あらすじ
中学校の珠子の前に、とつぜん現れた祖父・謙三はなんと刑務所帰りだった。侠気あふれるグランパは、町の人たちから慕われ、珠子の周囲の問題を次々に解決していく。しかし、グランパの秘密を知った珠子と、彼女を慕う紀子に大事件が襲いかかる──。
石原さとみのデビュー映画の原作で、読売文学賞を受賞した傑作ジュブナイル!
解説・久世光彦
感情タグBEST3
こっちの表紙ものいぢさん
角川のビアンカもそうだけど、こちらの表紙もいとうのいじさん。
ヒロインはJC、のいぢさんたいへんよくわかっていらしゃる。女性ならではですね。
中味は小気味いい系の筒井品質、嫌なことの一つ二つ忘れられます。程度によりますが。
お好みで。
真似できないカッコよさ
表紙の女の子がかわいくて読みたくなった。
今よく見るとグランパがその後ろにいる。
気がついてないわけではなかったろうが眼中になかった。
読後はグランパの方が心の大半を占めている。
真似できそうにないカッコ良さだ。
孫娘もなかなかしゃんとしていて、
その目を通して語られるグランパはさらに魅力的だ。
とんでもない展開とも思えなくもないが、先を読みたくさせる。
『旅のラゴス』は読んでいた。冒険ものはおもしろい。
それを日本の今ですると、ヤクザまがいになりそうだが、
グランパは普通の人がなれないくらい真っ当な人だ。
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「わたしのグランパ」筒井康隆。1999年初出。文春文庫。
薄い文庫本で、文字が大きくて読みやすい。素晴らしい。なんにつけ文庫本はかくあるべしという文字の大きさです。
筒井康隆さんは1934年生まれ。個人的にも30年以上読んでいる、好きな小説家さん。
この2~3年小説書いておられるのかはちょっと分かりませんが。
筒井さんの65歳くらいのときの小説が「わたしのグランパ」。
東京の中流?サラリーマン家庭の中学生・珠子の家に、長く「旅行(刑務所)」に行っていた祖父が帰って来る、という話。
一件疫病神に見える祖父だが、(実際にかなりアウトローな人なんだけれども)人としてマットウで、珠子のいじめをはじめ、地域や家庭の問題をあれよあれよと改善していってしまう…という。
小説書くの、上手いなあ、という一冊でした。これは、うまい。
ちょっと(かなり)違いますが、クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」とか似てます。
あと、逆に振れるとウディ・アレンの飄々とした強引な物語の映画のような(大好き)。
ご都合と言えばご都合だし、ファンタジーと言えばファンタジー。
でも、老いた年代の意識、珠子のように「老人の中で理想化された少女」への思いがちゃんと幹にあって、ぼちぼちそういう年代が近づく読み手には大変に面白かった。
「赤毛のアン」にも似てますね。アンが成長し巣立つ物語に見せておいて、実はマリラとマシューが老いてアンを手放していく物語。常に書き手は10代では無いですから。
未見ですが映画化されていて、菅原文太さんが祖父を演じていたことは知っています。
脳内で「文太化」しつづけて読みました。
いやあ爺ちゃんカッコいいなあ。これに尽きる。
理不尽な相手には断固として引かない。腕も立つが、何より度胸が据わっている。
あまり使われなくなった言葉だが、硬骨漢という表現がぴったりだ。
Posted by ブクログ
作中に存在する人間同士のまっとうな倫理規範のようなものは、現在では失われてしまっているので、いまはなかなかこう簡単に片付くことはないんだろうな…と思いつつも、それが存在した時代の話として非常に懐かしく読んだ。面白かった。簡単に片づけてくれるおじいちゃんの格好良さと、格好良いだけではない部分どちらもよかった。
Posted by ブクログ
薄いからすぐ読み終わった。
面白かった。
色んなところにある康隆節が感じられてよかった。
ゴダケン結局何して刑務所行ったのかわからなかった。
Posted by ブクログ
痛快、グランパに任せてればなんとかなる、という安心感を持って読んでいける。
どこか現実離れした話ではあるけれど、こういう歳のとり方はかっこいい、と思う
Posted by ブクログ
筒井康隆さんの小説、久々に読んだ。しかもSFじゃない。
物語は、中学生の珠子の前に、ある日、突然現れたグランパ(祖父)はなんと刑務所帰りだった。だが、侠気あふれるグランパは、町の人からは慕われ、珠子や家族をめぐる問題を次々と解決していく。
そしてグランパの秘密を知った珠子に大事件が襲いかかる。「時をかける少女」以来のジュブナイル。
読売文学賞受賞作。
短い簡潔な読みやすい文章、だれでも楽しめる内容だった。とにかく、グランパがかっこいい感じ。
2003年に映画化されており、石原さとみのデビュー作で、グランパは菅原文太が演じていたとのこと。また観てみたい。
Posted by ブクログ
SF御三家の1人筒井康隆のSFではない作品の一つ。
主人公・珠子と祖父の謙三との不思議な関りと感動の
ジュブナイル小説(大人が読んでも楽しめる)。
物語の冒頭に書かれた「囹圄」が物語の始まりとして、
重要だったりしますが、これの意味を小学生の時に知り、
このことで、祖父の存在を両親や祖母から聴かされていたのと
違うことを知ります。
そして、時を経て中学生となり、物語のメインへと突入。
祖父・謙三が帰ってきて、珠子と関わりを深めていきます。
珠子の人生の変化と祖父とのかかわり方そしてその行く末が、
不思議で心温まるって感じ。
ちょっと気になるのは、終盤の展開は急だったかなと
個人的に思うところで、最終的な終わり方は良かったのですが、
もう少し物語が続いても良かったのでは?とも思う。
でも、こういう展開の作品って少なからずあるから、
良くも悪くもって感じですね。
Posted by ブクログ
初めて読んだ筒井さんの作品ですが、勝手になんとなくクセのある作者と思っていたので、想像していたよりとてもわかりやすく読みやすく、好感の持てるストーリーでした。
ほかの作品も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
グランパかっこいい!…って素直に思ってあげるけど、こういう爺さんになりたいという男のロマン的な感じなのだろうかなとも思う。グランマさんが、愛しているからこそそばにいられないという、そんな愛され方も含めて。
「こんな爺さんになりたい」と、「こんな爺さんがすてき」は、きっと微妙に違う。たとえば、バイオレントな要素は、私なら要らない。「こんな婆さんになりたい」を描いた『ぼくの(おれの?)グランマ』があったら読んでみたい。グランマの場合、「ぼくの」と孫息子に慕われる必要があるかどうか、そこから検討が必要だ。『わたしのグランマ』でいい気もする。男なら、女なら、と性別で考えている時点でもはや私も時代遅れなのだろうか。
終わり方は潔くて好き。