ユーザーレビュー ハンチバック 市川沙央 間を置くことなく読み終えた。 著者について知らずに読んだが、知った後でこの本との向き合い方は変えずにいたい。 逆に作中では、健常者の特権性に対する怨恨が純度高く描かれるが、そこに萎縮してしまうと、この作品の価値を下げてしまう気がする。 物語中盤、釈華は田中に素性を知られていることを告げられる。そ...続きを読むの後も攻撃的な態度をとる彼に、釈華は言葉では抵抗しているつもりでも、次々を弱さを見せる場面がある。そして、田中自身も最後まで済ますことなく、また悪人になりきることもできず、離れていく。 そのリアリティが、自分とは遠く離れた世界のようで、自分の生きている世界なのかもしれないと認識させる。 高火力で、沸点ギリギリまで沸かして、それでも溢れない絶妙な火加減で描ききっている。おもしろかった! Posted by ブクログ ハンチバック 市川沙央 ガツンと殴られて、目を開かされた。ウクライナの戦争やパレスチナの虐殺は心配していた。円安や少子化の行方は気にしていた。しかし、障碍者の性のことは気にしていなかった。まして、障碍者の「読書する権利」なんて考えたこともなかった。「愛のテープは違法」事件も安積遊歩のカイロ演説も聞いたことがなかった。そうか...続きを読む、こんな世界があったのか。世の中、まだまだ知らないことばかりだ。 Posted by ブクログ ハンチバック 市川沙央 鬱々としながらも淡々としていて少し怖い話だった もしかしたらこのような事が実際にもあるのかもしれないと感じた Posted by ブクログ ハンチバック 市川沙央 読み終えて改めて実感させられた、表現することの自由、思想の自由を噛みしめながら、本書を書き上げた彼女自身の心の内へと思いを馳せてみる。 どんな評価やレビューがあっても、人の数だけ価値観の存在する、この世界、それは仕方ないことだと思うし、私も気にしないが、ここに書かれている内容を知った後で、「あ...続きを読むあ、そうなんですか」とは思わなかったし、執筆している時点で、ある程度、彼女にとって嬉しくないことも言われることは、きっと覚悟していたのだと思う。それくらいの生々しさと溢れんばかりの欲望が、ここまで来ると、人間以上に人間らしさを帯びた爆発寸前の動物の持つ、本能的な生きたい思いが燻り続ける悲しさにまで達してしまったような、生きていることと、生きていることへの喜びを感じることとの違いは、こうまで残酷なのかということを、悉く痛感させられる。 それは物語の主人公「釈華」の夢にしても、他の人から見れば突飛なことに感じられるかもしれないが、私には、生きるために壊れ続けていく彼女の体内に於いて、生命が誕生し形成されていくことを実感したかったのだと思い、それが彼女にとって、生きていることで感じる喜びであるのならば、道徳的にどうというよりも、私はそれを支持したいし、たとえイメージや皮肉なのだとしても、この表紙の絵には言葉も無かったが、だからこそ、目に留まり考えさせるきっかけにはなるのだろうと思うと、その自虐的にならざるを得ない悲愴感にも言葉が出ない。 奥付の著者紹介を見ると、市川沙央さんは、筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側彎症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者と書かれており、その難病や、本と障がい者との繋がりの希薄さ等々、知らなかったことが多く、本書を読んで学ばせていただいたことも多かった。 その中で少し書いておこうと思ったのが、数ヵ月だけ働いていたグループホームの介護の仕事についてであり、私が働いていた所は9人どころではなくて、その上限であろう3×9=27人はいて、年齢も高齢者だけではなく若い方まで様々だったと記憶しており、私が辞めたのは、まだ新人だった為、常に誰かが一緒に付いていると約束したのに、介護する側の人数が足りていないことから派生した、一人でなんとかしなければならない状況が続いたことで、その時に何かあったら、どうするのかといった不安や、障がい者の一生がかかった大事な一瞬一瞬への責任を取れる自信が無かったためであり、それは勉強するだけでは分からない、障がい者にも一人一人の個性がある故に、それぞれへの望ましい対応がある人の奥深さでもあったが、そうした介護する側の人手不足が、障がい者への不安にもなってしまうことには、働いていた私にもどうにも出来ないもどかしさがあったのを、今でも覚えている。 それでも、毎日を同じ場所で暮らしながら、些細な変化に体中で喜びを表現していた彼らとの日々には、私も喜びを感じ、車椅子を押していき、窓辺に佇みながら、共に眺めた町の景色は、きっと障がい者と私とでは全く違うものに見えていたのだろうけれど、何か見えない距離感がほんの少し縮まったような、温かさを感じたのも確かであった。 フィクションとしての物語や文体は、決して好きでは無かったが、それでも怒りに身を任せたままではなく、複雑な思いや侮蔑混じりの哀愁を絡ませた結末へと着地させている点に、彼女の作家としての意地を垣間見たようでもあり、怒りというよりは、どちらかというと悲しみが宿っている印象が強かった私には、おそらく『私はここにいる』という気持ちの裏返しだと思いたい気持ちもあって、そうした自らの心や身体を酷使し削りながら、ひとつの作品を感情の赴くままに築き上げたことに対する☆5であり、ぜひ次回作では、物語も好きでしたと言えるような☆5になればいいなと、楽しみにしております。 Posted by ブクログ ハンチバック 市川沙央 文才がないので、申し訳ないが、卵が先か鶏が先かと…。障害とは言いたくないが、が、あっての作品かはたまた… Posted by ブクログ 市川沙央のレビューをもっと見る