【感想・ネタバレ】テスカトリポカのレビュー

あらすじ

心臓を鷲掴みにされ、魂ごと持っていかれる究極のクライムノベル!

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。

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Posted by ブクログ

予備知識ほぼゼロで読んだので、序盤の展開が怒涛で情緒が大変なことに。
犯罪系作品を普段読まないので、最初は精神的に結構大変でしたが、3章、4章と進むうちに話の骨格が把握できて、神話要素がいい具合に混ざりこんできたので、ショッキングなシーンもかなり緩和されました。
クライマックスは期待通りの流れになったので、テンション超上がってしまいました。
中盤、出てくる人が片っ端から麻薬やっているのが何とも。特に矢鈴ちゃんの造形が大好きです。虚勢の張り方とともに併せ持つ、あの弱さにココロから共感する。利用される側の人間ってこうだよねぇ。
話もうまくまとまって、読後感もよく、終わってみれば楽しい内容でした。満足。

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2026年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

所謂ノワール小説というのだろうか、裏社会の残忍な合理性に溢れていて、古代アステカの思想と世界観を交えて、世俗を超越した描写が印象的だった。もちろん、起こっていることは凄惨極まりなく、何度も読みたいと思える作品ではない…が、展開が恐ろしくても、描写が直接的で怖くても読み進められる文体が素晴らしかった。

登場人物の描写も良く、とにかく不運としか言えないルシアとコシモを除けば皆根っからのクズでカス。なのにその生き様には、私のような人間には無い誇りと諦観のようなものがあり、それがユーモラスに描かれていて「かっこいい」とすら思ってしまう哲学に溢れていた。
暴力と知略が入り交じっている裏社会、結局理不尽なまでの暴力が全てを解決して、敵は全て殺せばもういない。当然の事だけど、普通の頭じゃ考えつかない思想だらけで、最早痛快とまで言えるほどだ。恐怖に笑いが起こるという描写が何度かあるが、人間の本能をよく理解して描かれていると感じた…

描かれている犯罪は麻薬ビジネスから始まり臓器売買、しかも人の死が前提の心臓売買に進んでいく。さらに凄惨なことに、その対象者は子ども。救いようが無さすぎる。
なのに、背景はとても合理的だった。頭で認めたくないほど体そのものに価値があり、道徳的に許せるはずが無いが、人間1人1人の価値に覆せない差がある…
頭で理解できてしまうほどの合理性がそこにあり、吐きそうなまでに汚らわしいサイコパスたちの考えに溢れていた。

もう読みたくないが、もう読む必要の無いほど刻み込まれてしまった。忘れることは無いだろう…

ティトラカワン、ヨワリ・エエカトル、テスカトリポカ…

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2026年01月10日

Posted by ブクログ

分厚いのでなかなか手が伸びなかったけど、この年末年始にちょろちょろ読み進めて、最後は一気に読んだ。

喪失感のある読書体験だった。めちゃくちゃだし、暴力的で血腥いのに、切ない風が胸に吹く読後感。

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2026年01月07日

Posted by ブクログ

めっちゃくちゃ面白かった。南米の麻薬戦争好きとして前半でテンションが上がり、そこからまさかの日本を舞台にした臓器売買ビジネスへと移行、暴力描写がかなり淡々としていてその昔読んだ花村萬月を少し思い出した。アステカの生贄文化とか何というか個人的に好き系のネタがてんこ盛りで、読んでて非常に上がった。思わず筆者についてググってインタビュー記事とか拾って読み耽ってしまったが、他の作品も読んでみたい。コシモ幸せになってくれ。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

読み終わってみて、すごく面白かった(?)。読んでよかった。
↓以下ネタバレです








善い行いが全くなく、悪い行いのみで物語が進んでいく。
コシモという主人公になりそうな予感の少年の登場は最初の方で、そのあとしばらくはもう一人の主人公になりそうな「バルミロ」を取り巻く展開になり、再びコシモが登場するまで、長かった。色々あった!そして決して強引さがなく、ようやくここまで辿り着いた!と思えるような手抜きのない丁寧な展開だった。
そこに至るまでには、残酷な描写がたくさん出てきて私自身、善悪の境界線が揺らぐ瞬間がいくつもあった。
自分を裏切った人、敵対する存在の人を殺すのは物語上仕方ないとして、だけどそこまで体を損傷する必要ある?というくらい残虐な殺し方。しかし、バルミロの宗教観、神話の内容とリンクして、残虐な行為もどこか神秘的なヴェールに包まれているかのように感じて、気持ち悪くならずに読めた。
物語も半分過ぎたころ、「悪いのがデフォルト」になって麻痺してきた。このまま悪いことだけで完結しても構わない、と思っていた。だがしかし唯一、光を感じられたのが、コシモのナイフ作りに関する純粋な興味とやる気。そして、パブロの師匠としての愛情である。正しい世界に引き戻されてしまう。かえって、バルミロたちの悪巧みがまた強調されていった。胸が苦しかった。

