佐藤究のレビュー一覧

  • 幽玄F

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    段々と文学的に奥深くなっていく佐藤究の渾身作。

    主人公・易永透は2000年生まれの青年。
    幼少期から空に強く惹かれ、航空機への執着は夢というより呪いに近いものだった。
    やがて航空宇宙自衛隊に入隊し、最新鋭戦闘機F-35Bを
    操る天才パイロットとして名を馳せるが、
    不慮の出来事で自衛隊を離れることになる。
    その後、透は空を求めてタイやバングラデシュへと流浪し続ける。
    そんな空に取り憑かれた男の一生を描く物語。

    まさに読んでいて狂気という言葉以外思い浮かばなかった。
    派手なドッグファイトなどの戦闘描写はなく、
    飛べなくなった時間の重みや、空への欲望の哲学的探求に重きを置いている。

    三島由紀夫

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    2025年08月18日
  • サージウスの死神

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    ネタバレ

    佐藤究のデビュー作。
    あまり有名ではない?し評価も高くなかったので正直あまり期待していなかった。
    が、他の作品同様かなり読み応えのある作品で佐藤究作品の狂気が溢れている。

    主人公が賭博にのめり込み、どんどんと狂気にまみれていくわけだが、読んでいるこちらまで頭がおかしくなるような読むドラッグのような作品。
    特に後半、薬師寺やスキンヘッドの男との会話のシーンは殴られてるかのようなヘビーさとテンポ感で中弛みすることなく世界観にのめり込んだ。
    特にこの作品から何かを学んだりすることは少ないかもしれない。
    ただ、エンタメという観点で言えば最高にエキサイティングでスリリングなエンタメ作品だ。

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    2023年07月06日
  • サージウスの死神

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    佐藤究氏が「佐藤憲胤」名義で著したデビュー作。いわゆるギャンブル脳の描写であるとか狂気の描写が面白い。しかし、本作品にあるのは推敲のうえ作られた「狂った世界」であり「テスカトリポカ」のような緊張感や迫力にも欠ける。とはいえデビュー作ならではの熱量や良い意味で肩に力の入った筆圧が伝わってくる。

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    2023年02月20日
  • サージウスの死神

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    佐藤究氏の純文学作品。ただ、今後のエンタメ作品の感性も感じさせる描写が見られ、引き込まれるタイプの純文学に感じました。

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    2021年10月17日
  • サージウスの死神

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    著者は、純文学とエンターテイメントを併せ持ったものをつくっていると、どこかのインタビューを読んだことがある。たしかにこの作品の半分過ぎまではどんどんストーリーに引き込まれ、先が気になる展開であった。しかし、後半一気にたたみかけるように、深い世界へひきずり込んでいくところが、何かを主張するような、別の作品ではないかと思わせるような内容であった。著者の初期の作品ということで力強さを感じたが、もう少し後半をシャープにまとめてれると良かったと思う。

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    2021年08月06日
  • Ank : a mirroring ape

    購入済み

    初めてこの作者の本を読みました

    初めてこの作者の本を読みましたが面白かったです!
    人間と猿の決定的な違いが言語であると同時にその差が言語でしかないということ。
    それを証明するように人間の記憶に刻まれた本能。
    それが物語を加速させ引き込まれてしまいました

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    2021年04月25日
  • QJKJQ

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    佐藤究ネームでの再デビュー作にして、乱歩賞受賞作。

    主人公の妹、父、母、兄の全員が猟奇殺人鬼という市野家。ある日、兄が殺害され、翌朝には母が失踪。ここから怒涛の展開を見せ、全く予想のつかない結末を迎えます。

    この一冊で、著者の大ファンになってしまいました。

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    2025年11月30日
  • トライロバレット

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    ネタバレ

    三葉虫好きの男子高校生と退役軍人を主人公で進んでいくスリラー

    正直三葉虫好きの要素は必要をあまり感じなかった。
    いじめられてる高校生が父の死により狂気に呑み込まれるのと退役軍人のPTSDを対峙させていたアイディアはいいが乱射事件をもっとダイナミックに描いて欲しかった。
    後半は迫力あって読むスピードが上がった!
    文章力は高いと感じたので同作者の別作品を読んでみようか

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    2025年11月27日
  • トライロバレット

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    文学的だなぁと読み進めてラストで捲られる。退役軍人さんのトラウマとスクールカーストにおける鬱屈が物語を灰色に染めていた。

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    2025年11月19日
  • トライロバレット

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    なぜ、作者はここで三葉虫を選んだのだろうか。
    カバーの白い部分は三葉虫の形状。
    カフカ『変身』の先“あの虫”の形状を思い描いたとき、作者のイメージに近いものが三葉虫だったのではないか?そんな想像をしてしまう。
    カフカ『変身』は、お好きなようで作中でも
    語られています。

