【感想・ネタバレ】薬指の標本(30件)のレビュー

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忘れたくとも失いたくはない過去に区切りをつけ、完結させるため、たくさんの人がその“標本室”を訪れる。持ち込まれる品は様々。例えば、楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、ヤケドの痕。そして、標本技術士の助手になった「わたし」は、欠けてしまった薬指の先端を。
登場するのは、皆、かつて何かを永遠に諦めてしまった人ばかり。寂しさは新たな寂しさを導いて、人々は己の物足りなさを埋めようと、他者にすがる。静謐な文章の底に息づく狂気がとても美しい。
本作は2005年にフランスで映画化されている。主役は「007 慰めの報酬」でボンドガールに抜擢されたオルガ・キュリレンコ。フランス映画らしい静けさとエロチシズムにくらくらとめまいを覚える。原作にほぼ忠実に描かれており、こちらもおすすめである。

レビュー

Posted by ブクログ 2019年02月02日

小川洋子さんの唯一無二の世界が心地よくて癖になりそうな2編の幻想中編小説集。今回も現実にはあり得ない2つの職業が描かれていますが、何となく実は本当にあるのではと思わせる雰囲気を感じるのですね。『薬指の標本』標本室は人々の願いを叶える善意の施設ではあるのですが、ヒロインは生きながらにして弟子丸氏の標本...続きを読む

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Posted by ブクログ 2018年05月03日

ヒンヤリと静かに妖しい空気を漂わせ不思議な世界が繊細な文章にて綴られてゆく。標本をつくるという謎が多い仕事。僅かに怖さを感じながらも好奇心で引き寄せられてゆく。しかしそこには体温や物の温度を感じない。主人公の女性、名前が明かされていない。"君"、"わたし"とい...続きを読む

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Posted by ブクログ 2018年02月07日

何度でも読み返したい。
最初の男女の微妙な設定と距離感が心地よく、
雨がしとしと降る薄曇りの昼間のような、
落ち着いた、少しウェットな空気を感じる。
後半の展開は、初読では面食らったが(初の小川洋子作品だった)、
繰り返し読むとまた色あいが変わる。
ハロプロのつんく♂氏の曲はよく「スルメ曲」といわれ...続きを読む

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Posted by ブクログ 2017年11月04日

一番好きなお話です。何度読んでも、「薬指の標本」の世界がとても好きです。不穏で甘くて、息苦しくて綺麗。「六角形の小部屋」もそうなのですが、求めていたらいつか辿り着けるのではないだろうかと、電車の車窓から外を眺めながら思います。うっすらと狂気と痛みを感じながら、この世界の余韻にいつまでも浸っていたいで...続きを読む

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Posted by ブクログ 2017年01月11日

薬指の標本:男に憎しみを抱かせ、女の受容欲求に絶望させる筆力に脱帽。
六角家の小部屋:自分と向き合う厳しさ。胸に秘める困難さ。

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Posted by ブクログ 2016年09月02日

いや、わたし小川洋子すきなんだなって思いました。独特の世界観に惹きこまれる感じ。薄暗いような、朝焼けの眩しさのような。ニジュウマル。なんと伝えたらいいかわからないけど、一般的なしあわせのイメージとは少し違うしあわせのカタチを読んだ感じ。

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Posted by ブクログ 2016年06月04日

再読,短編集2編
足を侵食してくるようなぴったりとした靴に包まれる幸せとは何だろう?自分と他者との境界のあやふやさが,恐ろしくもあり夢見るような心地よさを伴っている不思議な感覚がある.最後,地下室の先に何があったのか,今も分からない.

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年07月23日

意識が薬指(の本体)→薬指の断片になるのは自然なようでいて、自然ではない。主体が自分の体→断片に倒錯してしまっているからだ。そこに潜む静かな恐怖にこの作家らしさがあると思う。モチーフは違えど、カタリコベヤも語り子部屋→語り小部屋への倒錯、すなわち人主体→空間主体の自分がなくなってしまう/取り込まれて...続きを読む

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Posted by ブクログ 2018年12月28日

どくどくしているけれども、きれいな文章。「薬指の標本」も素敵だったけれど、「六角形の小部屋」がより印象的だった。

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Posted by ブクログ 2018年08月08日

大人のファンタジーといった感想。

どうなるんだろう、と、淡々と物語が進むのとは対照的に先が気になるお話。二つの作品が収録されていたけれど、どちらもそう感じた。作者の作品が皆そうなのかもしれないが、とても良い組み合わせだと思った。

最終的に、ああなって終わりそう、という予想はつきながらも、実際にそ...続きを読む

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Posted by ブクログ 2018年02月12日

標本室で働いている主人公と、経営者であり標本技術士でもある弟子丸氏との話。

前に働いていたサイダー工場で薬指の先の肉片を失った。
自分の欠けた身体の一部を意識しながら、人々が持ち込む思い出の品や記憶を次々と弟子丸氏に標本にしてもらう。

弟子丸氏とは風呂場でデートを繰り返すようになり貰った靴が足を...続きを読む

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Posted by ブクログ 2018年01月06日

200811月13日~13日。
 短編二編。
 共に面白い。
 映画の方はどうなんだろう。
 フランス映画ってあまり馴染みがないからなぁ。

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Posted by ブクログ 2017年10月07日

文章が美しい人なら、とおすすめされた小川洋子さん。
タイトルに惹かれてこの本を手に取った。
雨の日のブロック塀のように、じわじわと滲んでいく感じが心地よく、とても好みだった。

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Posted by ブクログ 2017年10月04日

この作品から作者の著書を読む様になった本。短編でありながら妙な感じの独特な雰囲気に飲まれ強烈な印象をいつまでも自分の中に残した作品でした。ホラーよりの冷たいファンタジーな感じ。

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Posted by ブクログ 2017年09月24日

『薬指の標本』も『六角形の部屋』も、読後に謎を残す後味のよい作品だった。答えを与えない宙ぶらりんの作品はざらついた不快に似た物を残すけど同時にインパクトも強い。『六角形の部屋』は特に、滑ってパエリヤをひっくり返した元恋人の姿を見て心境が変化した主人公を描写していたが、まさにこういう「言葉にできない」...続きを読む

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Posted by ブクログ 2016年08月21日

静かな音が聞こえてくるようだった。内容が、というより雰囲気が印象的で、癖になる。冬にまた読みたくなりそう。

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Posted by ブクログ 2016年07月18日

ふと思い立って再読、いいっすね、なかなか。
死とフェティシズムと性が微妙に交錯してまさにこの作家だけの世界が堪能できます。
地下の標本室には何が(誰が)時を止めた形で保存されているのか、向こうの世界に入りそうで入らない微妙な止まり方もよろしいかと思われ。

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Posted by ブクログ 2014年09月23日

まさに耽美。
日本語と云うのは、こんなにも妖艶で、官能的に使えるんだね。
なんだろう、いつもこの人の本を読むと、夕焼けに照らされた商店街や田舎道を思い出す。
なんか現実味がないのかな。

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Posted by ブクログ 2018年10月08日

世にも奇妙な物語。ビビリの私からすると、夜に読むとちょっと怖くなります。今までに読んだことのないタイプの、恋愛のお話。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年02月16日

世界観が独特でした。
小川洋子さん、博士の愛した数式のイメージで読んだら思ったのと少し違いました。

弟子丸氏が靴をくれたあたりから若干の気持ち悪さを感じてしまい、主人公に感情移入できなくなってしまいました。火傷した女の子もどこへ行ったのか怖すぎる。

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