コシモは、やむを得ず悪意もなく両親を殺害したが、刑務所を出た後、バルミロに見つけられて犯罪の加担をさせられるのだが、終始その行動には決して悪意はなく純粋な雰囲気が漂っていることがとても印象に残る。物語の最後で、コシモは沖縄へ。残されたパブロの遺族に現金とアクセサリーを渡しに行ったのである。この行為は、普通に生きてきた人なら誰しもが持つことができる良心が、パブロとの関係において、培われた証であり、私にとっては救いだった。コシモがあの時、助かっていてよかった。
ただ、
バルミロとコシモの決戦シーンに至るまでのコシモの心情の変化が足りて無い気がした。バルミロが殺されるべきして殺される理由をわかりやすく描いてほしかったとわがままを言いたい。

犯罪行為なのは重々承知している上でバルミロと末永が、日本で心臓売買ビジネスを立ち上げるまでの、結果を出すための努力、危機管理能力には正直脱帽した。

アステカ文明の神話の説明は正直何が何だかわからなかった。ただ幼少期の洗脳とは本当に怖い。
以下、心に刻まれた文章を記録しておく。


「ルシアの心は晴れなかった。これまであまりにも恐ろしい日々を過ごしてきたせいで、心に穴が空いてしまい、何もかもがトンネルを抜けるようにその穴を通過していった。」
「あの町で育つうちに、心臓をえぐり取られたように胸に空いた穴、もうその穴を埋めることはできないし、埋めようとは思わない。だったら私はもっと空っぽに近づきたい。」
「彼女の願いは、生きながらにして風のような無になることだった。」
「その空虚さこそ、彼女の望んだものだった。だが人はみずから望んだものに傷つけられる。」
「家族は戦いを支える力の源なるが、同時に最大の弱点ともなり得る。」
「人にはそれぞれ光と影の部分があり、聖人などいない。」
「別の世界、別の夢、そこに至る通路を知ったことで、矢鈴はつらい毎日を受け止められるようになった。不満を口にせず、理想と現実を比べて、その差に胸を痛めることも無くなった。」
「ものごとのつながりに思いが至らず、背後でひしめく闇の深さがまるで見えていない」
「ナイフは芸術だから美しいんじゃない、ツールだから美しいんだ。」

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

私たちの死生観
メキシコマフィアの死生観
アステカ王国の死生観

異なる死生観が麻薬、臓器という要素で渾然一体となった重厚な物語は圧巻です。
単なるクライムサスペンスではなく、異文化をリアルに感じられる世界観が素晴らしい。
アステカ王国について深掘りするパートは人によっては辛いものがあるかも知れませんが、歴史、宗教、神話などが好きな人はハマるはずです。

ここまで面白いと思った作品は初めてかも知れません。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

ジャカルタで2人の男が出会った。麻薬密売人と闇医師。彼らが始めるビジネスの商品は人間のパーツ全て。娯楽作品において個人的にタブーだと思うものが、このビジネスでは扱われる。戦慄。この2人のルーツも怖いものがあるが、仕事仲間たちも最早人間じゃない。そういう現実離れした奴らがいるからフィクションだと思える。それくらいリアルなアンダーグラウンド。そして残忍な暴力描写。

この本を通じてメキシコについて調べてみたら、麻薬カルテルはかなり深刻な問題だということ。世界で起きていることを知って考える機会をくれた良い小説。

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2025年09月11日

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ネタバレ

想像のはるか斜め上をいく悪が集い、日本で臓器売買の新たなビジネスを始める。社会問題・犯罪・暴力、そして南米の神話。そのどれも馴染みのない世界のはずなのに、現実との境界が揺らぐような緊迫感をもって一気に読まされた。

