感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年04月12日
最近激ハマりしている佐藤究さんの江戸川乱歩賞受賞作品。
「テスカトリポカ」「Ank」を読んで知性と狂気の入り交じった世界観に引き込まれている。
今作品もやはり知性と狂気の飛び抜けた物語で、新しい未知の知識が自分に入り込んで来るかのような感覚を覚える。
それは深層心理のだいぶ奥深い所を刺激させられる...続きを読む物で、異物感、狂気を含んだある意味では触れない方がいいもののような激情とも感じられる。
一言で表すと「不気味」
それを圧倒的な文章力で描ききっている。
天才だと感じている。
人間という生物を怖いくらいに知っている方だと感じる。生物学(人間学)的にも理学的にも精神学的にもあらゆる方面から人間を炙り出してくる。
知ってたのに知らなかった事に、見ていたのに見なかった事に、この作品を読んで恐ろしくなった。
知らなければよかったかも、知った上で考えなくてもよかったのかも。
知れば知る程、考えれば考える程、ドツボにハマる。そしてまた読み進めるの繰り返し。一つ一つ感情が沸き起こるが考えては静まっていく。
作者の言葉を借りるならばそれこそが自分にとって絶後の畏怖(ダムナティオ•メモリアエ)。
考えては静まり落ち着きまた次に進む。
読後総合的に考えてみれば気味が悪い後味、不気味さが多面的に黒々と光を吸収する黒曜石のような作品だった。
読者の自分からすれば作者こそ恐怖。天才という畏敬。知性と狂気を同時に持ち合わせ同時に展開している。
そこに惹かれる自分。自分も知性と狂気を望んでいるのに違いない。
そんな気持ちのまま、書店にて作者の「幽玄F」に手を伸ばしている、なんだか恐ろしい。
Posted by ブクログ 2023年10月03日
登場人物も設定も怖すぎなんだけどめちゃくちゃおもしろい まさかの結末だった
昔読んだやつにヒトラーが赤ん坊にもどってもういちど大人になったら同じようになるのか?という漫画があったんだけど、結局その人の気質や遺伝子が悪いんじゃなくて環境と運だと思う
Posted by ブクログ 2023年09月05日
物語に漂っている薄暗くて胸にずしっと重りを乗せられたような黒い雰囲気が好きです。この本が抱く謎が明らかになった瞬間、黒色の濃さはピークに達して、私はどん底に落とされた気分でした。気持ちいいくらいに深く落とされたので、この作者に病みつきになりそうです。個人的には中村文則さんと同じ空気を感じました。(ど...続きを読むん底への落とし方は全く違うけれど)
Posted by ブクログ 2022年07月05日
いやこえーよ! 精神がぶっ壊れててずっと幻覚を見てました、みたいのって本能的恐怖を感じる
少女も含め家族による殺人は一切起きてなかったらしいけど、鉛筆を突っ込まれた少女だけは存在してたらしくて草生える
佐藤究作品は、映画一本見たかのような満足度ですね
全編通して陰鬱な雰囲気で、デヴィッド・フィンチ...続きを読むャー作品でも見てるのかと思いました
東伏見の舞台は個人的に微妙な気がして、スティーブン・キング的アメリカの郊外を舞台にして見たかったかな、と思ったり。いや東伏見に行ったことはないのだが
脳科学っていつ見てもSF的ギミックとして面白いよなあ、と
それっぽさの次元が一段階上がる感じ
脳科学とかさっぱり分からんしそもそも脳とか研究してるのが生理的に怖いし、等の一般的に抱かれている忌避感が効果的に効いているのかな
新聞に殺人現場予告が出るのとか意味不明なのだが、背筋が寒くなるのが良かったですね。こういうのが一番怖い
Posted by ブクログ 2023年08月08日
シンプルにかっこいいタイトルと、マックスエルンストの『カルメル修道院に入ろうとした少女の夢』から抜粋された装丁に惹かれ「なんじゃこの中二病心を擽られる本はぁ!!」と勢い勇んで手に取りました。
結果、「封印された左腕が疼く!!」とまでは行かずとも、ダークなサスペンス好きの私は夢中になって読んだ次第。
...続きを読む
冒頭はグロ描写が凄く、始まったぞぉ!と覚悟を決めたのですが途中からどうも様子が変わってきます。
もしかするとこれは、私が思っていた殺人鬼一家の話とは全く違うのでは…?
