佐藤究のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
虚構と現実の狭間に投げ出されてしまう主人公の不安感を追体験しつつ、クライマックスに向けて洪水のように流れ込んでくる情報の量と血の量に溺れそうになりながら結末まで読み進む。プロローグを再読し、本を閉じた後も、クラクラとする眩暈に似た余韻がしばらく残り続けた。
理解しきれないほど深淵なことが語られているようでもあり、実はとんでもなく軽薄な内容だったのではないか?とも疑えてしまうような、ちょっとレアな読後感だった。
解説の中で「ドグラ・マグラ」が言及されていて、確かに類似性が見出せるかもと思ったり。
江戸川乱歩賞の受賞も納得。人間の内に潜む暴力性や異常性を分析し、それを分析すること自体の暴力性と -
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2018年第20回大藪春彦賞
2018年第39回吉川英治文学賞
先日「幽玄F」を読んで、佐藤究ってもしかしてすごいのでは…?と、過去作品を読み始めました。
その中の一作、「Ank」
いやもう、やっぱりすごい。
すごいんだけど―凄すぎて、理解の範疇を超えてくる。
舞台は2026年、京・都・暴・動。
その原因を、社会構造や思想だけでなく、遺伝子レベルにまで掘り下げていくという、超重量級のSFです。
ライトノベル風味の語り口もありつつ、テーマは重く深く、問いかけは容赦は容赦なく。
「Ank」という名前を持つチンパンジーは、ただの動物ではありません。
彼は「ape(類人猿)」でありながら、鏡を見 -
Posted by ブクログ
正直少し難しくて最終的になんでこうなったんだっけ?と辻褄が理解できない部分もあった。
同作者のテスカトリポカが驚異的で、その作者の意図や性質的にかなりの情報を調べた上での緻密なストーリーだったんだろうから、単純に自分の理解が及んでないだけかもしれない。
けど、光の速度と暴動が収まる8分19秒の関係値や、鏡を見たホモサピエンスの暴走が、なぜ進化後の人間に適用されたのか、進化の上で特異点を超えてるから暴動にならないんじゃないのか?という納得感がなかった。
ただ、作品自体はとてもよく作り込まれていて、最後までどうなるのか読み進めるのが楽しみな作品だった。 -
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Posted by ブクログ
2017年刊行?にして2026年の出来事を近未来として描いていることはAIの利用がかなり一般的になってきている2025年現在に読むと何かすごい。
テスカトリポカ同様、入念な下調べと読者を置き去りにするレベルの専門的な会話、スピード感のあるハードな文体に一貫性と強いこだわりを感じた。シブい。
ゾンビものでは実際ないがゾンビ感のある人間がたくさん出てくるのは事実で、そういう本は読んだことがなかったので新鮮だった。
物語自体は正直なところテスカトリポカの方が引き込まれたなとは思いつつミーハーでわかりやすいものを好んでしまう自分の好みの問題かもしれない。
エイプとモンキーの違いだったり霊長類に関する学 -