あらすじ
女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。
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佐藤究作品の中でも特にミステリ要素が強い話。いわゆる信頼できない語り手の作品で主人公は記憶障害と認知障害を抱えていると思われる。ありがちな叙述トリックかと思いきや後半怒涛の勢いで展開する『殺人学』に圧倒される。どれだけ突飛な世界観や物語でも説得力のある文章の強さが好き。
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ああああああ
油断してました。
ただの殺人一家のミステリーだと思って読んだら、膨大な殺人描写と知識、入り交じる現実と幻想、圧倒的描写力、それでいて伏線とネタばらし(?)までもが完璧に行われるという最強の小説だった。
特に擬音を使った不穏感の演出がすごい。
いい読書体験だった。
凄い・・・。
とにかく夢中で読んでしまいました。読み始めたら、続きが読みたくて止まらず、あっという間でした。
グロはあります。が、グロが好きな人にというよりグロが大丈夫な人にぜひ勧めたい!いや、誰にでもは勧められないかな?
でも、グロいけどグロいだけじゃないのです。
別作品「テスカトリポカ」を読んだ時も思ったのですが、とにかく表現が凄く上手です!物語に入り込んで、登場人物達と一緒にクラクラ出来ます!
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猟奇殺人を犯す家族のお話。
だがしかし、実はそんな簡単に纏められるお話ではなく、記憶と幻想と現実とが幾重にも折り重なって、実に緻密に形成された父娘のお話でした。
自分が今まで家族だと思って共に生活してきた人達が実は虚像だったら?
目の前にあった殺人の現場が跡形もなく異次元のように何もなかったら?
読み進めれば進むほどに、今まで読んできた物語の世界が闇になり、お話の先を示す文脈に霧がかかって想像すら出来なくさせるような不安感を煽ります。
色んなものを覆されて大いに驚愕させられましたが、ラストの娘に諭す父の愛情が唯一本物であったことが悲哀を感じました。
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どう展開していくのか気になって止まらなかった。あらすじから思ってもみなかった方向へ。グロいのが苦手な人には勧められないがミステリ好きには勧めたい。八重洲ブックセンターにて購入。
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400ページほどだが、面白くて一日で読み終わった。
一家全員が猟奇殺人犯の家族の謎に迫る展開は良質なミステリーで謎が徐々に解き明かされていき、最終的に予想できなかった方向へと進んでいく。
ただのミステリーに終わらず「なぜ人を殺すのか」という心理面を深掘りしており、その点も興味深い。
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虚構と現実の狭間に投げ出されてしまう主人公の不安感を追体験しつつ、クライマックスに向けて洪水のように流れ込んでくる情報の量と血の量に溺れそうになりながら結末まで読み進む。プロローグを再読し、本を閉じた後も、クラクラとする眩暈に似た余韻がしばらく残り続けた。
理解しきれないほど深淵なことが語られているようでもあり、実はとんでもなく軽薄な内容だったのではないか?とも疑えてしまうような、ちょっとレアな読後感だった。
解説の中で「ドグラ・マグラ」が言及されていて、確かに類似性が見出せるかもと思ったり。
江戸川乱歩賞の受賞も納得。人間の内に潜む暴力性や異常性を分析し、それを分析すること自体の暴力性と異常性まで描き出してしまった怪作。一発で著者のファンになってしまった。
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家族全員が殺し屋設定という時点で中二病溢れるラノベ的な感じかと思ったら全くそんなことはなく、パン切り包丁を境にどんどん不思議な世界に迷い込んで救いがなくなっていくのが非常によかった
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殺人鬼一家のお話、かと思ったら。
描写が細かく場面や状態を想像しながら読み進めることができ比較的読みやすいが、それ故にグロさが際立つ。哲学や語学の知識があるともっと楽しめそう。
中盤でアカデミー云々の話が始まり、種明かし早くない?と思いつつも伏線回収はわかりやすかったかも。
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トライロバレットを読み、そこから気になり手に取った
小説を模した哲学書のようだった
ミステリーでは殺人が起こり、トリックを暴く
本書はなぜ殺人が起こるのか、殺人とは何かという点を脳科学的ところまで掘り下げていく
今まで見た本と視点が違い新鮮だった
人間はやはり虚構を生きる
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殺人一家の末娘が、父親を疑いながら兄の惨殺と母の失踪に関わる犯人を探すストーリー。設定や話の展開が突飛ではあるが、登場人物や雰囲気も魅力的で読み進めやすかった。特に終盤はどのような最後になるか想像がつかず、一気に読みきりたくなった。作者の他の作品にも興味が湧く一作だった。
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前半すごく引き込まれて謎解きに必死だったが、後半以降の種明かしでは想像以上の壮大さに一瞬困惑してしまった。一度ではなく何度も読んで腑に落ちるのかなと感じた。
理解しきれなかった仕掛け(?)について作者と語りたい!
