【感想・ネタバレ】テスカトリポカのレビュー

あらすじ

心臓を鷲掴みにされ、魂ごと持っていかれる究極のクライムノベル!

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

凄惨な裏社会の物語
クレイジージャーニーや地面師たちが好きな人に刺さりそう。
悪には悪の美学があって面白いですが、己を過信してポカする輩はかなりエグい目に遭います……
血なまぐさい展開が連続する中で、コシモとパブロの関係性がとにかく美しかった。
コシモ……生まれた環境が違えば職人として表社会で、もしかしたらバスケでも活躍できたかもしれないのに。彼の幸せを願わずにはいられなかった私としては、あの終わりかたが好きでした。

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2026年10月06日

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ネタバレ

暴力描写は言うほどキツくありませんでした。そんなことより、佐藤究さんの文体が美しいというか、歯ごたえがあるというか、物語もかなり面白いのですが、文体が読ませます。こんなに分厚い本を最後まで面白く読めて楽しかった。あ、ただ、子供の臓器売買の話が出てくるのでそこはちょっと辛かったです。

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2026年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これはすごい小説だね。600ページ以上あるけど、ここまであっという間に読み終えたのは久々かもしれない。

全体的な物語としてはそこまで難しいものではなく、最初の方でその後に起こりうる展開を予想することも比較的できた。たとえば、闇医師と麻薬密売人の結託ははじめから根本的に矛盾を抱えていたこと。それとは、お互いの目的が全く異なること。かたや復讐、かたや外科医への復帰。

また、物語が進む中で抱く大きな疑問も小説を読む楽しさを喚起してくれる。たとえば、そもそもテスカトリポカとは何なのか。あるいは、バルミロはいったい何様なのか、言葉を換えていうと、バルミロは心臓密売のビジネス組織=家族を作り出したわけで、各構成員にアステカの世界観を重ね合わせながら役割を与えたわけだが、バルミロ本人はいったいどういう位置付けになるのか。

状況の描写もすごく丹念になされていて、参考文献を読み込んだからこそ、アステカの世界をここまで文字に表現できたのだと思う。その素晴らしさは、小川哲『地図と拳』と同様の素晴らしさがあった。

最後に、ちょっとした感想。
最後の矢鈴は情けないね。警察署には行けないし、コカインの作用からかコシモが考えついた策をまるで自分が考えついたかのように錯覚して「私はコカインをやめられる」なんて思ってしまうのだから。あれだと、順太は助かっても、矢鈴はどうしようもないだろうね。まぁ、そんな調子だから、心臓密売に関わってることに作品の最後まで気づきもしなかったんだろうけどね。

最後の短い2つの物語は、矢鈴の後味の悪さを少しでも軽減してくれる効果を持ってたし、アステカの世界観を最後まで残してくれてた気がする。

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2026年10月02日

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ネタバレ

メキシコの麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、ジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会う。二人は、新たな臓器ビジネスを実現させるために日本へ。壮大な臓器ビジネス、麻薬密売…世界中で工作する運命に翻弄される人々の背後には、アステカの神の陰がちらつく。第165回直木賞受賞作。

異国情緒半端ない。
湿気てむしむしした空気、かと思えば砂丘の焼け付くような太陽、スラムはちょっと陰っていて麻薬中毒者が座り込んでいたり…文章の端々にメキシコの風が揺蕩っていて、気分はアナザースカイ…にしてはちょっと治安悪すぎか。ラテンアメリカな雰囲気が新鮮で、たくさん本を読んできたのにまだ触れたことのない世界があるなあと感心しきり。

「バタフライエフェクト」という言葉を強烈に思い出した。
蝶の羽ばたきが遠くの竜巻を起こすかというあの有名なやつ。メキシコで起きた麻薬カルテルの抗争が、ジャカルタでバルミロと末永を出会わせ、バルミロとコシモを出会わせた。彼らを引き合わせるきっかけとなる教えは、カサソラ兄妹の祖母・リベルタから齎され…みたいに長い長いドミノがパタパタと倒れていく。その最初の一押しを思い返すと日本から一万キロも離れたメキシコにある。スケールのでっかさに大の字で倒れちゃいそう。でっかい。

小児臓器売買計画の破綻があっけなかった。
よくできたシステムだったのに、内部の裏切りで一気に駄目になっちゃうとは…。バルミロの物語から段々コシモの物語になっていったことで、物語の神性、善性が高まって、バルミロがはじき出されたような感覚。リベルタからの教えでテスカトリポカに憧憬の念を抱いたバルミロと、テスカトリポカに融合していくように見えたコシモ。観念的で上手く表現することが難しいが、バルミロの失墜は何か大きな意志の元に…と考えると何となく納得してしまうところであった。

感想書くのが難しい作品。
そのものが出てこないのに、終始テスカトリポカに見つめられているような居心地の悪さを感じた。物語の最後に、リベルタがカサソラ四兄妹に講義するシーンが綴られるが、私は余韻を破壊されたような気がしたので、文中に入れて欲しかったと思った。

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2026年09月16日

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ネタバレ

「細部に神が宿る」とはまさにこのこと。本筋だけを辿ればごくシンプルな話だが、あらゆる場所あらゆる時代のあらゆる人々の思想や哲学や歴史が異常性を感じるほど丁寧に積み上がってゆく。神話が秘めた暴力性とアンダーグラウンドの奥底の世界が響き合い、生み出されるとてつもないリアリティを帯びた虚構。それらが混じり合い、現代日本で激流となる姿が美しかった。

この物語には、巨大ビジネスを動かす天賦の才に恵まれた人間が数々登場する。彼らは隅々まで理性的に動き、落ち度や抜け道をゼロにして事を運ぶ。その行程は計算し尽くされた美しさすら湛えている。