もうそこからはノンストップです。
皆さんは殺人鬼一家の話、とだけ聞くとどんな物語を想像しますか?
恐らく、そのどれとも違う話になって行くと思います。
『QJKJQ』の意味が分かった時、「かっこよすぎるだろ!!」と天を仰ぎました。(お家芸)
まさにThe江戸川乱歩賞。
刺激的な世界に足を踏み入れたい方は冒頭とクライマックスのグロには目を瞑り、是非読まれてみてはいかがでしょうか。(こんな事ばかり言っている気がしますが、小説のグロ描写は本当に想像力を掻き立てられるので、無理な方にはとことん無理なんだろうなぁ)
佐藤さんの『テスカトリポカ』がよりダークみを増しているらしいので読む予定です。楽しみだなぁ。
Posted by ブクログ 2023年07月28日
『テスカトリポカ』で直木賞を受賞した佐藤究さんのデビュー作。佐藤さんは一度群像新人文学賞でデビューし、それから江戸川乱歩賞に応募して本作『QJKJQ』で受賞したとのことで、正確には再デビュー作とのこと。たまたま本屋で手に取って面白そうだったので読んだが、経歴だけでなく話も凄かった。
話は家族全員が...続きを読む殺人鬼の猟奇一家に生まれた主人公亜季亜(アリア)がある日、兄が自室で殺されているのを発見する。翌日母が失踪。兄も母も殺しのプロなので、並の人には彼らを手にかけることはできない。やがて亜季亜は残った父を疑うことに…。ここから話が急展開して国家や社会、あるいは人類規模の壮大な話になっていく。
殺人とはなんなのか、ということを突き詰めた話はいい意味で異様だった。殺人の考察、哲学、遺伝子、脳科学、社会学、著者の豊富で雑多な知識がフィクションにリアリティを与えていた。突拍子もない物語なのだが、もしこういった話が本当にあって、自分が亜季亜だったとしたら?と考えたら背筋が寒くなった。佐藤さんの他の著作も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ 2023年06月07日
佐藤究ワールドが炸裂している作品。
毎度のことだが、冒頭から読者を置いて行くような始まりだが、独特の世界観に引き込まれていき、最後に繋がってくる。
映画ゴーストランドの惨劇を思い出すような、現実に引き戻された時の絶望感がたまらない。
ダークでカオスなんだけど、不思議と暗い気持ちにならずに読めるのが佐...続きを読む藤究作品の好きなところ。
Posted by ブクログ 2023年05月05日
直木賞を獲った『テスカトリポカ』が大変面白かったので、著者の別作品に触れてみたいと思い手に取った1冊。江戸川乱歩賞作品ということもあり期待値は非常に高い。高かったのだが、それを超えるには至らなかったというのが率直な感想だ。
一家全員が猟奇殺人犯で、自身もその1人の亜里亜。しかし、何者かによって兄が...続きを読む惨殺され、母は失踪。冷静な素振りを見せる父に、彼女は疑いの目を向ける。果たして犯人は誰なのか。
トリックはあまりにも単純でこんなものかとガックリしたが、残りページに余裕があり、読み進めて行くと本作がミステリー作品の枠組みに収まらない巨大な構想を持ったものだと理解できてきた。
「人はなぜ人を殺すのか」「人殺しの特徴は」。犯罪学、心理学、人類学全ての領域で尽きることのない疑問。本作はその問いに答えを出そうとしている。
単一作品でみると面白い作品だった。しかし、『テスカトリポカ』と比較すると落ちてしまう。『テスカトリポカ』が異質な作品だったのか、それともその方向に舵をきったのか。著者の今後を"観察"していきたい。
Posted by ブクログ 2023年02月12日