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あり得ない殺人ファミリーぶりに、はじめは面食らったが、そのリアルさが逆に脳内では「これアダムズファミリーね」みたいな無理な転換作業が働き、札幌の猟奇殺人じゃないし、エンタメ、エンタメと自分を納得させる読み始めだった。
しかし途中からアダムズファミリーではない、リアルなサスペンスが色濃くなってきて、ぐいぐい引っ張られ、現実逃避から生じる幻影が、現実とない混ぜになりながら、答え合わせが進んでいく。
何が現実で、何が脳内で形成されたものなのか?
我々が現実と思っている世の中は、多かれ少なかれ、この作品の通りなのかもしれない。
先日見たTVで「人間の脳は、錯覚を常に生み出し補完している。現実と思っている世界は錯覚で構成されている」というな事を言っていた研究者の言葉が思い出される。
受け入れがたい現実や、こうであって欲しいと思うこと、もっというと何でもない事象が、無意識のうちに自分自身のフィルターをかけて認識され、記憶される。
考えてみれば、例えば虹を見ても人それぞれ違う思いを抱き、違う感情が湧く・・・その積み重ねが、その人の世界を作り上げているということなんですよね。
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3と4の間ぐらいかな?
かなりとっ散らかった意味不明な状況からスタートするもその伏線がちゃんと回収されるのは凄い。
その中で作品にはテーマがあり、考えさせられるところもある。
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初サトー。あらすじからかなり期待してたんだけど…その想像の遥か上をいく作品でした。
いや、マジすごいわ…!?
読んだ方ならわかってくれると思うが、あらすじ以上のことは本当になにも言えない……読んでその衝撃を味わって欲しい。
そこには見たこともない世界が広がっていたから——。星四つ半。
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佐藤究ネームでの再デビュー作にして、乱歩賞受賞作。
主人公の妹、父、母、兄の全員が猟奇殺人鬼という市野家。ある日、兄が殺害され、翌朝には母が失踪。ここから怒涛の展開を見せ、全く予想のつかない結末を迎えます。
この一冊で、著者の大ファンになってしまいました。
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著者の哲学全開という感じでそこは好きでした。
後半はほとんどネタ明かしに終止しておりなかなか読み進まなかったが、読後感はスッキリしていて良い。
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純文学で勝負した『サージウスの死神』にはなかったエンタメ性・ミステリ要素が付与されて、それでもミエミエな展開なのはハナから織り込み済みか、最後はやはり純文学に終わる。どうもこの作者の作品には薬物中毒者のような世界観が広がっていて、読んでいると誇張抜きで頭痛や眩暈に襲われているような感覚になる。いや、たまたま体調不良だっただけか?ともかく、楽しい読書ではない…が…今まで読んできた優等生の権化のような江戸川乱歩賞作品とは一線を画す。ミステリの賞を与えるべきかどうかはともかく、この作者が新人離れした(当然か)とんでもない作家であることは間違いなさそう。
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最初はアダムスファミリーのノリかなって思って読んでたけど、全然違くて、最後の方はどうなるんだろうっていうハラハラ感があった。
解説に書いてあった、佐藤究は哲学者だ、っていうのにすごく納得した。人間について佐藤究が考えたことを小説として消化してるように思う。
とりあえず刊行されてる長編は全部読めたのかな?次回作も楽しみ。
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2016年第62回江戸川乱歩賞
最近、佐藤究さんの「幽玄F」を読んで、感動したんだけどレビューはまだまとめられそうになく
他の作品も読んでみようかなっと
まずは再デビュー作
冒頭導入が激しい
殺人鬼一家の女子高生の語り
早々に街に男狩り
マウスピースで噛み殺すタイプの兄は惨殺死体となって見つかるのだけど 何処かへー
ここまでなら時折お見かけする猟奇殺人系ミステリーと思いきや、ここからあっという間に捻じ曲げられた記憶と妄想の中に引きずり込まれる
小説の中にIQが高いという表現が出てくるが
著者もかなりでは?と思う
妄想の入り組み方に加えて殺人心理、偏狭な国家保安論等知識が深くてなかなか全てをすっきり理解できるかというと
有栖川先生が平成の「ドグラ・マグラ」と評されたのもちょっとわかる
江戸川乱歩賞に相応しい怪奇さでした
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序盤がとても良い。最後の展開はチープな感じではあったが、序盤とキャラクターで一気に読める感じ。漫画ならもう少し没入できたかも。キャラクターが上手い
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あらすじを読んでも、んなことあり得るか?