元メキシコの麻薬カルテル幹部・バルミロは、祖母の影響でアステカの精神文化を深く信仰するようになり、「生贄なくして神々は活動できない」という教えに心酔していく。彼の父親はその思想を気味悪がって否定していたが、父の死をきっかけにバルミロの信仰は決定的なものになる。南米の古代文明に触れたことがなかった私にとって、彼の幼少期を通して描かれる神話や、未知の価値観の形成過程はとても興味深かった。

彼にとっての生贄は、私たちが豊穣を祈るときに米や酒を供えるのと同じような感覚なのだろうか。だとすると善悪の感覚がかけ離れすぎていて恐ろしい。敵対勢力の心臓をくりぬくといったカルテルの暴力行為が単なる脅しではなく、儀式的意味を持っていたと知り、もっと得体の知れない恐怖感が増した。

一方、コカイン中毒の保育士・宇野矢鈴の最後の選択には、小さな希望もある。誰かのためなら、人は変われるのかもしれない。そう思わせてくれた彼女の姿に、日本社会へのささやかな信頼も感じた。

フィクションとは思えない重苦しいリアルさと、最後にわずかに差し込む光。強烈な読後感が残る一冊だった。

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2026年01月05日

購入済み

おもしろい

クライムアクションなのかな。久々に一気読みした。ゾゾっとする描写あるけど、これはしょうがない。この人の作品を読みたくなった。

#ドキドキハラハラ

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2024年08月06日

購入済み

救いはあるのか

圧倒的なディテールの細かさ、登場人物の背景描写の繊細さで殴りつけてくるような作品。
本当にそこに彼らが存在するかのようなリアリティ。
交差する思想と運命。読み応え抜群です。

#ドキドキハラハラ #アガる #怖い

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2026年01月14日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ難しいのに読みやすくて不思議。
大きなビジネスの表裏に描かれる凄絶さ。
読んでると胸が苦しくなってくる。
でも読み終わったあとはなんともいえない爽快感と胸にこびりつく後味の悪さが残る。
どうやって書いたんだろ。すごい作品だった。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

生きたまま心臓を鷲掴みにされた気分になった。
それほど、狂気に満ちた作品でした。
自分とは暮らす世界が違い過ぎて、中々物語に入り込むことが出来なかった一方で、アステカの神々に対する信仰という絶対的なものを持っている人はかっこいいと感じた。
世界に散りばめられた点が、日本という舞台で1つになり壮大で残酷なストーリーが展開されていくのが圧巻。
自分の知らないアステカ神話について知れて楽しかった。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

力(金・クスリ)を求める人間たちの群像劇であり、少年の成長物語でもある、そんな話でした。暴力による人体破壊描写はいろいろ出てきましたが、それ以上に、末永という男の人間性のグロテスクさが際立っていて良かったです。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

マフィアの冷徹な暴力と、アステカ神話の神秘的で不穏な世界観が絶妙に融合してて、そこに日本の裏社会ビジネスの闇が織り交ざる。遠くの話のはずなのに、現代社会の暗部を抉るようなリアリティがビシバシ響いてくる。裏社会の人間模様を描いているため、必然的に生々しいグロ描写も多いが、緻密なストーリーの構成のため、ページをめくる手が止まらなかった。約700ページの大作なのに、中弛み皆無で一気に読破。知的好奇心をめちゃくちゃ刺激される、深い余韻が残る一冊だった!

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

アステカ文明のところが難しかったけど、情報量がすごくて、面白かった
まったく触れたことのない分野だったから新鮮な気持ちで読めた
映像化したものが見たいけど、現実的に厳しそう

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

9/21~25
単行本化の時に購入したが、本題に入るまでが長く何がしたいのかよく分からなかった上、単行本だったので読みづらくて挫折した本。文庫本を購入し、読み切った今では前半部分があってこその本題だった気がする。というよりも、後半に差し掛かってやっと全体が連続していることに気づいた感じ?
かなり面白かった!
文量や情報量が重いけど、アステカ神話とか麻薬カルテルとかバイオレンスなものが好きならすぐ読み切れると思う。

人物の背景描写が多いのが良い
本幹にほぼ関わらないようなぽっと出のモブにすら1~2ページをかけて出自を書くので、物語の枝葉がしっかりしている印象。設定厨(?)におすすめ