出来の悪いスプラッター小説のような冒頭から一転、その隠された真実が徐々に明らかになるサスペンス要素にグッと引き込まれる。設定がややトンデモ感があり伏線が伏線らしくなく後半は破綻している気もしないではないが、扱うテーマに対して陰惨になり過ぎず現実と非現実の行き交う世界を巧みにかき分けているのは佐藤究氏...続きを読むの特徴といえよう。多少グロい場面もあるがアクション要素もありエンターテイメント作品として非常に良質。
Posted by ブクログ 2022年12月05日
p.24
シモニデスの記憶法▶︎イメージの結び付けで記憶する方法(道順とか)
p.38
"家族。みんないったい何を考えているのか。右目と左目ほどに近くて、同じものごとをとらえているようでいて、だけど絶対にひとつに溶け合わない。それが家族だ。"
p.42
絶後の畏怖=ダムナティ...続きを読むオ・メモリアエ
▶︎古代ローマの究極の刑罰がダムナティオ・メモリアエ、記憶の破壊、その人物の生きた記録や痕跡やありとあらゆるものがなかったことにされる。▶︎地獄の季節(詩人ランボオ)
p.44
"「誰かに告げ口するって言いだしたら、どうするつもりだったの」----
「そのときは、亜李亜を殺したさ」"
何このセリフときめく
p.54
慣性の法則---ただ慣れる。 慣れの法則
p.61
"前の一秒が安全なら、つぎの一秒もそうだと思いこむーーー"
p.90
アエニグマ▶︎ラテン語で謎という意味
1家族の妄想話かと思いきや意外と政府とか絡んできて壮大な話だった。
旅に連れていく予定が面白くて読み終わっちゃった。
Posted by ブクログ 2022年11月17日
主人公は猟奇殺人の一家に生まれた女子高生。家族はそれぞれの手法で、趣味的に「殺人」をしている。
そんなある日、兄が自室で何者か殺され、さらに母が謎の失踪を遂げる。殺す側の人間が殺される側に変わり、殺人女子高生の平穏な日常は一変する。
趣味が殺人の女子高生の話かと思って読んでいたのだけど、中盤から...続きを読む話の方向性が一転する。そこに戸惑ったけれど、前半部の伏線が回収されるので、新しい展開でもついていけた。
解説にもあったけど、これは「人はなぜ人を殺すのか?」がテーマの小説。グロテスクな表現が多いので、読む人を選びそう。
Posted by ブクログ 2022年08月14日
江戸川乱歩賞受賞作。
探偵小説を奨励するために制定されたという江戸川乱歩賞を受賞したことには賛否あったりするのかなあとは思いますが、個人的にはとても楽しめました。
崩れ落ちてゆく現実の中、手探りで進んでゆく亜李亜は「信頼できない語り手」で、犯人を見つけ出すという探偵的な目的から打って変わり、中盤以降...続きを読むは自己の内面を掘り下げるような、不確かなアイデンティティを確立していく、あるいは逆に破壊していくような哲学的なテーマへと話は移っていきます。
ミステリであり、哲学書でも成長譚でもあり、ある種生まれ変わりの話でもある。一言で言い表せないジャンルと魅力があり、一気に読んでしまいました。
また、文章にも独特のリズムがあって好きです。
Posted by ブクログ 2022年03月20日
一気に読んでしまった!!
著者の表紙がみんな好きで、黒と金ってかっこいいと思ったので買いましたー
正直、少女の妄想だったっていう夢オチ感はちょっとあってしゅん、、、ってなったけど、それなりの理由はあって、衝撃から身を守る術だったと思うと仕方がない、素直に騙されました
人殺しの娘として17歳まで生きて...続きを読むきて、いままでもこれからもつきまとう、いわば「運命」に対してどう対処するのかっていう運命論的なものを考えずにはいられなかったです
運命に対して前向きに立ち向かうのではなくて、冒頭で現れたような狂気の部分も彼女の一部なんだなと腑に落ちるような選択をしたラストは納得でした
はやく著者の別作品にも手を出したいです!くせになるかも!
