
キューピーさんさんのレビュー一覧

レビュアー
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意外と読みやすく面白い
2025年初めの芥川賞受賞作で、2作のどちらにしようかと迷って初めは登場人物の名前も難しそうでどうかと思ったが、読み始めるとすらすら読めた。1年に1000冊も読む読書家の作ということだし、いろいろな方面のことがよくわかって書かれているし、日常のことを描写するところも面白い。この本だけでなくURLに飛んでゲーテの言葉についての証言を読者自ら調べてみるというのも面白かった。色彩論は前から興味を持っていたし、多様と統合とは気になるテーマだった。最近は読書離れも感じられて自分もいままで大した読書もしなかったが、今後いろいろと関連するものからものへ、興味から興味へと読んでいきたいと思った。この若い新人に
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購入済み
今まで読もうとして後回しにしていて、ようやく読んだ。とても面白かった。様々な引用も調べてもいいが、わからなくても面白く読めた。『カンディード』や『旅のラゴス』とか冒険譚を読んできて、直前にはぶっ飛んだ『みどりいせき』も読んでいて、この本も先にどんなわくわくがあるのだろうとどんどん読める、ハチャメチャな詩学的美学的衒学的宇宙的ドタバタで真面目で狂気的な楽しい本だった。まだ先が読みたいほどだ。ハードボイルドで幼稚で高尚でやらしくていたずらで面白かった。他の方のコメントに「哀しみ」という文句を見て同感です。たとえば、観覧車の自己廃棄の哀しさ。たとえば、女の。たとえば、女の子の。それから、言葉にできな
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孤独と不思議な他者
自然に滑らかに読めてしまうけれど、いろんな細かいところまで神経が
行き届いている描写が好きです。どちらの語り手も孤独な女性で、内面
や身体的な感覚の一部まで読んでいるとこちらが同化一体化してしまって
いるよう。傷ついた自分がもしかするともっと危ない世界に引き込まれる
ような感覚、逆に自分の中にある悪い部分に気づきつつ、それ以上の進展
はないけれど癒されるような感覚、そういったものを味わいました。
静かに自分と向き合う、死やエロスとも静かに向き合う。 -
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真似できないカッコよさ
表紙の女の子がかわいくて読みたくなった。
今よく見るとグランパがその後ろにいる。
気がついてないわけではなかったろうが眼中になかった。
読後はグランパの方が心の大半を占めている。
真似できそうにないカッコ良さだ。
孫娘もなかなかしゃんとしていて、
その目を通して語られるグランパはさらに魅力的だ。
とんでもない展開とも思えなくもないが、先を読みたくさせる。
『旅のラゴス』は読んでいた。冒険ものはおもしろい。
それを日本の今ですると、ヤクザまがいになりそうだが、
グランパは普通の人がなれないくらい真っ当な人だ。 -
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誰が牢獄にいるのか?
現代の気遣いの文化は良いのだけど、ぶつかり合うことで得られるものが得られなくなるようにも思えてくる。かと思うと、一方で、それぞれの人間が自分のことしか考えない状態が、さらに増しているように思える。マキナはmachineに似た響きを持っている。デウスエクスマキナ。神が流れを思いのままに変える?いや、彼女にはそんな力は無さそうだ。彼女は牢獄にいる。タクトも母との関係が普通ではなく、彼らも同情塔にいる。二つの建築物は性的な一対とも思える。それなのに、人間同士の性的な関係も希薄だ。人間が機械に近づいて、和やかな関係を作れなくなっているようだ。
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手に汗握る心理戦
魔族は人間の言葉を使うけれども、
意味がわかっていない場合もある。
人間は捕食の対象であって
人間の倫理が通じるとは限らない。
それを相手に交渉したり、
探り合うのは、スリリングな
心理戦だ。 -
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まさに今を捉え絶妙な展開の傑作
いま考えられている最新の科学、宗教、国際政治の
知見を土台に、まさに今読みたい「物語」になっている。
展開がスリリングで、反権力側も権力側も、またさらに
細かく多数の者たちの思惑が干渉しあって先が読めない。
ラプラスの悪魔でもなければすべては見通せない。
リラックマ、子育て侍、ネット環境のまさに今の平和、
チェ・ゲバラ、ドストエフスキーなどが併存する。性的
描写も秀逸。世界や人類史といった大きなものを描ける
と同時に今を生きる個人の内面もよく描けている。
4人の男女は、闇ばかりでなくそれぞれに光を有して
いる。権力側も反権力側も、善のみ悪のみで純粋に存在
はせず、決着も、さらなる不幸を食 -
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空の飛行機と雲
祖父は自分より弱い存在として若者の
誇りを語り手に与えてもくれる。その
祖父が泣き言の他に時折見せる
大人らしさはどの程度本物なのだろうか。
帰宅時の素早い動きの主は謎だが、
まさか祖父だったのだろうか?
