの10秒ほどの時間の中に、
いろんな思考が流れてるのが面白かった。
映画、再来週公開だー。
絶対に初日に行く!
【追記】
初日にいきましたー。
行きつけの映画館で一番小さい部屋。
初日なのに上映回数は2回。
しかし、仕事後の時間に行ったにもかかわらず、
ほぼ満席。
きっとみんな、この作品が好きな仲間だ。
ストーリーは、時間の関係か、
だいぶ端折られていた。
映像表現がピカイチでした。
詳細は『Filmarks』にレビューしました。
Posted by ブクログ
Takram Radioで対談しているのが面白くて、魚豊さんの作品に興味を持ち読みました。
人心の奥底にある大事なところをグリグリと圧迫されるような感覚になりました。。
何度か読み返したいと思える作品です。
Posted by ブクログ
私は、『チ。-地球の運動について-』を読んで、
名言の数々に感動して、同じ作者の一作目ということで気になり、『ひゃくえむ。』を読んでみることにしました。
上巻に続いて下巻を読み終えました。
やっぱり、
『チ。-地球の運動について-』で最初に登場するラファウと、
本作で最初に登場するトガシの顔つきが
似ていると感じます(笑)。
キャラクター(性格?)も、どこか似ているような感じがします。
「100メートル陸上」を生きる選手たち一人一人に突きつけられる、
「何のために走るのか?」
という根本的な問いが、
本作品の全体を貫いています。
問いに対する答えは、人それぞれ。
人それぞれの矜持がそこにあります。
100mを走ることに半生を捧げる人々の喜怒哀楽が
この作品に凝縮されていました。
おもしろかったです。
Posted by ブクログ
生きるか死ぬかの危うい領域で魂を闘わせる先に、闘った者にしか見えない聖域がある。その聖域に踏み入れて心身を破壊されることすらある危険な区域。人類はその聖域に幾度となく挑戦してきた。その景色が彼らに一時万能の神にすら値する恍惚感を与えたとしても、いずれ儚く指の間からこぼれ落ち、又杯は別の者の手に渡る。しがない自分の人生の小さな世界だとしても、自分なりに闘ってみたい。そんなことを思った。
Posted by ブクログ
100m走というシンプルな勝負の中にこれだけの物語を作れるのは凄すぎる。実際たった10秒を走るために何千時間、何万時間も準備してる人がいるし、自分もそうだけど、たった数分のために人生を賭ける仕事をしている人は読めば刺さるに決まってる。
Posted by ブクログ
手塚治虫作品のような、何かバトンを得られる作品だと思う。好き嫌いもはっきりするタイプの作品ではあると想像するけれど、気になったらきっとこの漫画が必要なんだと思います。
Posted by ブクログ
小学校から中学校、高校生、社会人での陸上生活の物語。特に高校時代の理不尽な環境を走りで変えようとする行動力と実力、最後に強い気持ちが出るのが良かった。
Posted by ブクログ
100m10秒に人生を懸ける。癒しも悟りも血も涙も要らない。誰よりも速く走るだけ。才能と努力、呪縛と重圧。狂気じみた執念や瞬間の熱量が、時に冷徹に、時に荒々しく表現される。栄光を失う恐怖に足掻く本能や、何度も限界を超えていく喜びに胸が震える。笑い誤魔化し逃避した日、陸上を捨て切れずに流した涙、敗者たちの去り顔。全てを込めて地を蹴り駆ける。
Posted by ブクログ
何というか、、、、
よくこんな言葉を書くことができるなという気持ちでしかない
「恐怖は不快ではない 安全は愉快ではない
不安は君自身が君を試す時の感情だ」
恐怖は不快ではない、、、
自分にない価値観の言葉を読めるのは
楽しい
どんな終わりになるのかと思ったけど
想像より前向きだった
Posted by ブクログ
22冊目『ひゃくえむ。新装版 下』(魚豊 著、2022年3月、講談社)
狂気と情熱の100m走物語、ここに完結。
相変わらず鈍重な印象を受けるストーリーテリングではあるが、一つ一つの言葉が生み出す熱量と重量が凄まじい。
著者の連載デビュー作なだけあって、若さと気概と覚悟が物語から伝わってきた。
マガジン新人漫画賞入選作品『佳作』も同時収録。時間に余裕があったためか、こちらの作品の方が線が綺麗。
16000字を超える、著者のロングインタビューも掲載されている。
「走るのが、 好きだー。」