佐藤究のレビュー一覧

  • 幽玄F
    面白かった。『テスカトリポカ』と似た構造、精神、流れ、なんだろ、とにかく同じ作者が書いたんだなと実感した。
    親の存在が希薄。国の描写が簡潔でわかりやすい。人のやりとりも機能的。
    あまりインモラルや非合法さへの葛藤が無い。さすがにミサイル売るのは躊躇ってたけど。護国も、自衛隊員になるなら、さすがに建前...続きを読む
  • テスカトリポカ
    主人公がコシモなのかバルミロなのか分かれると思うが、私の中ではバルミロが主人公。
    終始物語の流れを作る行動を起こしてるのはバルミロであり、コシモは無知で無教養のせいかほとんどの場面で受け身であり、成り行き任せで感情に乏しいため感情移入がしづらい。
    バルミロは生い立ちからして波瀾万丈であり、残虐性の元...続きを読む
  • テスカトリポカ
    いやー、すごい。こんなに長くて重厚なストーリーなのに、没頭して読めてしまった。
    一文一文が短かったり、体言止めの文があったりでリズムで読めるからかな?
    あとは展開がすごいのと視点が頻繁に切り替わるので飽きないですね。
  • 幽玄F
    「テスカトリポカ」が青黒くうねる波の物語だとしたら、こちらは青白く輝く光の物語であった。ひたすらの憧憬は、確実に約束された破滅をも凌駕していた。序盤から少しずつ積み重ねていった主人公の背景描写はひたすらに長く感じるけれど、終盤の急展開のためにはやはりこの丁寧さが必要だったのだなと今ならわかる。とびき...続きを読む
  • テスカトリポカ
    550ページを超える大作ながらも、登場人物や出来事、企み、闇のもつエネルギーにひかれた。
    アステカ神話と闇の住人の融合は見事だし、綿密な下調べがよりリアリティを感じる。怖いもの見たさも手伝ってどんどん読み進めてしまう。ちょうど日本の反社が核兵器に転用できる物質を取引してたというニュースが舞い込んでい...続きを読む
  • テスカトリポカ
    臓器売買とアステカのお話。
    前から気になっていたのと、『税金で買った本』の石平少年が読んだと書いてて、読んでみました。
    麻薬と暴力が中心で、現実だったら絶対に関わりたくないけれど、フィクションとして楽しめました。
    メキシコのバルミロと日本のコシモ、二人の視点で進んでいくお話がどんな風に着地するのかほ...続きを読む
  • 幽玄F
    相変わらずこの作者はものすごく勉強して執筆してる。だから信頼して安心して読める。最後のページの参考文献の量がハンパない。尊敬します。

    飛行機の魅力に取り憑かれた少年・透が、後に天才的な戦闘機パイロットとなり、音速の中で大蛇に飲み込まれるように、タイ空軍のミサイルに自ら飛び込む一生を書いたお話。

    ...続きを読む
  • 幽玄F
    空に、飛ぶことに憧れ、取り憑かれた、一人の戦闘機パイロットの一生を綴った物語。
    時系列順にたんたんと描かれる透の一生なのに、何故か飽きることもなく読む手が止まらない。
    透目線で書かれているのに驚くほど透という人間がよくわからない。私の読み込みが甘いのだろうけど。ただただ、彼の中にあるのは飛ぶこと、し...続きを読む
  • テスカトリポカ
    この世の一番暗いところをずっと見せられてる感じ。麻薬中毒者のガチでやばい人たちに何も悪くないのに巻き込まれていく人達を見ているのがガチで辛い。とくにコシモは終始運が悪くて可哀想。でもその分ストーリーはめちゃめちゃ重厚だし直木賞取るだけあるなとも思う。表紙が気になって読んでみたいなって思った人にはめち...続きを読む
  • テスカトリポカ
    とにかくラストシーンがめちゃくちゃカッコいい。ラストシーンの美しさを余すことなく享受するために、複雑に絡まり合う人々の人生とアステカの信仰を読み解いていくといって過言でないし、その価値がある。
    読む前に感じていた「テスカトリポカ」という言葉の神秘性は、読み終わった後、重くのしかかる。
  • 爆発物処理班の遭遇したスピン
    面白い‼️
    どれも素晴らしいけど、表題作が特にすごい。短編とは思えない圧力と情報量でした。
    ただ、私はこの方の作品が好きすぎて、短編だとすぐ読み終わってしまって、一つ一つの作品の世界に浸れる時間が短いので、長編の方が好きかも知れないです。
    テスカトリポカを初めて読んだ時の興奮と熱狂を忘れられません。...続きを読む
  • 幽玄F
    戦闘機で空を超音速で飛ぶ描写は爽やかでスリリングだった。
    戦闘機パイロットなるための執念と取り憑かれたように『戦闘機で空を飛びたい』という想いを随所に感じた。
    主人公が国を転々としていきそこで出会う人々のストーリーと戦闘機のメカニカル用語、軍事関連、国の歴史、民族の特色などを織り交ぜていて調べるのが...続きを読む
  • 幽玄F
    少年の頃から航空機に憧れ、やがて戦闘機パイロットとなった易永透の人生を描いた作品。
    もう、早々に心を鷲掴みにされ一気読み!