この謎は極めて興味深いと思う。
語り手の彼女は性欲の対象として以外
書かれていない。この後もうまく
つきあっていくのか知りたい。
まだ左程しっかりしているとは思えない
語り手は就職の地に旅立つが、
空のセスナや、雲の形は、
祖父の特攻のことや、彼女を想起させた。
読んでいくうちにだんだん
他人事とは思えなくなった。
語り手は、先人に教えられた、
力を持って耐えるしかないと、と言う。
これって -
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ひ弱な悪党、という自分を映す鏡
赤泥棒がどんな悪人かと思ったら
生殖行為への畏敬を持った人だと感じた。
おそれるくせに、悪に
敢然と立ち向かうところなど持たぬ。
哀れ。そして身につまされる。
このストーリーには
人に言えない孤独な悪が複数、
並置される。
神と肩を並べるほどに
図々しいくせに、
何てひ弱なんだ。
でも、他人ごとではない。
ここには孤独の中で
どのように自分を完成させるかの
失敗例があり、
自分を映す鏡の側面もあり
また、どことなく惹かれる
何かがある。
待てよ。
このようにしかいられない、
そういうことがやはりあるのか?
完成し損ねたのでなく
これ以外ではいられない?
人のことはわからない
でいいのか?
人 -
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不思議、と、多文化
犬婿入り、不思議に感じながら読んだ。
子供の視点があるから、
汚いのかエッチなのか
はぐらかされてしまう。
綺麗な先生でこんなことをされてるんだと
美女と野獣みたいにも思える。
そこに可哀そうな女の子がからんで、
それから超人的なことが
修行で身につくとか
触れてあったと思う。
はじめの、町の描写、周りの様子から入って
剝がれかけたようなポスター、
うわさとかから先生にだんだん
フォーカスされたのがおもしろい。
最後も、あれっと思ううちに
狐にでも化かされたように
不思議のうちに終わった。
ペルソナ、は読み忘れてた。
そういえばとばしたんだ。
読んでみたら読みやすい。
最初のあたりからして、ど -
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危うい魅力があります
自分の仕事や私生活に
自信の持てないところに
感情移入してしまった。
かわいく見えて
終わっているんでしょうね。
とっても危うい、
そういう状態、
期待があって、でも
本物のチャンスのはずないし
真っ当に生きられないだろう、
それでも
夢のようで
ふらふらと
その魅力にひかれる。
そんな危うい魅力がいっぱいで
いい作品です。 -
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ドキッとする緊迫感がいいです
確かに切れ者のようで
でも不気味なとこもあって
この人と付き合うのは
危険なのか至福なのか
それが不確かなところがいい。
女の人に幸せになってほしい気持ちと
はらはらしてみたい気持ちが
ないまぜになって
緊張しながら先を読んでしまった。
ということはなかなか良い作品と思います。 -
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一人一人の荷物
「彼女の話Ⅱ」、「彼の話Ⅰ」までを
一気に読んだ。
こういうことかと思った。
私たち人間は一人一人が自分にしか
上手く扱えない荷物を持っている。
自分の弱さが相手を傷つける。
だが、そうそう荷物に見合った力が
与えられる、あるいは力があることに
気づけるものでもない。
この話には、一番意地悪なめぐり合わせがある。
でも、一面では最上の相手に会ったともいえる。
結末は明日読もう。