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「だって人は誰でも、失敗をする生きものですものね。だから役者さんには身代わりが必要なの。私みたいな」
金属加工工場の片隅、工具箱の上でペンチやスパナたちが演じるバレエ「ラ・シルフィード」。
交通事故の保険金で帝国劇場の「レ・ミゼラブル」全公演に通い始めた私が出会った、劇場に暮らす「失敗係」の彼女。
お金持ちの老人が自分のためだけに屋敷の奥に建てた小さな劇場で、装飾用の役者として生活することになった私。
演じること、観ること、観られること。ステージの彼方と此方で生まれる特別な関係性を描き出す、極上の短編集。
Posted by ブクログ 2024年02月05日
8編の物語が詰まった作品です。
もう、とにかく、美しい。
舞台を見終わった後のような感覚です。
景色、人物、心、思い…
そして、舞台という非日常が生み出すどこか面妖な世界…
とにかく全てが儚く綺麗な物語でした。
中でも私が心掴まれたお話しは…
『ユニコーンを握らせる』...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月09日
舞台×小川洋子×ヒグチユウコ。よりによって私の大好きな芸術3種の恐るべき盛り合わせに、私のために作ってくださったのですか?!と問いたくなる短編小説。どの短編にも舞台が必ず登場するのだが、趣がそれぞれ異なるだけでなく、小川洋子さんが書くとこうなるのか!という驚きに満ちた珠玉の8編…(まだ余韻が)。虚構...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月13日
それぞれに小川洋子さんらしい味わい深い8篇だった。一作一作、余韻を楽しみながら読み進めていくのが正しい読み方のような気がしたが、一気に読んでしまった。暑い夏の連休の最終日、8つの世界に飛んで行け、幸せな休日を過ごせた。
小川洋子さんの頭の中はどうなっているのだろう。よくこんな小説がいくつも書けるもの...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月13日
私は、入学試験のためにローラ伯母さんの家に四泊した。伯母さんと言っても親族の中で誰とも血がつながっていなかった。祖父の先妻の連れ子という関係だった。親戚の中では、伯母さんは、「昔、女優だった人」と呼ばれていた。ローラは伯母さんの当たり役だったらしいお芝居の役名である。伯母さんの住んでる町に着いた。そ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月15日
舞台にまつわる短編集。いつもながらの静けさの中に漂う不思議な空気感が「あぁ、小川洋子さんを読んでいる…」と感じさせられる。
ラ・シルフィードに魅せられる少女を世話する縫い係、昔女優だった叔母、失敗係と交通事故の女性、不思議なコンパニオン、馬車の本屋に罪悪感を持ち続ける男性、ヤモリ。どの主人公も過去...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月27日
舞台をテーマにした短編集。
短編自体が繋がってるのかな?と思ったところもあったけど、やはり繋がってはおらず独立してる話のようだった。
表紙の装画に心惹かれて手に取る人も多いのではないでしょうか?装画はヒグチユウコさんです。
猫の絵のイメージ強いヒグチユウコさんですが、この少女の横顔も美しいですね〜!...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月29日
繊細で儚い言葉で綴られる物語は美しくもあり怖くもあり。。
誰も哀しいくらい孤独に見えるけれど、各々が特別なこだわりを抱えて生きていて。それは他人から見たら奇妙で滑稽だけれど、不思議に幸せそうにも思える。
数ヶ月前にガラスの動物園を観劇したこともあって、「ユニコーン」が特にリアルで瑞々しく感じた。ロー...続きを読む
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