だが、彼らの常識の外側から小さな異質分子たちがそこに溶け込む。彼らも感知し得なかった異質分子はやがて非常に人間味のある綻びをもたらし、途方もない時間をかけて計算尽くで築き上げられた物事は、突如として予想だにしない崩壊を迎える。この崩壊もまた美しい。

最終的に、人間らしさを失わなかった者が残した言葉や生きた証は、未来へと確かに刻み付けられ手渡される。物語の激流のはじまりに立っていた者たちの感情を排した苦闘の日々は、どこにも繋がらずに無関心の世界へ打ち捨てられる。この対比が、血と暴力と死が積み重なってきた物語に一筋の光をもたらしているように感じた。

しかし、すべてのはじまりとなった神話が再び突如として語られる。あれだけの血と暴力と死を積み重ねても、人智の及ばない力を起点とした混沌を前に一度は退避しても、人々が紡ぎ出した神話は再び後世の人々を飲み込み、再び世界を覆い尽くし、再び現実世界に影を落とし続ける。その繰り返しの中でみずから希望を手にする尊さを知った時、この物語は虚構を超えて現実世界に届く。まさに神話のように。

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2026年09月29日

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ネタバレ

色んな人の話が次々に出てきて引き込まれる。
ナルコ 麻薬売買人の話から、アステカ帝国の話から、心臓販売や臓器販売、闇の社会の部分など恐ろしい話が次々出てきて止まらなかった。

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2026年10月12日

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ネタバレ

この本の中で唯一人間してたのがパブロだった。
終始頭のおかしい悪者しか出てこないけど、パブロだけは巻き込まれた、ただただ優しい男。
パブロの弟子、コシモが初めて作ったナイフを試すために二人でステーキ屋に行くシーンで泣いてしまった。

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2026年09月08日

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ネタバレ

第165回直木賞と第34回山本周五郎賞のダブル受賞作。やっとの事で読み終わった。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する…。

序盤の祖母編?あたりはなかなか読書スピードが上がらず、「本当にこれは面白くなるのだろうか?」と疑念を持ちながら読んでいた。なにせ当方、メキシコに全く縁もゆかりも馴染みもない。アステカの神々の名は読み難く、文庫本のフリガナは目がぼやける(年齢からくるもの)。
それでも読み進め、インドネシアで末永が登場し、大掛かりな裏のビジネスが立ち上がる頃から面白さを感じるようになった。

物語自体は一言では表現できないほどの濃厚なクライムサスペンス、とでも言えばいいのか。
基本は犯罪。麻薬取引と臓器売買をベースに、闇取引のオンパレード。そこにアステカの怪しげ(?)な空気が混ざり、小説は謎の魅力を増していく。
そしてコシモ。この無垢であり最強(最凶?)の存在が小説の空気を浄化するようにも思える。

描写はグロい。血飛沫は当たり前。人はあっさりと命を失い、斬首された人の頭はそのへんにゴロゴロと転がる。生きたまま心臓を抉られる。
そのへんの耐性が無い人にはオススメできない。

この小説を読み進めると、コカインって川崎あたりじゃ簡単に入手できてみんなやってそうな気がしてくるがフィクションだ。気を付けよう。

ラスト近く、テスカトリポカの真実(?)に気付いてからのコシモは暴走しすぎな感もあるが、物語の決着を付けるにはこういう流れにせざるを得ないだろう。
正直読むのに疲れた。が、面白かった。

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2026年09月06日

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ネタバレ

麻薬の密売、無戸籍児童の心臓を闇医者に摘出させての密売、自動車工場での銃の発砲練習、ナイフ作成‥全てが裏の社会での出来事で、頭が追いつかないほど恐ろしかった。殺されるに決まってるのに裏切るのはなぜ?人間はやっぱり真っ当に戻りたくなるのか?

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2026年08月25日

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ネタバレ

暴力の描写が生々しくて気持ち悪かった(褒めてる)。

日本が舞台になったあたりから、川崎の光景が思い出されて、こんなことって本当にあるのかもって妙に身近に感じてしまった。

末永結構好きだったのにアッサリ死んじゃって寂しかった。
最後コシモが沖縄にいる時運転してた男って誰でしょうか。

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2026年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

始めは登場人物が多くそれぞれのバックグラウンドやメキシコ、アステカ文化などのエピソードが、視点を変えつつ語られていくのでなかなか話に乗っていけずにいました。
でも、それぞれの登場人物が、関わり始めてからはまあ面白い!!
この為に丁寧に一人ひとり書いてくれてたんですねって感じでした。
その中でも望んでいないのに才能があったためにどんどん巻き込まれていくパブロ。
本当に不憫でした。
自分の信じる正しさに背く行為を受け入れてしまった弱い部分、汚い部分を、コシモに知られたくなかったのでしょうが、そうこうしていくうちにそれ以上の恐ろしい行いをさせられるようになったコシモに対して、カヌーの上で聞かせた聖書の一節。
宗教ってこう言うふうにどうしようもなくなった時に支えになるものなんでしょうね。
まあ宗教観は人それぞれですが、生贄にはされたくないな。
アステカの人々は神への捧げ物として喜んで生贄になったのかな。生きたまま心臓を抜かれて首を切り落とされるって相当怖いです。
私は末永の裏切りやコシモが順太と話して感じたバロミアへの不信感やパブロの言葉がなかったら、コシモはバロミアにテスカトリポカとして大事にされた後、見えもさわれもしない存在に返さなければ、ということで殺されたんじゃないかと勝手に想像していました。
コシモには明るい未来は来ないとは思いますが、順太も含めどうかたくさんの幸せを感じる瞬間があって欲しいと願います。

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2026年09月13日

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