登場人物は狂ったやつが多くて、刃牙に出てきそうなパワー系も数人いる。

ラストはあっさりしてるかも

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

グロテスクなのに読む手が止まらない。

登場人物がほぼ全員イカれてる…!(いい意味でも良くない意味でも)
でもなんか嫌いになれない。浅はかな感想だけどそんな感じ。

本当にこんな裏社会?があるんだろうか…。
知らないところではこうやって闇のマーケットが広げられているんだろうか…
そんなことを考えながら自分も悪の売人に仲間入りしたつもりで読みました。

途中の宗教のお話が続くところで何度か立ち止まりましたが、そこを超えるとスルスルと読めてしまう一冊。

あー、面白かった。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直木賞ということで物量に怯みつつも無事、読破。

平たく言えば麻薬売人や臓器売人が逃げついた日本でやりたい放題する話。と言いつつも、そこにアステカの神話を絡めたことにより、不気味で単なる闇社会ではなくもっと深みのある深淵っぽいテーマとなっている。

裏社会は当然のことながら、「裏」であり我々の私生活とは無縁のところにあるのが前提だが作者の執念とも言える文章の熱によって「もしかしたらこういう社会もあるのかもしれない…」と思わされるところがひとつの面白さ。
あとはひたすらに知らない世界について、知らない用語でぶん殴られるような衝撃が悪く無い。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

神話と暴力に巻き込まれてすごく疲れた笑
分厚いけど読みやすく壮大な物語に一気に連れていかれる。面白い。でも体力も持っていかれる。

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2026年01月09日

Posted by ブクログ

読み替えが多くて少し読みづらかったが、内容は面白かった。
グロい描写が多いので、好き嫌いは分かれそう…。

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

親となり"清く正しい"生活を送るようになってからというもの、暴力や性描写の激しい映画や小説を摂取するのを避けているように思う。意識してそうしているわけではないのだけど、大体そうした作品は重すぎて数日間頭の中で引きずってしまう。それにどっぷり浸れる時間と心の余裕があれば良いのだけれど、子供と向き合っているとそうもいかない。というわけで、現時点の私に適した作品ではなかったんだなぁというのが感想です。
ただ、それを置いといたとしても、ページを開けば一瞬でこの世界に引き込まれてしまい、抜け出せない。自分の日常とはかけ離れた倫理観を持つ登場人物たちが、おそらくこの世には実際に存在するんだ、という生身の人物として感じられた。
コシモには幸せな人生をおくってほしいと心から思いました。

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2025年12月26日

Posted by ブクログ

歴史の信仰の設定は面白かったが、自分には若干くどく感じた…
闇社会と信仰と、どちらに主軸をもっていきたかったのかなんともわならなかった

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

ついに読みました

おもしろかったですが、メキシコの麻薬カルテルの王みたいな人が、再起のためとはいえ、わざわざ日本で面倒な臓器密売ビジネスをリスク承知で展開しますかねぇ?というところが、最後まで腑に落ちず。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

祖母が丁寧に話してくれる内容が入ってこず、理解するのが難しかったです。

序盤なかなか話が進展しないので、しばらくほったらかしにしてしまいました。笑

麻薬密売人と闇医者が接触したときは海の向こうの遠い国での話だなと思っていたけど、元保育士が薬を吸ったり真相のわからない仕事をしている様子には身近にも密売組織が存在するのかもしれないとゾッとしました。

何でこんなに異国の話が鮮明に表現できるのだろうと思ったらたくさん調べて書いたんですね…
お疲れ様です☺️

異文化理解を深めたい方は面白いと思います!

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

最初とっつきづらいけど、ぐんぐん引き込まれる。
国語力が足りない自分にとっては、宗教儀式の記述が多すぎて正直わかりづらかった。
それを読み飛ばせば本当にスリリングで引き込まれる犯罪小説。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

メキシコ人が書いた本と言われればサラッと読めたのかもしれないが、
日本人が考えるメキシコ、アステカの世界観に突っかかってしまったというか。
でも参考文献を見るにめちゃくちゃ調べて書いているんだと思う。
カッコよいとされている美学に自分が合わなかったというか。

