あらすじ
女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。
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Posted by ブクログ
佐藤究作品の中でも特にミステリ要素が強い話。いわゆる信頼できない語り手の作品で主人公は記憶障害と認知障害を抱えていると思われる。ありがちな叙述トリックかと思いきや後半怒涛の勢いで展開する『殺人学』に圧倒される。どれだけ突飛な世界観や物語でも説得力のある文章の強さが好き。
Posted by ブクログ
「人は誰かの肉を裂き、血を飲まずにはいられない。そこから逃げられない。けっして。その現実ゆえに、集まってパンを引き裂くのさ。そして分け合って食べるのさ。〜
俺は、パン裂きのようには、生きてこなかった。〜
いいか、よく聞きなさい。血と肉に飢える時があったら、今のように、パンを引き裂け。たとえ分かち合う相手がいなくとも、おまえがパンを引き裂けば、そこに誰かが現れるだろう」
テスカトリポカ以来の佐藤究作品
家族全員殺人鬼というぶっとんだ設定から
主人公の認識と現実との差分から少しずつ歪みが生まれて中盤にかけて種明かしかがされていく。
戸籍謄本を閲覧できないところから話が大きくなっていくところからすごく引き込まれた
主人公は父の話を疑っていたけれど、話を聞いていくと確かに殺人鬼をモニタリングレベルまで研究するチームがあってもおかしくないなと思わされた。
後半から主人公の幻がどんどんはげていくシーンや、
脳内に浮かんだイメージが現実にフィードバックされていく快感が楽しかった。
Posted by ブクログ
猟奇殺人犯一家の長女、市野 亜李亜。
母は撲殺。兄は喉元に噛みつき失血死させる。そして父は、相手の自由を奪い、抜血により命を奪う。亜李亜自身もスタッグナイフで殺人を犯す。
人目に触れないように暮らしてきた一家だが、ある日、兄が惨殺され、母が行方不明となる。そして、兄の死体も消えてしまう。
猟奇殺人犯一家の惨たらしい殺人と現場。それを亜李亜が女子高生の目線で語りだす。
女子高生らしく、「煩わしい家族だ」と言わんばかりに。いや、家族に対して、どこか誇らしく愛情を持って。
不思議な関係性とグロテスクさに、グイグイ引き込まれた。
そして、兄の死と母の失踪。謎を追う亜李亜と不可解な記憶。
真実が分かってくるにつれて、私の脳も二度三度と上書きを余儀なくされる。
「これは、誰?」「何の話?」
人が人を殺すこと。
脳や人格から、社会や法や国家まで、伸縮を繰り返すように考えさせられる。鮮明になるようでモヤがかかっていくよう。
そして答えの一つとして
「殺人は、楽しい」 ヒエェッ---
Posted by ブクログ
家族全員が殺し屋設定という時点で中二病溢れるラノベ的な感じかと思ったら全くそんなことはなく、パン切り包丁を境にどんどん不思議な世界に迷い込んで救いがなくなっていくのが非常によかった