    パイロットを目指し、ストイックに黙々と努力し続ける透がすごい。
    自衛隊戦闘機パイロットとして生きた透と日本を離れてからのその後、先が気になって夢中で読みました。
    ひたすらに何...続きを読む
  • 幽玄F
    私が、航空学生を受験した折、受験生の多くは、防衛よりも、一人で飛行機を操縦したい、宙返りをやりたいとかの飛行機オタクだった。その後、空を自由に飛びたいと結構多くの人が思っていると勘違いしている自分に気づいた。離陸する前の震える機体と座席に押し付けられる感覚が好きな奴は、滅多に居ないから。
  • テスカトリポカ
    感想
    読んでいて、アステカ文明に関する内容も深そうだし、話の流れに無理がない。作者は相当の文献調査と文脈構成力を駆使して作品を作ったのかが伝わる。

    あらすじ
    メキシコの麻薬カルテルで幹部をしていたバルミロは、他のカルテルとの抗争に敗れて命からガラジャカルタに逃げる。

    バルミロはそこで再起をかける...続きを読む
  • 幽玄F
    戦闘機を見た経験から一気にF-35Aのエースパイロットになる易永透(やすながとおる)。しかし超音速領域を経験したときに蛇の幻を見る。そして航空業界を転々として...。並行してF-35Bが盗まれる事件が発生し、透と最後につながる。そして透はどこへ行ってしまったのだろうか。
    コクピット内でのパイロットの...続きを読む
  • 幽玄F
    「三島由紀夫×トップガン」

    佐藤究作品はハズレがなく、今作もまた素晴らしかった。
    文章表現による戦闘機の操縦描写は美しく、荘厳さすら感じ、戦闘機乗りの主観には驚くべきリアリティがあった。

    しかし読後に抱いた感情は、よくわからない。無色透明な・・・なにか。
    ...続きを読む
  • テスカトリポカ
    すごい話。視点がコロコロ変わり、序盤は誰が主人公なのか、展開が全くわからなかった。
    麻薬、医療、刑務所、銃火器、南米、マフィア、アステカ、とにかくいろんな知識がないとこんな小説書けない、すごい。
    無戸籍孤児を育てて心臓売買するという発想がすごい。
    序盤で語られるキャラ設定ももちろん、登場人物の背景が...続きを読む
  • 爆発物処理班の遭遇したスピン
    本物の匂いしかしない。題材は多岐に渡り、着眼が新鮮で、何よりも小説の展開力がもの凄い。僕自身は書いたこともないが、おそらく小説というのは、その後の成り行きから逆算して導入部を発案するものではないかと思うのだが、ここからの展開の振り幅がとても大きく感じ、だからこんなにも面白く感じるのではないかな?それ...続きを読む
  • テスカトリポカ
    すげぇ〜〜〜〜〜〜〜〜が最初に来る本だった。最後のページの3ページにも渡る参考資料を見て、心の底から作者を尊敬した。すごい、偉業だこれはもう。
    話は結構あっちこっちに行ってるので 具体的なあらすじを説明するのが非常に難しい。端的に言えば麻薬の話だし、アステカ文明の話でもあった。
    麻薬と言うと、地に落...続きを読む