Posted by ブクログ 2024年02月12日
こういうぶっ飛んだ作品が読みたくなる時、ありますよね。
トンデモ設定、トンデモ展開ではありますが決して読みづらくないのが不思議。
ところどころポップなんですよね。
Posted by ブクログ 2023年12月01日
11月-20。3.0点
主人公の女子高生、猟奇殺人者の一家。ある日、兄が惨殺され母が行方不明に。父親に疑いの目を向けるが。。
うーん、150ページから250ページあたり、抽象的な感じで時間かかった。その後は一気に進んだ。
自分には、説明文が難解な感じだった。
Posted by ブクログ 2023年10月29日
なんかもう、何がなんだか分からん。さすがにキラー一家という設定が現実的でなさすぎる。小難しいことを言って死ぬとか殺すとか闇の機関とか組織が好きな中学2年生には受けそうな気がする。
Posted by ブクログ 2023年07月28日
スプラッタサイコホラーミステリーな書き出しの序盤。
胸糞だなーと思いながら読み終わると想像と全く違う地点に着陸してびっくりする。
これは哲学書である、と思う、、、
Posted by ブクログ 2023年02月20日
スプラッタ作品かと思いきや。
連続殺人鬼の思考について研究した結果、特異な点が見られなかった。
あらゆる二面性を持っていることが、特殊ではなくごく一般的な特徴であるという結論に至り、狂った登場人物のなかでメインの殺人鬼がもっとも普通の人だった、というのがすごく怖かった。
Posted by ブクログ 2023年01月16日
テンポの良い猟奇的な序盤、面白そうと思ってると急展開、その後も緩急付けつつ急展開が何度か、着地しそうと思ったら着地せずで頭の整理に困った。途中、変に冗長に感じる箇所もあり、表現も含めて好みからは外れるかな。
Posted by ブクログ 2022年12月05日
何かちょっとよくわかんなかったな。家族全員殺人者だなんて、何なんだ?ファンタジー?と思ってたら、国家機関が殺人の研究をしているとか、本当のような嘘のような。いや、小説なんだからフィクションなんだけど。すごくスプラッターな感じもあったけど、やっぱ最後の謎明かし?のところは面白かった。鳩ポンがその立場?...続きを読むの人だったとは。でも結局自分が犯人ですと名乗り出るという流れもよく分かんない。まぁいきなり違う名前で放り出されても生きていきようがないというのは分かるけど。うーん、これが江戸川乱歩賞を取ったのかー。
Posted by ブクログ 2022年10月17日
殺人鬼の家庭の女の子の話で
ある日突然、兄が惨殺され、母が消息不明になり
父を疑った長女がそこから、家出をし
家族の謎を解き明かしていく流れ。
作者特有の良い意味の人間味の気持ち悪い部分や、人はなぜ人を殺すのかという哲学的な部分が絡み合って非常に面白かった。
Posted by ブクログ 2022年10月15日
思わせぶりだけど、そんな凄惨な話ではない。意外性はあるものの、伏線回収出来ているかというと少々疑問。かといって、読み返すほどではない。アカデミーの発想とか面白かったのだが。
Posted by ブクログ 2022年09月14日
家族全員シリアルキラー、という前提で読んだのですが、そういった猟奇殺人小説ではありませんでした。
殺人一家に生まれ、自分自身も連続殺人者だと思っていた少女。
ある日、自宅で兄が殺された上にその死体が消えてしまい、母親も失踪してしまう。
兄を殺した犯人を探そうとするが自分を取り巻く世界に違和感を覚え...続きを読む、これまで見ていた世界のほとんどが幻覚だったことに気付く。
彼女が知る真実とは。
前半とラストの描写がかなりグロテスクなので、苦手な方は読まない方がいいと思います。
全体的には面白いのですが、彼女が幻覚を見ながら過ごしていた時間は実際どうであったのか(特に彼女が殺人を犯す時)、
家族に対してはどのような感情を抱いていたのか、何故、最終的にあの選択をしたのか、そういった描写がないので理屈的には終着しても、読後にモヤモヤが残りました。
今年の江戸川乱歩賞は面白いといいな。
2017年5冊目。