と思いつつ読み進めると、なるほどな世界に引き込まれる。
辻褄合わないようで、合ってる。
唯一無二の世界観に浸れるのは、佐藤究の凄さだと思う。
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両親と兄という殺人者一家に生まれた女子高生
疑問なく殺人を行うところから始まる
父との会話の中で殺人についての考察が繰り広げられる。主観とともに物語が進んでいき飽きさせない。表現に繊細さと知性が感じられ心地よかった。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩賞受賞作だし、佐藤究だし、80円で売ってるし、とりあえず読む。
思っていたよりは楽しめたが、ネタバラシまでが意味深だしちょっとばかり大袈裟な気がする。実は、〇〇でした的な展開はあまり好きではない。というものの、それなりに退屈せず読めたことは間違いない。
設定が突飛な割にちゃんとミステリーになっているのは、作者の力だと思う。
退屈はしないが、オススメするほどでもない。
星は3つ。3.4とかかな。
Posted by ブクログ
冒頭のやや中二病っぽい女子高校生の独白から、どんどん真実に迫っていく様が圧巻。
父の謎かけパートも面白い。ラテン語の教養があればもう少し面白かったのか…?
自分はミステリジャンルの中でも結構自分の位置が揺らいでいく系のものが好きかも。主人公が錯乱している状態で、彼女の主観で物事に対峙できるのが楽しい。
彼女の父が話した、国家とは団体として暴力を発揮する軍事力と、民間の暴力を制御する警察力によって成る暴力装置である、みたいな視点が面白かった。確かに民間の暴力は法規制されている代わりに徴兵はされるのだし、暴力衝動を制御しつつ戦争においてはそれを発揮せよ、というのはダブルバインドに思える。
これはエピローグがとても良い。エピローグがとても良い。
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話しがすごく難しく感じられ、頭の中の整理が追いつきませんでした。再読すれば、もっと深い世界観が入ってくるかもしれませんが。ん〜、難しいのは登場人物が現存しているのか、していないのかが非常に曖昧だからなのだろうか。
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佐藤究『QJKJQ』。江戸川乱歩賞受賞作。
直木賞『テスカトリポカ』、『Ank』の佐藤究。
市野亜李亜、女子高生でありながら、殺人鬼。しかも彼女だけでなく、父も母も兄も、家族全員が殺人鬼。
ある日、兄・浄武が殺害される、が、兄の死体は消えてしまう…そして、母・杞夕花も行方不明に…父・桐清の関与を疑う亜李亜だったが…
ただの殺人鬼一家の話かと思いきや…とんでもなく、奥が深かった…
段々と真実に近づいていくが…
現実と幻想。
甦る過去の記憶…
そうだったのか…
結局、アカデミーって、何だったんだろうか…
鳩ポンがねー…鳩ポンはあのままがよかったかな⁇やっぱり。
何かすっきりしないものが残る…