    舞台は、アメリカのハイスクール。依然としてカースト制度が根強く残っているという。私はその種の物語をあまり読まないため詳しくはないが、本作ではカースト下位に置かれた生徒が、日々、上位の生徒からの嫌がらせに耐える姿が描かれる。
    そしてある日、彼は自ら“三葉虫的な形状”を具現化し、いわばカフカ的な「変身」を遂げる。

    だが興味深いの

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    2025年11月16日
  • 公式トリビュートブック 『チ。 -地球の運動について-』 第Q集

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    チ。の世界観、込められた思いなどを魚豊さんの対談や数々の執筆陣を通してさらに知ることが出来た。そんな風に言語化するのか…と驚き物語への解像度がさらに上がった。これを読んだ後に原作を読むとまた違った味わいがあると思う。

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    2025年11月12日
  • テスカトリポカ

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    祖母が丁寧に話してくれる内容が入ってこず、理解するのが難しかったです。

    序盤なかなか話が進展しないので、しばらくほったらかしにしてしまいました。笑

    麻薬密売人と闇医者が接触したときは海の向こうの遠い国での話だなと思っていたけど、元保育士が薬を吸ったり真相のわからない仕事をしている様子には身近にも密売組織が存在するのかもしれないとゾッとしました。

    何でこんなに異国の話が鮮明に表現できるのだろうと思ったらたくさん調べて書いたんですね…
    お疲れ様です☺️

    異文化理解を深めたい方は面白いと思います!

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    2025年11月10日
  • QJKJQ

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    著者の哲学全開という感じでそこは好きでした。
    後半はほとんどネタ明かしに終止しておりなかなか読み進まなかったが、読後感はスッキリしていて良い。

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    2025年11月02日
  • テスカトリポカ

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    最初とっつきづらいけど、ぐんぐん引き込まれる。
    国語力が足りない自分にとっては、宗教儀式の記述が多すぎて正直わかりづらかった。
    それを読み飛ばせば本当にスリリングで引き込まれる犯罪小説。

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    2025年10月30日
  • テスカトリポカ

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    メキシコ人が書いた本と言われればサラッと読めたのかもしれないが、
    日本人が考えるメキシコ、アステカの世界観に突っかかってしまったというか。
    でも参考文献を見るにめちゃくちゃ調べて書いているんだと思う。
    カッコよいとされている美学に自分が合わなかったというか。

    合う人には合いそうだが、自分にはハマらず、だった。

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    2025年10月26日
  • テスカトリポカ

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    直木賞受賞の壮大な犯罪小説。かなり絶賛の声は目にしていていつか読んでやろうと思っていた作品のひとつ。そんなに話題なら、そのうち映像化しそうだし早めに読まなきゃ…なんて思っていたが、読み終わった今は思う、これは映像化無理だろ…人が次々と残酷な殺され方で葬られてゆく描写が続く。レベチのノンストップクライムノベル。

    私にはちょっとハードボイルドすぎ、暴力的すぎということで私にしては珍しく星3つ。だけど星3つにするのを躊躇するくらい、この壮大なストーリーを組み上げ、重厚な設定を作り込み、読者を飽きさせずに語りきった作者の力量には舌を巻く。心躍らなかったくせに、なんだかんだ文庫で700ページ近い物語を

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    2025年10月26日
  • テスカトリポカ

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    宗教的なことが書いてあるページが結構きつい。かなりボリューミー。アステカ神話、裏社会など、様々な要素が詰まった小説。

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    2025年10月22日
  • QJKJQ

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    純文学で勝負した『サージウスの死神』にはなかったエンタメ性・ミステリ要素が付与されて、それでもミエミエな展開なのはハナから織り込み済みか、最後はやはり純文学に終わる。どうもこの作者の作品には薬物中毒者のような世界観が広がっていて、読んでいると誇張抜きで頭痛や眩暈に襲われているような感覚になる。いや、たまたま体調不良だっただけか?ともかく、楽しい読書ではない…が…今まで読んできた優等生の権化のような江戸川乱歩賞作品とは一線を画す。ミステリの賞を与えるべきかどうかはともかく、この作者が新人離れした(当然か)とんでもない作家であることは間違いなさそう。

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    2025年10月15日
  • テスカトリポカ

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    (普通の日本人の価値観だと)人として何かが欠落している登場人物ばかりなのに、なぜか魅力的でどんどん読み進めた

    自分の感覚では、いかれてるように感じるけど、アステカの思想で生きている人にとっては、必ずしもおかしいことをやっているわけではないのかもしれないと思えた

    後半現実離れしすぎている気はした

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    2025年10月07日
  • テスカトリポカ

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    今まで触れたことない世界の犯罪小説だった。
    アステカ文明の話がむちゃくちゃ難しくて入ってこなかったけど、全員イカレてて最高だった笑
    コシモはなんとか生き抜いて欲しい…!
    Ankもそうだったけど、佐藤究先生の筆力と知識量が毎回ハンパなくて、圧倒されてしまいます。

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    2025年10月04日