合う人には合いそうだが、自分にはハマらず、だった。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

直木賞受賞の壮大な犯罪小説。かなり絶賛の声は目にしていていつか読んでやろうと思っていた作品のひとつ。そんなに話題なら、そのうち映像化しそうだし早めに読まなきゃ…なんて思っていたが、読み終わった今は思う、これは映像化無理だろ…人が次々と残酷な殺され方で葬られてゆく描写が続く。レベチのノンストップクライムノベル。

私にはちょっとハードボイルドすぎ、暴力的すぎということで私にしては珍しく星3つ。だけど星3つにするのを躊躇するくらい、この壮大なストーリーを組み上げ、重厚な設定を作り込み、読者を飽きさせずに語りきった作者の力量には舌を巻く。心躍らなかったくせに、なんだかんだ文庫で700ページ近い物語を1週間で読み切った。

舞台は川崎。登場人物は、南米の血を引く人が多い。メインの登場人物3人は、川崎育ちで親殺しの混血児、崩壊したメキシコの巨大麻薬密売人組織のトップ、ドラッグ使用のために日本の医療界から追放されインドネシアに潜伏していた心臓外科医。彼らがそれぞれの地の闇で生きていて、そして後半で川崎に集結し、闇のビッグビジネスを立ち上げようとする。

そこに、アステカの神の信仰の話も絡み、濃度がすごい。前半のメキシコパートだけでも読み応えがありすぎた。そして登場人物のほとんどは悪人だけど、魅力的だ。物語の行く末よりも、彼らがどう考え動いていくのかを追いたくて、それだけでこのダークな物語のページを捲り続けた。

まあしかし。ドラッグをやりたくなる気持ちも、人の命を平然と奪える気持ちも、残忍さに躊躇がないことも、法に背いて大金を稼いだりプライドをかけたりすることも、ひとつも、かけらも、共感できないので、600ページ読みながらずっと、なんでこんなことになんねん、と今一つ物語にはのめりこめず。

結局、信仰だ手術の技術だと崇高な高みを目指しているようで、実は自分の私欲のために大人たちは犯罪を重ねていた、ということを最後のほうで読者も混血児も気づく。そして600ページかけて築かれて行った鉄壁そうな悪の組織は、一気に崩壊。あぁ、むなし…

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

宗教的なことが書いてあるページが結構きつい。かなりボリューミー。アステカ神話、裏社会など、様々な要素が詰まった小説。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

(普通の日本人の価値観だと)人として何かが欠落している登場人物ばかりなのに、なぜか魅力的でどんどん読み進めた

自分の感覚では、いかれてるように感じるけど、アステカの思想で生きている人にとっては、必ずしもおかしいことをやっているわけではないのかもしれないと思えた

後半現実離れしすぎている気はした

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

今まで触れたことない世界の犯罪小説だった。
アステカ文明の話がむちゃくちゃ難しくて入ってこなかったけど、全員イカレてて最高だった笑
コシモはなんとか生き抜いて欲しい…!
Ankもそうだったけど、佐藤究先生の筆力と知識量が毎回ハンパなくて、圧倒されてしまいます。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

悪党のもとに小悪党が集まり極悪非道の大悪党になる。
やることなすこと非現実的でどこかしら現実味も有り
メチャクチャすぎる。
常になにかが起こっているのでおもしろいし
最後は最後で微妙に感動する。
ただ~~~
カタカナと聞き慣れない言葉が多すぎて
すごく読みにくい><
そこがちょっとマイナス点かな

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

以前、古代メキシコ展に行きました。
古代メキシコの宗教や世俗などが展示されていて、生贄の儀式の様子なんかも書いてありました。
すごく惨いなあとその時は思っていたのですが、この小説を読んで、結局は現代社会もあまり変わりないのかもしれないな、と思いました。

「テスカトリポカ」はクライムサスペンスです。
麻薬や臓器売買、一生関わりたくない恐ろしい人たちしか出てきません。
とてもボリュームのある小説でスペイン語も多いのですが、勢いがあって不思議とずんずん読めます。ただ内容はかなり重厚感があってしんどい(というか怖い)ですね…

血の資本主義。弱いものを犠牲にする。
それは程度は違えど、資本主義社会に住んでいる私たちが行っていることです。むしろ神に捧げるという神秘性が無い分、冷酷なのかもしれません。
万人におすすめはしないけど、救いもある作品なので興味がある方は是非。

古代メキシコ展で撮った写真を見返してみたら、テスカトリポカ神の写真撮ってたー!私ってすごい!

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2025年10月27日

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